博麗の(やる気の無い)神主   作:執筆使い

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BBAの過去だと? 面倒くせぇ

 

 

 

 

 

 

 彼女はずっと1人だった。自分と同じ妖怪は最早居ない。自分の能力は人間からも、妖怪からも恐れられていた。

 

 ある日、彼女に友達が出来た。ただの人間...それなのに自分を怖がらずに友人となってくれた。生涯で初めての友人。

 

 

 

 そして...

 

 

 

 友の為に彼女は「いや大体解ってっから。東方の2次創作見てれば大体似通ったの載ってるしこれ以上話す必要はないからBBA. 読者が知りたいのはテメェの過去じゃなくて前回の最後でどうなったかなんだからよ」

 

 

 ...さて、この自重をしないクソ野郎の言う通り読者の皆様も色々気になる事があると思われるので説明の為に少しだけ時間を巻き戻す。そもそもは数分前の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 −数分前−

 

「絞リ取ッテヤル! キサマノ生命ヲ! 」

 

 

「吹き飛ばしてやんよ!! その穢れたる野望全部なぁ!!」

 

 

 白い光が迫って来ている状況で叫び出す両者の内、先に動いたのは博麗の神主。ありったけの熱を解放して枝を焼き切り、西行妖の真下の地面に手を突っ込む。

 

 

「間接的に触れたぜ! BBA!!」

 

 

 瞬間、博麗の神主と地面に埋まっていた霊体は空間に現れた隙間に飲み込まれる。霊体は一行の元へ、博麗の神主は八雲紫がいる屋敷の縁側に移動した。この間0.2秒である。

 

 

「ゼェ...ゼェ...」

 

 

「本当に感謝しているわ...それと謝罪をしなければ「その前に治療と糖分補給をさせろ。ガチでヤベェ状況なんだ」

 

 

 そう言いつつ、博麗の神主は血塗れで横たわる。紫は隙間から包帯と薬を取り出して彼の治療をした。

 

 

 ..................................

 

 ....................

 

 ...........

 

 

 そして、現在に至ると言うわけである。因みに駄神主は今、縁側の端にある柱にもたれかかりながら紫の過去を聞いていた。

 

 ...最も、第四の壁を破壊した様な台詞と共に中断させたのだが。

 

 

「俺はさっきあのクソ桜に貫かれた際、走馬灯みたいのが見えていた...すぐさま自分のじゃねぇって気付いたがな。テメェの面が毎回映ってたから」

 

 

 神主は、何故自分が知っているのかを話した。その顔はいつも彼女相手に見せる殺意の目ではなく、気怠そうで悲しそうな目であった。

 

 

「...アレを止める為に...テメェを守る為に、其奴は思い出を犠牲にした。それでもテメェは...」

 

 

 神主はそれを踏まえた上で問いかける。自分が憎んでいた相手の真意を聞きたかったのだ。

 

 

「...例え、思い出がなくなっても。嘗てとは変わってしまったとしても...それでも私は彼女(幽々子)の友人でい続ける。それが彼女との約束で...恩返しだから」

 

 

 八雲紫は神主にそう答えた。1人だった自分に歩み寄ってくれた友人。自分の悲しみや憎しみを全て受け入れてくれた友人。大切なものを守る為に全てを犠牲にした友人。

 

 彼女が今の様に...独りを救う為の幻想郷を作ったのは...嘗ての友人みたいになりたかったから...なのかもしれない。

 

 

「...今でもテメェが俺にした事は忌々しいと思っている。だが...その気持ちは、尊敬する」

 

 

「そう...」

 

 

 そう言って神主はいつも通りの気怠そうな表情に、紫はどこか掴み所のない雰囲気に戻る。

 

 

「出来ればテメェとは早く会いたかったよ...そうすりゃあこんな事にならずに、こんな気持ちにならずに済んだ」

 

 

「過ぎ去った事を気にしても仕方がないわ。だから...」

 

 

 外に視線を向けるスキマ妖怪。今はもう花一つ咲かなくなった桜の下には簡素な墓が建てられていて、霊夢一行と白玉楼の2人が俯いていた。

 

 そう、予め言ってなかった上に0.2秒という速度ということもあり、彼女らは博麗の神主が死んでいると思っている。特に霊夢に至っては何時もでは考えられないほどの涙を流して悲しんでいた。

 

 

「...気絶している間、俺の葬儀ってどの辺まで進んだんだ?」

 

 

「さぁ? 少なくとも粗方は終わったと思われるわ」

 

 

「嫌、さぁじゃねぇよ。つーかこれ出るに出られない状況じゃね? カーズと共に吹っ飛んだ後のジョセフ並に気まずいんですけど...」

 

 

 駄神主はスキマ妖怪にこの状況を打破するアイディアもとい助けを求める。しかし彼女は何処吹く風、何処からか取り出した扇子で口を覆いながらクスクス笑いつつ、能力で出現させた裂け目に逃げようとする。

 

 

「おい逃げんじゃねぇぞ!? どうすんだよ?! テメェがさっさと自己申告しなかったおかげで下手すればまた博麗ドライバー喰らうかもしれない状況に追い込まれてんですけど?!」

 

 

「...幻想郷は全てを受け入れる。それはそれは残酷な話ですわ」

 

 

「残酷でもなんでもねぇよ!? ただの連帯責任じゃねぇか?! つーかまじでどうす「零治、これは一体どういう事かしら?」...る...」

 

 

 彼の失敗は大声を出した事。縁側で大声で叫べば誰だって気付く。ましてや聞き慣れた声を聞けばなおさら。振り返るとそこには顔を真っ赤にした博麗の巫女の姿。

 

 

「これは違うんだ違うんです霊夢さん別に貴方様を騙す為にこんな壮大なドッキリを掛けた訳ではないんです全てはこのBBAの...」

 

 

 そう言って博麗の神主は元の位置に視線を戻すが件のスキマ妖怪は居ない。代わりに書き置きとしてメモが一枚あった。

 

 

『そう言えば急ぎの用事があった事を忘れてたわ。悪いけど痴話喧嘩はそちらで勝手にやってくれると助かるわ♪ by永遠の17歳ゆかりん』

 

 

「(逃げやがったあの野郎ぉぉぉぉぉ!? これ一人で切り抜けるとか無理なんですけど?!)」

 

 

 応急処置をしただけなので重傷なことには変わりない。故に何時もの手であるスタイリッシュ逃走ができない神主。

 

 

「...零治」

 

 

「は、はい?!(お...怒ってない...?)」

 

 

 霊夢が俯いて居るのを見て、淡い期待を抱く神主。

 

 

「...この、この! 心配させたんだから!! 馬鹿っ!!!」

 

 

「ちょ、ま、おま、グーはまじでやめろ?!」

 

 

 

 

 

 

 今回の異変を終えて、下手したら死ぬ程の重傷を負った神主。

 

 流石に博麗ドライバー(という名の処刑)は無かったが、結局痛い思いをする。

 

 こうして、幻想郷に長らくやって来なかった(色々な意味で)春が訪れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「春ですよ〜」

 

 

 To be continued...

 

 

 

 









-オマケ-


「...俺ももしかしたら、テメェと同じになってたかもしれねぇな。クソ桜」


...


「安心しな...いつかテメェの所に行って、会いに来てやんよ。まだ決着が付いて無いしな」


...


「だから、寂しい思いなんざする必要はねぇぜ...んじゃ、あばよ。言いたい事はこれだけだしな」


...はく...れい...の...か...ん...ぬ...し


「次会った時はテメェの体験談でも聞かせてくれ、西行寺◼️◼️◼️」


ああ...!


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