ハリー・ポッターと魅了の少女   作:栴檀若葉

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明けましておめでとうございます。

大変遅くなってしまいすいませんでした……。




夏休み~ホグワーツへ

「お嬢ちゃん、こっちも頼むよー」

 

「はーい、今行きます。」

 

お客さんから注文を受けた。

夏休みに入ってから、トムさんの所に御世話になっている私は、忙しい時間帯だけお店の御手伝いをしている。

トムさんは、やらなくていいって言ってくれてたけど、それでは申し訳ないと私が無理矢理頼み込んだ。

御手伝いは大変な時もあるけど、とても楽しい。この数週間で色んな魔法使いと話すことができた。そのおかげで、魔法界について詳しくなれた。

 

ロンとハーマイオニーとは、手紙を送り合っている。残念ながら夏休み中に、二人の家には遊びに行けない。だけど、夏休みの終わりに皆でダイアゴン横丁で買い物をすることになってるから、それがとても楽しみ。

 

だけど、不満というか不安なことがある。ハリーに手紙を何通送っても返事が返ってこない。最初は、なんで返事をくれないのか不満だったけど、ロンとハーマイオニーにも返事が来ないと知り、ハリーの身に何かあったのかと心配している。

 

ギィィ

 

お店の扉が開いた音がした。そちらに目を向けると去年一年間で見慣れた不機嫌そうな顔が見えた。

 

「こんにちは、スネイプ先生。何かお飲みになりますか?」

 

「我輩は暇ではないのでね、遠慮する。」

 

スネイプ先生は注文してくれなかった。

ケチなのかな?

 

「何か言いたいことがあるようだが?言ってみたまえ。」

 

失礼なことを考えていたら直ぐにバレた。スネイプ先生の目が怖い。

 

「これはこれは、セブルス、久しぶりだね。今日はどういった用件で?」

 

トムさんがスネイプ先生に気付き話しかけてきた。助かった。

 

「新学期に必要な物のリスト、それに必要な金を持ってきた。本来なら梟便で済ませるが、生徒を他人に預かってもらうことは例外の事なので様子を見に来た。」

 

「そうでしたか。ルクスリアちゃんは、とてもいい子だよ。お客さんとも仲良くなってちょっとした看板娘みたいになってるよ。」

 

トムさんが笑顔で話した。少し恥ずかしい。

 

「そうか。ルクスリア、これがそうだ受け取りたまえ。」

 

スネイプ先生はそう言って、手紙とお金の入った巾着袋をくれた。

 

スネイプ先生とトムさんは何やら話すことがあるようで、店の奥に入っていった。

 

残された私は早速手紙に目を通す。

 

『教科書リスト』

・闇の魔術に対する防衛術

「泣き妖怪バンジーとのナウな休日」

著ギルデロイ・ロックハート

「グールお化けとのクールな散索」

著ギルデロイ・ロックハート

「鬼婆とのオツな休暇」

著ギルデロイ・ロックハート

「トロールとのとろい旅」

著ギルデロイ・ロックハート

「バンパイアとバッチリ船旅」

著ギルデロイ・ロックハート

「狼男との大いなる山歩き」

著ギルデロイ・ロックハート

「雪男とゆっくり一年」

著ギルデロイ・ロックハート

 

なんだこれは。新しい防衛術の先生はロックハートって人の大ファンなのかな?それでも、流石に七冊は多すぎるでしょ。

 

後は、特に変わった内容はなかった。箒を持っていても良くなったけど、私にそんなお金はないので関係ないし。

 

手紙を読み終える頃にトムさんが戻ってきた。

スネイプ先生は私の方を一度見てさっと店を出ていってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからの日々はあっという間に過ぎていき、今日は、ハーマイオニー達との買い物の日だ。だけど、結局ハリーからは何も連絡はなかった。ハリーは大丈夫なのかな?

