BanG Dream! 5人の幼なじみと1人の先輩   作:ELS@花園メルン

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今回でイベント編は完結です!
少々詰め込み過ぎましたが・・・

投稿位置を間違えたので再投稿させてもらいました!


新しい、『いつも通り』

屋上へ先に上がっていった蘭たちを見送り、俺は購買へと来ていた。

 

 

「せっかくアイツ等が頑張ってるんだし、俺も差し入れでもしてやるか」

 

「あ!やしろん~!」

 

 

購買に行くと、氷川さんが購買で買い物をしていた。

 

 

「お疲れ、氷川さん。

これからレッスンか?」

 

「そうだよ!だから、何か飲み物と食べ物買っておかないとって思ってねー!

それより、蘭ちゃんたちはどんな感じ?」

 

「メロディはできたって言ってたから、後は歌詞を考えるだけだな」

 

「やしろんは手伝わないの?」

 

「ああ。今回の事に関しては裏から支えはしても、俺が助言とかするのはやめようと思う。

だからせめて、身体を冷やさない様に暖かい飲み物の準備とか、な」

 

「へぇ!―――うん!るん♪ってきた!じゃあ、そろそろ行くけど歌、楽しみにしてるよ!」

 

 

そう言うと、氷川さんは会計を済ませ、購買を去っていった。

相変わらず、彼女の表現はよくわからないな。

俺は購買の飲み物の棚から暖かいお茶とコーヒーとミルクティーを二つずつ買い、屋上へと向かいながら、綺麗な夕焼けを眺めていた。

 

屋上へ向かうと、校舎から見えた夕焼けよりもより綺麗な夕焼けが見えた。

蘭たち五人は俺に背を向け、ベンチに腰掛け夕日を眺めながら話を弾ませていた。

 

 

「おう、寒くないか?ほら、飲み物いるだろ?」

 

「あ!先輩!ありがとうございます!」

 

「お~気が利きますな~モカちゃんはミルクティー」

 

「私もー!」

 

「じゃあ、私はお茶を貰おうかな」

 

「…コーヒー」

 

「あ、私も!―――でも、先輩、いいんですか?奢ってもらっても」

 

「いいよ、これくらい。

…今までモカに払わされたパンに比べれば……」

 

 

つぐみが申し訳なさそうに尋ねるが、モカはこれまで相当数のパンを俺に買わせている。

それに比べたら大したことは無い。

 

 

「あ、あははは」

 

「ゴチで~す」

 

「まあいいか。

それで、どんな感じにまとまったんだ?」

 

 

と、俺は蘭へ尋ねた。

 

 

「パスパレの皆が話してくれたことを私達がどう受け止めて、何を感じたのか。

それを歌詞にしようと思う。

それなら私達が今まで考えてきた歌と何も変わらない『いつも通り』の歌になるから」

 

「Afterglowらしい『いつも通り』の歌か。

いいんじゃないか?向こうのスタッフの人だって、そういう歌詞に心を打たれてお願いしたって言ってたんだし」

 

「うん、ああいう感想はやっぱり恥ずかしいけど、そういうこと」///

 

「じゃあ、先輩も一緒に考えましょうよ!」

 

「いや、俺は別にメンバーっていうよりはスタッフって役割だし」

 

「え~そんなこと無いと思うけどな~。

真先輩だってとっくにモカちゃんたちの仲間だよ~?ね、つぐ~」

 

「そうだよね!

先輩、一緒にやりましょう!」

 

「先輩の意見も聞きたいからさ」

 

 

と、ひまりが誘い、モカ、つぐみ、巴も俺を引き込もうとする。

 

 

「先輩も、やろうよ」

 

「…はぁ、分かったよ。

じゃあ、6人で意見出し合って考えるか!」

 

「はいっ!」

 

「私も電子辞書なら任せてください!」

 

「フレーズ録音したのあるから、聞きながら歌詞、作ってこうぜ」

 

「うん、助かるよ、巴」

 

「なら、頑張ろ~。

えいえいお~」

 

 

