第2話 砕かれた希望
話は30年前の戦車道の授業が大洗で20年ぶりに復活した日にさかのぼる。その日、秋山優花里は胸を高鳴らせて学校に登校した。秋山優花里は、戦車が大好きだった。だから、今年から復活することになった戦車道の授業を心待ちにしていた。
最初の授業は戦車を探すことだった。一緒に探す人もいなくて、憧れの西住みほたちのグループにこっそり着いていくことにした。そうすると、西住みほが
「よかったら一緒に探さない?」
と声をかけてくれた。
優花里は嬉しかった。
「あの…普通2科2年C組の秋山優花里といいます。えっと…不束者ですが、よろしくお願いします。」
とあいさつした。
「こちらこそよろしくお願いします。」
「武部沙織!」
とそれぞれがそれぞれの挨拶を返してくれた。
そして、戦車の捜索が始まった。
しばらくして、数両の戦車が見つかった。明日は、教官がやって来るらしい。それまでに綺麗にしておくようにと生徒会から指示があった。夕方になり、戦車が一通り綺麗になったところで解散となった。
優花里はAチームの面々とせんしゃ倶楽部へ行ったあと、みほのうちでご飯会をやることにした。
ご飯会も御開きとなり、武部沙織と五十鈴華とは道が違うので2人と別れ途中から一人になった。その時である。突然、甘い匂いのする布のようなもので鼻と口を覆われた。その瞬間意識を失ってしまった。
気がつくと、無機質な何もない部屋のベッドに両手両足を縛られて寝かされていた。
(何が起きたのでしょうか…私はいったい…ん?なんで縛られているのでありますか!?)
心の中でそう思っていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「秋山さん。気がついた?」
驚いて声のする方を振り向くとそこにはなんと西住みほが満面の笑みを浮かべながら立っていたのである。
「に、西住殿!?」
「急に拘束しちゃってごめんね。誰にも見つからないように迅速にきてもらう必要があったし、逃げられたら困るから眠らせて縛っちゃった。」
「な、なぜこんなことを?」
秋山優花里は、自分がなぜこんな目にあっているのかわからなかった。
するとみほは
「あ、ごめんね。何の説明もなしじゃ困っちゃうよね。実は、秋山さんにはこれから諜報活動をしてもらいたいなって思って。」
「ちょ、諜報活動でありますか?」
「私ね、秋山さんのことずっと前から調べてたんだ。秋山さん、諜報員の素質があるから、私どうしても秋山さんが欲しいなって思って。」
秋山優花里は困惑した。どうしたものかと、するとみほは衝撃的なことを口にした。
「もしも、できないってことだったら別にやらなくてもいいよ。ただし、秋山さんには死んでもらうけどね」
みほはクスクスと笑う。優花里はゾッと総毛立った。そして、自らの体から大量の汗と震えが止まらなくなっていることに気がついた。
「ふふふ、秋山さん可愛い。私ね、恐怖に震える女の子の顔見るの大好きなの。」
みほは、優花里の頬を撫でながら満面の笑顔で言う。
「引き受けてくれるよね?」
つづく
狂気のみほです。
サイコパスみほです。
これからどんどん狂気の展開になります。