博麗の(やる気の無い)神主   作:執筆使い

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※マジです









面倒くせぇからボス戦はやらないぜ〜...マジで

 

 

「あらあら、客人かしら? 既にこちら側に来そうなのが妖夢を含めて2名いるのだけれど...」

 

 

 一行が石段を登った先にあった屋敷で最初に出会った人物は、妖艶でいて何処かつまみどころのない桃色の髪をした女性であった。彼女は駄神主と妖夢を一瞥し、扇子で口元を隠しながらクスクスと笑う。

 

 

「ゆ、幽々子様...笑い事じゃ...」

 

 

「俺は...マジで...無理...だから後は頼んだ」

 

 

 哀れ、博麗ドライバーを食らった2人。妖夢は半人半霊から普通の幽霊となりかけ、神主に至ってはあまりの外道さ故に普通の幽霊を通り越して悪霊となりかかっていた。

 

 

「「「あ、この2人は無視して大丈夫です」」」

 

 

 最も、割と容赦のない3人はそんな事御構い無しではあるが。

 

 

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 数分後、なんとか無事助かった2人は白玉楼と呼ばれる屋敷の縁側で寛いでいた。

 

 妖夢はともかく、敵地である場所で存分にのんびりしているその様はまさしく駄目人間のそれであった。

 

 

「いや〜、危ねぇ危ねぇ。ギャグシーンじゃなかったら即死だった」

 

 

「何訳のわからない事を言ってるんですか...」

 

 

 主の命令で渋々茶菓子を駄神主に持て成す羽目となった妖夢。2人が会話している場所の上空では3対1の戦闘が行われているのだから、違和感ありまくりである。

 

 因みに3人の連携は意外にも見事なそれである。やはり、駄神主という共通の敵がいる事が功を成したのだろう。彼が地味に体を張った努力による産物である。

 

 

「あなたは戦わないんですか?」

 

 

「やーだね。さっきも言ったが、俺結構ボロボロで死にそうなんだよ。だからパス」

 

 

 自分以外の勝ち負けにはこだわらず、戦闘は極力避ける駄目人間。噂で聞いていた幻想郷最強の男とは余りにも掛け離れているその様に妖夢はほとほと呆れ果て、噂は全くあてにならないんだと悟った。

 

 

「まぁ理由はもう一つあるんだけどな...見てんだろ? BBA」

 

 

 神主がそう言うと後ろに裂け目が出現し、そこから1人の女性が出て来た。

 

 幻想郷の事実上の支配者、八雲紫。何度かその姿を目にした事のある妖夢は驚き、博麗の神主は振り向きもせずに舌打ちをする。

 

 

「いつから気付いたのかしら?」

 

 

「最初からだ。テメェの忌々しいアレのお陰で、俺は気配がわかるんだよ」

 

 

「(...ひょっとしてこれって私凄い邪魔だったりしますか?)」

 

 

 いきなり彼らにしかわからない会話の内容や単語が出て来て、妖夢はそんな事を内心思っていた。少々考えた末に、新たな客人が来たのだから茶菓子を持て成さなくてはと結論を出し、それらを取りに一旦縁側を後にする。

 

 

「何であのピンク髪のカービィ擬きを止めないんだ? 幾らそれが俺らの役目だからって、幻想郷の季節が歪んでいる程の異変だ。何の行動も起こさずただ監視しているだけの理由にはなんねぇだろうが」

 

 

「...友人だからよ。昔からの...彼女がまだ生きていた頃の」

 

 

 神主の質問に紫はそう答える。私情を挟んだ上での不干渉という行動に彼は何も文句は言わなかった。神主自身基本的に私情を挟むタチだから。その代わり出会うたびにいつも見せる殺気を後ろにいるだろう彼女に放っている。

 

 

「...野郎が何をしようとしているのかわかっている。だけど友人故に止める事が出来ない、ってか。随分と面倒くさくて、つまらねぇ拘りだな...BBA」

 

 

「長く生きていれば、一つのことに拘ってしまうものよ...」

 

 

「あ、そ。俺は絶対に知る事は無いだろうな...テメェのそれ」

 

 

「そう...最初と変わらず、()()()()()()()()()()

 

 

 そこまで会話を進めた2人に、新しい茶菓子をお盆にのせながら妖夢が近付いて来た。駄神主は元の気怠そうな雰囲気に戻って10人がみれば10人がイラァとなる態度で茶菓子を貰い、紫は遥かに目上の立場でありながら礼を述べて茶を啜る。

 

 

『反魂蝶 一分咲』

 

 

