血塗られた戦車道   作:多治見国繁

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みほの回想編 5 降り立った悪魔

みほは、大洗に降り立った。みほはとりあえず、大洗の風土と地理を調査を開始した。地理とその土地の雰囲気を知ることはみほの表の顔を形成する上で非常に重要な過程となる。みほは、その土地に合わせて自在に表の顔を作り上げ、演じることができる。一通り風土を調査し、みほは大洗女子学園の学園艦に乗り込んだ。そして、入寮する寮に着くと、一通り引越しの片付けをして外に出た。そして、学園艦を隈なく歩き回る。学園艦の奥の奥に古びた廃ビルを見つけた。どうやらお化け屋敷と呼ばれており、だれも寄り付かないようだ。みほは、ここを諜報員の拠点に定めることにした。一つ大きな成果を得たみほは、ご機嫌な様子で家に帰る。家に帰るとみほは、ノートパソコンでメールを確認する。友人からのメールが来てないか確認するためだ。みほは、全国を旅している間に多くの「友人」を作っていた。もちろんなんの目的もなく作ったわけではない。情報を収集するためだった。その友人は並みの人物ではない。それこそ、大学の教授や官僚、大臣クラスの大物国会議員、各国の大使館員から裏社会の人間まで多岐にわたる。その中の文部科学省の官僚をしている友人の1人からとてもおもしろい情報が報告された。大洗女子学園は近々廃校になるらしいという情報だった。そして、近々大洗の生徒会が説明を聞くために文部科学省にやってくるという。これは、おもしろい情報を手に入れたとみほはニヤリと笑う。

 

そして、みほは別の友人に電話をかけた。

 

『もしもし、西住みほです。お世話になっています。今日から2週間くらい文部科学省の前で張り込みしてくれませんか?そして、大洗女子学園という高校の生徒が現れたら写真を隠し撮りしてください。後ほど、大洗女子学園の制服のデータは送りますから。よろしくお願いします。』

 

みほは、友人である探偵に、写真を隠し撮りすることを依頼したのである。

 

2週間後、探偵の友人から写真のデータがメールで送られてきた。みほは不敵な笑みを浮かべた。

 

(この情報とこの写真。これを上手く使えば、生徒会を失脚させることができるかもしれない。ふふ…上手く使わなきゃ。)

 

心の中で呟いた。

 

次の日、みほは引越しの挨拶がてら何気なくこの学校の生徒会に対する評判を聞いて回っていた。ここの生徒会特に生徒会長はカリスマ性が高く剛腕であるという。しかし、反面かなり強引なところもあるようである。そして、中には恐らく正直いうと嫌っている人もいるのではないかとの話であった。これはさらに好都合である。この反発している者たちを取り込めば、生徒会を追い落とすことも容易い。群衆に一度カリスマの暗い部分を見せればたとえそれが嘘であってもカリスマは信用を失いあとは転げ落ちていくだけ。みほは確信した。ここ大洗女子学園は確実に手に入れられると。

しかし、いきなり対立するのは得策ではない。みほはプロセスを考えていた。

(まずは気弱な転校生という表の顔で過ごそう。すると、生徒会のことだ。それをいいことに色々脅しをかけて無理やり戦車道に参加させようとしてくるに違いない。それを最初はあたふたしながら押され気味に、そうするときっと押し切ってくる。そして、私は検討するけど最終的に違う道を選ぶ。そうすると、向こうは焦って呼び出すなりなんなりして無理やりにでも選ばせようとしてくるはず…そこで熱意に折れて応じれば…生徒会が私に抱く印象はかなり高くなるに違いない…それをいずれ私は生徒会を裏切る。その時、生徒会の人たちはどんな反応してくれるんだろう?ふふ…楽しみ…)

 

頭の中でみほは自分の計画を考えているとき思わずニヤニヤしてしまった。みほの行動は全て綿密な計算と計画、そして準備の上に成り立っているのであった。

 

つづく

 


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