血塗られた戦車道   作:多治見国繁

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お待たせしました。今回はみほ陣営のお話です。
次回はみほ陣営のお話、次々回は会長たちのお話になると思います。今日は長めです。それではどうぞ。


第89話 悪魔と天才

翌朝、麻子が目を覚ますとみほは裸の麻子を抱きしめながら眠っていた。昨晩麻子の身体を散々弄んだ挙句そのまま眠ってしまったようだ。麻子はちらりと時計を確認する。すると、もう10時30分を回っていた。普段みほは朝7時には起きている。こんな時間までみほが眠っていることは珍しいことである。普段なら麻子がいつも遅くまで眠っていて見かねたみほに叩き起こされるというのがおきまりのパターンだったが今日は立場が逆転していた。麻子はみほの体温を素肌で感じていた。みほの身体は柔らかくて温かかった。茶色の髪からは甘い香りがしてくる。あの冷酷で残虐な独裁者でもあり軍人でもあるみほの顔とはまるで違う穏やかで安心したような表情をして静かに寝息をたてている。みほは年相応の可愛い女の子に戻っていた。麻子はみほの可愛らしい寝顔を見て静かに呟いた。

 

「寝顔はこんなに可愛いのにな…こんなに可愛い女の子を悪魔に変えてしまうなんて…一体黒森峰は…西住流は…西住さんに何をしたんだ…」

 

麻子はみほの顔をじっと見つめていた。すると麻子の心にふといたずら心が湧いてきた。やにわにみほの頰に手を伸ばす。麻子の細い指がみほの頰に当たった。麻子はみほの頰を何度も確かめるように両手でつまむ。みほの頰はプニプニしていてつきたての餅みたいに柔らかい。みほの頰をつまんだ時に指が呑み込まれる様がみほの頰の柔らかさをよく表していた。麻子は無心でみほの頰を触り続ける。するとみほが目を開けた。みほは麻子の姿を視認すると眠たそうに目をこすりながら微笑んだ。

 

「ふふ…麻子さん。おはよう。私のほっぺ、堪能した?」

 

「ああ…すまない…睡眠の邪魔をしてしまったな…西住さんの寝顔があまりにも可愛いかったからつい…」

 

麻子の言葉にみほは嬉しいような恥ずかしいような表情をして頰を赤らめる。

 

「ふふふ…ありがとう。そんなこと言ってくれるのは麻子さんだけかな…ねえ。麻子さん。今日は日曜日だし、もっとこうしていようよ。麻子さん。貴女は私に生まれたままの姿を見せてくれる。だから今度は私が見せてあげるね。」

 

麻子はコクリと頷く。みほは微笑みながら愛おしそうに麻子の頰を何度か撫でると一枚ずつ服を脱いでいった。みほは今まで、少なくとも大洗に来てからは誰にも自分の裸を見せたことはなかった。今となっては懐かしい平和な時代。第一回目の戦車道の授業の時でさえ風呂を勧められても自分は絶対に入らないと強く拒否したくらいだ。きっとそれ相応の理由があったに違いない。麻子はみほが裸体を晒す様をまじまじと見つめていた。みほは次々と服を脱ぎ下着姿になった。みほの下着はほのかに幼さを感じさせるようなものだった。みほは少し躊躇いながら最後の身を隠す布であるブラジャーを外し、ショーツに手をかける。そしてみほの身体から布という布全てが取り去られた。

 

「綺麗だな…」

 

麻子は思わず声をあげた。みほの身体は積もりたての雪のように白くてきめ細かい綺麗な肌をしていた。みほは麻子の手を取ると自分の胸に麻子の手を持っていき触れさせた。麻子は驚いてみほの胸から手を離そうとする。しかし、みほは麻子の手を押し付けたまま離そうとしない。それどころかそのまま強制的にみほの胸を撫でさせた。ずいぶん大胆である。みほの豊満な胸の感触が伝わり、麻子は顔を真っ赤に上気させた。

 

「ふふふ…麻子さん。顔すっごく真っ赤だよ。どうしたの?」

 

みほはいたずらっ子のように笑う。麻子の顔は先ほどに増してさらに真っ赤に染まった。まるでゆでダコである。

 

「に、西住さん…!やめろお…!胸を触らせるなあ…!」

 

麻子は恥ずかしさのあまり絞り出すような小さな声で呻く。みほはニッコリと笑うと麻子を抱き寄せて耳元で囁く。

 

「ねえ。麻子さん…私の生まれたままの姿…どうかな…?」

 

「え…どうって…普通に綺麗だと思う。」

 

麻子がそういうとみほは安心したような顔をした。

 

「よかった…私の身体はついこの間までボロボロだった。あちこちに黒森峰で負わされた傷だらけだった。だから、誰にも裸を見せたくなかった。こんな傷だらけの裸を見せたら自分の弱さを晒しているみたいで嫌だったの。でも、ようやく治った。治ってくれた…」

