戦闘シーンを今回がんばりました。
それにしても書きたい女の子がたくさんいすぎて困りまくりな今日この頃です。
駄文ですがどうかおつきあい願います。
では、楽しんでお読みください。
シンと静かな空気 苔むす木々に岩 穏やかでしっとりとした風
まるでベールにでも包まれたかのような、まどかな光で充たされた空間
そこに銀髪の少女が一人
幻のように森と調和をなしている。
たなびく銀髪、ゆれる白い裾
森に愛され、風に愛され、光にさえ愛されている。
そう感じさせるほどに、すべてがどうにもしっくり来るのだ。
少女は言う、精霊使いとしての資質とは愛である。
あの少女は愛を持って森と対話している。
だから、彼女は愛されているのだ。
愛する者が愛される。
彼女がそう教えてくれる。
彼女が振り返り、青い瞳がじっとこちらを見つめる。
視線と視線が交錯する。
磁力でも働いているかのように惹きつけられ目が離せない。
彼女の口元が軽く開き、次の瞬間、言葉を吐き出した。
「あんた、何じっと見つめてんのよ!キモ!まじできもいんだけど。」
台無しである・・・。
いつものステラに戻ってしまった。
さっきまでの幻想的な雰囲気なんて散り散りに霧散してしまっている。
今の彼女は愛?はあ?頭沸いてんじゃないの?とでも言いそうな感がある。
どん引きしていることを表していた半身引いた体を元に戻し俺と正対する。
ステラは少し腰を落とし、勝ち気な笑みを浮かべ、人差し指でチョイチョイと挑発する。
「どうでも良いけど早く掛かってきなさい?のしてあげるから。」
見た目は五歳児の彼女がやるとどこか間の抜けた感が否めず、つい吹き出しそうになるがなんとかこらえる。
だって、笑ったら絶対フルボッコにされるんだもん
まあ、どうせ今から稽古と言う名の袋叩きにあうのは目に見えてるんだけど・・・と内心で少し毒づきながら俺も彼女同様腰を落とす。
魔装を施すと彼女は少し目を丸くして、その紫色の光を放つ脚に視線をやる。
「お前のそれは魔装か?私が見たことのあるものはもっと濃い色だったように思うが。」
「ああ、これも魔装だよ。ステラが見たものは俺の上位互換だろう。濃くなるほどに性能が良い。」
「なるほど。ってことはお前はまだまだ弱っちいと言うことだな?」
「うるせえ、見てろ。今に一泡吹かせてやるからな?」
「できるかなー?」
といつものように軽口をたたき合いながらも、俺は脚に力を込める。
ステラはまだにやけ面のまま油断しきっている。
今なら一撃加えられる・・・!
そう判断した俺は予備動作もなく、稲妻のように彼女との距離を詰める。
彼女は依然、にやけ面のまま俺がいた場所を見ている。
イケる!反応できていない。
そう思い、渾身の力で右手の拳を振り抜こうとしたとき、彼女の瞳がぎょろっと俺を睨む。
「ぜーんぶ、見えてるよ・・・?」
彼女はウィンクを一つかまし、俺の拳を半歩ずれることでひらりと躱す。
無駄のない躱し方だ・・・。
と感心していると、彼女はスッと音もなく俺の懐に忍び込み
「雑念が出ている・・・。喝!」
「・・・・・・!」
彼女の小さな手が俺のみぞおちにめり込み、俺は後ろに数歩たたらを踏んでしまう。
なんとか立ってはいられるがこれを何発も食らうと死んでしまうぞ・・・。
ふらつく脚を気力で持ち直し、キッとステラを睨む。
「お前マジいてーんだけど。稽古じゃねーのかよ?」
「おほほ、残念ながら私手加減できないのよ、どんなに敵が雑魚であってもね?」
ニヤッと嫌みな笑みを浮かべるステラ。
ムカッとしたので俺は回し蹴りを顔面めがけて放つが見事に空を切る。
すると耳元でステラの声がする。
「遅いわねー、遅すぎて退屈よ・・・?」
バッと振り返りながら彼女と距離をとる。
マジでビビったー・・・。ホラーかよ。
今ので冷や汗はだらだら垂れ、心臓は早鐘のようにどくんどくん鳴っている。
それに対してステラは手を口に当て、欠伸をかましている。
・・・この野郎・・・!
