そして霊夢のキャラ崩壊注意でございます。
あいつと私の出会いは突然だった。
「そういう訳だから、彼をここに住まわせてくれないかしら?」
外の世界から来た者...所謂外来人と呼ばれる存在は、極たまにではあるが幻想郷に入ってしまう事がある。主な理由としては忘れ去られた存在として流れ着いた。もしくは代々うちの神社で張っている結界に多少に不備が発生してしまったか。
「そう...」
彼は紫に連れてこられた存在...第三の理由で此処に来た外来人。珍しいケースではあるが、特に自分に何かしらの不都合が起きるとも考えてなかった当時の私は素っ気なく答えた。
「...ふわーあ。どーも、菊池零治でございやーす。これから博麗の神主としてあんたのサポーターとして厄介になりやしたー」
博麗の神主...その言葉に少しだけ私は気にはなったが、どうせ紫の気まぐれか何かだろうと思って普通に聞き逃していた。
「...なるだけ邪魔の無いように。面倒だから」
少しやる気の無い腑抜けた男。それが彼の第一印象だった。
それから暫くして妖怪退治の依頼がやってきた。これは博麗の巫女の仕事の内の一つ。
別に信念とか、やり遂げる上でのプライドとかは一切なかったが、私は毎回この依頼を引き受けている。
「あんたが今回の親玉って訳ね」
あいつは恐らく邪魔になるだろうからこの依頼の事は言っていない。くどい様だが、別に博麗としてのプライドとかではなくただ単に早目に終わらせたかったのだ。
『霊符 封魔陣』
「さて...帰ってお茶でも...」
「グルル...」
「なっ!? しまっ」
低級妖怪だと油断していた私は、封魔陣を食らって一切無傷のその五体の体当たりを食らって重傷を負ってしまったしてしまった。
「ぐぅ...不味い...あいつが行ったのは、人里」
無頓着ではあるが、人が死んで気持ちの良いものではない。私は傷だらけの身体に鞭を打ってまで人里を走り出していた。
「はぁっ...はぁっ...あいつは...あの妖怪は...!」
妖怪が進入し荒らした里の中心部辺りまで進んで行って、私は漸く自分が追っていたものを見つける事が出来たのだ。
「あんた...それは...」
但し...
「ふわぁ〜あ。返り血浴びちゃったじゃねぇか...汚ねぇ」
胴体に風穴を開けて死んでいる姿ではあったが。
死体に一番近く、それでいて冷静な表情を取っていることから例の外来人が仕留めたのだとわかる。
ーー大したことないな。博麗の巫女って
外来人ではない...周囲の誰かが言った言葉。私はそれを聞いて等々来たか、と聞いていた...
ーーあいつがしっかりしてくれれば...こんな事には...
ーーどうしてくれるんだ!
ーー役立たず!!
ーー期待はずれ!!
悔しくも...悲しくも...ない。博麗の巫女としてやっていく上でその言葉はいつか必ずやって来るものだとわかっていたし、そもそもずっと私は1人だったんだ。それは今までも、これからも変わる事はない。たかが新参者の外来人に手柄を取られても私は...っ
「あっはっはっは!! ラッキー! これで今回のはぜーんぶ俺の手柄だ!!」
ーーなんだ?
ーー急に叫び出したぞ?
「博麗の巫女が弱らせてくれたお陰で楽してぶっ倒すことが出来たぜ! 本当だったら絶対に勝てない相手だったのによ!!」
嘘よ...私の技は、本気を一切出してなかったとはいえ手傷らしいものは...!
「お陰で手柄は俺のもの! おいテメェら、俺様のお陰で助かったんだから感謝しろよ?」
ーーなんだあいつ...!
ーーって事は...漁夫の利?
ーーそれを自分の手柄だなんて...
「ああそうだ。テメェの治療代も入れなきゃな...何せ俺じゃああんな妖怪倒せないから、身替わりが必要だし」
ーー在ろう事か博麗の巫女を身替わり呼ばわり!?
ーー屑だ...マジの屑だ!!
ーー最低!!
いつの間にか、罵声はあいつ...零治の方へと全て向けられた。だけどあいつは何処吹く風で報酬だけかっさらって私ごと持ち上げてその場を後にした。
「いやー、ほんっと助かるわ〜。テメェが教えなかったお陰で俺は茶菓子を食べながらのんびり出来るわ、人里に来た雑魚妖怪をやっつけたら歓声を浴びるわで至れり尽せりだったぜ!...ま、俺様の有り難みを知らねぇ連中だったからクソみたいに罵声飛ばして来たけど」
「...恩を売ったつもり? 私を助けたつもり? あんた...」
言葉さえ耳に入らず、思わず心にあった言葉を口に出してしまった。それを聞いたあいつはさも当然の如く言い放った。
「あん? 誰がテメェなんか助けんだよ。俺は思った事を口に出しただけだ。つーかあの程度倒しておけよ、面倒くせぇ。お陰で戦う羽目になったじゃねぇか」
きっぱりとした否定に、聞く人が聞けばイラっとする言葉。
だけど、この時の私はそんな感情は抱かなかった。それとは別の...今まで感じた事のない気持ち。だけどそれがなんなのか私には解る気がしてきた。
「...ありがとう」
生まれて初めての他人に対する感謝の気持ち...それと...
「あ? なんか言ったか?」
...
「...何でもないわ」
...それは、秘密。
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「「「つ、強い...がくっ」」」
「先を急ぎましょう。あの駄神主はどうやら先へ向かっているみたいですので」
「ああそうだな咲夜、霊夢...霊夢?」
「...はっ! そ、そうね!! 全くあいつったら私達を置いて先に行くんだから、1人で大丈夫かし...ゲフンゲフン!? 追い付いたらただじゃ済まないんだから!!」
「だ、大丈夫か霊夢? 何時ものお前らしくないぜ?」
「そもそもあいつはそうやって私の見ていない所で勝手に無茶して...ブツブツブツ」
「れ、霊夢ー?」
「(成る程、そういう...ある意味お似合いかもしれませんね)」
「(....絶対に、秘密なんだから//)」
To be continued...