 

麻子にはみほの目に涙が伝っているように見えた。麻子はみほに抱かれながらぼそりと呟く。

 

「よかった…よかったな…身体が治って。」

 

するとみほは頷いたものの少し寂しそうな表情をする。どうしたのだろうかと思っていると、みほは遠くを見ながら呟いた。

 

「でも……心に負った傷は永久に消えないの…抉られて傷ついた私の心は一生このまま…あの憎しみは…忘れられない…消えはしない…」

 

「心の傷…か…」

 

麻子はいつか読んだイラク戦争に従軍した兵士の話を思い出していた。彼らは戦場で殺し、仲間を殺され心が壊れた状態で帰還した。心に傷を負うとはどういうことなのかを記した本だった。みほは黒森峰時代命を取ることまではしなかったが少なくとも殺されると思ったと語った。心の傷は外見からは見えないぶんたちが悪い。助けを求めても聞き届けられず、自分のやり方で居場所を作ろうとしたら人格まで否定され、仲間たちには鬼だ悪魔だと罵られて石をぶつけられた挙句、一番そばに居てあげなくてはいけなかった家族にまで捨てられたみほの心の傷は相当深いだろう。どうにかしてあげたいものだが、麻子には何も言わずに抱きしめるほかできなかった。みほは寂しそうに笑う。

 

「運命に弄ばれて私は自分の道を見失ってしまった。私はこんな思いをする子を1人でも多く減らしたい。もう誰にも私と同じ道を歩んでほしくないの。確かに誰も傷つかない世界は無理かもしれないけど多くの人たちを私の理想の世界で幸せにできるかもしれない。私はただ多くの子たちに絶望せずに暮らして欲しいだけなの。この考え間違ってるのかな?」

 

みほは麻子から離れて正面に向き合った。麻子は少し躊躇いながら答える。

 

「いや、間違っていない。その考えは正しい。だけど、わからない…西住さんの考えがわからないんだ…」

 

麻子の言葉にみほは不思議そうに首をかしげる。

 

「わからない?どこがわからないのかな?」

 

麻子は少し躊躇いながら答えた。

 

「西住さんの行動全てだ。西住さんは、私たちを幸せにするために行動しているという。でも、西住さんがやっていることは矛盾しているように見えて仕方がない。皆の幸せを願うのになぜ反対する者を虐殺するんだ?もう一度言う。西住さん。このままだと痛い目にあう…反乱が起きるかもしれないぞ…西住さんもしかしたら…下手したら黒森峰より…」

 

麻子がそこまで言いかけてみほが口を挟んだ。

 

「させないよ。そんなこと。私を滅ぼそうなんて絶対にさせない。そんなことを企てる子達がいたなら私が絶対に潰してやる!殺してやる!なぜ虐殺するか?この非常時に反対意見なんていちいち聞いていられないからだよ。今は一丸となって生徒会を倒さなくてはいけない。そんな時に反対意見や私に逆らおうなんて考える子たちは害悪でしかない。それと同時に見せしめにすることで反逆しようなんて気も起きないでしょ?私は自由主義なんて信じていない。むしろ自由なんてあるから苦しむの。自由なんて害悪。誰かにも言った気がするけど、私はみんなを私に従順で忠実なロボットにすることが目標なの。みんな私の操り人形にしてあげる。それが、みんなで幸せになるための方法。何も考えなくていいコントロールされるだけ。それなら衝突も起きないし、私みたいな思いをする人もいない。みんなが幸せになれる一番楽な方法だと思わない?」

 

みほの考えは傲慢だった。自由は基本的人権の一つである。人間にとって必要不可欠なものだ。それを奪い取るなんて誰にも許されていない。そんなことは誰にもできないししてはいけないことだ。それなのに、みほは自身の野望のために自由を奪い取ろうとしているのだ。みほはそれを皆のためだと言うが、それは皆のためではない。ただの親切の押し売りである。しかし、みほにそうした意識はないからたちが悪い。みほがあまりにも自信満々に語るので麻子は自分が間違っているのではないかと錯覚するくらいだ。麻子は唖然としていたが何とか言葉を紡ぎ出す。

 

「西住さん…そんな考えでは死ぬ…独裁者やファシストは必ず滅ぶ。自由が勝利し、圧政は倒れる。それが世界の理だ。ナチスドイツのヒトラーもイタリアのムッソリーニもルーマニアのチャウシェスク大統領夫妻もみんな死んだ。西住さん。貴女の今の支配の仕方は憎しみを生むだけ。西住さん。風の音を聞け。西住さんに対する憎しみと恨みの声が聞こえてくる。親兄弟親友を殺された恨みは一生消えない。西住さん。このままだと貴女は処刑されるかもしれないぞ。」

 

するとみほは麻子の頰に手を当てて満面の笑顔を作る。

 

