はっきり言ってかなり設定適当な自己満小説です。
それでもいい方は楽しんでくれると嬉しいです
世の中の人間の約8割がなんらかの"個性"を発現する、超常黎明期。この時代においてヒーローとはありふれた存在だ。
そして個性を使い悪事を働く
「円、ご飯だってさ」
部屋の扉を開けて円を呼んだのは、円を引き取ってくれた拳藤夫妻の娘であり、幼馴染と呼べるであろう拳藤一佳だ。
円の両親は指定暴力団の組長を務めていた
その後、円は
一佳とはその頃からの付き合いだ。つまり、10年間一緒に育ったとゆうことになる。
だからだろうか、一佳は円に遠慮などなかった。休日の朝を怠惰に過ごそうと布団に丸々っていた円の布団を無情にも剥ぎ取る。
「おい、やめろ一佳。おれはまだ眠る。休日くらいもっと寝かせてくれ」
「休日だからって怠惰な生活しない!もうすぐ雄英の受験も控えてんだよ」
私立雄英高校。倍率驚異の300倍をほこるヒーロー科を要する、難関校。ヒーローになるなら雄英卒業は必須とまで言われ、事実数多くのヒーローを排出している。かの有名なNo. 1ヒーロー、オールマイトも雄英出身だ。
円と一佳はその雄英高校ヒーロー科を受験する。今の世の中恐らく最も多いヒーロー志望の少年少女の1人だ。
「はっきり言っておれと一佳なら雄英のヒーロー科だって余裕だろ。だから寝かせて」
「そうゆう油断が命取りになるんだよ!だから起きろ!」
殴られた。布団を剥ぎ取られた上に殴られる。円にとって最悪の目覚めだった。
▽ ▽ ▽
「お、起きてきたか。おはよう円」
「おはようございます」
起きて下に降りると、新聞を読み朝食をとる一佳の父がすでに卓についていた。キッチンには一佳の母もいる。
円は一佳の母にも挨拶をし椅子に座り朝食をとる。隣にはいつものように一佳が座っている。
「2人とももうすぐ高校生か。早いもんだな」
「無事に合格できればですけどね」
「さっき、余裕だって言ってのはどこのどいつだよ」
「ハハハ、まぁ僕も2人が落ちることは心配していないよ。雄英のヒーロー科だってきっと2人なら合格できる、頑張れよ」
一佳の父の言葉に返事をして頷き。食べ終えた朝食の食器をキッチンに持っていく。
そして、着替えて外に出てからが休日の日課の始まりだった。
休日は、必ずのように円と一佳は組手をする。 "個性"ありきで戦うヒーローも多い。しかし、"個性"によっては自分の身体能力で戦わなきゃいけない場合もある。円にしろ一佳にしろ個性以外でも戦える能力は必要だった。
円の軽いジャブを一佳は軽く体をそらすだけで避ける、さらに避けつつも反撃してくる。反撃してきた腕をとって一本背負いの容量で投げる。だが、受け身をとってすぐに起き上がってくる。
この、訓練は30分あまりも続いた。
「最近全く円に勝てないんだけど」
「まぁ、仕方ないな。おれは強いし男だ。筋力差だってある」
「あんた自分で強いって…。確かに強いだろうけどさ」
円も一佳も幼い頃から体を鍛えてきた。すでに相当高い身体能力を有している。さらに個性を合わせれば戦闘能力はさらに上がる。幼い頃から鍛え続けた自負、これが円の自信だ。
「まぁ、とりあえず一佳も十分強い。それでいいじゃん。終わったことだしささっと汗流してお使い行ってこようぜ」
「はぁ、あんたは何ていうか楽観的だよね。シャワー先使っていいよ。私、柔軟してからにするから」
「あいよー、しっかり体ほぐしとけよ」
いつもならばもっと長くなってもおかしくはない2人の訓練だが今日は一佳の母に頼まれたお使いがあった。お世話になっている手前これを断ることはできない。
「ササっと、シャワー浴びちまうか」
独りごちて円は浴室へと向かった。
▽ ▽ ▽
「ほんじゃあ、行きますか」
2人が汗を流し、私服に着替え玄関前に集まったのは訓練終了から30分後だった。
「まぁ、買い物って言ってもそこまでのものじゃないしさっさっと済ませよっか」
近くのスーパーまで行って夕飯の食材を買う。頼まれたのとてもありきたりなお使いだった。
「この買い物リストから察するに今日の夜はカレーかな」
「まぁ。がっつりカレールーって書いてあるしね」
「わかんねーだろーが、もしかしたらカレールーは今日使わねえかもしれないだろ」
「そこは別に突っ込んでこなくてもよくない?どうせカレーだろうし」
