BanG Dream! 5人の幼なじみと1人の先輩   作:ELS@花園メルン

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遅くなって申し訳ありません。

ひとまず更新させていただきます!


全力で最高の曲を

俺はパスパレ所属の芸能事務所から帰宅し、それぞれを無事に家まで送り届けた翌日、羽沢珈琲店へと訪れた。

昨日、パスパレの事務所のスタッフの方からAfterglowに曲を作って欲しいと頼まれ、少し期限を貰ったので、受けるかどうかの話し合いをするために、いつも通り、つぐみの家に集まっていた。

 

 

「ひーちゃん、ゲーノー事務所はどうだったー?」

 

「なんかなんか、凄かったよね!―――って、そういう話じゃなくって!」

 

 

モカがひまりに昨日の感想を聞くが、聞くところが全く違っていた。それでもひまりは答えるんだが、すぐさまツッコミを入れていた。

つぐみも昨日の話が如何に大きなことか、と話、巴は自分の気持ちを吐き出す。

 

 

「なんだかすごい話貰ってきちゃったよね……」

 

「自分たちの曲を、他の人が歌うっていうのが、私には納得できないんだよな。

なんか、こう言葉にできないけど、モヤッとするんだよ……」

 

「曲を提供っていうことはカバーとはまた違うからな」

 

 

自分たちが作曲し、自分たちが既に歌っている曲を他の歌手がカバーして歌うのではなく、今回は初めから自分たちの為じゃなく、別の歌手の為に曲を作るというのが、彼女たちの心をモヤつかせてるんだと俺は思う。

 

 

「巴も言ってたけど、私達は有名になるためとか、そんなつもりでバンドをやってる訳じゃないから。

昨日、事務所の人が言ってたことも、私には分かんない」

 

 

と、蘭はそう言った。

もともと、Afterglowとは、幼馴染だった5人が揃って何かをやろうと思い、始めたバンドだ。まあ、今では関係ない俺がいるんだがな。

 

 

「だけど、お前らは『いつも通り』やれたらそれでいい。それは全員一致なんじゃないか?」

 

「それはそう、です……」

 

 

俺がそう尋ねるとひまりが歯切れ悪く、そう返事をする。

 

 

「「「「……」」」」

 

 

他の4人もなんか微妙な感じだった。

沈黙のなか、モカがしゃべりだす。

 

 

「みんなビミョーな気持ちなんだったら、別に無理にやらなくてもいいんじゃないー?」

 

「で、でも!やってみれば私達、成長できるかもしれないよ!?

ここは、頑張ってみるのも……!」

 

 

と、つぐみが他のメンバーにそう呼びかける。

 

 

「つぐみの言うこともわかるけど……。成長って、具体的に何?

この話で、私達は何をどう、成長させることができるの?」

 

「それは、うーん……」

 

 

と、蘭の言葉に頭を悩ませるつぐみだが、そこへモカが助け船をだす。

 

 

「まあでもさ~、チャレンジだと思ってやってみたじゃん?今までもいろんなことをさ~」

 

「そ、そうそう!ガルジャムとか、色々!」

 

「ていうか、バンドを始めたこと自体、私達には大きなチャレンジだったよね。

つぐと巴は楽器経験あったけど、残りの3人は全く楽器に触れてなかったし」

 

 

と、ひまりも自分たちの昔を振り返り、そう話した。

 

 

「えっと、だから、つまり―――」

 

「今までやってきたことだって、自分たちの成長に繋がったんだから、この話だってもしかすると自分たちの成長のためのチャレンジかもしれない、って、つぐみは言いたいんだろ?」

 

「先輩!そ、そうです!パスパレの人たちへ曲を作ることが私達にどう影響するか分からないけど、やらないで終わるよりかは、やってみた方が私は良いと思うんだ!」

 

「わたしも!つぐに賛成!

今までだって、なんだかんだ悩んで挑戦してたけど、今回もそれと同じだよ!」

 

 

俺もつぐみに助け船を出し、つぐみはやっと自分の口で、どうしたいかを皆に伝え、ひまりもそれに同意した。

 

 

「そう、だな。

何もやらずにウダウダ言ってもしょうがない、か」

 

「宇田川だけに~?」

 

「モカ、そのネタはやめてくれ……」

 

 

と、モカは巴の言葉と苗字で変なネタを使っていたが、それはスルーしておこう。

 

 

「白鷺さんも言ってたが、悔いのない決断をするんだぞ?

後になってやっておけば良かったなんて、なったら折角の機会を棒に振ってしまうんだからな?」

 

「蘭、どうかな?