「ふふふ…やってみるといいよ。そんなに上手くいくかな?私は死なない。死ぬわけにはいかないの。絶対に。そんなロクでもない世界の理も全て私が変えてみせるよ。どんな手を使ってでも私は私の理想の世界を創ってみせる。今までの独裁者たちの失敗は国民生活と乖離した生活をしていたから、国民の不満に気がつかなかったこと。そして、有能な人物まで収容所送りにして殺してしまったこと。だけど、私は彼らと同じ轍は踏まないよ。私には大洗女子の生徒3分の2以上の支持と聖グロ、知波単の支持がある。数は正義だよ。今、正義は私にある。だから絶対にやめない。ここまできたらやめられるわけがない。それに、私には何よりも大きな後ろ盾日本政府がいる。それに、私は有能な人物は積極的に登用する。例えそれが黒森峰の生徒だったとしても。もちろん。お姉ちゃんは見つけ次第処刑するけど…ふふふ…あははは。さあ、こんな話はおしまい。もう12時過ぎだしもう一度だけ遊んだらそろそろ起きようかな。さ、麻子さん。もう一度私の人形になってね。」

 

みほはそう言うと華奢な麻子の身体を一通り撫で回した。麻子の身体の感触を楽しむとみほは麻子を押し倒して襲いかかり身体を弄んだ。この頃になってくると麻子にはもう反抗する気力はなくなっていた。麻子は何も言わずに人形になることを甘んじていた。麻子は西住みほという悪魔に遊ばれることを受け入れたのだ。もちろん悔しくないのかと聞かれれば悔しくて悔しくてたまらない。毎回、涙が溢れそうなほど辛い。しかし、涙を流すことにも危険が伴うのだ。嗜虐的なみほに涙を見せたら何をされるかわからない。身体を触るだけでは飽き足らず今度は麻子の処女を奪おうと企むかもしれない。麻子は苦痛に耐える。麻子の心は今にも音を立てて壊れそうだった。みほは麻子の心を少しずつ壊そうといろいろなことをして麻子の反応や表情を楽しんだ。麻子の身体に触れて麻子が反応するたびに嬉しそうに笑っている。みほは麻子の身体を弄び終わると満足げに頷き満面の笑みを浮かべた。みほはしばらく麻子の隣に添い寝しながら頰を撫でて、麻子の耳元で囁く。

 

「麻子さん。ありがとう。楽しかったよ。それに美味しかった。麻子さんは本当に可愛いね。本当はもっと触っていたい。もっと麻子さんの身体で遊んでいたいけど、今日もやることたくさんあるから仕方ないね。でも、今夜も遊べるからそれまで我慢するよ。ふふふ…」

 

麻子はようやく終わったのかと安堵の表情をすると静かに頷く。みほは起き上がり服を着て朝昼兼用の食事をとった。麻子もみほに倣った。みほが麻子と一緒に食事をとっていると麻子は何かを思い出したように話し始めた。

 

「そういえば、西住さんに報告しなければいけないことがあった。アンチョビさんが回復したぞ。あと、言われてはいなかったが生物兵器のサンプルをもっと取るために10人に追加実験を行った。食事の中に細菌を混入させるというやり方だ。その結果8人に症状が現れてうち5人が重症3人は軽症残りの2人は発症しなかった。免疫という面もあるから全員に発症させることは難しいがこれは成功と言えると思う。」

 

「うふふふ…麻子さん。よくやってくれたね。麻子さんの判断は正しい。これから実験については麻子さんに任せるね。本当に助かったよ。これがあれば会長たちを追い込むことができるよ!」

 

みほは手を叩きながら無邪気な子どものように喜んだ。麻子も苦労した研究が実を結んだことが嬉しいのだろう。満足そうな顔をしている。

 

「ああ。細菌がうまく働いてくれてよかった。これで偶然の結果じゃなくて確実に細菌に毒性があることが実証された。しかも安定して供給もできる。」

 

みほは満足そうに頷きながら麻子の報告を聞いていた。

 

「麻子さん。本当にありがとう。それじゃあそろそろ最終段階に移ろうか。麻子さんのおかげで戦争を終わらせられる。麻子さん。悪いんだけど、梓ちゃんと小梅さんを連れてきてくれないかな?2人とも収容所にいると思う。あと、知波単の川島さんも連れてきて。川島さんは多分コントロール室の知波単兵の指揮監督に当たっていると思う。現在の戦況及びこれからの作戦について会議をします。」

 

