今回は次話の伏線張りになってしまいましたあ〜!
まあ、詳細は伏せますが楽しみにしといてください。
感想、評価お気に入りよろしくです!
この世界に存在する大まかな種族について説明しておこう。
まずは人間。
この世界に於いても人間は最大多数を占めている。
今、晋介達がいる東の国の住人も八割方が人間である。
人間の特徴としては、体力的な能力で言うと最弱レベルであるが、知性や集団行動が飛び抜けて高度である。
そのため文明や戦闘技術が大いに発達し、この異世界でも最大の勢力を誇れている。
しかしながら、個々の能力だけで言えば人間を軽く上回る存在が多数存在している。
魔女
これまでに幾度となく晋助の前に現れた存在である。
この種族は体内に魔力を保持しているため生まれつき魔法を用いることができる。
個体差はあるが知能も人間並みに高いため、戦闘能力も高いことが多い。
しかし、協調性に少し問題があり、組織だった行動が苦手なことが多い。
エルフ
これは、エイラが当てはまる種族。
精霊術に長けていることが多く、知性は人間よりも高い。
寿命も長く、200歳ほどまではなんなく生きるらしい。
基本的には戦闘を好まない種族であるが、霊力や古の神聖術と呼ばれるあまり知られていない力によって戦闘を行うので戦闘能力は高いと言える。
デーモン
エルフとは対極に位置する種族である。
ここ東の国にはエルフが多く居住しているのだが、デーモンは西の果てに多く生息している。
好戦的で粗野な性格の持ち主が多く、知性は低い。
だが、体力面では突出して優れている。
魔力を魔女ほどではないが保有している。
獣人
非戦闘状態であれば人間と何ら変わらない容姿をしていることが多いが、いざ戦闘になると異形の姿へと変貌する者が多い。
身体能力の高さや精神力のタフさは群を抜いている。
竜人
古代から最強を誇る種族。
個体数は少なく、世界に於いても十人ほどしかいないとされる。
戦闘能力はずば抜けて高いが、知性や悟性も尋常ならざるほどに高く、戦闘を好まない。
仙人のような極地にたどり着いた者にしか与えられない種族だとも言われているが、謎が多い。
以上の種族がこの世界における主な種族である。
エイラは完全なエルフの純血種なので外見的には二十代に見えているが実は百歳を超えているらしい・・・。
エルフの見た目の美しさと若々しさには霊力が関係している。
霊力を使いこなせるようになると見た目の年齢は基本的に自分の自由になるらしい。
それはハーフエルフもほとんど同様で、エルフほどではないが見た目を若々しく保つことができる。
ステラは特にそれが得意でステラ自身本当の年齢は教えてくれ無いが、はじめ五歳児の見た目だったのは自分の若々しさの限界がその年齢だったから。
修行代わりにその姿を維持していたらしい。
しかしではなぜこの前からステラの見た目年齢が上がったのかというと、興奮すると霊力のコントロールが乱れて、すこし年を取ってしまうのだそう。
俺的にはずっとそっちの方が良いんだけどなー・・・。
ステラにそのことを伝えると、目を輝かせて飛びついてきて、ホント大変だった・・・。
そんなことをベッドの上で一人考えていると、コンコンというノックが聞こえる。
俺は「はーい、あいてますよ。」と返事をすると、ドアが開く。
顔を覗かせたのは案の定というかステラだった。
ここ最近は一緒に寝ることが多い。
この世界に来てからの俺の成長がすごすぎる・・・。
ステラは後ろ手にドアを閉めタタッと走り寄って仰向けになっている俺の胸にダイブしてきた。
「グエ!」
「あはは、大丈夫か?晋介。」
「お前なー、死んだらどうする。」
「大丈夫!私の霊力で生き返らせてあげるから。私の奴隷として!」
「嫌だよ!」
「うそうそ、冗談だよー。そんなことするわけ無いだろー?」
そんなことを口走りながらほっぺたを俺の顔にスリスリしてくるステラ。
ぷにぷにですべすべな彼女のほっぺは商品にしたら百万ドルに相当するであろう(俺調べ)
まあ、このほっぺは誰にもあげないけどね!
