やってしまいました……
しかし、やってやりますよチクショー!!
という事で始まります。
不幸だ……
生まれてから今まで色々とついていなかった。
だが、この状況はそれらの中で一番だった。
そう…
「何で、ザフト軍が攻めてきているんだよ! そして何で爆発が起きているんだよ!! ここは中立コロニーのはずだろ!!!」
彼は全速力で逃げていた、ザフト軍の攻撃から、そう今現在このコロニー、“ヘリオポリス”は襲撃を受けているのだ。現在進行形で。
「今日は一段と、不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
トウマ・カミジョウは大声を上げながら逃げていた。
ここで何かあったのかは時間をさかのぼってみよう
宇宙に浮かぶ資源コロニー、“ヘリオポリス”。そこに向かう船があった。が、その船はぶっちゃけいればオンボロ船で他から見れば動いているのが奇跡と言わん位であった。
「突然ですが、ピンチです」
そのブリッチにいるツンツン頭の男、トウマ・カミジョウは腕を組んで言った。
「食材は底を尽きかけています。それを買うお金も同じくです。さて、いったいどうしてでしょうか?」
そういうが、彼の額に漫画でいう“怒りマーク”が出ていたのだ。
「それはなんでしょうかね“お姉さま”?」
「え、ええ、何でだろうね“クロコ”?」
このやり取りを聞いたトウマは笑顔のままその声のした少女2人の後ろに立ち、
「お前らのせいじゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
クロコと呼ばれたツインテールの少女の頭に鉄拳をたたきこんだ。
「クロコぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
そうお姉さまと呼ばれた片方の少女が叫ぶがクロコ・シライは頭にタンコブが出来て気絶していた。
「ミサカ?」
トウマはもう1人の少女、ミコト・ミサカに声をかけるが、その彼女は彼を見るなり恐怖のあまり
動けなくなった。
「お前ら2人はいいパイロットだ。乗り捨てられた“ジン”を乗り回す事が出来る。俺も出来るがお前らは凄いと俺は思う」
だがな、とトウマは言葉を続けて言い、ミコトは目線を動かし仲間である頭に造花を乗せた少女とロングヘヤーの少女に助けを求めたが、とばっちりを避ける様にそっぽを向けられてしまった。彼女は孤立無援状態になってしまった。
「おい、どこを向いているんですかえ?」
その声をしてまた向き直そうとしたら、そこには目の錯覚だろうかオーラを纏っているトウマの姿が……
「すいませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ、私とクロコがザフト軍や連邦軍に喧嘩を売ってその機体の整備と請求書で金欠になって申し訳ありませんですぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
すかさず土下座をするミコトであった。
彼らの職業はジャンク屋で戦闘で破壊されたパーツをあさって金にしたり、新たな武器や機体を完成させたりといった感じである。
だが、ミコトとクロコの2人は腕は確かのだが売られたケンカは買う方でそれがザフト軍だろうと地球連合軍だろうと買いまくり、トウマはそれの弁償として謝罪金としてお金を払いその破壊された機体の修理を無料で直したりと何とか機嫌を取りまくっていた結果、このような結果になったのだ。
ここでこの時代の背景を説明しよう。
コズミック・イラ70
遺伝子操作した人間“コーディネイター”とされていない“ナチュナル”はナチュナルが軍の大半の“地球連合軍”がコーディネイターが住んでいる“プラント”、“ユニウスセブン”への核攻撃を行った。それにより地球、プラントは戦争に突入した。この事件はその日付にちなんで“血のバレンタインの悲劇”と呼ばれるようになる。
開戦当時、多くの人々は数で勝る地球連合軍の勝利と確信していた。
しかし、その幻想は破壊されてしまい、コーディネイターが軍の大半の“ザフト軍”が使用しているモビルスーツ“ジン”の圧倒的な性能、そして核分裂を抑える“ニュートロンジャマー”の登場により虎の子である核は使用不可能、そのニュートロンジャマーは地球に大量に打ち込まれて回収不可能にしてしまい、開戦から11ヶ月、進展もなくしかしザフト軍が押している状態である。
「あ~、相変わらずあいつの拳骨は痛いわ……」
そういいながら頭にタンコブがあって格納庫の掃除をするミコト。あの後土下座をしたのだが、「反省しているならすんじゃねえ!!」と鉄拳制裁をした上、反省のため格納庫の掃除と一週間の飯を水のみとトウマは宣告した。