麻子は頷くと梓と小梅、そして川島を呼びに出て行った。麻子はまず、梓と小梅を呼びに収容所に向かう。収容所に向かうに連れて独特のものすごい臭いが漂ってくる。腐敗臭と死臭様々な臭いが混ざっていた。麻子は入り口に立っている黒森峰の服を着た看守にみほから梓と小梅を呼びにいくように言われている旨を伝えて中に入れてもらった。麻子は銃を構えた看守の警護のもと収容所内を歩く。やはり、ここはいつまで経っても慣れることはない。ガリガリに痩せて丸刈りにされ縞模様の服を着せられた収容者たちが虚ろな目でこちらを恨めしそうに見ている。しばらく歩くと梓と小梅の姿が見えた。2人は楽しそうに談笑している。よくもこんなところで平気な顔をして笑っていられるものだと麻子は変なところで感心してしまった。

 

「所長!西住隊長がお呼びとのことで冷泉麻子さんがお迎えに見えました!」

 

看守の黒森峰の生徒が敬礼をして梓に報告する。さながら本物の軍隊だ。梓も看守を務めている生徒に答礼する。

 

「ありがとうございます。冷泉先輩!どうしたんですか?何かあったんですか?」

 

梓と小梅がこちらに駆け寄ってきた。麻子はぶっきらぼうに答える。

 

「西住さんがこれからの作戦と現在の戦況に関する会議をやるそうだ。呼んだくるようにと言われている。一緒に来てくれ。」

 

2人とももちろんと頷いた。3人はみほのもとに向かおうと歩き始める。すると小梅の顔がだんだん険しくなってくる。麻子の身体から何かを敏感に感じ取ったようだ。小梅はふと立ち止まり呟く。

 

「ん…?みほさんの…匂い…?なぜ、冷泉さんから…しかもものすごく濃厚な…私でも嗅いだことのないような匂い…冷泉さん…?」

 

麻子はギョッとした。恐る恐る小梅の目を見ると小梅の目には殺意が孕んでいた。身体が警鐘を鳴らし嫌な汗が溢れ出る。助けを求めるように梓の顔を見ると梓もまた、小梅と同じような目をしていた。麻子は猛獣に睨まれた子鹿のように怯えていた。梓と小梅は麻子に迫る。麻子は思わず後ずさりをした。

 

「冷泉先輩…?なんで逃げようとするんですか?ちょっとこっちに来てもらえますか?お話がありますから…」

 

梓がそう言うと小梅と梓は麻子の肩を掴み両手首を後ろ手に縛って物陰に連れ込もうとした。縛られようとしている時、麻子は2人の懐の中の拳銃を視認する。このまま素直に従ったら懐の拳銃で撃たれて殺されるような気がした。麻子は命の危機を感じて必死に叫ぶ。

 

「待て!今は西住さんの用事が先じゃないのか?話はそれからでもいいだろう?この後、川島さんのところにも行かなくちゃいけないんだ。」

 

「確かにそうですね。後でみほさんを交えてたっぷり話しましょう。逃がしませんからね…ふふふ…」

 

小梅と梓は怪しく笑った。麻子は恐怖で息を飲んだ。するとちょうどそこに収容者2人が麻子たちの側を通りかかった。梓と小梅はそれを見つけるや否や襲いかかる。

 

「お、おい。梓、その子に何をするつもりだ…?」

 

「うふふふ…見ていればわかりますよ。さあ、腕を見せなさい。」

 

麻子が戸惑いながら梓に尋ねると梓は悪い笑みを浮かべながら答えた。梓は高圧的な態度で収容者たちに迫る。梓は収容者の腕にある番号の刺青を確認する。

 

「服を脱いで裸になりなさい。」

 

収容者たちは抵抗することなく素直に従った。もはや抵抗する気力も体力も残っていないといった様子だった。収容者たちは縞模様の囚人服を脱ぐ。すると梓と小梅は収容者の手首を後ろ手に縛って連行する。建物の裏側にある堀のような場所に連れていくと小梅と梓は拳銃を収容者たちの頭に突きつけた。

 

「おい!2人とも!何をする気だ!」

 

そう叫んだ時にはもう遅かった。収容者の少女2人は前のめりになって倒れこみ、頭から血を流す。2人の血は収容所の土に染み込んでいく。

 

「梓…この2人が何をしたっていうんだ…なぜ殺した!?」

 

麻子は梓に問い詰める。梓は動じることなくさも当たり前のように笑った。

 

「憂さ晴らしです。ふふふ…」

 

「おまえたちは、毎日こんなことをしているのか?憂さ晴らしに収容者たちを殺しまくっているのか…?」

 

「はい。私たちは毎日必ず1人は殺します。それがこの収容所の日常です。人を殺さない日なんてありませんよ。さあ、冷泉先輩。いきましょう。隊長がお待ちです。」

 

梓は麻子の手をとって歩き始めた。麻子は総毛立った。これから2人を連れて川島がいる学園艦のコントロール室まで行かなくてはならない。麻子は怖くて仕方なかった。後ろからいつ狙撃されてもおかしくない。麻子は川島がいる学園艦のコントロール室まで看守を1人警護につけてもらうことにした。そして、麻子も道中でなるべく2人に勘付かれたみほについての話を忘れてもらうために梓たちが務める収容所についての話題を色々振ってみた。本当は口を聞くのも怖いくらいだったがこの際贅沢は言っていられない。それに、常々収容所の話を聞いてみたいと思っていたのでちょうどいい機会だった。