俺はスリスリしている彼女のほっぺをムニーと引っ張りながら言う。
「で、なんだよ?ステラ。何か用があんのか?」
「いーだーいーはなしてー。」
「ああ、ごめんごめん。ついやりたくなって・・・。」
「べつにいいんだけどさ・・・。」
涙目になりながら頬をさするステラ。
かわいい・・・。
俺は庇護欲をそそられて彼女の頭を優しく撫でてあげる。
すると、涙目ながらうれしそうにほほえむステラ。
「ふふ、気持ちいいわねこれ。」
「そうか?」
とは言いながら密かに頭ナデナデには自信を持つ俺。
エマやペナの二人に散々やってきたので熟練度が上がっているのかもしれない。
心の中でドヤ顔しているとステラが満面の笑みでこちらを見つめているのに気づいた。
「なんだよ?」
「私はあの二人とは違ってこんなことではごまかされないわよ?」
「え・・・。」
ステラは俺にバチコーンとウィンクを決めてくる。
バカな・・・俺の頭ナデナデが通用しないだと・・・?
俺のそんな情けない動揺を察しているのかステラは不敵に笑いながら口を開く。
「私のほっぺをつねった罪は重いわよ?」
「な、何すれば良いんだよ?」
「そうね・・・。私と二人きりで一夜を過ごしてもらうって言うのはどう?」
「そんなの最近はほとんど・・・。」
「いいえ、そういうことではないの。今から二人きりの世界に行くわよって言う意味よ。」
「え!そんなことできるのか。」
「ええ、余裕よ。じゃ、さっそく・・・。」
「ま、まて!まだ心の準備が・・・。」
そんなとき、ドアがものすごい勢いでぶち破られる。
「「また、二人で何やってんのよー!」」
憤慨したいつものペナ、エマの二人が部屋に突撃してきた。
毎度毎度すごいタイミングで突撃してくるなこの二人は。
驚いている俺とは対照的に、ステラは二人の来訪を予見でもしていたのか落ち着いた様子で二人を見やる。
「またな、二人とも。明日会おう!」
そう言うと俺とステラは明るい光に包まれ出す。
エマとペナは全力でこちらに走ってくるのが見えたが、その一瞬後には、知らない場所に立っていた・・・。
「どこだ、ここ・・・。」
自然と声が漏れる。
ステラがこちらにいたずらっぽい笑みを向けてくる。
「ふふふ、私のお気に入りの場所よ。綺麗でしょ?」
「ああ・・・綺麗だ。」
今俺の目の前には夜空に浮かぶ大きな満月の光をその水面に反射する綺麗な湖が広がっている。
さざ波が岸に寄せる音。
月明かりが揺らめく湖面。
ぐるりと囲む新緑の木々。
あまりに神秘的かつどこか懐かしいその風景に俺は胸を打たれ、息をのんでいた。
しばらくして、ステラが呆然としている俺に向かって話しかけてくる。
「晋介。」
「ん?」
「勝手にこんなところに連れてきてごめんね?」
珍しく申し訳なさそうな表情のステラ。
俺は笑いながら彼女のおでこをつんと人差し指で突く。
「ばーか。怒っちゃいないよ。むしろこんな綺麗なところに連れてきてくれてありがとうな?」
「うん・・・。」
俺は少しばかりの気恥ずかしさを押し殺して自分の素直な気持ちを彼女に伝える。
彼女はうつむきがちにこちらを見つめている。
いつもと異なる殊勝な態度にドキッとさせられる。
ホント心臓に悪い。
俺はこの空気を打破するために話題の転換を試みる。
「で、ステラ。この後どうすんの?まさか野宿とかじゃないよな?」
