血塗られた戦車道   作:多治見国繁

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第15話 澤梓への罰

「じゃあ、優花里さんたち。梓ちゃんを執行部屋に連れて行ってくれる?私は少し取りに行くものがあるから先に行ってて。」

 

「了解しました!」

 

「あぁ、わかった。」

 

優花里は、壁につながれてあった鎖を外し、外した方の鎖を手に持った。そして、梓は鎖につながれたまま、同じ建物の2階にある部屋に連行された。拘束されている鎖が重い。なかなか前へ進めなかった。

 

「澤殿!何してるんですか!早くしてください!」

 

「そうだぞ。早くしろ。何をもたもたしているんだ。」

 

「はい…」

 

優花里たちに高圧的な口調で急かされ、必死に歩いた。この頃になると、優花里たちはまるで本当の看守のような高圧的な態度を梓に対して取るようになっていた。じゃらじゃらと鎖で重たい足を引きずりながらようやくたどり着くとその部屋には、木の柱が一本設置してあった。

梓は、優花里に服を脱がされそうになった。驚いた梓は思わず叫んでいた。

 

「あ…秋山先輩!何やってるんですか!やめてください!」

 

必死に抵抗したが、無駄だった。

 

「私も冷泉殿も同じような目にあったんです。澤殿も逃れることはできません。ましてや、澤殿は罪人。どんな目にあうかもわかりません。それなりの覚悟はしておいてください。」

 

「梓、耐えるんだ。ほら、抵抗するな!」

 

麻子も加わり二人掛かりで脱がされた。梓は結局、生まれたままの姿にされて、その柱に手を縛られてしまった。

 

「う…うう…」

 

あまりの恥ずかしさにプルプル震えながら泣いていると、ようやくみほがやってきた。みほは梓が裸で縛られているその姿を見て、

 

「ふふふ…梓ちゃんいい格好だね。」

 

といたずら好きな子どもがするような意地悪な笑みを浮かべた。そして、みほは梓が縛られて抵抗できないことをいいことに、身体中を舐めるように眺め、触ってきた。

 

「ひゃん!?」

 

みほの手はあまりにも冷たく、触られた瞬間、変な声を出してしまった。ゾクゾクとした感覚が身体中に走る。梓の可愛いらしい声を聞き、みほはニヤニヤといやらしい笑顔を浮かべている。梓は自身の身体中を弄っている白くて美しいみほの手とは対照的な黒く闇の深いみほの心を感じていた。

 

「梓ちゃんの身体、白くて綺麗。それにすごく柔らかくて、触り心地もなめらか。」

 

そういうと今度は、身体中を舐めてきた。

 

「…っ…隊長…やめて…やめてください……」

 

「ダメだよ。やめてあげない。」

 

みほは、にっこりとしながら胸や下半身まで隈なく舐めまわした。みほの舌の感触が身体中を駆け巡る。

 

「梓ちゃんの身体甘くて美味しい。それにいい匂い。胸も柔らかくて可愛い。」

 

みほは、その後も3時間ほど梓の身体を弄び、舐めたり触ったりを繰り返した。

特に、苦痛だったのは脇や足の裏を2時間ほど絶え間無くくすぐられたことだった。もちろん、舐められたり触られたりするのも屈辱的で苦痛だ。しかし、くすぐられるのはもっと苦痛だった。笑い続けているとだんだんと息苦しくなってくるのだった。

 

「ほらほら、梓ちゃん。ここが弱いのかな?ほらほらほら。」

 

「あはははあははは…隊長…あはは…やめてくだ…あはは…い…き…が…あはは…あはは…」

 

そういうと、みほはますますくすぐってくるのであった。

そして、最後にその恥ずかしい姿の写真と動画を撮られた。その撮り方は入念だった。角度を変えてあちこち撮影された。もちろん下半身も例外ではなかった。そして、みほは梓の耳元で囁く。

 

「梓ちゃん。もし、このことを誰かに一言でも話したら今度こそ毒ガス実験のモルモットにしちゃうからね?それに、この写真と動画をネット上にばらまいちゃおうかなぁ。」

 

みほは極悪人のような笑みを浮かべた。

 

「い…言いませんから…お願いします……命だけは……そして、その写真と動画も……」

 

みほは、それを聞くとにっこりとしながら梓の頭を撫でながら呟いた。

 

「うん。いい子だね。梓ちゃん。」

 

梓はこれで解放される。苦難から逃れられる。そう思っていた。しかし、現実はそんなに甘くはなかった。

 

「さぁ、梓ちゃん。優花里さんたちはこれで終わりだったけど、梓ちゃんは罪人だから色々な責めを受けてもらうね?せっかくの梓ちゃんの白くて綺麗な身体を傷つけるのはもったいないけどしょうがないよね?」

 

「え……」

 

「それじゃ、梓ちゃん覚悟はいい?」

 

そういうとみほは腰に下げていた小さな入れ物から鞭を取り出し梓の身体に打ち付けた。

 

「うぅ…」

 