と、俺たちは6人で曲の歌詞作りを開始した。

パスパレの人たちは芸能界というスケールの大きい世界で戦っていて、私達のことなんてちっぽけに感じたや、それを聞いて自分たちの世界と違う世界を知って世界の広さを知ることができたなど、歌詞を作っていくうえで大事な『自分たちの感じたこと』を出し合い、上手い表現を探し、見つかったときは盛り上がり、と今までしたことない、全員で歌詞を考えるという行動に俺たちは夢中になり、気が付けば夕日は沈み、辺りは暗くなってきていた。

 

 

「は、は…くしゅん!」

 

 

と、ひまりが盛大なくしゃみをする。

 

 

「時間は―――うわ、6時過ぎてるぞ!

片付けないと学校閉まってしまう!」

 

「嘘だろ!?もうやだぞ、学校に閉じ込められるのは!!」

 

「うー、さむいよ~~」

 

「ほら、モカ、ひまり、これでも羽織ってろ」

 

 

俺の上着をひまりへ、鞄からブランケットを取り出しモカへ渡す。

 

 

「あ、す、すみません、先輩!」

 

「何でブランケットなんて持ってるの~?」

 

「ホントだぜ、真先輩。

女子じゃあるまいし」

 

「知らないだろうが、今、俺の教室の暖房壊れてんだよ。

だから、ひざ掛けくらい無いと寒いんだって」

 

「風邪、ひかないでよ?モカもひまりも先輩も」

 

 

せっせと片づけを行い、俺たちは出していた荷物を片付け終え、最後のチェックをしていた。

 

 

「だいたい、こんなもんだろ、真先輩、そっちは?」

 

「こっちも大丈夫だ」

 

 

すると、つぐみが空をみて指をさしていた。

 

 

「あ!見て、一番星!」

 

 

俺も空を見ると、真っ暗になりつつある空に小さくポツンと輝く星を見つけた。

 

 

「ホントだ!つぐって、星探すの早いよね~!」

 

「そうかな?でも、前に天体観測に行ってから星を見るのが好きになっちゃって、よく一人でベランダから星を見てるから、かな?寒いけど、頭がスーッとして気持ちいいんだよ!」

 

「へぇ、いい気分転換になりそうだね」

 

「真っ暗で見えなくても、それでも少し見方を変えて、『星を探そう』って思って眺めると結構面白いんだよ!」

 

「見方を…変える……」

 

 

つぐみの言葉を聞き、蘭は少し考え事をしていた。

 

 

「蘭?」

 

「今のつぐみの話を聞いて思ったんだけどさ。

私が中学二年でクラスがみんなと離れてた時、一人で屋上で過ごすようになってたんだ……。

あの時の私には屋上は逃げ場で、マイナスなイメージの場所だった。

 

―――だけど、バンドを始めて、真先輩とも知り合って、私達のバンドの拠点が今ではこの屋上になってる。まあ、つぐみの家もだけど。

私達にとって大切な場所になってるんだよね。

この、マイナスなイメージしかなかった場所が出来事を通して大切な場所になった。

これって、つぐみの話に少し似てると思うんだよね」

 

「あ…ホントだ!」

 

「屋上に対しての気持ちとか、夜空を眺めるようになったこととか、それって今思えば、出来事を通して『視野が広がった』ってことなんじゃないかって、思う」

 

「つまり~?」

 

 

と、モカが尋ねるが、俺が答えた。

 

 

「お前たちが気づかなかっただけで、実は少しずつ成長を繰り返してたってことだろ?自分たちのペースで」

 

「お~なるほど~。

ねね、ひーちゃん、私、もしかして背とか伸びてる?」

 

「分かるわけないじゃん!

毎日と言っていいほど会ってるのに!」

 

「けど、今回はつぐのお陰で気づかされたな」

 

「え?そう、かな?」

 

「そうだよ、つぐ!