ステラは顔を上げ、んん、と咳払いをして表情を引き締める。
「ええ、勿論よ。こっちに来て貰えるかしら?」
そう言って俺の前をスタスタと歩き去ろうとするので俺は慌てて彼女の後ろをついていく。
木々の間を抜けると、綺麗な砂浜に出る。
彼女は迷いのない様子で砂浜の上を歩いて行く。
風になびく銀髪にほのかな月明かりが反射してステラがキラキラと光って見える。
俺はそんな現実離れした彼女の美しさに引きつけられるよにして彼女の後ろをついていった。
歩き出してから五分ほどで目的地に到着した。
ステラは歩を止め、こちらを振り向く。
「晋介。目的地はここ。着いたわ。」
「ここか。すげーな。これお前のなのか?」
「ええ。そうよ。」
しれっと何でも無いかのように言う彼女。
しかし、湖の畔に突き出すようにして建つその木造のペンションはかなり高級な物に見える。
お金持ちが別荘として持っていそうな感じだ。
こんな年端もいかない見た目の彼女がこれほど立派な建物を所有している事は異常なことなんだろうけどな・・・。
この世界に来てから異常なことを経験しすぎたのかあまり驚かなくなってきている自分に驚く。
彼女に連れられるままに玄関へと続く階段を上る。
ドアの前で彼女は立ち止まり、小声で何かを詠唱してからドアノブに手をかける。
「どうぞ、私の家へ。」
「お、お邪魔します。」
俺はかしこまる彼女にすこし照れながら中へと足を踏み入れた。
「おお、すげーな。」
「でしょ?」
ニシシと自慢そうに笑いかけてくるステラ。
俺もそれに笑みで返しながら部屋に目を配る。
暖かな雰囲気の木目調の内装。
高く、開放感のある天井。
大きなソファーや、テーブルなどの家具がそれらとうまく調和をなしている。
そしてなんといっても目を引くのが湖を見渡せるほどの大きな窓。
湖と月を独り占めにできる贅沢な作りになっていた。
俺は部屋の真ん中にあるソファーに身を沈めて息を吐く。
「ふー、すげーなここ。現実感がねえ。」
「ふふ、そうでしょ?うっとりしちゃうでしょ?」
そう良いながら俺の横に腰掛けるステラ。
座ったときに彼女のいい匂いがフワッと香る。
肩と肩が触れあうほどの至近距離ですこし緊張する俺。
横目で彼女を伺うとこちらを見つめているのが分かる。
慌てて顔を前に向ける。
だが、彼女はそんな俺の動揺を見逃してくれるわけもなくクスッと蠱惑的に笑いかけてくる。
「あれ?晋介、どうしたの?顔赤いわよ?」
「うるせ。お前こそ近すぎなんだよ。」
「そう。もっと近寄ったらどうなっちゃうんだろうなあ。」
「おい。まじでやめろ。俺がもたねえから。」
「ふふふ。それじゃあやめとく。」
ステラは実に楽しそうに笑ってから体を少し離してくれる。
こんなに楽しそうなステラも珍しい。
まあ、俺も少しテンション上がっていることは否めないが・・・。
だって、こんな美少女と二人きりでお泊まりなんだもの。
楽しみじゃないわけがない!
だが、だからこそ、自分をできるだけ冷静に保つことが必要だ。
彼女の好意を踏みにじる事だけはしてはならない。
そう自分を戒めてから、改めて彼女に向き直る。
「ステラ。」
「うん?」
かわいい声で反応する彼女。
いつもより優しい声音が俺の鼓膜を振るわせ、一瞬理性のたがが外れそうになる。
おい、落ち着け、俺!
