"貴方に永遠の愛を"   作:ワーテル

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お久しぶりです。
やっと更新できました、遅れてしまい申し訳ないです


今回もよろしくお願いします。
それでは本編スタートです


それぞれの想い

次の日

 

今日もaqoursの練習

しかし、私にはそれ以外にももっと重要なことが。

昨日果南ちゃんに言われた通り私の気持ちを千歌ちゃんに伝えなきゃ!

あぁ〜でも、これで千歌ちゃんに嫌われたら?

嫉妬してましたなんて言ったら…

いやいや、そんなことは考えない

昨日泣くだけ泣いた

私が一歩進まなきゃ!

 

 

決意を胸に戸を開ける

 

「おはようー!」

「あっ!曜ちゃん!」

「千歌ちゃん、実はね───、」

「見て見て曜ちゃん!ほら!」

「わぁ、可愛い、どうしたのこれ?」

「みんなにお礼にって贈ってくれたの、()()()()()が」

「へ、へぇ…」

 

 

まだ何も言えなくなった

喉の奥で言葉が詰まった

伝えたいのに、それができないもどかしさ。

なんで私はいつもいつも自分の想いを伝えられないんだろう

私はなんて臆病者なんだろう…

 

 

その後家に帰るまで、私が千歌ちゃんと話すことはなかった

 

 

 

 

 

 

家を出てからどれくらい経っただろう

俺は車両の中に響き渡るアナウンスの声で目が覚めた

 

「次は東京」

 

荷物をまとめて降車の準備をする

 

「あれは、ちゃんとあるな」

 

最終確認をして東京駅のホームへと降り立つ

少し大きめのキャリーケースを転がし、待ち合わせ場所へと向かう

俺達の思い出の場所へと…

 

 

 

 

數十分歩いて目的地に到着した

そしてもう既に見覚えのある姿がそこにはあった

 

「よっ、久しぶり」

「すまねぇな満生、急で」

「構わんよ、寧ろ嬉しいぐらいさ」

「ほんといい友達を持ったな、俺は」

「何感傷的になってるんだよ、らしくもない」

「はは、そうだな」

「で、何があったんだ?」

「ただ会いたかったから来たじゃダメか?」

「それはそれで嬉しいな、でも、そんな理由でここまで来るような人間でもないだろ」

「全部お見通しってわけね」

「親友のことなんて手に取るようにわかるわ、でも、ここじゃ人目も多いし、泊まってくんだろ?ゆっくり話そうや」

「ああ、世話になるよ」

 

 

UTX前の広場から満生の家へと向かった

 

 

 

 

 

「どうぞ上がって」

「お邪魔しまーす」

 

 

満生の家は両親が転勤族ということもあり、一人暮らしをしている

荷物を適当な所に置かせてもらい、満生の部屋に向かう

 

「何も変わらないな」

「そんな2年足らずで一人暮らしの家なんて早々変わるもんじゃないさ、ほら適当に座ってよ」

「すまんな」

 

満生に手渡された座布団を敷きその上に座る

 

「もう直ぐ予備予選だな」

「あぁ」

「近くにいなくていいのか?」

「退部してきた」

「ほぅ、そうか」

「意外にあっさりだな」

「龍騎のことだから本当のことなんか言わないだろうし、それでお前のとる行動を考えたら想像つくよ」

「お前はエスパーかよ」

「どうせ、自分のせいでaqoursに迷惑かけるのが嫌だからって部室に紙でも置いてきたんだろ?」

「模範解答だよ、流石だな」

「手に取るようにわかるって言ったろ?よし、晩飯よろしくな」

「はぁ?まあ、泊めてもらってる身分だからそれぐらいやるけどさ」

「やりぃ!お前の作る飯うまいんだよ」

「そりゃどうも」

「それで、これからどうするんた?」

「俺はもう、あいつらには会わないつもりだよ、こんなラブライブ予備予選、予選と続く時に離れるのもどうかと思ったけど、それ以上に──」

「迷惑をかけたくないと」

「あぁ、俺があれば必ずあいつらの負担になる。自分の身体だ、もう危ないなってことぐらいわかる。」

「千歌さんは?」

「千歌は…知らない方が彼女のためだろ」

「そうか…」

「満生、頼みがある」

「なんだ?」

 

 

鞄から封筒を取り出す

 

 

