BanG Dream! 5人の幼なじみと1人の先輩 作:ELS@花園メルン
今回はイベントストーリー3.4の内容を元に作ってます
体育館へ向かうには昇降口からだと、体育館とつながっている校舎の二階から体育館二階入り口へと続く通路へ行き、そこから一階へ降りて体育館入口へ行く必要がある。
さて、俺たちがいるのは体育館とつながっている校舎とは真反対にある校舎で、何が言いたいかというと、とてもとても長い道のりであるってことだ。
「うう……夜の校舎って、想像以上に怖い……」
「この静けさが余計に怖いな……」
ひまりと巴がそう言いながら震える足を少しずつ前に出していく。
つぐみが懐中電灯で前を照らし、その隣に蘭、モカがいて少し後ろにひまり、巴、俺がいた。
「でも、非常用の懐中電灯があって助かったね。
勝手に借りちゃったけど、大丈夫かな……」
「大丈夫だよ、今の私たちが非常時だし……」
「そ、それもそっか」
つぐみ自身、怖いはずではあるが、持ち前の責任感なんかを活かし、精一杯つぐっていた。
すると、突如、窓を見たひまりが叫んだ。
「うひゃぁっ!!??」
「わぁぁ!?な、なんだ!?」
「い、今、窓に人の顔が・・・!?」
皆、一斉に窓を見るが、窓に映っていたのは懐中電灯を持っていたつぐみだった。
「…あ、ごめん、つぐだった」
「わ、私も、なんかごめん……」
何故か、つぐみも謝っていた。
こういうところがつぐみのいいとこでもあるんだろうな。
「ぅぁ、ビックリした……。
ひまり、少し落ち着けって、幽霊なんていないよ」
「そ、そういう巴だって、さっきおっきな声出してたじゃん」
「あ、あれはひまりの声にびっくりしただけで、その……」
と、巴がしおらしくなっていた。
おお、珍しいこともあるんだな…
「あ、そういや、音っていえば、七不思議にピアノの話があったな…」
ポツリと俺がつぶやくと一瞬で場の空気が変わった。
「えっ、先輩、何ですかそれ……?」
ひまりが恐る恐る聞いてきた。
「あー、モカちゃん知ってるよ~。
羽丘七不思議ってのですよね~」
「あ、やっぱ知ってんだな、モカ」
「と~ぜん、って奴ですよ~」
モカはふふん、と威張っていた。
「そ、その話、私も知ってる…。
動く人体模型や鏡にうつる知らない人とかだよね?」
と、つぐみも話した。
やっぱり結構、噂になってたんだな。
「あ、そういや、体育館でのドリブルの音っていうのも七不思議のひとつにあったな…」
「た、体育館!?」
「ちょ、なんでそんなこと言うんだよ、真先輩!?
今から向かう目的地にそんなのあるなんて言われたら・・・」
ひまり、巴がおびえだす。
「で、でも、噂、だよね?
ありえないよね?」
蘭も嘘であってほしいと思いながらだろうか、つぐみの腕を持ちながら聞いてきた。
「果たしてどうだろうね~?
そのことが今日、分かっちゃうかもね~?」
「もぉ!やめてよ、モカ~!
…?あれ?そういえば七つ目の不思議って何だっけ~?
先輩、知ってます~?」
と、モカが俺に聞いてきた。
「俺もそれが分からないんだよ。
ピアノ、人体模型、鏡、階段、ドリブル、グラウンドの井戸、その他にあと一つあるんだけどな、友達も知らなくてそれを今日、確かめようって話で学校に夜、来てたんだよ。
…まぁ、提案した張本人が来なかったが」
「い、いいって!
七不思議の解明より今の目的は学校からの脱出だからっ!」
「巴の言うとおりだよ!
よし、体育館を目指すぞ~!」
そう、ひまりが意気込んだはいいものの誰も先へ進もうとしない、いや、できなかったのだ。
まぁ、若干2名はそんなことは無いのだが。
「お、おい、誰か先に進んでくれよ?」
「と、巴こそ…」
「蘭が行けば~?
