BanG Dream! 5人の幼なじみと1人の先輩 作:ELS@花園メルン
今回はバンド混合イベ、今回も何とか報酬をいいところまで伸ばしたいですね...。
Side 真
翌日、父さんと哲馬さんは帰ってきていた蘭の母【美竹 鈴鹿】さんにコッテリと怒られていた。
それから飲過ぎでフラフラな父さんを家に運んで、母さん【八城 真矢】に迎えに来てもらって、父さんは更に怒られた。
それからは軽く家の掃除をし、
ギターを自分の部屋から取り、少し早いが家を出て羽沢珈琲店に向かった。
(じゃあ、折角だし差し入れでも買っていくか!)
俺は途中、山吹ベーカリーに寄った。
「いらっしゃいませ!」
中学生くらいの女子が親と店番をしていた。
「こんにちは、山吹さん。
差し入れに持っていきたいんだけどオススメのやつ教えてもらえる?」
と、母親の方に尋ねた。
「あら、八城君いらっしゃい。
沙綾、八城君にチョココロネと塩パンを渡して?」
「うん、分かった!」
「沙綾、6人分頼む」
「はーい」
彼女は【山吹沙綾】。
この【山吹ベーカリー】の長女で、蘭やつぐみ達と同じ歳だ。
他にも下に弟と妹がおり、しっかり者の姉として、この街の山吹ベーカリー利用者は認識している。
「あ、真さん、ギターを背負ってるってことはもしかして、バンドに入ったんですか?」
「いや、今度うちの高校に入ってくる後輩たちが練習をするから見に行くんだよ。
まだ、バンドには入ってないよ」
沙綾にパンを取ってもらいながら、会話をしていく。
彼女のことを名前呼びなのは、沙綾自身も今は参加してないが以前、バンドに参加していてそういう関係で話が合い、少し前から名前呼びになった。
「どんなバンドなんですか?」
「Afterglowっていう、沙綾と同い歳の女の子たちのバンド。
まだ、生で演奏を聞いてないから特徴は分からないんだけど。
沙綾なら知ってるんじゃないのか?」
「あっ!巴やモカのバンドか!
みんな、仲がいいんですよね」
それからも他愛のない話をし、会計を終えた。
「それじゃあ、また来てくださいね、真さん!」
「おう、沙綾も店番、頑張れよ?」
店を出て、今度こそ羽沢珈琲店を目指した。
「おはようございまーす!」
時刻は11:30。
昼より少し早いのでまだ、客足は少なかった羽沢珈琲店。
奥へと進んで、羽沢さんに挨拶をした。
「羽沢さん、こんにちは」
「やあ、八城君。
話は聞いてるよ、つぐみ達の演奏を見てくれるんだってね?」
「見るって言ってもアドバイスとかは出来ませんよ?」
「そんな事ないんじゃないか?
つぐみがオープンスクールから帰ってきた時、君の演奏の話をしてくれてたからね。
君ならいい先生になれるんじゃないかい?」
「どうなんでしょうね...。
僕はいつも好きに弾いてましたから、いざ誰かに教えるなんてことが出来るかどうか...」
「最初は誰だってそういうモノだと思うよ。
何事も挑戦といこうじゃないか!」
羽沢さんは弱気な俺を励ましてくれた。
「そうですね、やるだけやってみます!」
「こんにちは〜」
お、モカが来たみたいだな。
俺はフロアの方に顔を出すと、全員がすでに揃っていた。
「皆、早いんだな。
まだ、時間に余裕があるのに」
「先輩も早いじゃないですか!
おはようございます!」
「おう、ひまりおはよう」
「先輩はいつからいたんだ?」
「少し前。
羽沢さんと話してたから奥にいたけどな」
ひまり、巴と話、山吹ベーカリーの袋を机に置いた。
「皆、昼まだなんじゃないか?
差し入れだ、これ食べな」
「わ〜い!山吹ベーカリーのパンだ〜!」
「いいんですか!ありがとうございます!
