"貴方に永遠の愛を"   作:ワーテル

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みなさんどうも〜、ワーテルです!

今回、龍騎の過去編をやろうと思ったのですが、まだ早いかなってことでまた後々それは書いていくことにします

それでは本編スタート!


付き纏う者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはどこだろう

 

壁は白く、机には紙が散乱している、その他にもいろんなものが置かれている

あの器具は何だろう、初めて見る

 

少しずつ意識がはっきりとしてきた

 

何故か今椅子の上に座らされている

 

隣には母さんがいる

 

なぜ泣いているんだろう…

 

目の前には白い服を着た男の人、そこそこの歳の人に見える

 

隣の看護婦さんの目も赤みを帯びている

 

そうか、ここは病院か

ん?なんで俺はここにいるんだ?

怪我もしてない、どこも痛くない、病気でもない

なんでこんな所にいるんだ?

そしてなんでみんな泣いてるんだ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またあれだ

()()()以来よく見るようになったこの光景

『何夢見てんだ』と言わんばかりか、現実に引き戻すかのように現れる

俺が何かしたわけでもないのにどうして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

りゅうくん、りゅうくん…!

 

 

朦朧とする意識の中で今ではもう聴き慣れた声が鼓膜を揺らす

 

千歌の声だ。俺の大好きな声

 

バカでそそっかしい、それでいて太陽のような笑顔を持つ女の子

 

その笑顔に魅せられて、いつの間にか幼馴染ではなく、1人の女性として意識していた

 

そんな彼女が先ほどから俺の名前を連呼している

 

段々と意識が覚醒していく

 

 

「りゅうくん!起きて!起きてよ!お願いだから…」

「龍!起きてよ!」

 

目を開けると木製作りの天井

起き上がれば伊勢海老のぬいぐるみなどが所狭しと並んでいる

そしてこの柑橘系の匂い

ここは千歌の部屋か、でもなんで…

 

「りゅうくん!」

「龍!」

 

気がつけば幼馴染2人が俺に抱きついていた

俺は倒れそうになりながらもなんとか2人を支える

2人の目からはダムが決壊したかの如く涙が流れていた

 

「千歌、曜、急に抱きついたら危ないだろ?あと、なんでお前ら泣きてんだよ」

「だって、龍、急に浜辺で倒れたんだよ?覚えてないの?」

 

倒れた?

ああ、そうか

俺は千歌達のもとへ行こうと歩き出した途端、急に目の前が真っ暗になってそのまま倒れてしまったんだ

 

「急に倒れて、全然起きない、から、心配したんだよ…このまま目開けなかったどうしよう、って…」

 

しゃくりあげながら話す千歌

 

俺は2人の頭を撫でながら

 

「バカだな、ちょっとめまいがしたぐらいだから、きっと少し疲れが溜まってたんだよ。心配してくれてありがとな」

「ほんと…?本当に何もないの?」

「あぁ、大丈夫だ」

 

2人に向かってできるだけ自然な笑顔を見せる

すると、さっきまで泣いていた2人はさらに泣いた、今度は嬉しそうに、時折笑顔を見せながら

 

今はまだ言えない

この2人にはずっと笑顔でいてほしい

 

そして何より、今言ったところでaqoursはどうなる?

きっと今までのように、とはいかないだろう

俺が彼女達の足を引っ張るわけにはいかない

それに俺にはまだやることがある…

 

 

「そういえば、梨子達は?」

「梨子ちゃん達なら志満姉に1回家に帰りなさいって言われて帰ったよ、梨子ちゃんは後で来るって言ってたけど」

「みんな海に浸かって、あのままじゃ風邪引いちゃうからね」

「ところで2人は服がそのままだけど…」

「「あっ」」

「はは、相変わらずだなお前らは。俺は下に行って志満さんに挨拶してくるから着替えなよ」

「「はーい!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こっちに来てから何もなかったのに…

どうして急に、いや、これが必然なのか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「志満さん、ご迷惑かけました」

 

深々と頭を下げ、謝罪の言葉を述べる

 