「まぁ、カレーだろうな」
いつものように適当なことを話しながらスーパーまで行き、リストにあるものを買い物かごに突っ込んでいく。
「あらあら、今日もふたりでお買い物?相変わらず仲がいいわねぇ」
そう言ったのは近所に住んでる顔馴染みのおばあさんだ。円と一佳はよく一緒にいるのでこういったことを言われるのは日常茶飯事だ。
一佳は容姿も整っているし、性格も良い。だから相当モテるのだが円と付き合っているとゆう噂が立ちまくっているため、中学の男子の円へのヘイトはとんでもないことになっていることを、一佳は知らない。
「いやいや、そんなことないです。ただのお使いなんで」
「そ、そうですよ!いつもいつもただのお使いですから!」
「何でお前照れてんだよ」
「うっさい!照れてないから!」
おばあさんはこのやり取りをみてものすごい生暖かい目をしながら円たちから離れていった。
「いい加減、毎回毎回言われて照れたりすんのやめない?」
「うるさいって言ってんでしょ!」
殴られた。今日はどうやら円にとって厄日のようだ。
▽ ▽ ▽
それが起こったのは買い物を終えていざ帰ろうとしたときだった。
「おい!金をこの袋につめろ!ありったっけ全部だ!」
強盗を働くチンピラの
「なんかほんとに今日は厄日だな」
「何言ってんのよ、てかあんた気づかなかったの」
「"個性"使ってないんだから気づかないでしょ。ちょっと、その使えないなぁみたいな目やめてくれない」
「だって、使えないじゃない。それで、どうするの」
「多分警察にしろヒーローにしろすぐに来る。おれたちが勝手に手を出すこと自体が悪手だ」
「なら、とりあえずは傍観してるってこと?」
「状況を見てだな。今は傍観でいいだろ。"個性"使うわけにもいかないしな」
一佳は「それは、そうだけど…」と納得していない様子だ。だが、"個性"を勝手に使うこと自体が違法だ。それでは
もし、これを解決したければ"個性"を使わずに解決するか、何かしらの方法で
「この状況で、できることは限られてる。何かしたいのはわかるがひとまず冷静になるべきだ」
「そうね、一旦落ち着かないと。ふぅ……。それで、どうするの」
「できることは2つ。個性を使わず無力化するか、あの
「どっちもかなり危険じゃない」
「だな。相手は銃も持っているし、"個性"もあるはずだ」
「お前たち!うるさいんだよ!!」
ひそひそと小声ではなしているつもりだったが
強盗はかなり錯乱している様子だ。もうそう猶予もないだろう。
「一佳、おれが意識をそらす。お前あいつを無効化してくれ」
「ちょっと!危険だって!」
「大丈夫だ。いざとなったら"個性"も使う」
「それでも…」
「おれだって怪我はしたくない。入試も近いしな。でも、「ほっとけない、でしょ」ほっとけない」
円の言葉に一佳が重ねてくる。10年近く一緒に暮らしてきた幼馴染だ。一佳はよく円を理解していた。
「わかった!私だってほっとけない。その代わり、絶対怪我しないこと!わかった?」
「あぁ、わかった。頼んだぞ一佳」
一佳が頷くのを確認して円は両手を上に上げつつ前にでた。
「おい!動くんじゃない!!」
さらに1発天井に銃弾が撃ち込まれ周りから悲鳴が上がる。
それでも円は恐れることなく両手を上げたまま前に進んだ。
「こんな騒ぎを起こしてるんだ。すぐにヒーローか警察がくる。あんたは逃げられない。これ以上罪を重ねる前に銃を置いて投降しろ」
「うるさいって言ってんだろ!!有象無象のヒーローも警察もどうとでもなる!早く金を詰めやがれ!!」
興奮している。おそらくはなんらかのドラッグ。しかも"個性"をブーストできるタイプのものだろう。あの強盗は明らかに自分の力が大きくなったことを確信しているようだった。
(さて、一佳はもう移動したようだしあの銃さえどうにかなれば"個性"なしでも抑えられる可能性は高まるんだが、あの状態で説得するのは不可能だろう。どうするか…)
円にしろ、一佳にしろ素の身体能力は"個性"ありの相手とも戦えるレベルだ。
現に"個性"を使ってきたチンピラ
それでも銃とゆう武器は脅威だ。たいした距離もないこの状況で銃弾を避けるなんて芸当は円には不可能だった。
円が次の一手を繰り出そうとしたときだった。
「うえぇぇぇぇん!!!!」