「なんだこれは…これは、歌詞?楽譜も…」

「それをあいつらに渡してほしい。」

「はぁ?ここ東京だぞ?」

「あいつらは絶対ここに来る」

「お前のその自信はどこから来るんだよ」

「実はな…」

「おぅ、そんなことがあったのか」

「正直悪いことしたなとは思うよ、でも…」

「いいよ言わなくても、わかるから。とりあえずそれは受け取っておくよ」

「あぁ、頼む」

 

 

満生はそれを机の中にしまった

 

 

「さっ、こんな陰気くさい話はやめてゲームでもしようや」

「おいおい!勝手に出すなよ、一応ここ俺の家なんだけど…」

「細かいこと気にすんなって、さぁ、やるぞ!」

「はぁ、やるからには負けないからな」

「望むところだ」

 

 

その後俺達は数日間親友との時間を謳歌した

 

 

 

 

 

 

その日の夜

 

私は今日もまた重い足取りで帰宅した

結局千歌ちゃんにちゃんと本音を話すどころか、喋ることすらままならなかった

 

「はぁ…」

 

家のベランダでため息をつく

そもそも本音って何をどう話せばいいんだろう

どうやって…

 

 

『千歌ちゃん、私と梨子ちゃんどっちが大切なの?はっきりして!』

 

いやいや、これは強引すぎる…

しかも壁ドンって…

 

じゃあ…

 

『千歌ちゃん、私のことあんまり…好きじゃないよね…?』

 

これも違う!

あざとい!あざと過ぎる…

 

それなら…!

 

『私、渡辺曜は千歌ちゃんのことが、全速前進!ヨーソロー!』

 

もう…わけわかんなくなってきた…

困ってる千歌ちゃんが想像できるよ…

ていうか、なんでうちっちーの着ぐるみなの…

 

その時私のスマホが鳴る

画面に映し出されたのは、『梨子ちゃん』

 

 

「もしもし」

「もしもし曜ちゃん?今忙しかった?」

「ううん、平気平気、何かあったの?」

「曜ちゃんが私のポジションで歌うって聞いたから。ごめんね、私のわがままで。」

「ううん、全然」

「私のことは気にしないで、2人でやりやすい形にして」

「でも、もう…」

 

 

やっぱり私は何も言わない方がいいのかもしれない。

今日だって昨日のステップ(梨子ちゃんのステップ)でやったら1度も失敗しなかった。本番のこと考えたらこの方がずっと…

 

 

「無理に合わしちゃダメよ?曜ちゃんには曜ちゃんらしい動きがあるんだし」

「そうかな…」

 

 

私の動き。

でも、それが他の人と合わせることができなければ、それはパフォーマンスではなく、ただ動いてるだけ。

私の動きじゃ千歌ちゃんと合わせられない…

だったら今の方が…

 

 

「千歌ちゃんも絶対そう思ってる」

「そんなこと、ないよ…」

「えっ?」

「千歌ちゃんのそばには梨子ちゃんが一番合ってると思う。千歌ちゃん、梨子ちゃんといると嬉しそうだし、梨子ちゃんの為に頑張る、って言ってるし…」

 

 

また涙が出てきた

悔しくて、苦しくて…私はただ千歌ちゃんと一緒に何かやれたらなって思ってただけなのに…

あはは、私って嫌な子だな…

 

 

「そんなこと思ってたんだ…」

 

眼鏡に水滴が落ちた

私は慌てて涙を拭く

 

「千歌ちゃん、前話してたんだよ?」

「え?」

 

 

「うん、じゃあ」

 

電話を切った時、私の思考は追いついてなかった

 

「千歌ちゃんが…」

 

この辺りは田舎で夜だってこともあって確かに静かだ

だけど、それ以上に、時間が止まっているんじゃないかってぐらいに感じた

 

「曜ちゃん」

 

そんな静寂を破るように何処からか私を呼ぶ声が聞こえる

少し見回して見るが、その声の主は見つからない

 

「曜ちゃん!」

 

再び聞こえた

今度はより大きな声

その声の方へ向かってみると、そこには…

 

「千歌ちゃん!?どうして…」

 

私の親友

高海 千歌がいた

こんな夜遅くにどうして…

 

「練習しようと思って!」

「練習?」

 

何言ってるの?千歌ちゃん

練習しなくても今日しっかり合わせられたし、こんな夜遅くにやることなんて…

 