「いいのよ、でもよかった、何もなくて。千歌ちゃん達のために色々やってくれてるって聞いてるけど、あまり無理したらダメよ?」

「はい、肝に命じておきます」

「これからも千歌ちゃんのことよろしくね?」

「はい、絶対成功させて見せますよ」

「ふふっ、そういうことじゃなくて、これ」

 

そう言って志満さんは俺に小指を見せてくる

 

「な、何言ってるんですか?!別にそんなんじゃないですよ」

「あら、そうなの?龍騎くんなら大歓迎なのになぁ〜」

 

こんなおっとりした顔しておいて、かなりエグいこと言うな

まあ、そうなれるなら俺も嬉しいんだけど…

 

「昔は『千歌ちゃんと曜ちゃんと結婚するんだ!』って言ってたのにね〜」

「わー!そんな昔のこと思い出さないでくださいよ!」

 

この人やっぱ恐ろしい

敵に回したらヤバイタイプだ

 

「ごめんくださーい」

「あら、梨子ちゃんいらっしゃい、千歌ちゃんなら部屋に…」

「梨子!いいところに来た、さ、早く千歌達のところに!」

「え、ちょ、ちょっと〜」

「あらあら、本命は梨子ちゃんかしら」

 

 

俺は梨子の手を引っ張り、志満さんから逃げるように立ち去る

志満さんが何か言っていた気がするが、よく聞こえなかったので気にしないことにしよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで2人ともそんなに息切らしてるの?」

「だって、龍騎くんが手を引っ張るから」

「ごめん梨子、ちょっと訳あって…」

 

2人はものすごい勢いで私の部屋に入ってきた

それも手を繋いで…

それを見た時、なぜか胸が痛む感じがした。

 

「もう…でも、元気そうでよかったわ、心配したんだからね?」

「ありがとう、もう大丈夫だから。あと、手ごめんな」

「あ、うん…」

 

そっか私、梨子ちゃんに妬いてるんだ

嫌だな、別にりゅうくんは千歌のものってわけじゃないのに

友達に対してこんな…

 

「千歌ちゃん!千歌ちゃんってば!」

 

「えっ?何?」

 

「もう、聞いてなかったの?」

 

「ごめんごめん、ちょっとぼーっとしてて」

 

「ははは、千歌らしいな。あのな、今度の夏祭りはどうするんだ?って話。流石にライブやった後だし、少し気持ちの整理も必要かなって思うけど、どうする?」

 

「んー、私は出たいかな、今の私達の全力を見てもらう。それでダメだったらまた頑張ればいい。それじゃダメかな?」

 

「やっぱり千歌ならそう言うと思った、お前がそうするって言うなら、俺は全力でサポートするよ。2人もいいだろ?」

 

「ええ、もちろん」

「ヨーソロー!賛成であります!」

 

 

りゅうくんはいつも私を、私達を応援してくれる

そんな彼の優しさに私は惹かれたんだ

 

「うん!ありがと!みんな」

 

 

やめよう、こんな嫌なことは

こんなの私らしくない!

りゅうくんと、みんなと一緒にスクールアイドルを頑張るんだ!輝きたいんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていつか、こんな普通な私だけど、りゅうくんにふさわしい人になって、この想いを届けられるといいな…

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

あの後すぐ解散となり、今は曜と一緒に志満さんの車に乗せてもらって帰っているところ

 

いつもと変わらない海沿いの道をひたすら走る

何も変わらない日常こそ素晴らしいと思う

そんな毎日変化されたらこっちはついて行くだけで疲れてしまう

本当に内浦はいい所だ

ただ、1ついつもと違うのは…

 

「曜?元気ないな、どうした?」

 

曜が無言なこと

いつもなら元気よく話してくるのに、今はそれがない

具合でも悪いのだろうか…

 

「龍…」

「ん?」

 

深刻そうな声で話しかけてくる

 

「龍は私達に何を隠してるの?」

「えっ?」

 

俺は曜の質問の意味がわからなかった

 

「去年龍が東京から帰ってきた時、何もかも自暴自棄になってたでしょ?