梓の苦痛な声が聞こえる。その声を聞き、みほはますます笑顔になった。鞭打つみほの姿のなんと楽しそうなことか。梓はみほの中に悪魔を見た。刃物で背を撫でられたような表情の梓を見て、みほはますます強く鞭を打ち付ける。

 

「あぁ……うぁ……うううう……」

 

みほの鞭が、傷ひとつない綺麗な玉のようだった梓の身体に無数の傷を作る。

30回ほど打ち付けられた。

 

「優花里さんたち、例のアレを持ってきて。」

 

「了解です!」

 

「わかった。」

 

みほが優花里たちに声をかけると優花里と麻子の2人は石の板を数枚と三角形の木をいくつか持ってきた。

梓はその三角形の木を並べた台の上に正座させられ縛り付けられた。そして、優花里たちがみほの指示で正座した太ももの上に重たい石の板を何枚も乗せる。そう。江戸時代の有名な拷問、石抱きだった。この石は1枚50kgもある。それが、何枚も載せられるのだ、死にそうなほどの苦痛である。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁううううううぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

梓はあまりの痛みに断末魔のような叫び声をあげる。梓の脚には5枚もの石が載っていた。その声を聞くと、みほは梓の上に載っている石の上に体重をかけて座ってきた。そして、梓に顔を近づけて苦しむ梓に向かって嘲笑うように言い放った。

 

「梓ちゃん。石抱きの感想はどう?楽しい?」

 

「うぅ…痛いです…苦しいです…もう。やめてください……お願いします……助け…て…」

 

そういうとみほは、ニヤリと笑い、意地悪く言い放つ。

 

「えへへ。そうなんだ。楽しいんだ!あはは!優花里さんたち!もっと楽しませてあげて!もう3枚くらい石持ってきて!」

 

「はい!」

 

「うん。わかった。」

 

優花里たちは、さらに3枚石を持ってくると1枚ずつ載せた。

 

梓は1枚載せられるたびに苦痛な叫び声をあげた。梓はもしかしたら死んだほうが楽になるかもしれない。そんなことを考えはじめていた。そして、優花里が最後の1枚を載せた後、みほが意地悪く笑いながらその石を左右に揺らす。梓は最後の叫び声を上げた。しばらくすると顔貌茫然として、頻りに周囲を眺めまわすといった、挙動をはじめた。するとすぐに、脚が蒼白してきた。これ以上続けると、生命の危機である。みほはようやく石抱きをやめて、石を取り去るよう、優花里たちに指示した。石を取り去られた梓の脚は痛々しく内出血をした紫に近い赤い色をしている。そして、脚の下に敷いていた木の鋭角の稜線が食い込み、赤い血が流れている箇所もある。

 

「梓ちゃん?どうだった?楽しかったでしょ?」

 

「じゃあ、次はね…」

 

そういうと、みほは梓に口を開けさせ漏斗を突っ込んだ。

そして、水を絶え間無く口の中に流し続けたのである。

 

「ゲホゴホガボゴボゴボグバァ…」

 

梓は窒息しそうになった。しかも、たまにみほが梓の鼻をつまんで息ができないようにしてくるのだ。苦しくてたまらない。窒息しそうだ。みほは窒息する手前でやめ、少し休ませたあとまた鼻をつまみながら水を絶え間無く口に流し込む。これを繰り返した。

 

「ゲホゲホゴホガホ…はぁはぁはぁはぁ…」

 

梓はひどく咳き込み息も絶え絶えだった。

さらにみほは、追い討ちをかけるようにホースで水を梓の身体に浴びせかけた。水の冷たさで体温が奪われる。裸なので寒くてたまらない。

 

「うぅぅぅ……」

 

梓は呻き声を上げた。

寒さと恐怖で歯がガチガチと噛み合う。3時間ほど水を絶え間無く浴びせかけられた。

満身創痍で茫然として動かない梓をみて、みほは満足そうにして楽しそうに悪魔の笑みを浮かべた。梓は再び柱に後ろ手で縛られて裸のまま三日三晩放置された。

そして4日後、梓は解放された。しかし、梓は今まで通りの梓ではなかった。梓は、誰よりもみほに忠実になったのだ。梓は責めと屈辱を受け続けた結果、感情をなくし、瞳は濁り、まるでロボットのようになっていた。

そして、梓はうわ言を繰り返しつぶやいていた。

 

「隊長…もう…やめてください…苦しい…もう許してください…痛い…」

 

その姿を見て、みほは梓の耳元で囁く。

 

「梓ちゃん。もうあなたは、私なしでは生きていけなくなったんだよ。私はあなたの心も身体も全てを支配した。これからは私の操り人形。これからよろしくね。私の可愛いお人形さん。」

 

これに対し、梓は特に反応を示すことはなかった。

ただ、ガタガタと震えているだけだった。

みほは、未だに裸の梓を愛おしそうに抱きしめて、頰を撫でた。

かくして、みほの諜報員は梓の回復を待って、優花里、麻子、梓の3人体制で運営することになったのである。

 

つづく




この世界における、優花里と麻子はスタンフォード監獄実験の看守側のような心理状態にあります。

スタンフォード監獄実験とは
スタンフォード大学で行われた、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまうことを証明しようとした心理学の実験。

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