「考えたんだけど、やっぱり曜ちゃん、自分のステップでダンスした方がいい!」

 

私のステップ…そんなもの…

 

「合わせるんじゃなくて、一から作り直したほうがいい!」

 

「曜ちゃんと私の2()()で!」

 

千歌ちゃんと私で、2人のステップで…

 

気がつけば私は駆け出していた

 

 

『あのね、千歌ちゃん前話してたんだよ。曜ちゃんからの誘い、いつも断ってばかりで、ずっとそれが気になってるって。

だから、スクールアイドルは絶対一緒にやるんだって。

絶対()()()()とやり遂げるって』

 

 

バカだよ、私は…

 

 

「あっ!よう、ちゃん?」

 

 

目に浮かぶ涙が見えないように後ろ向きで千歌ちゃんに近づく

 

「汗びっしょり、どうしたの?」

「バス終わってたし、美渡姉達も忙しいって言うし」

 

 

道の脇には自転車が止めてあった

ここまであれで…

 

 

「曜ちゃん、ずっと気にしてたっぽかったから居ても立っても居られなかなって…えへへ…」

 

 

なんで私じゃないんだろう

私じゃダメなのかな

ずっとそう思ってた

でも、私が好きなその子は、いつも私のことを考えてくれている

迷惑じゃないか、負担にならないか。

それを私は…

 

 

「私、バカだ…()()()()だ…」

「バカ、よう?」

 

 

私は思いっきり千歌ちゃんに飛びついた

 

 

千歌ちゃんは汚れちゃうとか、風邪引くとか、そう言ってたけど、私はそんなことどうでもよかった。ただ嬉しくて嬉しくて。

涙が止まらなかった。私は何回泣けばいいんだろう。でも、この涙なら何度でも流してもいいかもな

 

千歌ちゃん、梨子ちゃん、ごめんね。大好き

 

 

 

 

 

 

本番当日

 

 

次が私達の番

でも、全く緊張していなかった

 

 

「千歌ちゃん、頑張ろうね!」

「うん!」

 

 

もうすぐだ

私達は円になり、右手を突き出す

手首にはそれぞれのイメージカラーのアクセサリー

 

すると、千歌ちゃんが何かを取り出す

 

それは私達が付けているものと同じ、ただ、色は黒

 

 

「千歌ちゃん、それ…」

「うん、りゅうくんの。やっぱり何言われても、たとえ帰ってこなくても、りゅうくんもaqoursの一員だから」

「千歌ちゃん」

「ん?」

「龍は絶対帰ってくるよ」

「曜ちゃん…」

「ほら、アイドルがそんな暗い顔してていいの?」

 

 

龍がよく言ってた

 

 

『アイドルがそんな暗い顔しててどうする。アイドルはお客さんに笑顔を届けるんだ。それができるのがアイドルってもんだ』

 

 

彼は今そばにいない

でも、必ずまたみんなで一緒に…

 

 

千歌ちゃんは大きく深呼吸をする

その表情はまさにアイドルそのものだった

 

 

「さあ行こう!ラブライブに向けて!私達の第一歩に向けて!」

 

「今全力で輝こう!」

 

「aqours!」

『サンシャイン!』

 

 

私、わかった気がする。なんであの時、千歌ちゃんがスクールアイドルを始めようと思ったのか。なんでスクールアイドルじゃなきゃダメだったのか。

千歌ちゃんにとって輝くということは、自分一人でじゃなくて、誰かと手を取り合ってみんなで一緒に輝くことなんだ。

私や普通のみんなが集まって、普通じゃ作れないような大きな輝きを作る。その輝きは聴いてる人や学校中に広がって行く。繋がっていく。

それが千歌ちゃんのしたかったこと。スクールアイドルの中に見つけた、輝きなんだ。

 

 

だから、1人も欠けちゃいけないんだ

 

 

 

 

 

 

届け、私達のおもい

 

 

 

 

 

 

 

 




この作品もとうとうここまできました
残りアニメにして2話。
みなさんもう少しお付き合い願います。
2期の方も10月から始まりますので、それまでには完結したいところです。

次回、aqoursが龍騎を追いかけ東京へ
しかし、衝撃の出来事が…

お気に入り登録や評価ありがとうございます。
また何かありましたらお願いします
それでは今日はこの辺りで失礼します

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