頭に血が上り始めるが、先ほどまでの戦いで直情的になるとろくでもないことになると分かっているので、自分を少し落ち着かせる。
深呼吸だー、深呼吸。
スーハー、スーハー。
よし、落ち着いた。
さて、こっからどうするか・・・。
精霊の目はまだ使っちゃダメって言われてるから使えないしな・・・。
魔装の修行をやっている内に気づいたあれ、やってみるか。
「ふっ・・・」
息を吐き全身から力を抜く・・・。
そして魔装の魔力を放出し、球体をイメージしながら再形成していく。
すると、体の周りにうっすらと紫色の空間ができあがった。
ほう、とステラがうなる。
「魔装を感知型に切り替えたか・・・」
「ああ、お前の移動速度は精霊の目なしでは見ることすらできないからな。多少速度は落ちるがこれならお前がどこから攻撃してくるか、ぐらいは分かる。それが分かれば避けるまではできなくとも致命傷は避けられるはずだろう?」
「ようやく気づいたな、馬鹿者めが。早くそれに気付け。」
「無茶言うな・・・」
げんなりしながらステラを見る。
彼女は手を腰に当てゆったりと立っている。
どこにも気負いがない。
でも動けば一瞬で距離をゼロにされる。
彼女の一挙手一投足に集中していなければ反応などできはしない。
俺は感覚を極限にまで敵の動きに集中させていく。
周りのざわめきが消え、色も消えていくような感覚。
何もかもが消えてしまったかのようだ・・・。
でも、それでいて敵の動きはすべて手に取るように分かる。
右足に少し力が入っているとか、重心がすこし左にずれたとかまで分かってしまう。
あれ、なんだ・・・これ?
奇妙な感覚に襲われ、ステラの目を見ると
ステラは大きく手を広げて
「ようやく入れたな。精霊術士の世界へようこそ。」
と言い、にこりと笑う。
俺はどこか呆然としていたと思う。
だけど、これがステラの見ている世界なのだと言うことは直感的に理解した。
この世界の住人であれば先ほどの俺の攻撃など止まっているのと同じであろう。
そう断言できるほどに俺の感覚は鋭敏にステラの動きを捉えている。
ステラが俺に向かって言う。
「感知解除しても大丈夫だぞ。この世界に入ればそんなもの無くとも動きをとらえられる。」
言われたとおりに解除してみると、本当だ。
変わらない。
むしろ邪魔する者が無くなった感じだ。
でも何で・・・?
「なんでこれほどまでに鮮明に感じ取れるようになったんだ?」
そう聞くとステラはふふっと笑い、じっと見つめてくる。
「これは私たち精霊術士が常に見ている世界。世界に自らの心を開くときにのみ訪れる一種の境地よ。あなたの集中力がある一定値にまで上がり、世界と一体化できるとこの境地にたどり着ける。」
「世界と一体化・・・境地・・・。」
「そして、この境地を私たちは超感覚と呼ぶの。」
「超感覚・・・。」
「超感覚はあなたにとって必要な情報を今までとは比べものにならないほど与えてくれる。そして、これを使いこなせるようになって初めて精霊との対話をなすことができる。精霊の目。あなたのそれを使いこなすには精霊との対話。これが必須条件よ。」
「精霊との対話・・・。」
「そ。精霊は私の目にはくっきりとあなたの肩に乗っているのが見える。でも、あなたにはまだとらえ切れていないみたいね。」
「な・・・!肩?どこ?」
いろいろとあたりを見渡したり、肩を払ったりしてみるが何も見えない。
ステラはまたもフフッと笑い手を口元に当てる。
「ま、超感覚に入れたと言っても入り口も入り口、超初心者ね。だって・・・。」
途中で会話が途切れたと思ったときには視界が反転する。
「いて!」
地面に仰向けに倒されてしまった。
体の上には馬乗りになっているステラが俺の首元に手刀を当て
「ほら、こんなにも弱いんですもの・・・?」
と言って、目を細め、上気した顔でこちらを見つめるステラ。
あれ?なんかステラってこんなにも大人っぽかったっけ?
さっきまでは五歳児ぐらいにしか見えなかったのに今はなぜか中学生か高校生ぐらいに見える。
どゆこと?
そう思い少し聞いてみる。
「あれ?ステラなんか大人っぽくなった?」
「実は、私昔から興奮すると見た目が変わるのよ・・・。」
「なんじゃそれぇぇぇえええ!」
俺の下品きわまりない声が神聖な森に大きくこだましたのだった・・・。
エイラさんのお宅へと大人っぽくなったステラと帰宅すると、皆一様に驚きを表した。
そりゃそうだ。
あんな小さかったステラがすらっとした美少女に大変身したら近くで見ていた俺ですら未だに動揺を隠せない。
彼女曰く一度興奮すると一週間ほどこの姿になってしまうらしい。
つーか、興奮って何だよ。さっきのところで興奮する要素あった?
まあ、俺からしたら美少女が増えて眼福なんですけどね!
