艦これ なんてことない日常   作:舟屋 三途集

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最近女子と接した記憶が無い…
最後に女子と話した記憶も無い…

そんな私の妄想が全開です

Are you Ready?



巫女服の山風

疲れた、階段を上がることおよそ300段。

昔の人はなんでこんな山の上に、神社を立てたのか理解できない。

最後の段と赤い鳥居が見える。小学校の時から時々来るようになったが、まだ慣れない。

初めての時は、途中で体力が尽きたのと同じく天使を見た。

 

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大型デパートに行くのに電車を乗り継ぐ必要があり、コンビニが1つしかない田舎町。

学校は小中学校が1つしかので周りにいる奴らはみんな顔見知りばかりだ。

小学4年、好奇心旺盛で1日遊んでも遊び続けても体力が有り余る年頃。

 

「あ、いい所にいた。お前ら確か、山風と同じ方角に住んでたよな。このお知らせを代わりに届けておいてくれ」

 

今日休んでいた山風にお知らせのプリントを届けるという簡単なお使い。

家は知っている。山風は白露神社に住んでいるのだが、

やや 遠いために届けに行けば今日は遊べなくなる。

 

「俺、今日用事あるんだ。じゃあな!」

「あ、俺も!」

「僕も、おねえちゃんが早く帰って来いって!」

 

あっという間に、俺だけが残った。みんな、ああは言ったけど絶対友達と遊びに行く。

 

「じゃあ、これよろしくな」

 

手元には先生に渡させたファイル。残された俺が配達役になった。図書室行きたかったのに………

 

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「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」

 

山風の家である神社への道端は、草しか生えていない。先生は神社に行けばわかると言ったが、その神社が階段を登るのと同時に遠い。

そのせいで、夏祭りは毎年商店街で行われている。

 

「ムリ、神社遠い。オレ、体力無さ過ぎ」

 

動かなくなった足を休めるために踊り場に座り込み、ランドセルから読みかけの本を出す。

『〇リー〇ッターと〇者の石』

図書室の先生が進めてくれた本で映画も見たが、読書の方が想像が自由で面白い。

魔法も想像で形を変えてくれそうだ。

 

「あぁ、あの…そこで…なに…してるんですか?」

 

本を読み始めてから聞こえていたカサカサとした枝葉の揺れる音ではなく、女の子の声が聞こえてくる。

目線を上げると、そこには天使がいた。

 

 

小さく細い四肢を包み込む巫女服

 

 

いつもは流していたクセのある緑髪は纏め上げ、ポニーテールにしている

 

 

そして、二次成長期によって胸は僅かに…訂正しよう。膨らみはじめた胸部は大きく、直視できない

 

「えっと、山風さんだよね?」

 

いつもクラスを引っ張る江風の後ろに隠れているただの女の子である山風からは想像も付かないほど、今の山風はかわいい。

 

「うん…そうだけど…おかしい…かな?」

 

「全然!山風さんにとっても似合ってるよ!これ、先生からのお知らせ!」

 

「うん、ありがとう」ニコッ

 

かわいいに対してのありがとうなのか。はたまた、届けたことに対してのありがとうなのか。

それは本人しか分からないが、俺の胸の中には暖かい気持ちが芽生え始めた瞬間だった。

山を走って下りた為か、夕焼けの色に染まった為か、もしくはこの温かな気持ちの為かその日の夕方の俺の顔は赤かったらしい。

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

それからは毎日のように、山風のいる神社でゆっくりと読書をした。中学を卒業してから俺は地元から少し離れた進学校に進んんだ。そして山風は女子高、俗に言うお嬢様校に入学したらしい。

 

「夏休みだからって、そう簡単に会えるわけないか…」

 

あの日から続く気持ちを胸に秘め、淡い期待を持って夏休みの半日を丸々神社で過ごしたが簡単に願いは叶わなかった。お賽銭1円にしたのが拙かったか…

 

「昼飯どうしようかな…」

 

炎天下の中だろうと、天下の男子高校生の食欲は早々萎えるものではない。数少ない商店街の店舗を頭に思い浮かべる。

 

「あの…待って…ください…」

 

この半年聞くことのなかった、最も聞きたかった声が背中から聞こえてくる。時間が経っても、今もまだ敬語を使われる。

あの時の巫女服とは違い、半袖の白ブラウスに膝丈ほどの蒼スカートとシンプルな服装。だからこそ山風の素朴なかわいさが引き立つ。

 

「山風、久しぶり。会いたかったよ」

 

いつからか呼び捨てで呼ぶような仲になっていた。思い出す必要はない、今この瞬間が満ち足りていればそれでいい。

 

「ぁ…あのね…朝から一生懸命に作ったの…お弁当…一緒にたべない?」

 

顔を伏せているが、白い肌を耳まで真っ赤にして、手には食欲をそそる匂いをさせた大きなお弁当箱を持っている。人見知りだった彼女からの初めてのお誘い。しかも、手作りのお弁当。姉の山風を大切にしている江風が居たら睨まれそうだ。

 

「どうしようかな…」

 

山風の表情が困ったように目元と共に頭のくせ毛も垂れていく。

 

「今日は、他の人と用事が…」

 

さらに目元に涙を浮かべて泣かないよう我慢して、今にも泣きそうな表情へと変わっていく。

 

「冗談だよ、一緒にたべようか」

 

彼女の表情は一気に華が咲いたように明るい笑顔になる。さっきまであった目元の涙さえも美しく見える。

 

やはり、俺はこの天使のような山風のどのような表情を見ていても胸が高鳴り温かくなる。

 

これも夏の暑さのせいなのだろうか、俺にはまだわからない。答えはどこにあるのだろう




最近の駆逐艦娘だと、真っ先に思いついた山風でした。

最後に一言
『山風に巫女服着させてから、あぐらの上に載せ抱きしめたい』

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