 突如、戦闘が行われている庭園にて異変が起こった。春そのものが集まっているにも関わらず花一つ咲かなかった枯れ木から膨大な妖力が発生する。そして博麗一行3人と戦っていた本当の黒幕...西行寺幽々子がその桜に吸い込まれてしまう。

 

 

「幽々子様!?」

 

 

 それを見て驚く妖夢。長年仕えてきた主人が禍々しいナニカに吸収されたのを見たのだ、無理もない。

 

 寧ろ、そんな状況だというのに欠伸一つでリアクションを済ませている駄神主の方が異常である。

 

 

「...その表情からして、やっぱり知らなかった様ね」

 

 

「どういう事なんですか!?」

 

 

 妖夢が激情を露わにして紫に詰め寄る。いつもの(駄神主が絡んでない時の)真面目で大人しめの彼女からは想像できないほどのそれを見て、八雲紫は説明に入ろうとするが...

 

 

「ふわ~あ...そろそろ、動いても良い頃だな。さて...」

 

 

 等々、駄神主が重い腰を上げて準備体操をし始めた。いつもの気怠そうで、どこか悲しげで、殺意を露わにしたものとも違う。

 

 

「俺はアレをどうすりゃいい? BBA」

 

 

 博麗の神主...幻想郷最強の男の本気の闘いが今始まろうとしていた。

 

 

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「いきなり消えたかと思えば...何だぜあの桜は...」

 

 

 そう呟いたのは魔理沙。警戒をしている為か弾幕を放たずに様子を伺っている。

 

 

「...ひょっとしてこれが黒幕であるあの女性の狙いでしょうか?」

 

 

 ナイフを構えつついつでも戦闘に入れるように呼吸を整えなおす咲夜。

 

 

「関係ないわ。全部ぶっ飛ばせば問題ないもの」

 

 

 霊夢はいつも通りの気怠そうな表情とは裏腹に、その桜の異様な雰囲気をいち早く誰よりも察知して最大レベルの警戒態勢に入る。

 

 それほどまでに目の前の桜...西行妖は恐ろしいものであった。

 

 

『反魂蝶 参分咲』

 

 

「「「!?」」」

 

 

 先に動いたのは西行妖。まるでこの世のものとは思えない悲痛な音を鳴らしながら、地面に張り巡らされていた無数の根っこを伸ばして空にいる三人に勢いよく伸ばす。

 

 そのあまりの速度に辛うじてよけるので精一杯な魔理沙、能力を使いつつナイフで応戦しつつも文字通り刃が立たない事に驚きを隠せない咲夜、三人の中では一番善戦している霊夢。

 

 長くは持たない。三人が同時に、共通して脳裏に思った事である。根だけでなく、枝すらも勢いをつけて突き刺そうと伸ばしていく西行妖。爆発させても、斬っても、消し飛ばしても次々と再生するそれらによって徐々に比例していき。

 

 

『反魂蝶 伍分咲』

 

 

「っ、魔理沙!?」

 

 

 そのうちの何本かが一呼吸の間に、一人の魔法使いの心臓部まで一直線に突き刺さろうと直進してきた。

 

 

「ったく...先輩どもは俺が居なかったら全然ダメじゃねぇか」

 

 

 だが、ダメ人間の気怠そうな声が聞こえると同時にそれの動きが止まってしまう。消し飛ばしたわけでも、吹き飛ばしたわけでもない。

 

 

『冷却 コールドスリープ』

 

 

 氷点下を遥かに下回る温度で凍らせた。それにより脆くなった枝や根はすぐさまボロボロと崩れ落ちてしまう。

 

 だが、それすらもすぐさま再生することにより無かったことにした妖はいくつかを再び一行に差し向ける。

 

 

『人符 現世斬』

 

 

「...別に、あなた方を助ける為にやっているわけじゃありません。私はただ...幽々子様を助ける為に...」

 

 

 そう言いながら、妖夢がそれらを無数の斬撃で何度も斬り伏せた。それが気に入らないのか更に力を解放するため、禍々しい瘴気の様なものを発する西行妖。

 

 

「BBAが、テメェを止めたいと頼みに来たんでな...ちょっくら歯ぁ食いしばれよクソ桜!!」

 

 

 それと同時に博麗の神主は、吸血鬼と戦った時より遥かに強大なエネルギーを纏い、拳を叩き込む為に超スピードで突っ込んでいく...

 

 

 

 To be continued...

 

 

 

 




ラスボスとは戦っていません。ラスボスのスペカと戦っていますので、タイトル詐欺にはなりません。







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