家から学校までが遠くて、炎天下がきついです。
そんな中で書いたお祭り回です。
ではどうぞ
大学1年の夏、期末の苦しい試験を乗り越えてやってきた二か月も続く夏休み。
みんなは高校から付き合っている彼女やサークルなどでできた彼女と楽しい夏休みを過ごす。
さあ、叫ぼうか………
「俺も彼女ほしいー!」
「お兄、うるさい!」
家の中で叫んだが、やはりうるさいらしい。だがな、これは彼女のいない者たち全ての魂の叫びなんだ!
「だいたい、彼女いないのは毎日バイトしていたからじゃん」
Myシスターの強烈な左フックが炸裂!効果は抜群だ!
「いや…何にも先立つものをだな…」
そう、彼女とのデートは金がかかる。古事記にもそう書いてある。
「その彼女どころか、女の影すら見えないけど?」
Myシスターの右スレートが直撃!急所とガラスの心に当たった。目の前の光景がぼやけてきた………
「そんなに泣かなくても…」
「泣いてなんかない…泣いてなんかないぞ!」
妹は少し引いてるが、これは目から汗が出ているだけ。決して涙ではない。泣いてないからな!
「お前はあいつと付き合い始めたし、俺だけぼっちとかないだろ」
そうこの二つ下の妹は俺の親友と付き合い始めたのだ。最初にあったのは中学の頃、それからいつの間にか付き合い始めていた。泣いたね、なんであいつには彼女が出来て俺には出来ないのか。あれが青春の涙というやつだ。
「あれ?俺、お前に彼女を紹介してもらえばいいんじゃね?」
小学生とか中学生はアウトだけど、高校2年生とかはセーフだろ。
決して犯罪ではない!
「嫌だよ、そんなメンドクサイ」
「夏休みアイス食べ放題」
「オッケー、場所は用意しよう」
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「というわけで、プリンツさんです」
「はじめまして、プリンツ・オイゲンです!」
目の前には金髪碧眼の少女、耳辺りで髪を錨型の髪飾りでまとめたおさげがまた可愛らしい外国人高校生が黄色を基調とした赤や紫のコスモスが彩られた浴衣姿で佇んでいた。
「パーフェクトだ、Myシスター。報酬は?」
「ハーゲンダ〇ツで」
取引を終えて、妹は親友と共に人ごみの中に消えていった。
「それじゃあ、行こうか」
「はい、よろしくお願いします!」
帰国子女らしいプリンツだが、浴衣の花にも映えてとても輝いて見える。
「これはなんですか?」
少し屋台を歩きまわっていると金魚すくいの屋台で止まる。金魚すくいの屋台自体は珍しいものではないが、海外では珍しいのだろう。
「やってみるか?」
金魚すくいなんて小学生の時に何回かやってから、それ以来はやっていない。しかし、プリンツのキラキラとした明るい瞳に魅入られた。
「でも私、やったことありません」
「じゃあ、先に手本を見せようかな」
ずっとやっていなくとも、やり方やコツは覚えている。
お金を払い、ポイとお椀をもらう。地味にお椀なのが祭りの雰囲気を盛り上げていると思う。
「こうやって、このポイを斜めに入れて、金魚をすくってお椀に入れるんだ」
といっても、金魚は3匹取ったところでポイが破けた。
「やってみな」
もう一つもらっていたポイをプリンツに渡す。
着物を着たプリンツは、屈んで真剣な眼差しで金魚を追っていた。ムムムと唸り声をあげるほどだ。
その姿を横から見ていたが、その…見えてしまったのだ…
前かがみの状態でポイを動かすために腕を伸ばした時に、胸元の部分が………
着物で下着を付けないと教えたのはいったい誰なのか…俺の妹だろうな。
プリンツは気づいていないので、役得ということで…
金魚すくいの結果は俺は3匹、プリンツが5匹とプリンツに軍配が上がった。
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「この綿あめ、とってもおいしいです」
金魚すくいの後はいろいろな屋台を回り歩いてきたが、その一つ一つを美味しそうに笑顔で食べていく。
とても幸せそうに食べていくので、見ているだけでも楽しい。
「お兄さんもどうぞ!」
先ほどまでプリンツの食べていた綿あめが目の前に出される。
横目でプリンツを見ていたのが、綿あめを見ていたのと勘違いされたのだろうか。
「いや…そんな…」
これに口をつけるのは、その間接キスなわけで………
「?」
見ないで、そんな純粋できれいな蒼の瞳で上目遣いで俺の穢れた心を見ないで
「いただきます」
なるべく食べていない部分を口にして、味わう。綿あめってこんなに甘かったかな…ちょっとレモンの香りがする。
「あ、お兄さん。ほっぺに綿あめくっついてますよ」
プリンツの白く細い繊細なガラス細工のような指が俺の頬に触れて綿あめを取り、そのままプルりとしたピンクの唇に飲み込まれていく。
「ん~~」
美味しそうに食べているプリンツの顔を見てしまい、暑さとは違う理由で俺の顔は赤く染まった。
書いてて思ったことが一つ
主人公の名前がないと書きにくい
なので、なんか案があれば嬉しいです。
※採用するかは決めていません