さっきの戒めはどうした。
なんとか、自らの理性によって性欲をコントロールして、話の続きを切り出す。
「この場所って結局なんなの?二人きりの世界って言ってもさすがに異世界ではないでしょ?」
異世界を作り出せるとしたら、それこそステラは神様のような存在になってしまう。
そんなことはないだろうとは思うが念のために聞いておかねば。
油断は禁物だ。
この世界は基本的に何でもありだからな・・・。
ステラはうーん、と首をかわいくかしげながら思案顔である。
何、そのかわいい仕草。やめて。惚れちゃうからやめて!
彼女はそんな俺の内心など気にもしないで質問に答え出す。
「さすがにこの私でも世界を一つ作ることは不可能だわ。」
「まあ、そうだよな。」
これでイエスって言われてたら俺はステラ神をあがめていた自信があるぞ・・・。
とりあえず、異世界の異世界ではないことは確認できたのでよかった。
だが、まだ問題の核心は解決していない。
おれはその疑問を解決するためにもう一度同じ質問をする。
「じゃあ、ここは結局何なの?」
ここに来てからこのペンション以外に人の気配を感じる建物は一切無く、人が足を踏み入れた形跡すらも感じられない。
自然のありのままの姿が広がっているばかりだ。
そんな前人未踏の大自然なんてこの現代に於いてそれほど残っている物だろうか。
じゃあ、ここはどこなんだ?
そんな俺の思いをすべて詰め込んだ渾身の質問だった。
ステラはふむと少し考え込むような仕草で自分のあごに触れる。
「この森の名前は太古の森。この世界で最古の森林よ。ここには人がいない。いるのはただ精霊のみ。」
「精霊しかいないのか。」
「ええ、そうよ。特殊な結界によって誰も立ち入ることができなくなっているの。」
「俺たち入っちゃってるんだけど。」
「私と一緒だから大丈夫なのよ。この結界の構造を知っている者は私を含めて世界に三人しかいないの。だから、あなたがこの森に入れていることは奇跡なのよ。感謝なさい?」
「ほーん、そんなにすごいことなのか。しらんかった。」
「リアクション薄いわね。」
「そりゃあな。すごいことなのは分かるが実感がねーし。それよりも、入れる三人って誰なんだ?」
「えっとね。私とエイラ、そしてもう一人の男だけよ。」
「エイラは分かるがもう一人の男って言うのはだれだ。」
「・・・私の父よ。」
「ステラの父さんか。納得だな。お前ら一家でこの森を守っているんだな。すげーよ。」
俺は彼女の態度の変化に気づかないままにそんなことを口走る。
ステラは少しうつむき目を伏せる。
「いいえ。父はもうこの森に携わってもいないし私たちとも縁を切ったわ。」
「え・・・!なんで・・・いや、やめとこうか。お前にとっては話したくないことだろうし。」
「ええ、そうしてくれるとありがたいわ。」
儚げな笑みをたたえるステラ。
俺は彼女の顔を見ていられず目を背ける。
彼女の悲しさやつらさが伝わってきてしまってとても見てはいられなかった。
彼女はそんな気まずい空気を切り替えるように明るい声音で言う。
「ま、気にしなくてよし!今はこの森に私たちしかいないことが分かればいいのよ。」
「お、おう。わかった。」
「じゃあ、そろそろ寝ましょ?」
「お、おう。」
俺は彼女に連れられて寝室に案内される。
寝室のベッドを開けると、案の定一つしかベッドが無い。
まじでー。
「あの、ステラさん?」
「うん?」
「ベッド一つしか無いんですけど・・・?」
「ん?当たり前でしょ?」
真顔で返してくるステラさん。
いや、俺が間違ってるの?俺が反応しすぎなの?
わかんない。わかんないよ。助けて、母さん。
こうして、俺とステラの夜は更けていった。
いかがでしたか?
まあ、ただいちゃいちゃしてるだけじゃねーか!
という厳しいご指摘が聞こえて来そうです。
まあ、ゆるゆるとした気持ちで読んでください。
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