いっつも一人でどっか歩いて行っちゃうし~」
「ぅぇ!?」
う~ん、これは長引きそうだな。
「ま、俺が先に行くよ。
つぐみ、悪いんだけど、懐中電灯持ってるし、並んで歩いてもらっていいか?」
「は、はい!」
「お~!先輩とつぐのダブル勇者の誕生だ~!」
という、モカの冷やかしを受けながら俺とつぐみを先頭に先へ進んでいった。
少しすると、階段があり、つぐみが口を開いた。
「体育館への近道って実習棟へ渡ってから一番近いですよね?」
「まぁ、そうだな。
他の道もあるにはあるけど、今はおそらく閉まってるからこの道が一番だろうな」
「か、階段をあがって、実習棟へ行くだけなのになんでこんなに遠く感じるの……?」
「ひまりちゃん、頑張ろう……!」
そして俺たちは階段の前にたどり着いた。
「うぅ……」
「ひーちゃん、どしたの?」
「モカと先輩の言ってた七不思議のこと思い出しちゃって…」
「あ、階段のヤツのことか。
段数が一段、普段と違って多くなるって話だな」
と、俺が解説を入れた。
「わざわざ解説しなくてもいいって……!」
「ってか、ひまりは七不思議を信じてるのか……?」
蘭が突っ込みを入れて、巴がひまりに尋ねた。
「だって、さっきの話も妙にリアリティあったし……巴は信じてないの?」
「わ、私は信じないぞ!
あんなの迷信、迷信!」
と、巴は強がっているが如何せん足が震えているので説得力がなかった。
「巴、足、震えてるぞ?」
俺はそう言ってみた。
「だ、大丈夫、大丈夫…!
はは、ははは」
巴は壊れたように笑いだしてしまった。
「でも実際の所、普段の階段が何段なのか分からないから増えてても気づかないんだよね~」
「確かに…、モカ、良いこというじゃん」
「そ、そうだよ……!
段数が分からないなら問題ないって!」
と、壊れた笑いをしていた巴が元に戻り、安堵していたが、
そこへつぐみが爆弾を投げ込んでしまった。
「私、生徒会で学校の清掃をよくするから階段の段数覚えてるよ?
確か、12段だったような気がする」
「「「……」」」
俺とモカを除いた3人がつぐみをジト目で見た。
「つぐぅ、その情報は知りたくなかったよ~」
「知ってしまったよ、階段の段数を……」
「ご、ごめん、巴ちゃん、ひまりちゃん」
「じゃ、じゃあさ、私たちで確かめてみようよ。
七不思議なんか存在しないってこと」
蘭がそう提案した。
「ほ、本気か、蘭!?」
「だって、別に階段の段数が増えてても私たちに何か起こるわけじゃないし」
「そ、そうだよね!皆で数えたら怖くないかもだし!
せ〜の、1、2」
つぐみが階段を上りながら一段一段数え始めた。
他の皆もつぐみの足が踏む段を数えていく。
「「3、4、5、6」」
「「7、8、9」」
「10、11、12」
俺が12と数えたところでつぐみが階段の一番上の段にたどり着いた。
「な、な〜んだ、やっぱり普通の階段だったね...!」
ひまりがそう言った瞬間だった。
「13!」
誰かがそう言った。
しかもこの声は俺たち全員が聞き覚えがあった。
そう、Afterglowドラム担当の宇田川巴の声である。
巴以外の俺たち全員が後ろから上がってきていた巴を見た。
「ん?どした?皆」
「もう〜巴〜冗談言わないでよ!」
「は?私は何も言ってないぞ?」
「...今、13て数えたよね?」
「いやいや、言ってないって。
真先輩が12って言ってつぐみが上に上がったじゃんか」
明らかに巴と蘭、ひまりの話が噛み合っていない。
「私にもトモちんの声聞こえたよ〜」
「わ、私も...!」
「わ、私じゃないって!
そ、そうだ、先輩は?」
俺にも聞こえた。
巴が、13と数えた声が。
でも、明らかに上の方から聞こえてきた。
巴が下にいるのに上から聞こえるなんてあまりにもおかしい。
「俺にも聞こえた。
でも、巴のいた方からじゃなくて上の方から聞こえて来てた」
「「「「「......」」」」」
俺の言葉で全員が固まった。
「っっっ!早く、先に進もう!」
「そ、そうだね!あはは〜、進もう進もう〜!ゴーゴーゴー!!」
「ひーちゃんが、壊れてしまった」
「こ、この先何も起きないといいな...」
つぐみ、その言葉はダメだ...。
俺たちは不穏な空気を漂わせながら2階への階段を上がっていった。
巴「不安で不安で仕方がないが、次回予告だ」
真「巴、無理しなくていいんだぞ?」
巴「し、してないって!
そ、それより次回はいよいよ完結だな!」
真「ああ、まさか巴があんなことになるなんてな...」
巴「えっ!?ちょ、先輩!?そんなこと無かったよな!?な!?」
真「あぁぁ!!!」
巴「な、何!?」
真「巴の後ろに、巴に似た髪の女の子が!しかも、足がない!!」
巴「ヒィィィィ!!!」
真「行ってしまった...。
軽い冗談だったんだけどな...。
次回は【七人目のAfterglow】だ!
......俺ってメンバーに、数えていいんだよな?」
て、訳で次回もお楽しみに!