【挿絵表示】
※因みに持っているのは氷の刀(団子の串を凍らせたやつ)です。決して木刀ではありません
諸事情で大変長らくお待たせして申し訳ありません。そして初っ端銀魂ネタ+慧音のキャラ崩壊注意でございます。
「大丈夫だ...一応この人里の歴史は
そう言って、入り口前で仁王立ちする1人の女性。本来であれば人ならざる姿へとなる筈だが、生憎今宵は偽りの満月。人の姿のままであった。
「し、しかし本当に大丈夫でしょうか...さっきから妖怪達周囲をうろうろしていますが」
そんな心配の声を上げる村人。だがそれを諭すかのように自信満々の声で彼女は答える。
「まぁあれだ...ステルスとか、透明になるとかそんな感じだ。つまり人里は見えない訳で...待てよ、」
そこまで考えて彼女が想像したのは、見えない人里の中にて堂々と立っている自分達の姿...
「丸見えではないかぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「えと...人里の中にいるものも含めて透明になるのでは...?」
叫びだし狼狽えた彼女に他の村人がフォローを入れる。その言葉を聞いてハッと気を取り戻した様だ。先程の堂々とした構えに戻る。
「ああ、そうだった。我々も含めて透明なのだったな...待てよ、私達が透明でも外から摂取した食べ物とかは...」
彼女が再び想像したのは、胃の中の内容物...即ちう◯こが辺り一面に浮いている情景...
「丸見えではないかぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「あれです! 多分周囲の風景に合わせて擬態みたくなるんです、多分!!」
再び叫び出した彼女にもう一度フォローを入れる村人。彼女...上白沢慧音は良くも悪くも心配性な女性である。
「あ、そうだった...例え私達の中身が見えようとも人里がそれに合わせてカモフラージュして...やはり丸見えではないかぁぁぁぁぁぁ!?」
「「「面倒くせぇなこの人?!」」」
巨大な◯んこにカモフラージュした人里を想像して叫び出す彼女にツッコミを入れる村人達。何時もであれば数少ない常識人である立場の彼女だが、状況が状況なのか凄く取り乱していたのだった。
「...どうやら貴方の目には見えてないみたいだけど、此処が人里の様ね」
「ああ...けどなんか...色んな意味で騒がしいのぜ」
いつの間にか、うろついていた妖怪達を倒した魔理沙とアリスの二人組はその光景を見て、なんとも言えない微妙な表情を取っていた。
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「すまないな...どうも迷惑をかけたようで...」
「嫌々、異変が起きたら恐怖や不安で怯えるのが普通だ。私だって最初のころはそうだった」
(原作とは違って)周囲の妖怪たちを鎮圧していた光景を村人が見ていたからか、人里の者、そして慧音は二人を快く受け入れてくれた。
「わぁ! お姉ちゃんの人形すごく可愛い!!」
「見せて見せて!!」
「ちょ、ちょっと...」
そんな傍ら、アリスは人里の子供たちに囲まれていた。人とのかかわりをあまりしない彼女は、純粋無垢なそれにどんな表情を取ればいいのかわからず、珍しくも狼狽えている。
「良い笑顔だな...」
「ああ...だからこそ守らなければならない」
そんな微笑ましい光景を、話しあっていた二人は感慨深く見つめていた。アリスの方はというと、子供たちに押されて渋々と自らの特技を生かした人形劇をやっており、子供たちが喜んでいるのを見て満更でもない笑みを浮かべていた。
「...聞きたいことがあるんだが」
「大体検討は付いている。今回の異変の場所の事だろう? それだったら迷いの竹林に向かうと良い」
その察しの良さに驚きの表情を取る魔理沙。まるで自分たちが来ることを予期しているかのような口ぶりに、一瞬彼女の能力なのかと考えたが、それは彼女自身の言葉で否定された。
「先ほどな、血塗れの男女がこの場所に来た...血塗れと言っても返り血だが。男の方は村で一押しの団子をかっさらって、女の方は何もせずにさっさとその場を後にしたのさ」
ーーおいけーね
ーーけーねではない慧音だ...何だ、博麗の神主?
ーー多分この後二人の魔法使いが今回の異変の場所を尋ねるから...迷いの竹林って答えてくれ
ーーそれは妖怪の脅迫で得たやつか...お前は行かないのか?
ーー知ってんだろ? 俺が面倒くせぇ事は大嫌いだってのは...
ーーそうか...わかった。伝えておく
「アイツはいつもそうだ...他人の事を考えずにすぐに自分勝手に行動する。お陰でどれほど迷惑を掛けられたか」
言っている事とは裏腹に、彼女の表情は穏やかなものだった。それはまるで教え子の話をする教師の様であり、教師も味方になってくれる親もいなかった魔理沙は彼女の話す人物に少しばかり嫉妬に近い感情を抱いていた。
「...余程、いざという時には頼りになるやつなんだな」
「ああ、全くだ」
まるで博麗の駄神主とは大違いだな、と内心で呟きながら彼女は帽子を深くかぶる。これは昔からの彼女のくせであり、そろそろ行動に移すかという意味合いが込められている。
「もう行くのか?」
その事を察した慧音は、魔理沙に質問をする。それは暗に心配の意味が含まれていた。
「生憎私は異変解決のプロだぜ...さっさと行かなきゃ霊夢に出し抜かれてしまう」
そう言って魔理沙は笑みを浮かべながら子供たちに囲まれているアリスを呼び出す。彼女は少しばかりさびしそうだったが、それでも異変解決の為すぐさま切り替えて子供たちに別れの挨拶をする。
「...さて、警備に戻らなければな」
その一連の光景を見た後、上白沢慧音もすぐさま切り替えて人里入口へと向かう。
月が照らす夜の人里、片方は守る為、もう片方は解決の為、それぞれ別の道を歩いていく。だが偶然にも、その背中は同じ雰囲気だったと...その様を見た村人たちは後に語っていたのだった...
to be conntinued...
-オマケ-
「ひ!? やだよ...怖いよ!?」
逃げまどいながらそんな事を呟く雀妖怪。彼女がどうしてそこまで必死になっているかは、後ろの光景にある。
「待ってってば~。ほんのちょっと、ほんのちょっとだけでいいのよ~」
涎を垂らしながら捕食者の目で自分を見つめている桃髪の幽霊。普段では考えられないほどの執念と追いかけるスピードに彼女は恐怖していた。
「こ、来ないでぇーー!!」
自分は歌を歌っていたはずだ。そりゃあ相手の視界を奪う歌だからお縄に頂戴されるなり退治されるまでならわかるのだが、食われるのは予想外にもほどがある。
「うふふふふ...小骨が多いけど美味しいのよね~。じゅるり」
「駄目だ話一つ聞いてない!?」
弾幕を放とうにも、今の彼女にとって後ろの捕食者の雰囲気に圧倒されてできない。まさに吸血鬼に睨まれた人間、もしくは柱の男に睨まれた吸血鬼、或いはリサリサに睨まれたジョセフという状況である。
「大人しく捕まりなさい~」
「嫌ァァァァァァァァ!?」
幽霊と妖怪の命がけの鬼ごっこは、まだまだ続きそうである。
「...私物凄い蚊帳の外ですね。まぁ良いですけど」