 

「久しぶり、ルクスリア!」

 

声のする方を向くと、豊かな栗色の髪の女の子が飛び付いてきた。

 

「久しぶりだね、ハーマイオニー。それと、はじめましてハーマイオニーのお父さんとお母さん。」

 

ハーマイオニーは、両親と共に来たようだ。

 

「はじめましてルクスリア、ハーマイオニーから話は聞いているよ。ハーマイオニーと仲良くしてくれてありがとう。」

 

そう言って、グレンジャー夫妻は微笑んだ。穏やかな人達だ。

そうしていると、漏れ鍋の奥にある暖炉の火が緑色に光始めた。

 

その火の中から、燃えるような赤毛をした人達がゾロゾロと出てきた。ウィーズリー家だ。見たことのない女の子もいた(末妹のジニー)。

 

その中に、ひとつだけ黒でクシャクシャの頭がひとつあった。

 

ハリーだ。

 

その後、ハリーから夏休みに連絡をくれなかったことについての事情を聞いた私達は、ハリーに同情した。

 

双子が空飛ぶ車の話で暗くなった雰囲気をぶち壊し、ウィーズリーおばさんに怒られた後に買い物に出掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度買い物を終え、最後に教科書を買いにフローリシュ・アンド・ブロッツ書店に来た。

 

書店の前には人だかりができており、魔女でごった返していた。

 

書店の窓を見ると、ポスターが貼ってある。

 

『ギルデロイ・ロックハートのサイン会』

 

写真もあり、整った顔の男が白くて歯並びの良い歯を見せびらかすかのように笑顔を見せ続けていた。

 

「まあ、なんということでしょう!本物の彼に会えるんだわ!」

 

ウィーズリーおばさんが感極まった様に話始めた。

 

「ママはあいつにお熱なのさ。全く困ったもんだよ。あいつの本のせいで僕んちの家計は火の車だってのに。」

 

ロンがげんなりとした様子で言ってきた。

 

「ほんと、流石に高すぎるよね。私もホグワーツから貰ったお金の額を見てびっくりしたよ。」

 

「二人とも仕方ないわよ。彼って素晴らしいもの!素晴らしいものには相応しい値段がつけられるものよ。」

 

どうやら、ハーマイオニーもお熱のようだった。

 

「よし、待っていてもしょうがない!とっとと買ってしまおう!」

 

ウィーズリーおじさんが、埒があかないと店の中へと踏み込んだ。私たちもはぐれないように着いていく。

 

「こういう時に、ウィーズリー家の赤毛は目立っていいね。」

 

「ルクスリア、君も人の事は言えないよ。」

 

ハリーが呆れたように言ってきた。たしかにピンクも目立つか。

 

「でも、ハリーの額の傷痕も見られたら一発であのハリー・ポッターだってバレるぜ。」

 

ロンが後ろから話してきた。

 

「ちょっと、ロン!こんな狭い店内でそんなこと言ったら……」

 

「ハリー・ポッター?」

「ハリー・ポッターがいるのか?」

 

店内がざわつき始め、次第に店内の人の視線がハリーに収束していった。

 

「やれうれしや、ハリー・ポッターか。」

 

一際大きい声があがり、サッと人波が割れ一人の男が近づいてきた。店頭に貼ってあった写真の男だ。男はわざとらしいほど、大袈裟に喜びを表しながらハリーに近づくと、サッとハリーの隣で決めポーズをとり、カメラマンが強烈なフラッシュでバシャバシャと撮り始めた。

 

「ハリー笑って。皆さん明日の新聞の表紙はこれで決まりですよ。この場を借りて発表しますが、私、ギルデロイ・ロックハートは今年度よりホグワーツで闇の魔術に対する防衛術の教鞭をとることになりました!」

 

この人が新しい闇の魔術に対する防衛術の先生なの⁉まさか自分の著書を教科書に指定していたなんて……。

 

ハリーはロックハートに無理矢理肩を組まれ、不快感を隠そうともせずに写真に撮られている。

 

「ハリーは写真に撮られるのを嫌がっています。ハリーを解放してください!」

 

私はロックハート(一応先生だけど)に向かってやめるように言った。

 

ロックハートは私の方を向くと、店頭に貼ってあった写真のような笑顔を見せ返事をした。

 

