血塗られた戦車道   作:多治見国繁

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また、30年後の世界に戻ります。
無理矢理感満載の文章かもしれませんが、よろしくお願いします。


第11話 冷泉麻子の決意

「あぁ、そういえばあんなこともあったな…私は、大量破壊兵器を作り上げた後…」

 

麻子は、30年もの過去の記憶を思い返しているといつの間にか時計が0時を回っていたことに気がついた。

 

「もう…こんな時間か。眠い…寝よう…」

 

麻子は寝床につきながら、みほの隊長就任の経緯について考えていた。

 

(そういえば、あの頃だったな西住さんが隊長に任命されたのは。確か聖グロ戦前の作戦会議が終わった後にはもう隊長になってた気がする。そういえば、あの作戦会議のことは、秋山さんも私も知らない。一体どういう経緯で隊長になったんだ?まあ、あの時はまだみんな西住さんの裏の顔など知らないし、戦車道の経験もある。任命されてもおかしなことではないか。)

 

麻子は、あの時会議室にいた当時、あの場所にいたメンバー、つまり会議に参加したメンバーを思い出そうとしていた。

 

(ああ、そうだ。確かあの時招集されたのは各車の車長だったな…)

 

麻子は、そこまで考えて眠りに落ちた。睡魔には耐え切れなかった。

 

次の日、また電話がかかってきた。出てみると例の記者だった。

 

『はい。冷泉です。』

 

『お忙しいところすみません。山田です。』

 

『また、あなたか…』

 

『はい。しつこいのが記者の特質ですから。』

 

電話の向こうから山田の笑い声が聞こえる。

 

『それで、どうですか?話していただく気にはなりましたか?』

 

『すまない。私はまだ話す気にはなれない。ただ、ここまで熱心なら一つだけ教えてやる。当時、私たちは聖グロリアーナ女学院と練習試合を行うことになった。その聖グロリアーナ女学院戦の少し前、西住さんは、突然大洗女子学園戦車隊の隊長になった。戦車道の体験もあったし、至極普通のことかもしれない。しかし、その後事件は大幅に動いた。でも、隊長に任じられた時のことは私も秋山さんも知らない。探るなら他の人も当たった方がいい。』

 

麻子は、気まぐれでヒントを教えてみた。なぜ、こんな気まぐれを起こしたのか、それはこの記者の声や雰囲気が麻子のよく知っている人の声に似ていたからだ。何だか懐かしい声だった。しばらく会っていないとても大切な人の声。そんな声を聞いていると、麻子の心はだんだん変わっていった。

 

(できれば協力したい。しかし、話せばもしかしたら…怖い…でも……)

 

麻子はそんなことを思っていた。

 

『ありがとうございます!助かります!』

 

記者の元気な声が聞こえてきた。

 

『ああ、頑張れよ。』

 

麻子は、電話を切った。そして、麻子はあの事件について改めて、自分の体験談を手記にまとめることにした。自分で思い返しながら記者に話すのは辛いし、怖い。しかし、手記でなら伝えられるかもしれない。そんな風に思ったからだった。

また、自分が死んでも手記ならばずっと残っていってくれるはず。あの事件はやはり伝えるべきものだ。そして、後世の人々が検証してくれるはず。

麻子は、そう思いながら手記を記し始めたのである。

 

つづく




次回、さらに視点が変わります。

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