やっぱりこういう時ってつぐの発言で気づかされることって多いよね!」

 

「なら、モカはそれに乗っかる係ってか?」

 

「え~、そんなことないよ、真先輩~。

モカちゃんだってたまには良いこと言ってるよ~」

 

「たまには、なのか…」

 

 

 

 

「私達、いつも夕日しか見てこなかったけど、その後には、夜空が広がってる。

その夜空も、悪くないって気づけたよ」

 

「そうだねっ!じゃあ、これからはつぐみたいに皆で一番星を探していこう!」

 

「だな!そうやって色んな日の星空を見てると、今回みたく何か発見があるかもしれないしな」

 

「うん、そうだね!」

 

「今日の夜空も、パスパレの人たちのお陰で見ることができたしな!」

 

「…だね」

 

 

俺たちは校内の施錠が終る前に校舎を出ることができた。

早速、帰りは星空を眺めながら、色々と話をしながら帰った。

 

 

「あ、先輩、肉まんおごって~」

 

「晩飯食う前に何言ってんだか」

 

 

モカの発言はスルーして俺たちはそれぞれの帰路についた。

そして数日後、スタッフの人へ俺が連絡を入れ、曲が完成したと報告した。

 

休日にふたたび俺たちは芸能事務所へ足を運んでいた。

 

 

「ねー、真先輩ー。

モカちゃん、風邪ひいたかもー」

 

「え、モカ!?それ今言うの!?」

 

 

と、ひまりが俺に代わってツッコミを入れた。

 

 

「あ!真さんお疲れ様っす!」

 

「出迎えサンキュー。

もう、みんな集まってるのか?」

 

「ハイっす!では中へどうぞ!」

 

 

と、楽屋の前で大和が待っていて、俺たちは楽屋へ入り、早速曲の入ったデータを再生した。

曲はパスパレ、スタッフの方にも大好評だった。

蘭たちらしい王道ロックで、スタッフの的を射た素晴らしい曲だった。

 

そう言われ、蘭は終始照れていた。

そのまま、曲を作成した経緯なんかも聞かれ、蘭だけじゃなく、皆で考えそれを作り上げた、と報告し、それにより自分たちも更に成長できたのだと、伝えた。

 

 

「八城君も助かったよ、ありがとう!」

 

「いえ、彼女たちが決めて、彼女たちが作った曲ですから、お礼なら彼女たちへ」

 

「そうだけどね、彼女たちが伸び伸びと歌詞を考えられたのも、君が支えていたからじゃないかと私は思うんだよ」

 

 

と、スタッフの方から話しかけられ、更に白鷺さんからも話しかけられた。

 

 

「そうよ、八城君。

貴方も一緒に考えて作ったってひまりちゃんも話してたわよ?

なら、貴方が感じた気持ちもあの歌には籠っているのかしら?」

 

「……ま、少しは」

 

「なら、大切に歌わせてもらうわね?

それはそうと、彩ちゃんたちと写真を撮るのだけど、貴方も写りましょうよ」

 

「は?俺はいいよ。

ほら、俺が撮って皆写ればいいだろ?」

 

「あ、では私が写真を撮らせてもらいますので八城君もどうぞ、お入りください!」

 

 

と、スタッフさんに言われてしまった。

 

 

「そういうことだから、八城君も行くわよ」

 

 

と、腕を引っ張られながら、俺はAfterglow、Pastel⋆Palletの集まりに連れていかれた。

いやいや、男1に対して女10は流石にキツイわ!

 

 

「ちょ、何で俺が真ん中なんだよ!?

こういうのは一番の立役者の蘭がセンターだろうが!」

 

「はぁ!?無理無理!私は端の方でいいから!」

 

「はーい、蘭と真先輩暴れないで~」

 

「そうだよーやしろん、蘭ちゃん!」

 

「ちょ、放せっ!」

 

「モ、モカ!?日菜さんも!?」

 

「それでは撮りますよ~」

 

 

パシャッ!

 

 

と、シャッター音が鳴り、写真が撮られた。

その写真を見ると、逃げようとする俺と蘭をモカ、氷川さん、ひまりらが押さえ、それを見て他の人が笑っている写真だった。

こうして、Afterglowの少し変わった『いつも通り』は終わりを迎えた。

 




はぁ、なんかガルパのキャラに兄弟がいたらって感じの小説を書きたいなぁ。

薫さんとか良さげ…。
王子様みたいな薫さんとは裏腹に女顔みたいな弟とか……

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