あまりに変わり果てた龍を見て私と千歌ちゃんはね、何かしてあげたいって思ったんだ。力になろう!って。」

 

 

去年…

東京で()()を告げられて以来、俺は何をするにも気力が湧かなくて、全てのことが無駄に思えた

だからギターもやめた、勉強もやめた

いっそこのまますぐに死んでしまおうかと思った

ただその時、満生に、環境を変えてみたら何か変わるかもよ、と言われ内浦に帰ってきた

そして幼馴染2人と再会した

2人は素っ気ない態度をとる俺にも以前と変わらず接してくれた

今の俺があるのは、母さんもそうだし、満生や千歌、曜、aqoursのみんながあるおかげだ

 

 

「最初は龍に避けられてるような気がして辛かったけど、でもやっぱり大切な人だから助けたい!って思った。その願いが届いたのかはわからないけど、少しずつ龍が変わって、いつもの優しい龍に戻ってくれた。」

 

 

俺はみんなの助けがあってあの暗い闇の中から出られたんだ

あの悲しみと憎しみに満ちた闇の中から…

 

 

「私と千歌ちゃん、すごく嬉しかった。龍が前みたいに私達と接してくれるようになって。でも私達さ、何で龍があんな風になったのか、龍から直接聞けなくてさ、おばさんからは、学校で揉め事があったから、って言われたけど、本当にそうなの?」

 

 

曜は何が言いたいんだ?

なんで今になってそんなことを…

 

 

「今日倒れたのだってその時のことと何か関係があるんじゃないの?龍が私達に心配かけないようにって嘘ついてるんじゃないの?!」

 

 

曜の語気が強くなる

俺は少し驚いたが、いつもの調子で…

 

 

「考えすぎだよ、あの頃は本当に学校で揉めて東京に居たくなかったし、今日倒れたのだって少し疲れてたんだよ。」

「そっか…」

 

 

この後、俺と曜が口を開くことはなかった

 

 

隣に座る曜の悲しげな表情に見ると、目を背けることしかできなかった

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が家に帰った後やったことは3つ

 

○母さんに今日あったことを話した

○病院に行った

○人生で初めて歌詞を書いた

 

 

1つ目は志満さんから話がいってたみたいで説明することは少なかった。めっちゃくちゃ心配されたが…

ただ、俺のやりたいようにやってくれればいい、そう言ってくれた

 

 

2つ目は今回の原因が何なのかを調べてもらうために行ったのだが、どうやら俺に()()()()()が原因だとは言い切れないようなので、結局疲労の蓄積ということで1日安静という判断が下された

 

 

3つ目

今日はaqoursの練習もなかったから元々今日やることにしていたこと

ただこれはaqoursの為の歌詞ではあるが、今度の夏祭りの為とか、ライブの為に、と書いているものではない

俺がただ単純に千歌達のために書いている曲

今後輝き続ける6人、いや、9()()に捧げる俺の想い

これをどう使うか、それとも使わないかは彼女達に任せる

 

何か1つでもaqoursの為に残せたら、と俺はペンを走らせる

 

 

 

時間はもう残されてないが、俺は俺にできる精一杯をaqoursの為にあいつらが輝けるようにやり遂げてみせる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回書いてて思ったんですが、この話いりますかね?(^^;

でも龍騎のことに関してだいぶ触れたので彼がどういう状況に置かれているのかだいぶ明らかになったのではないでしょうか

さて!話は変わりますが…
『夏の終わりの雨音が』切なすぎませんか!?
聴いてて悲しくなりますよ、いい曲ですよ、ほんともう…

次回はまたアニメの方に沿って『未熟Dreamer」回です!
鞠莉ちゃんと果南ちゃんのシーン、一期の中で特に好きなシーンなので気合い入れて書きます!(うまく書けるかは微妙ですが…)

お気に入り登録してくれた方ありがとうございます
また感想、評価等お待ちしてます
梨子ちゃんの自己紹介は次回ちゃんと書きます…

それではまた次回もお会いしましょう!

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