でもほんと俺の周りに美少女が増えて困るぞ、主に目のやり場に。
大人バージョンステラは幼児体型の時に比べると、胸やおしりが大きくなり女性らしい色気を醸している。
さらに、先ほどまでとは物腰まで比べものにならないほどに柔らかくなっている。
なんて言うか、うん、ちょーかわいいです。はい。
ずっとこのままがいいなあ。
幼児体型の時はほんとドエスだったからな・・・。
そんな事を考えながらエイラさんが入れてくれたおいしい紅茶をすすっていると、ステラが横にすり寄ってくる。
「な・・・!」
少し驚きながらそちらを見やると、猫のように目を細め、見つめてくるステラがいる。
「どうした、ステラ?」
「晋介。今日お前の部屋で一緒に寝たいんだけど・・・ダメ?」
「なななに言ってんだ、お前?」
「いーでしょ?別に。なんもしないからさ。」
「いや、何もしないって言ってる時点でなんかする気あるよね?」
「うるさいぞ。寝るったら寝る。これは決定事項だ!」
なんて強引なんだ・・・。
しかも訳が分からない。
何で急にあんなことを言い出すんだ・・・。
「あと、一緒に寝たいのはあんたじゃなくてあんたに付いてる精霊だから勘違いすんなよ?」
「え・・・?」
精霊かよ!
一瞬でも俺に気があるのかな?とか思っちゃったのがバカみたいじゃん!
返して!俺のときめきを返して!
そんな思いを込めてステラをジト目で見るが彼女はそんなのどこ吹く風。
ステラが俺の腕を取り立ち上がる。
「さ、さっさと行くわよ、晋介。」
そう言って強引に俺を引っ張っていくステラ。
俺は引きずられるようにして部屋に着く。
すると、なぜかステラは部屋の鍵を閉め、こちらを潤んだ瞳で見つめてくる。
「さっきはごめん。嘘ついた・・・。精霊と寝たいんじゃない。晋介、君と寝たいの。ダメかな・・・?」
そう言ってじりじりと詰め寄ってくるステラ。
俺は一歩二歩とそれに併せて後退するが、数歩下がるとベッドにかかとが当たり、これ以上下がれない。
見下ろすと、彼女の胸の谷間が慎ましく主張しているのが目に入ってしまう。
するとステラは両手で俺から谷間を隠し上目遣いで
「エッチ」
と言ってくる始末。
まずいまずいまずい。
我慢だ、俺。我慢。
話題を探せ、何か無いか・・・。
「あ、そうだ。まずなんで俺なんかと寝たいの?」
やばい、全然話題転換できてない!
そんな俺の内心の焦りなどつゆ知らず。
彼女は恥じらうように伏せ目がちになって、モジモジとする。
「言わせないでよ・・・恥ずかしいじゃない」
あれー、この子こんなキャラだったっけー?
もっときっついことばっかり言ってくる子だと思ってたのにこんなに乙女っぽくされるとさっきまでのギャップでこっちが持ちそうにないからやめてほしい、心臓に悪い。
でもこれは聞かずにはいられない。
「教えて?」
「うん、私さっき晋介に馬乗りになったじゃない?」
「うん、なった。」
「そのときにあなたの匂いをかいじゃったの。したら、興奮しちゃった・・・。私匂いフェチだから・・・。」
「なななに?俺の匂いが好きってこと?」
「うん、だから、別に添い寝してくれれば良いの・・・。それだけだから・・・お願い?」
「うむ、いいぞ!」
「やったー!ありがと、晋介。大好き!」
抱きついてくるステラ。
やべー、あまりにもかわいかったんで即オッケーしてしまった。
俺にほおずりしてくるステラはまるで猫みたいに愛らしい。
頭をナデナデしてあげるとうふふといってだらしなくにやけるとことかたまんねーぜ!
そして匂いフェチを自称するだけあってめちゃくちゃクンクン匂ってくる。
首筋や頬、耳の裏の匂いまでかがれてしまいなんだか変な気持ちになってきてしまう。
やばい、本格的にむらむらしてきてしまった。
あー、だめだ。抱きしめてこの目の前にいる美少女を味わい尽くしたい・・・。
そんな欲求に負けそうになりステラの腰に手を触れたときだった。
ドンドンドン!
という扉がたたかれる音。
なんだ?今良いとこなのに!
と思っていると、
バッコーン!
と扉がぶち破られる。
そこにいたのはもちろんエマとペナのお二人。
二人とも文字通り鬼の形相である。
「「なにしてんのよー!」」
と言いながら俺に向かって飛びかかってくる二人。
ヤッベー!完全に浮気の現場を目撃されてんじゃん、俺。
逃げようにもステラが未だ夢中になって匂いをかぎ続けていて逃げられない。
ひえー、お助けをーという俺の叫びもむなしく、二人にその状態のまま往復びんたをくらい続け顔がボッコボッコに腫れ上がってしまったのだった・・・。
しかしほとぼりが冷め、というよりも二人が殴りすぎたことを反省して、エマの治癒魔法で治癒してから四人仲良く並んで眠った。
俺の左にエマ、右にペナ、上にステラ。
上のステラは俺を抱きしめながら眠っていた。
俺は決めた。
ハーレム王に俺はなる、と。(冗談半分がち半分)
バカすぎる決意を胸に秘め、エイラさんのお宅訪問二日目が過ぎ去っていった・・・。
まずいことになったー。
主人公が一途なキャラじゃなくなってしまっている。
まあ、そこもご愛敬でお願いします。笑
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