死神についてあってるかわかりませんが楽しんでいただけたら幸いです。
「グッモ~ニン!い~ちご~!!」どかっ
一護の部屋から鈍い音が響く。
「う…腕をあげたな…一護…。」がくっ
「まあな、それより遊子と夏梨の怪我は大丈夫なのか?」
あれだけの大怪我だ。まだ痛むに違いない。それにしては親父が少しも慌てていないのが気になるが。
「怪我?何のことだ?昨日のトラック事故なら誰も怪我なんてしてないぞ?」
「はっ?」
(トラック事故!?)
一護は急いで一階へ降りてみるが、昨日と変わらず大きな穴が開いているだけだった。しかし、それに対しての家族の記憶のみが変わっていた。
「奇跡だ、これだけトラックが突っ込んできているのに全員無傷とは。」
「それより全員起きなかった方が奇跡だよ。」
(ルキアが別れ際にやっていたのはこれか…)
と一護は心の中で納得する。妹たちの傷もないし、こちらの方が確かに都合が良いだろう。またと言っていたので、また会いに来るだろうと疑問は押し込める。
「そろそろ朝ごはんにしよう。遅刻するよ。」
遊子の声で我にかえる。
遅刻するとは言われたものの、家を穴の空いたままにはできないため、とりあえずお昼まで軽く片付けてから登校する。
教室に入って席に着くと、友達の浅野啓吾と小島水色に茶渡泰虎ことチャドが一護の周りに集まった。
「一護~、お前んちトラック突っ込んだんだってな。」
「片付け終わったの?」
「そんなに早く終わるかよ。」
軽口を叩き合う。穴が開いていたのだから半日やそこらで終わるはずがない。
「ム、手伝うか?」
チャドは好意からその言葉を言うが、一護はひきつり気味の笑顔で「いや、いいよ」と断りを入れる。
「チャド、お前じゃかえって破壊しちゃうんじゃないの?」
と半分冗談半分本気のようなやり取りをしているとき、後ろから1人の生徒が歩みよってきた。
「あら、あなたが黒崎くん?」
「はっ?」
いきなり声をかけられ、後ろを振り向くとそこには見知った…というわけではないが、昨日見たばかりの姿がそこにいた。
「隣の席になりました。朽木と申します。」
「へっ?あっあぁ、黒崎だ。よろしく。」
差し出された手には『放課後に屋上』と書かれていた。
「じゃあな~、一護。片付け頑張れよ~。」
「じゃあね~。」
「ム。」
「おう。また明日な、啓吾、水色チャドも。」
それぞれが鞄を持って教室をあとにする中、一護は屋上へと向かった。
屋上へ行くとすでにルキアが仁王立ちで立っていた。
「わりぃ。待たせたか?」
「いや、大丈夫だ。」
「そうか、で話しってのはなんだ?」
「あぁ、それなんだが…。」
ルキアは気まずそうにいいよどむ。そして意を決したのか、一護をまっすぐに見ながら口を開く。
「まず、私の霊力はすべてお前へ譲渡したので今の私に霊力はない。つまり死神の力が全くないのだ。」
「はぁ!お前あの時半分って言ったじゃねーか!」
「私もそのつもりだった!だが…なぜかすべてお前の中へ入っていったんだ。」
ルキアは歯を噛み締めながら、今にも下唇を噛みそうな位悔しそうな顔をしていた。
「死神の力のない魂魄など、無力だからな。今はある男に依頼して作ってもらった特殊な義骸に入って、霊力の回復をはかっている。」
「そうか…。」
応急処置のようなものだと言われるが、一応は胸をなでおろす一護だった。ホッとしたのもつかの間で、本題に入るようだ。
「私に死神の力はもうない。そこでだ、貴様には私の仕事を代わりに行ってほしいのだ。」
「それはお前の死神の力を俺が貰っちまったからか?」
「それもある。もう1つは貴様の力を尸魂界に見つからないようにするたみめに、私が問題なく仕事を行っているよう見せなくてはならないのだ。」
「尸魂界(ソウル・ソサエティ)?」
初めて聞く言葉に一護は疑問を浮かべる。
「言っていなかったな。基本的に死んだものが住まう世界で、その中のほんの人の握りのものが死神になれるのだ。私たち死神の役目は、虚を討伐すると同時に成仏していない魂を尸魂界に送るというバランサーも担っている。」
「バランサー?」
「ただの魂がそこら辺にさ迷っていると、虚に目をつけられて食われたり、悪霊になって虚になったりするんのだ。その前に尸魂界に保護するのだ。」
わかったようなわからないような。と一護が考えていると、
「意味はわからなくとも良い。することだけ理解していろ。」
「ん、おぉ。」
まぁ、俺は本当の死神じゃあないし、そこまで細かく考えなくてもいいだろ。
「それよりお前住むとこは?」
「ビクッ!!ああああるにきまつまっておろう!!!」
「ないのか?」
「あるわっ!!」
「ふーん、わかった。また聞きたいことあったら聞くわ。じゃあな~。」
「えっ、あっ、あぁ。」
こうして一護とルキアは別れた。
おまけ
「ただいま~。」
「おかえり、お兄ちゃん。」
親父は診察中のようだ。とても静かだ。心穏やかに部屋へ俺は上がって行く。
「帰ったか、一護。」
ドアを開けると、仁王立ちで挨拶を返してくる見た目少女の年増がいた。さっきまでは穏やかだった心が荒んでいくのを感じる一護であった。