流石にそれは横暴だとミコトは反論しようとしたが、トウマの威圧に反論は封じられて今現在の状態となっている。怒らせたらどんなひどい罰が待っているか判ったものじゃない、前に怒らせた時、追加で1週間自分以外の人数分の料理を作れと言われて地獄を味わったのだ。
「全く、降りかかる火の粉を払っただけですのにお姉さまもそう思います?」
同じくクロコも同じ宣告を受けたのに全く反省もしない状態である。
「けどな、あいつもあいつで考えがあるんだよ。コップピットを狙うなって言われているのだろう、俺たちは人殺しじゃない、戦争は軍や傭兵がするべきだってな」
と、新たな声がして、ミコトとクロコはその声がした方を向くと三つ編みをして神父の格好をした少年が機械をいじっていた。
「って“デュオ”。あんたがそういう事をいうんじゃないわよ。“死神”って名乗っているくせに」
ミコトは少年、デュオ・マックスウェルに突っ込みを入れたのだ。彼はなぜか自分自身の事を“死神”といいその理由を聞いてみると「奇跡も神もいないって分かったし、俺にかかわると死んでしまうから」と言ったのだ。
「まあ、それはそれでよ。このままじゃあ金欠で飯代もやばいからな、覚悟はした方がいいぜ」
「へっ?」
そう言ってデュオは手渡させた紙をミコトにみせるとその顔はだんだんと青くなっていき、様子のおかしい事に気がついたクロコも同じく顔を青くなっていった。
「モビルスーツを売るぅ!?」
ブリッチに操縦桿を握っていたロングヘアーの少女ルイコ・サテンは驚いて声を上げたのだ。
「しょうがねえだろ、お金がない以上このままじゃあこの船が動かなくなるし、食材も底も尽きかかっている。俺たちにできる事はもうこれしかない」
頭を抱えているトウマも苦情の決断を下すしかないとため息をついたのだ。地獄も金次第で何とかなるという事を身にしみた瞬間であった。
「それにだ、“ジャンク屋組合”から俺たちにモビルスーツの使用を禁止にするって通告があって、今デュオがミサカ達に見せているが……」
ジャンク屋組合とはおおざっぱにいえばジャンク屋達が自由に活動するための機関である。トウマ達もそこに所属しているのだが、問題ばっか起こすため追放寸前までの立場である。しかしトウマの類まりなる才能や色々な人々からの信頼、それに自身の信念を貫く様は一種のカリスマを誇っていて特例として彼と彼の組はその義務の1つである“中立義務”を自分たちの意思で踏み倒す事を許可したのだ。
今現在彼らの所属しているのは“オーブ連合首長国”でこの国は中立を宣言しているため彼らにとってありがたい事で取引先として今現在そこのコロニー“ヘリオポリス”に向けて航海しているのだ。
「けど、もしザフトや地球連邦に襲われたらどうするんですか?」
通信を担当している頭に造花を乗せている少女カザリ・ウイハルがトウマに質問したのだが──
「逃げるに決まっているのだろうが」
あっさりと答えるトウマに言葉を失った。
そうこうしている間に“ヘリオポリス”の港に近づいて行った。
だが……それを遠くで見ている船が2つ……
そんな事をつゆ知らずに取引を終え、大金を手に入り行きようように船に帰るトウマであった。
「あいつらには悪い事をしたなぁ…、ま、後で好きな物をおごらせることにするか」
そういいながら、その隣にいた少年に目を向け、
「俺はいらない、あいつらに上げてくれ」
そう言った表情を変えない少年、ヒイロ・ユイは手にバックを抱えながら歩いていた。
「まあそういうな、モビルスーツは俺たちが持つのには早すぎたんだよ。その謝罪を兼ねているんだ。少しは俺の顔を立ててもいいんだよ」
「……ああ」
そういいながら共に歩いた。その時──
「っぅ!?」
突然振動が襲って来たのだ。地震かとトウマは最初は思ったが、宇宙に振動が起きるのはただ一つだった。
「襲撃!?」
そうトウマが言った刹那、ザフトが使っているモビルスーツ“ジン”が空から降りて来たのだ。
「って、何でザフトがここを襲っているんだよ!?」
そう言いながらも逃げるトウマとそれについてくるヒイロ。
「ヒイロ! お前は港にいってみんなと合流するんだ!」
「トウマは?」
「俺は原因を調べる、あいつらの目的が分かれば対策が出来るからな」
「任務了解」
会話をして2手に分かれる2人。
「そしてこの状況なんですよねぇぇぇ、かっこつけすぎたぁぁぁぁぁ!!!」
そして冒頭の場面に戻り全速力で逃げているのだ。しかし彼はただ逃げているわけではない、取引で訪れた工場に向けて走っているのだ。あそこに行った時何かが引っ掛かっていたのでそこに何かあるのかと思い、急いで向かっているのだ。
「ぜえ…ぜえ…、や、やっと着いた……」
息を整えてその前に付いたトウマの耳に銃撃音が聞こえた。
「くそったれが!!」
それを聞いて自主防衛用の銃を抜いて突入するトウマ、しばらく進むと帽子をかぶっている人が見えて来た。
「おい! 何が起こっているんだ!!」