 

「2人とも、収容所にいて気が滅入らないか?あんな臭いのところによく一日中いれるな。」

 

「まあ。任務ですからね。収容所建設を提案した人間だとはいえ最初は臭いと残酷な光景に気が滅入りました。でももう慣れちゃいました。私たち収容所職員はここでほぼ1日の生活を営んでいますからね。冷泉先輩も1日もいればすぐに嗅覚は麻痺しますよ。」

 

梓は感情を込めることなく淡々と語った。麻子は梓の語り口に恐怖を感じていた。

 

「そうか。私はここで生活するのは絶対に嫌だが…」

 

麻子は梓の目を見つめてそう呟く。すると梓は少し哀しそうな表情をして麻子から目を離すと遠くを見ながら話し始めた。

 

「冷泉先輩。慣れって怖いですよね。私も少し前まで死体を見たら怖くて仕方ありませんでしたし、人を殺せと言われてもできませんでした。でも、今なら死体に囲まれながら食事することもできますし、人を殺せと言われたら何百人でも平気で殺せます。人が死ぬ姿を見ること、そして人をこの手で殺すことに慣れてしまったんです。早く慣れて殺せと命じられた時に躊躇うことなく殺せるようにならないと私が殺されますから。」

 

麻子は梓の話を聞き、祖母の久子が自身の戦争体験を語る時に常々言っていたことを思い出していた。

 

「戦争は人間を人間でなくする…か…まさに言い得て妙だな。」

 

「何か言いましたか?」

 

「いや。何も…なあ梓たちは収容者たちのことをどんなふうに思っているんだ?」

 

「冷泉先輩は、どんなふうに思っているんですか?冷泉先輩も収容所からたくさん人体実験用に連れていきますよね?」

 

麻子は腕を組みながら梓の問いに答える。

 

「私は、実験動物。モルモットだと思って今まで実験を行っていた。そう思考しなければこんなことやれない。相手が人間と思った瞬間に何もできなくなってしまうからな。」

 

麻子の返答を聞き、梓は面白そうに笑った。

 

「あははは。なら、冷泉先輩もこちら側の人間ですね。私は収容者たちを物だと思って扱っています。他の人もそれぞれ人間じゃない何かだと思っているんじゃないですか?そうですよね?小梅さん。」

 

「はい。そうですね。私も収容者たちは人間とは思っていません。私は収容者たちを家畜として扱っています。」

 

「あははは。家畜にモルモットに物ですか。私たち3人とももはや人間の思考ではないですね。悪魔の思考です。」

 

「そうだな。人間ではない。悲しいが私たちも悪魔かもしれないな。」

 

「みほさんの仕事を手伝った時から人間であるという意識なんて捨てています。そうでもしないとやっていられないですよ。」

 

確かにその通りである。これは命令だから仕方がない。自分は人間ではなく、ただ命令に忠実に動く操り人形。そう思わないとやっていけないのである。この極限状態を生き抜くためには心をも捨てねばならないのだ。麻子はそう考えていた。さて、そんなことを話していると、コントロール室がある大きな塔に到着した。幸いなことにコントロール室の塔の一回に川島はいた。川島と合流してそのままみほが待つ拠点に向かう。拠点に着くとみほは外で待っていた。

 

「あ!みんな!こっちだよ!」

 

みほは心なしか嬉しそうに手を振る。みほはいつもの部屋に4人を通すと席に着くように促した。

 

「さて、それでは会議を始めます。みんなのおかげでもはや生徒会も風前の灯火。あと少しでこの大洗も完全な支配下に置くことができるはずです。そして、今日集まってもらったのは他でもない、これから先の作戦についてお話ししておきたいと思います。まず、麻子さんのおかげで生物兵器が完成しました。コレラ、赤痢、サルモネラの各種細菌です。これを使いたいと思います。」

 

みほは麻子から預かっていた3つの試験管を4人の前に提示した。生物兵器をつくった麻子以外の3人から歓声が上がる。

 

「みほちゃん。具体的にはどういう作戦なんだ?」

 

「はい。まずは誘拐したアンチョビさんにアンツィオ高校に何かしらの方法で連絡を取ってもらいます。そして、アンツィオの生徒たちに大洗に来てもらい、何校か経由の後、サンダースに連絡を取らせて食料を支援するという名目で食事を振舞わせます。そこに生物兵器で汚染された何かしらの料理を混ぜておくという算段です。ざっというとこんな感じでしょうか。」

 

「なるほど…ただ、素直にアンチョビが従うとは思えないけど…」

 