あ、お父さんに飲み物貰ってくる!」
目を輝かせたモカとお礼を言い、飲み物を取りに奥へ行くつぐみ。
「...先輩、昨日言い忘れてたけど、
美味しかったよ、ご馳走様」
「こちらこそ、手伝ってくれてサンキュな」
と、昨日のお礼を言ってくる蘭。
その後、つぐみが飲み物を持ってきてくれて、パンを食べながら練習の段取りを決め、練習のために皆が普段使っているライブハウス【CiRCLE】へ、やって来た。
「備品の準備をしたら、早速始めよう」
と、巴が指示を出し、それぞれが自分の楽器の演奏に必要な準備を始めた。
「つぐみ、手伝うぞ?」
俺はキーボードを運んでいるつぐみの元に行き、そう聞いた。
「だ、大丈夫です!これくらい!」
つぐみが運びながら、そう答えてきた。
頑張りすぎる(【つぐる】とも言うらしい)のはつぐみの悪い癖と、昨日の会話でメンバー全員が言っていた。
しかし、それが逆に長所でもあると。
「他の皆に迷惑をかけるのが嫌なんだろ?
準備の邪魔になるからさ。
でも、俺はメンバーじゃないし、役割は皆のサポートだ。
力仕事とかは任せてくれって」
「そ、それじゃあ、お願いします」
「ほいよっと!」
俺はつぐみからキーボードを受け取った。
「あ、そこに置いてください」
「分かった」
指定された場所にキーボードを置くと、他の所を手伝いに向かうつぐみと俺。
俺は巴の所に手伝いに行った。
「巴ー、手伝うぞー」
「お、ありがとな、真先輩!」
「気にすんな。
待ってるだけなのも暇だしな。
それに、ドラムの準備は中々大変だろ?」
「まあ、日常と化してるから全然、苦じゃないけどな」
巴と話しながらドラムをセッティングした。
それからも、なんやかんや準備を手伝い、10分ほど経ったところで、次はメンバーはチューニングを開始したので、俺も軽く合わせ始めた。
「じゃあ先ずは【カルマ】から始めるよ」
「「「「うん!(ああ)(おーけー)」」」」
そこから蘭の指示と共に【カルマ】を演奏し始めた。
巴のスティックを打ち付ける音に合わせて5人の音が重なり合った。
演奏が終わり、俺が感じたのは『すごい』の一言だった。
演奏時間は僅か2分程だった。
しかし、その2分程の間、身体中を熱が支配するかのような感じがした。
蘭の力強い歌声と普段の印象と全然違うモカのギター、所々ミスがあるが安定した音を奏でるひまり、全体を支える為に精一杯鍵盤に集中していたつぐみ、【縁の下の力持ち】とでも言えるかのような巴のドラム。
その5人の幼なじみたちが演奏した音を聴き俺が思ったのはこんな所だった。
「ひまり、音少しズレてたよ」
「つぐもー、つぐり過ぎてペース早かったよー」
「そういうモカはもっとテンポを早くな?」
一曲弾き終え、5人はあれやこれやと意見交換をし始めた。
「そうだ、先輩は何かありますか?」
ひまりが俺に話を振ってきた。
「そうだなぁ...。
強いて言うなら、巴」
「あ、私か?」
「もっと前に出るような音でもいいんじゃないか?
多分、基点となってるのが巴のドラムなんだと思うけど、だからなのか分からんけど、巴の力強さ?みたいなのがあんまし感じれなかった...と俺は思う」
「...なるほど、皆、もう一回やってもいいか?」
「いーよー、モカちゃんもやらないといけないしー」
あ、そうだ。
「モカ、ミスしたから昨日言ってたパンを奢るの無しな?」
「えー、そんな事言って......無いよー?
3回ミスしたらだったと思うー」
「捏造!?
まあ、今日の演奏で課題をしっかり解決できたら構わないぞ?」
「!?よーし!モカちゃん頑張る!」
「...先輩、モカの扱いに慣れてきてる」
と、蘭がボソッと話した。
まあ、モカは案外わかりやすいしな。
それからも何度か合わせ、1度休憩に入ったところで、蘭が切り出した。
「ねぇ、皆。
...新曲、やりたい」
練習初見学ってことで、オリジナルではあるんですが会話を多めに書いていきました。
口調ってこれであってるんでしょうかね?