BanG Dream! 5人の幼なじみと1人の先輩   作:ELS@花園メルン

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プロローグ 先輩と後輩の出会い

Side 真

 

 

「大丈夫か?」

 

 

俺は今井さんが勢いよくドアを開けたことで転んでしまった女の子に手を差し出した。

 

 

「だ、大丈夫です、一人で立てますから...!」

 

スクっとその子は立ち上がり、スカートに付いた埃を払った。

 

 

「あれ~?蘭、顔真っ赤だよ〜?」

 

 

と、のほほーんとした子が指摘する。

あぁ、この子が今井さんの後輩だな。分かり易かった。

 

 

「な、何でもない!」///

 

 

先ほど立ち上がった黒髪に赤いメッシュが入った子は何でもないように見せかけるためにそっぽを向いた。

 

 

「で、今井さん?

何で彼女たちをここに連れてきたんだ?

別に吹奏楽部は無いし、俺しかいないのに」

 

 

今井さんに尋ねると、赤い髪の子が話し出した。

 

 

「実は、迷ってる時にこの教室からギターやドラムの音が聞こえたんです。それで、リサさんに聞いてみたらココに連れてきてもらって」

 

「なるほどね...。

あ、自己紹介がまだだった。

羽丘学園1年の八城 真です、よろしく。

真でいいよ。

後、話し方もそんなに気にしなくていいから」

 

「じゃあ、私も改めて。

今井リサでーす!

ヤシロシンとは同じクラスでーす!」

 

「だから、それ本当に...はぁ、もうイイや」

 

 

いくら訂正しても直してくれないので、こっちが折れてしまった。

 

 

「え〜と、青葉 モカで〜す。

好きなものはパンで~

趣味はポイントカード集めで〜す。

得意な楽器はギターで〜す

ヤシロシン先輩よろしくお願いしま〜す」

 

「早速うつってるし...

ギター弾くんだ?」

 

 

もう、この際呼び名は仕方が無いので、気になったことを聞いてみた。

 

 

「うーん、私たちバンドやってるんだ〜」

 

「へぇ、いいな、どんな名前?」

 

「【Afterglow】って言うんだ。

あ、私は宇田川 巴。

担当する楽器はドラムだ。

よろしくな、真先輩」

 

「私は羽沢つぐみです。

楽器はキーボードを担当してます。

よろしくお願いします、八城先輩!」

 

 

羽沢か宇田川が多分この中でしっかりしてそうだなぁ、と思ったが敢えて口に出さなかった。

 

 

「Afterglow、夕焼けか...。

やっぱ、夕焼けに思い入れがあるのか?」

 

「えっと、練習時間が基本夕方っていうのと、私たちの思い出の日が夕焼けが綺麗だったので、それを忘れないようにって。

あ、私は上原 ひまりって言います。

ベース兼リーダーです!

そういえば、先輩も楽器弾いてましたよね?

どの楽器が得意なんですか?」

 

 

この子がリーダーか。

なんか、抜けてそうな子だな...。

 

 

「弾けるっていうなら、ギター、ベース、ドラム、キーボードどれも弾けるけど、どれか一つを極めようとしてないから、器用貧乏って感じかな」

 

「へ〜、どれも弾けるなんて凄いですね!」

 

「弾けるって言ってもソコソコだからさ。

あんまし期待されてもね」

 

「とか言って、この前、友希那からバンドに誘われてたじゃん、結局断ってたけど」

 

「...俺、あの人ちょっと苦手で...

それに、あの人、本格的なバンドをやるから半端者が入ったら邪魔かなって、思ってさ。

それに、今井さんだってベース弾けたんじゃない?」

 

「わ、私はその、そんなに上手く無いからさ、友希那の邪魔しちゃいそうだし...」

 

 

はっ!そういえば、まだ、自己紹介途中だった!

最後の子はさっき蘭って呼ばれてた子か

 

 

「......」

 

 

なんかムスッとしてる?

そっちのけで話してたからもしかして怒った?

 

 

「ほ〜ら、蘭〜

自己紹介自己紹介〜

先輩、困ってるよ〜」

 

 

上原が急かそうと、頬をうにうにしだすが、

 

 

「そ、そんなに急かさないでよ!

...えっと、美竹 蘭」

 

 

そこで終わってしまった。

 

 

「それだけ〜?他に言う事無いの〜?」

 

 

青葉が聞くが、

 

 

「...無い」

 

「あ!ひょっとして蘭、照れてるんでしょ!」

 

「は!?な、何でそういうことになるの!!」

 

「だって、先輩の方、向いて話せてないよ?