川島が懸念を示す。するとみほがパチンと指を鳴らした。

 

「そこで、知波単の出番です。この資料を見てください。」

 

みほは資料を皆の手元に配った。その資料は作戦票だった。その作戦票には以下のように書かれていた。

 

[作戦番号 15 アンツィオ焦土作戦

参加戦力

第2知波単艦上戦闘機航空隊

零式艦上戦闘機二一型20機

零式艦上戦闘機五二型甲 10機

知波単飛行第7戦隊(陸軍機使用・爆撃機)

四式重爆撃機20機

11:00発艦

12:30攻撃開始]

 

「西住さん…これは一体…アンツィオ焦土化作戦って一体何を企んでいるんだ…?」

 

麻子は思わず声をあげた。みほはニコニコ笑いながら麻子の問いに答える。

 

「うふふふ…空襲だよ。アンツィオが大空襲に晒されるか私に協力するか究極の二択を選ばせるの。究極の二択を突きつけられた時、アンチョビさんがどんな反応するのかな?えへへへ。いつも強気なアンチョビさんが絶望した顔を見てみたかったんだ…楽しみだなあ。」

 

「あははは。相変わらずみほさんの作戦は悪趣味ですね!」

 

小梅がそう言って笑っている。みほは黒森峰でもこんな悪趣味な作戦を遂行していたのだろうか。みほは嬉々として日本地図を広げながら作戦の詳細を語った。

 

「今、私たちは気仙沼の沖合にいます。知波単航空隊の皆さんは作戦の日、つまり明日の午前11:00、爆撃機に焼夷弾、零戦に機銃をそれぞれ装備して知波単を発艦してください。10:00に先発として偵察機を飛ばしておきます。アンツィオの詳細な居場所については偵察機の報告を待っていてください。ですが、恐らくは静岡県沖にいるのではないかと思われます。ちなみにこの作戦ではアンチョビさんにアンツィオ高校が危機に晒されているという事実を理解させる必要があります。そのため、ビデオカメラを使ってアンツィオ上空にいる様子を中継する必要があります。なので、戦果確認機を帯同させますから把握宜しくお願いします。今回の作戦はアンチョビさんが私の要求を飲めば成功の作戦であり、アンツィオを攻撃することが主たる作戦ではありません。ですから、もしもアンチョビさんがなかなか要求を飲まないようであれば、機銃で威嚇射撃をするなど現地で色々やってもらうこともあると思うので把握よろしくお願いします。今回の作戦はアンチョビさんが私の要求にうんといえばそのまま速やかな撤退を指示します。でも、くれぐれも勝手な判断で攻撃を行うことがないように厳命しておきます。」

 

みほは気仙沼沖と静岡県沖に学園艦のおおよその位置関係を示したポストイットを貼り付けながら説明した。皆のこの作戦の説明に納得いったようだ。川島を筆頭に一様に頷く。すると今度は麻子が手を挙げて発言した。

 

「私からは、生物兵器を使用し決戦に移行する前に学校に避難している避難民たちへの投降勧告の必要性を訴えたい。そもそも、生物兵器使用は褒められたものではない。非人道的であるとして国際法上では禁止されているものだ。批判の矛先を少しでも逸らすためにも投降勧告ビラ作成を提案する。投降勧告には期間を設定し、例えば"このビラが投下されて48時間以内に投降した者は非戦闘員として保護する。しかし、48時間を超えた場合戦闘員と断定し総攻撃を開始する"などの文言を入れたビラが相応しいと考える。」

 

麻子の提案をみほは腕を組みながら考え込んでいた。麻子はビクビクしながらみほの顔を伺っていた。みほは目を見開くと麻子を見て微笑む。

 

「さすが麻子さん。確かにそうしておいた方がやりやすい。ありがとうね。わかりました。そのように手配します。他はよろしいですか?」

 

みほが辺りを見回すと皆頷いた。みほは満足そうに笑うとパンと一つ手を叩く。

 

「それでは、これから皆さんの役割を分担します。川島さんは知波単航空隊に連絡を、私はアンチョビさんたちを移送するため航空隊が設置してある学校に連絡を取るなど渉外関係を担当します。梓ちゃんと小梅さんはビラの作成をお願いします。麻子さんは最後まで現在出来上がっている生物兵器の詰めを行ってください。それでは本日は解散とします。今回の作戦が終わったら、また招集をかけますので把握しておいてください。その時は生物兵器の散布に関する手順とプラウダに関する話をします。」

 

みほがそういうと川島は会議室から出て行った。麻子も外に出ようとしたが、梓と小梅に行く手を阻まれる。

 

「冷泉さん。逃がさないって言いましたよね。ふふふ…みほさんもちょっと来てもらえませんか…?」

 