「お嬢さん、そんなことはないですよ。この私とあのハリー・ポッターのツーショットですよ。魔法界の誰もが望んでいるツーショットです。それをハリーが嫌がるわけがないでしょう。……ああ、分かりました‼貴女も私と一緒に写真が撮りたいんですね。いいですとも、いいですとも、さあ、カメラマンさん此方のお嬢さんとも撮りますよ、いや、いいんですよ、ファンの期待に応えることは大切なことですからね。お嬢さん折角この私と撮るのですから顔を見せてくださいよ、写真を撮る時はスマイルですよ。」

 

そう捲し立てたロックハートは、私の前髪に振れ顔を顕にさせようしてきた。

 

「触るな!」

 

私はロックハートの手を払いのけた。なんなのこの人は、自分の都合の良いように解釈して勝手に話を進めてくるなんて、なんて強引な。

 

「どうやら随分と恥ずかしがり屋さんみたいですね、それでは私のサインつきの著書を全て差し上げますよ、勿論無料でね。」

 

そう言ってロックハートは、ウィンクと彼の著書全てを私に寄越し、さっさとサイン会に戻っていった。

 

こんな人に今年は教わることになるのか……。

先が思いやられるなあ……。

 

「ごめん、皆疲れたから先お店出るね。」

 

そう言って私は先に店を出て待つことにした。

 

しばらくすると、店の中から黄色じゃない本当の悲鳴が聞こえ始め、少しするとマルフォイが髪や服が乱れた父親(?)と一緒に出てきた。マルフォイは此方を一瞥すると、さっさと父親に連れられ行ってしまった。

 

その少し後、皆が出てきて(ウィーズリーおじさんも髪や服が乱れてた)漏れ鍋に帰り、皆と別れた。漏れ鍋への帰り道、ウィーズリーおばさんとハーマイオニーはロックハートについて熱く語り合っていて、皆が辟易していた。

 

だけど、そんな中私に突き刺さる視線を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休みが終わり、いよいよホグワーツに戻る日が来た。去年と同じようにトムさんがキングス・クロス駅まで送ってくれた。

 

「また来年も私の所へおいで、ルクスリアちゃん。なんだったら、クリスマスに帰ってきてもいいんだよ。」

 

「ありがとうございます、トムさん。クリスマスはまた連絡しますね。では、行ってきます!」

 

「待っているよ、目一杯楽しんでおいで。」

 

そう言って、笑顔で送り出してくれた。

お父さんがいたら、こんな感じなのかな?

少し、嬉しくて寂しい気持ちになった。

 

列車に乗って待っていると、ハーマイオニーがやって来た。ハーマイオニーと話しながらハリーとロンを待っていたけど一向に現れない。

そのまま列車は出発してしまった。

 

私達が不安に思っていたら、息を切らした双子がきた。

 

「おはよう二人とも。ハリーとロンは?けっこうギリギリだったの?」

 

私が聞くと双子は、顔を見合わせ居心地悪そうに話した。

 

「ハリーとロンなんだが」「俺達もギリギリで急いでたんだ」「列車に乗って後ろを見たら」「そこにいるはずの二人がいなかったんだ」「そしたら発車しちまって」「「二人は乗り遅れちまった」」

 

なんだって、それは大変じゃないか!

二人とも今頃不安に違いない。

 

「大丈夫よ、きっと。あそこには大人の魔法使いがたくさんいるし、ハリーにはヘドウィグがいるからホグワーツに連絡もとれるわ。遅れるでしょうけど大丈夫よ。」

 

そうハーマイオニーが落ち着いて言った。流石ハーマイオニー、冷静だ。

 

ハーマイオニーの言葉で、私も双子も落ち着きを取り戻しコンパートメントでホグワーツに着くまで過ごした。

 

 

 

二人が空飛ぶ車で来たことを知ったのは、久々のホグワーツの食事を堪能した後だった。

 

 

 

 

 

 

 




久々なのに短くてすいません。
ハリーはちゃんとダイアゴン横町に行けました。


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