血塗られた戦車道   作:多治見国繁

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真相を追い求める、それが記者の仕事である。


プロローグ
第1話 プロローグ


私は、ある事件を追っているフリージャーナリストだ。

その事件とは30年前に発生した一連の事件である。主要な学園艦を巻き込んだとてつもなく大きな事件だったらしく、未だに行方知れずの者は数え切れないほど多い。その時、学園艦にいたと思われる者は長い間口を閉ざし、その事件の真相は長い間隠蔽され続けてきた、戦車道と学園艦に関わる史上最悪の事件である。この事件を探ろうとした者もまた、失踪や変死をしている。それでも30年経った今もなお事件を解明しようと動いている者が多くいる。私もその一人だ。戦車道には、黒い噂が多い。しかし、この事件はそのどの噂よりもインパクトの強いものとなり、事件に関する色々な噂が囁かれた。彼女たちの身に何が起こったのだろうか。その真相を知る者はいるのだろうか。取材が行き詰まりはじめた時、私は幸運なことに当時その事件に関わった人物に接触することができた。今日はその事件の関係者である、秋山優花里に取材をする日だ。最初こそ、事件を思い出したくないと取材を拒んでいたが、交渉の結果取材を受け入れてくれることになった。私は、今その場所に向かうためのタクシーの中にいる。どんな人物なのだろうかと少し緊張していたら、目的地に着いた。東京都某所の古アパートに彼女は住んでいた。

秋山優花里46歳。大洗女子学園出身の元戦車道受講者である。彼女は装填手をしていたらしい。奇しくも今日は彼女の誕生日であった。彼女の住む古アパートのインターホンを鳴らすとすぐに彼女は出迎えてくれた。天然パーマの優しい雰囲気の女性であった。

 

「あ、記者さん。どうぞあがってください。本日はよろしくお願いします。」

 

「本日は取材を受けていただきありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。」

 

部屋に上がると、彼女は座るように促し、お茶を沸かしてくれた。まずは、改めて簡単な挨拶と、世間話をした。

そして、私は本腰を入れて取材をはじめた。

 

「まず、単刀直入に聞きます。あなたは、あの事件に関わっていた。これは、間違いありませんか?」

 

「はい、間違いありません。私は確実にあの事件に関わり、そして実行しました。あの事件は一生忘れることはありません。」

 

「わかりました。では、まずあの事件の概要を教えてください。」

 

「私があの事件に関わるきっかけとなったのは西住殿がきっかけでした。」

 

「あの…すみません。西住殿というのは…?」

 

「あ、すみません。昔の癖が…西住殿というのは西住みほさんのことです。あの時、私は彼女から依頼されたのです。強制的に…」

 

「強制的にとはどういうことなのでしょうか?」

 

彼女は、ためらいながらポツリポツリと話しはじめた。

 

「あれは、30年前大洗女子学園で20年ぶりに戦車道が復活した初授業の日のできごとです。」

 

つづく




これからよろしくお願いします。
誕生日記念企画に鬱展開注意の企画をやってしまいました。すみません。

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