みほは小梅の顔を見るや否や顔を引きつらせた。小梅と梓はみほと麻子に厳しく詰問を行った。詰問は夜中の2時まで続いた。詰問は堂々巡りを繰り返し、ラチがあかない。どうしようかとみほに目でコンタクトを取るとみほは目で大丈夫だという合図を送った。

 

「小梅さん。梓ちゃん。このままだと堂々巡りで夜が明けちゃうよ。それで一つ提案なんだけど、私の裸と引き換えに許してもらえないかな?梓ちゃんと小梅さんに私の裸を見せてあげるから。」

 

梓と小梅は頰を赤らめて嬉しそうに笑う。しかし、小梅と梓は顔を見合わせて頷くとここぞとばかりにさらなる要求をしてきた。

 

「それじゃあ、みほさんの今履いているパンツもください。そうしたら許してあげます。」

 

とんでもない要求である。まるで変態だ。麻子は少し怖くなった。人を愛するとここまで壊れるものなのだろうか。後で武部沙織に聞いてみようと思った。

 

「ふぇ!し、仕方ないなあ。わかった。ちょっと待っててね。」

 

みほがパンツに手をかけて脱ごうとすると梓がそれを阻んだ。

 

「隊長。ダメですよ。しっかりスカートたくし上げて私たちにここを見せながらじゃないと。」

 

梓はみほのスカートの中に手を入れて股の部分に指を這わせる。みほは咄嗟にスカートを抑えた。

 

「ひやっ!もう!梓ちゃんのスケベ!わかったよお…それじゃあ梓ちゃん。スカート持ってて。脱げないから。」

 

「はい。もちろんです。ふふふ。」

 

梓はいやらしい笑みを浮かべるとみほのスカートをそっと掴んでたくし上げた。みほの白い太腿の上、スカートに隠れていた淡いピンク色の布が露わになった。みほは太腿を擦り合わせて恥ずかしがっている。

 

「うぅ…恥ずかしいよ…梓ちゃん…」

 

ここにいる誰もがみほが弱さを晒している姿を初めて見た。麻子は心の中で今までみほに苦しめられた分たっぷりとお返しをしてやれと呟いていた。それが梓と小梅に通じたのだろうか。梓と小梅は恥じらうみほの脚を撫で回し、頬ずりをしていた。

 

「ふふふ…恥ずかしがっているみほさんも可愛いです。」

 

「隊長の脚…柔らかくて真っ白で…すべすべしてて…とっても心地いいですよ。さあ、それじゃあパンツを脱いで私たちに渡してください。」

 

 

「うぅ…わかったよ……」

 

みほはパンツを脱ぎ、梓に手渡す。梓はみほのパンツを受け取ると、みほの一番大切な場所が当たっていたところに鼻先を当てて思いきり深呼吸をした。

 

「ふふふ…いい匂いですよ。隊長。」

 

「あ!梓ちゃん。ずるいですよ!私にも嗅がせてください!」

 

小梅もまた梓にみほのパンツを渡されると梓と同じようにみほの一番大切な場所が当たっていた部分に鼻先を近づけて思いきり深呼吸をした。

 

「あ…本当だ…いい匂い…みほさんの…一番大切な場所の匂い…ふふふ…」

 

「うぅ…2人ともやめて…そんなところ嗅がないで…」

 

みほは泣きそうな顔をする。梓と小梅はまるで中毒のようにみほのパンツの匂いを嗅いでいた。どうやらみほのパンツには媚薬のような効果があるらしい。梓と小梅が次にこちらを見たとき、梓と小梅の目は狼のようだった。舌なめずりをしてみほの裸体を想像しながら迫ってくる。みほは怯えたような表情をして下を向いた。その表情が梓と小梅から理性を奪い去った。次の瞬間梓と小梅はみほに襲いかかった。

 

「さあ、みほさん。約束どおり裸を見せてください。可愛い裸を…」

 

「ほら、約束ですから…抵抗しないでください…ね?」

 

そう言うが早いかみほはあっという間に梓と小梅に拘束されてしまった。

 

「もう…やめて…お願い…お願いだからやめて…」

 

梓と小梅は聞く耳を持つことなくみほの服を一枚ずつ剥いでいった。

 

「うわあ…えへへへ…綺麗な肌…隊長の身体ふわふわしてますよ…とっても柔らかいです…綺麗な裸ですね。もっと色々触らせてもらいますからね…」

 

「みほさん…大好き…!真っ白で雪みたいです…胸も…とっても柔らかいですよ…」

 

「あぁ!小梅さん抜け駆けは酷いですよ!私も…私も西住隊長が大好きです!」

 

すると今度はみほが頰を赤らめて嬉しそうに笑った。

 

「うぅ…恥ずかしいよ…でも嬉しいな…告白されちゃった…えへへへ。ありがとう。2人とも。私も大好きだよ。」

 

「じゃあ!今日はこのまま…」

 