子供の泣き声が響く。この状況に耐えることができなかったのだ。おそらく親であろう女性が子供を必死に抱き抱えかばっている。
「うるさいって言ってんだろうが!!!」
何かを考える前に体が動いた。一佳もほぼ同時に動き出す。個性"を発動させ巨大化した手で子供を親ごと覆い隠した。
円も、"個性"を、発動させる。
円の個性により衝撃が増加させられた掌底は一撃で強盗の意識を刈り取った。
▽ ▽ ▽
それから、ヒーローや警察が駆けつけたのは5分ほど経った頃だった。
事情も説明したしさて、帰ろうかと思ってたところに駆けつけたヒーローの1人が円の襟首を掴んだ。
そのまま円と一佳をスーパーにある休憩室のようなところに連れて行き座らせる。
怒られるのかなあ、と想像していると、
「君たちは一体何をしたのかしっかり理解しているのか!!」
案の定怒られた。しかも、かなりの剣幕で。
だが、"個性"を利用して犯人を無効化したことには理由がある。円は反論をしよう、と言葉を出す前に、「すいませんでした」と、一佳が頭を下げた。
「ほら、あんたも謝る!」
さらに、円の頭を押さえて下げてくる。
「ぐっ、すいませんでした…」
「確かに君たちが行動したことは賞賛に値する。勇気ある行動だ。だが、同時にとても危険な行動でもある」
このヒーローの言葉に円はついに反論することにした。
「勝算はありました。犯人はおそらくドラッグか何かを打っていて興奮しているようでしたし、あのまま放置するのは危険でした」
「確かにそうかもしれない。だがなぜ、君たちが動かなくてはいけない。じっと待っていることもできただろ」
「もともと犯人を無力化するつもりまではありませんでした。どうにかヒーローや警察が到着するまで犯人の意識を逸らそうとしただけですよ」
「そして泣き出した子供が狙われそうになって仕方なく無力化した、と」
この言葉に円も一佳も頷く。そして、一言。
「「考える前に体が動きました」」
この言葉を聞きヒーローが頭を押さえて上を向く。まさに、あちゃーと言わんばかりの動作だ。
「君たち、2人ともヒーロー志望?」
この質問には円よりも先に一佳が答えた。
「はい、そうです」
「だよな。どうしてこうヒーローになりたいって連中は…」
円は「あんたもヒーローだろうが」と言いたくなったがこれは流石に飲み込んだ。
「有名になるヒーローってのは考える前に体が動くんだってさ。とりあえず、今回は君たちのおかげで助かったんだ、ありがとう」
「いえ、こちらこそすいませんでした」
有名になるようなヒーローたちは有名になる前から逸話を残す。そして、「どうして?」と聞かれてこう答えるらしい。「考える前に体が動いた」、と。
お礼を告げてくれたヒーローにもう一度頭を下げて2人で帰ろうとしたとこで、後ろからさっき泣き出した女の子が走ってくる。
「どうしたんだ?」
円と一佳がしゃがんで女の子と目線を合わせるて聞くと女の子が答えてくれた。
「おにーさん、おねーさん助けてくれてありがとう!」
ぺこりと、擬音がつきそうなおじぎと一緒に言われた感謝の言葉。円と一佳は顔を合わせて最高の笑顔で女の子に声をかけた。
「「どういたしまして!」」
事件には遭遇するし、ヒーローには怒られたし、たくさん殴られたし間違いなく今日は厄日だろう。しかし、頑張ったご褒美に小さな女の子の笑顔が守られたならそれでチャラだな。円はそう思いつつ幼馴染の少女とともに帰路についた。
▽ ▽ ▽
「やっべぇ!お使いのこと忘れてた!」
そのあと、急いで別のスーパーまで行きお使いをすましたのはまぁ、別の話だろう。
いかがだったでしょうか?ただただ拳藤さん出したかったが為にこんな感じになりました。
一応主人公の設定置いときます。
円城 円(えんじょう まどか)
性別 男
年齢 15
身長 173センチ
好きなもの 家族 拳藤夫妻 拳藤一佳 おにぎり
個性 絶対領域
自分を中心に最大半径30メートル程度の球状の空間を設定。その領域内にあるものは完全に把握できる。
また自分の起こした攻撃や衝撃を増幅し領域内に拡散、放出することが可能。
あくまで球状にした場合の最大が半径30メートルであり、空間を変化させることである程度範囲を広げることもできる。
この個性は多くのものを把握する性質上かなりの集中力が必要であり、使いすぎると吐き気や頭痛を催す。