さっき転んだのが、恥ずかしかったんでしょ?」

 

「べ、別にそういうんじゃ...

ああもう!役割はボーカルとギター!

これでいいでしょ!」

 

 

いや、俺に聞かれてもね...。

 

 

「青葉に宇田川に羽沢に上原、それに美竹ね。

覚えた!やっぱ、進学はココにするのか?」

 

「中等部からの進学だと、多少の免除があるみたいなんでそうですね」

 

 

羽沢がそう説明してくれた。

 

 

「あ、せっかくなんで先輩何か1曲弾いてもらえませんか?」

 

 

と、上原が俺に頼んできた。

 

 

「なら、私も久しぶりにベース弾いてみようかなっと!」

 

 

そう言いながら、今井さんはベースを手に取った。

 

 

「ちゃんと、ピック使いなよ?

そのネイルだとボロボロになっちゃうからさ」

 

 

俺は今井さんに音楽室の引き出しに入っているピックを取り出し、放り投げた。

 

 

「で、何弾くの?

ってか、これしか分からないかも」

 

「これ?ま、俺は弾けるからいいよ」

 

 

音楽室に置いてあるギター用の譜面を見ながら今井さんと2人で決め、ドラムとキーボードの音が入った音源をセットし、音楽をかけた。

 

 

「じゃあ、聴いてください。

【Crow Song】」

 

 

ここの音楽室は色々なジャンルの譜面が置いてあり、今回はとあるアニメのガールズバンドの曲を選んだ。

 

聴いたことがあるようで、美竹や上原たちはリズムを取るように聴いていた。

前奏が、終わると同時に曲を止め、ギターを元あった場所に立て掛ける。

 

 

「とまぁ、こんな感じかな。

今日は学校見学に来てるんだし、余り長々と居座らせられないしね。

って、もうこんな時間か、休憩が終わっちゃうな。

そろそろ、教室に戻らないといけないから俺はこの辺で。

今度、時間があればafterglowの演奏を聴かせてよ」

 

「じゃあ〜連絡先交換しましょうよ〜」

 

 

と青葉が提案してきた。

 

 

「ん、ああ良いよ」

 

 

という訳で俺はスマホを取り出し、連絡先を表示した画面を青葉に見せた。

 

 

「あ、じゃあ私も登録する〜!」

 

「じゃあ私も!」

 

「私もやろっかな」

 

 

と、上原、羽沢、宇田川がスマホを取り出した。

 

 

「...じ、じゃあ、私もやる」

 

 

最後に少し照れ臭そうに美竹が取り出した。

 

全員が登録し終えると俺はスマホをしまい、

 

 

「じゃあまた、時間があったら連絡してくれ。

ってか、今井さんもそろそろ休憩終わりじゃね?」

 

「ん?あ、ホントだ!じゃあね、皆!

私も行かなきゃ!バイバイ!」

 

 

俺たちは、音楽室を出ていき、自分たちの教室へと戻った。

 

 

Side 真 End

 

 

Side 蘭

 

 

先輩たちは音楽室を出て行ってしまった。

 

 

「じゃあ、私たちももう少し学校見学したら帰るか?」

 

「そうだね!にしても、先輩たち凄かったよね、つぐ!」

 

「うん!八城先輩は器用貧乏って言ってたけど上手だったし、今井先輩も久しぶりって割にそんなの分からなかったよ!」

 

 

と、感想を皆が言っていた。

...確かに2人とも凄い迫力のある演奏だった。もっと聴いてたいって思うくらいに。

 

すると、モカが話しかけてきた。

 

 

「良かったね〜蘭〜?」

 

「...何が?」

 

「連絡先入手できて〜」

 

「!」

 

 

な、何を急に!?

 

 

「私、蘭の幼なじみなんだよ〜

何年も、見てたら嬉しそうにしてるのすぐに分かっちゃったよ〜」

 

「べ、別にそんなんじゃ...!」

 

「じゃあ、消しちゃう?」

 

「!?ダ、ダメ...あっ」

 

 

思わず叫んでしまった。

皆がニヤニヤしながら私を見てくる。

 

 

「も、もう!行くよ!皆!」///

 

「はいは〜い」

 

「蘭、可愛いなぁ♪」

 

「ひまり、後でジュース奢りね」

 

「そんな!?」

 

「ドンマイだな」

 

「あ、あはは」

 

私たちは音楽室を出て学校見学を再開した。

 

 

...まあ、連絡先が手に入って嬉しかったのは事実だし、モカには感謝かな...

 

 

「あ!後で〜パン買いに行こうよ〜!

蘭奢って~!」

 

 

訂正。やっぱり、さっきの感謝は取り消す。


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