チャレンジしてみない?」

 

「……分かった、やってみよう」

 

 

と、ひまりは恐る恐る蘭へ挑戦するかどうか尋ねた。

すると、蘭は少し間を開けたが、やろうと決めた。

 

 

「うんっ……!がんばろっ、蘭ちゃん!作詞の方も、いつも蘭ちゃんに任せきりだったけど、大変だったら皆で手伝うし!皆で案を出しながらやってみようよ!」

 

 

と、つぐみが蘭の決定に喜ぶ。

 

 

「美竹君、いい曲を期待してますぞ~?」

 

 

と、モカは何かの真似をしながら蘭に話すが、それは蘭が考え事をしていてスルーされてしまった。

 

 

「つぐみ、イヴに曲の件、OKって連絡お願いできる?」

 

「あ、俺、昨日、事務所の人に連絡先貰ってあるから、そっちへ連絡しとこうか?」

 

「そうなんだ。じゃあ、先輩、お願いできる?」

 

「分かった」

 

 

俺は少し席を外し、事務所の人へ連絡を入れた。

 

 

『もしもし!こんにちは、八城君ですね?』

 

「はい、こんにちは。

昨日の件ですが、彼女たちは引き受けると言ってましたんで、その連絡をさせてもらいました」

 

『本当ですか!ありがとうございます!!』

 

「それで、曲作りの参考に、Pastel⋆Palletの練習を見学や話を聞きたいんですが―――」

 

『ええ!OKですよ!次の月曜日なら夕方に練習を行っておりますので、その時に!』

 

 

と、俺はスタッフの方から、見学の了承も得たので、皆も曲を作りやすくなるだろう。

俺は席へ戻り、さっきの話を伝えた。

 

 

「OKって連絡したぞ」

 

「ありがと、あ、でも練習を見学っていうか、全員から話を聞きたいって思うんだけど」

 

「それも許可、得といた。

月曜日の夕方に練習にお邪魔させてもらえるらしい」

 

「早っ!先輩早すぎ!」

 

「お~敏腕サポーターですなー」

 

「お前らがやるって決めたんなら俺も少しは手伝ってやろうと思ってな」

 

「じゃあ、月曜日にまた事務所へ向かうっていうことで!

皆、頑張るよ~!えいえいお~!!」

 

「「「「……」」」」

 

「…」

 

 

ひまりの気合入れはいつものごとく空振りに終わった。

 

 

「なんで皆やらないの~!!」

 

 

結局、その日は解散し、月曜日、芸能事務所へ再び足を運んだ。

パスパレのメンバーが練習を始める前に到着したので、練習前に蘭はパスパレのメンバーへ結成当初の話を聞いていた。

 

 

「初めは―――」

 

 

最初のライブまでに練習なんかが上手くいかず、最初のライブは弾いたフリをすることになった。

でも、自分たちが歌い始めたときに機器が不調になり、大失敗に終わり、パスパレの評判は悪くなってしまった。

だが、彩を中心に演奏の練習や合間にチケット配りなどを自分たちで行い、なんとかライブを成功させた。

 

など、かなり壮絶な話を俺たちは聞かされた。

 

 

「一通りだと大体、こんな所かしら」

 

 

蘭たちは固まったままだった。俺だって、結構、驚いている。

 

 

「いや、なんか凄いんだな、パスパレって」

 

「そうっすか?まあ、結成当初から色々ありましたからねー。

無人島での新曲発売告知特番とかもやってますからね」

 

「あ、それなら見たわ。にしても、雨の中チケット配りとか凄いんだな、丸山さんって」

 

「そうですよね。彩さんを中心に自分たち集まってるようなもんですから」

 

 

蘭たちが、大和以外のパスパレメンバーから話を聞いている間に俺も大和から話を聞いていた。

その後、もうしばらく練習を見学させてもらい、俺たちは事務所から出た。

その帰り道、パスパレの話を聞いたときの感想を言い合い、Afterglowのメンバーは夕焼けの中、帰っていた。

 

 

「パスパレの人たち、すごかったね!」

 

「だな……。壮絶過ぎて、私、うまく言葉にできないよ」

 

「ううっ、あんな凄い人たちに曲を提供なんて、本当にいいのかな?」

 

 

と、つぐみはパスパレの話を聞き、少し弱気になってしまっていた。

 

 

「……私は、やりたい」

 

「蘭、ずいぶんと熱心だな。

なんか考えてることあるのか?」

 

 

と、俺は蘭へ尋ねてみた。

 

 

「具体的に何、っていうのがまだ上手く言えないんだけど…。

この曲作りができたた何が見つかるのか、もう少しで分かりそうな気がして…。

だから、最後までやり遂げたい!」

 

「おお~、蘭、かっこい~!」

 

「そっか、そうだよね!

言い出しっぺだったのに、弱音吐いちゃったりしてごめんね!」

 

「で、曲のイメージなんだけど……」

 

「もうそこまで思いついたのか!」

 

 

と、その話は家に帰るその瞬間まで続き、翌日、そのまた翌日の学校でも話は続いていた。

メロディーは大体決まり、歌詞を考えるという時、ひまりが屋上で考えようと提案し、5人は先に屋上へと向かっていった。

 


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