梓は続きをやろうと提案しようとした。しかし、みほは首を横に振った。

 

「待って梓ちゃん。梓ちゃんと小梅さんの愛は受け入られる。だけど、今日はもう遅いし一度中断しない?また明日、必ず続きをやろう?」

 

梓と小梅は少し残念そうな顔をしたがみほがそう言うなら仕方がない。今日は解放してあげることにした。

 

「えへへへ。絶対に約束ですからね!隊長!おやすみなさい!」

 

「それじゃあみほさんパンツ、ありがとうございました!大切にします!また明日!おやすみなさい!」

 

「うん。おやすみなさい!」

 

梓と小梅は部屋を出ていった。みほは裸のまま手を振った。小梅と梓が部屋を出てしばらくすると何事もなかったかのように服を着て椅子に腰かけると一つ大きくため息をついた。しばらくみほは何も言わずに座っていたが突然堰を切ったかのように笑い始めた。

 

「ふふふ…あははは!あぁ!おもしろい!あっはははは!」

 

「西住さん?突然笑いだしてどうした?」

 

「だって、私の裸にあんなに夢中になるなんて!あっはははは!正直ちょっと気持ち悪いくらいだったけど、あっはははは!これは使える!」

 

「西住さんはまた何か企んでいたのか…?」

 

みほは困惑している麻子のそばに近づくと耳元で囁いた。

 

「麻子さんは…私が嫌なのに渋々裸を見せていたと思ったの?確かに恥じらうようなセリフを言ったし、そんな行動をとったけどあれは全て演技。私に忠誠を誓わせておくためのね。演技上手かったでしょう?鞭ばかりじゃなくてたまには甘い飴も与えなきゃ。ふふふ…言ったでしょう?私は理想を実現するためには何だってやるって。処女だって目的のためなら捨てるし、体だっていくらでも売るよ。麻子さん。あの2人の顔を見た?あの2人は私に恋をしている。あの2人はこれからも私に好かれようとなんだってしてくるよ。どんな要求だって聞いてくれる。恋は盲目だからね。操り人形にしやすいの。操り人形にするためなら裸なんて安いものだよ。えへへへ。麻子さんこそ、私がレイプまがいのことをされて今までやりたい放題やってきたことの報いを受けて私が改心することを狙っていたのかも知らないけど、残念だったね。私は変わらない。これからも私は私であり続ける。誰も私を止められないよ…ふふふふ…」

 

麻子は恐ろしくなった。自分の企んでいたことをピタリと当てられた。麻子の企みはみほにはお見通しだった。麻子は今まで感じたことのないような恐怖を感じた。しかし、畏怖する反面みほに対する期待の感情が生まれていた。みほは目的のためなら処女を捨て、身体だって売ると言う。ここまで覚悟ができている人間ならこの身を任せてもいいような気がした。どうせここまで無理矢理ではあったもののついてきてしまった。もはや逃げられない。ならばとことんどこまでもついて行ってやる。麻子はついに決心した。

 

「西住さん。私は貴女について行こうと思う。どうせここまでついてきてしまったんだ。最後まで見届けてやる。西住さんが創り上げる理想の世界というものを。」

 

麻子はみほの目を真っ直ぐ見つめる。みほはニヤリと怪しく笑ってこちらをじっと見つめていた。

 

「それは、私に忠誠を誓うっていうことでいいのかな?」

 

麻子は西住みほが支配する権力の中で自分の立ち位置を必死に探した。そして、麻子は自分の立ち位置を見つけた。今、みほの周りにはイエスマンしかいない。かつての独裁者たちは自分の周りにイエスマンしか置かなかった。だから、悪い方向に向かっても正すことができなくて滅んでいった。麻子はみほに苦言を呈する存在になろうと考えた。もちろん反逆者とみなされる危険は生じるが今のみほには最も必要な仕事だろう。

 

「ああ。それでいい。だが、条件がある。」

 

「条件?何かな?」

 

「今は戦争中だからイエスマンだけでいいかもしれない。だが、戦争が終わったらイエスマンばかりでは危険だ。かつての独裁者たちは周りがイエスマンばかりになったことも要因になって滅びた。間違っても止められる奴がいないからな。だから条件一つ目戦争が終わったら私をノーマンとして登用してくれ。もちろん。良い政策にはイエスという。だが、再考の必要がある政策にはノーと言う。そういう人間が組織には必要だ。それを受け入れてくれるなら私は西住さんに忠誠を誓う。西住さんの創る理想を続けさせるために。」

 

「ふふふ…なるほどね。わかった。良いよ。麻子さんをノーマンとして登用する。期待してるよ。これからもよろしくね。麻子さん。」

 

皆が寝静まった深夜。みほはついに麻子を引き込むことに成功した。みほは嬉しそうに笑って麻子の手を取った。悪魔と天才、最強のコンビが誕生した瞬間だった。

 

つづく


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