そう言って近づくがその時衝撃が襲いかかってきて、トウマはその場で踏ん張ったが、帽子の人は自分の方に倒れかかったので支えようとした時──
「女……?」
その衝撃で帽子が取れたのだろう、その姿は女の子であった。
「っぅ!」
その事を言われた女の子は走り出して、広い場所で止まった。トウマも後から追い、そして知った。ザフトがこの“ヘリオポリス”に襲撃を賭けた理由が、その目の前にあるものが原因だったのだ。
「モビルスーツ…?」
そこに仰向けに倒れているのはモビルスーツ、しかし“ジン”とは違う事は一目でわかる。と、
「お父様の裏切り者ぉぉぉ!!」
その女の子が叫ぶ。そこでトウマは、
「こっちに来るんだ!!」
そう言い、女の子の手を引っ張り、ある場所へと走って行った。
「おい、誰か聞こえるか!?」
その場所に付くと、トウマは大声でその扉をたたいたのだ。トウマが向かったのはシェルターで、
この子だけでも安全な場所に置くしかないと直感したのだ。
「誰だ!?」
「このシェルターに後何人入れる、出来れば一人が良い!!」
「一人なら可能だ、開けるぞ」
そしてシェルターの扉が開くと、
「入るんだ! 早く!!」
そう言い女の子をシェルターの中へと入れたのだ。
「お、おい、お前はどうするんだ!?」
中に入れた女の子の声は背中越しに聞くが振り向かず、
「自分の身は自分で守るさ」
そう言い駆けだすトウマ。その刹那、
「ぎゃあぁぁぁぁぁ、不幸だぁぁぁぁぁぁ!!!」
駆けだした先に、ロケット弾が地面に激突、そして爆発に巻き込まれてしまったのだ。
「おいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
あまりの展開に突っ込みを入れるしかない女の子であった。
「いててて……、今日は本当に不幸だよ……」
トウマは砂埃を払いながらも起き上がったのだ。これでもコーディネイターである彼も度重なる不幸に自分自身を鍛えられて今では、軍隊との格闘は一対一の場合はともかく百人組み手をやっても勝てるほどの実力をあるほどである。……流石に数百mの高さから落ちて無事なのかはどうかと思うが──
「しかし、結構落ちたな、場所はどこなんだ?」
そう言いながら周りを見渡すと、扉がある事に気がついたのだった。
「何なんだ?」
そう言い、その扉に近づき手を触れるとその扉が自動で開いたのだ。そしてその中に現れたのは、
「モビルスーツ!?」
ブルーグレーに染まったその機体は正しくモビルスーツであったが、
「何かが……違う?」
それがなんなのかは分からない、しかし直感で自分の目の前にある機体は他のモビルスーツとは違
う存在だと存在感だった。
「って、これって動くんでえか?」
だが、この機体に興味を持ったトウマはその機体に近づくと、その機体の目の部分が光ったと思うと、左足が勝手に動き一歩前に踏み込んできたのだ。
「どえぇぇぇぇぇ!?!?」
まさか動くとは思ってはおらず、尻もちをつきながら後退するトウマの目に飛び込んできたのは右ひざを地面に付き右腕を伸ばし右手を開き地面に手の甲をつけている姿だ。
「まさか、俺に乗れってことか?」
機体にいうが聞こえてくるのは静寂であったが、トウマは立ち上がりその機体の右手に乗ったのだ。するとその手は上がり右足が立ち上がると自らの機体の腹部、コクピットの所に寄せたのだ。
トウマはコクピットの前に立つと自動に開くと──
「……女の子?」
そこには見た事のないパイロットスーツを着た水色のロングヘアーの少女が眠っていたのだ。
「って、そんな事はどうでもいいか」
そう言いながら、彼は少女を動かしシートに座った。
「しかし、中身は同じか……、これなら動けるが……」
操作し、自分が乗ったことのある“ジン”と同じ操縦法だと知ったトウマはそれを起動し、コクピットを閉じ、操縦桿を握ると画面に文字が現れた。
「ビルト…シュバイン?」
そう書かれた文字を言うトウマ、
「ビルトは確かドイツ語で“野生”、シュバインは同じく“豚”だから、“野生の豚”?」
そう考えるが、その考えは捨て去った。
「いや“猪”か」
この機体の顔は猪の如く鋭き眼光を見てそう決めたトウマは、
「トウマ・カミジョウ! “ビルトシュバイン”!! 発進!!!」
その咆哮とともに背中のスラスターが噴射され、その勢いでこの場所を脱出したのだ。
だが、彼は知らない、この機体に隠された秘密を、少女の秘密を、これが長い闘いの始まりだという事を……
というわけで第1話を書きました。
この小説はSEEDを忠実に再現しながらも私自身の夢をつぎ込んだ小説となっています。
それではまた……
次回予告!
不幸な少年と猪と出会う前、彼らも出会った。
決闘、破壊、電撃、盾、そして攻撃の名に冠したモビルスーツを奪う若きザフト兵。
彼らの乗りこんだ機体はある人物がなずけた事により定着する。
次回! 機動戦士ガンダムSEED WILD
第2話 ガンダム起動!