Emilio   作:つな*

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エミーリオはいつも通りに戻る。


Emilioの日常

やっほー、俺はエミーリオ。

何だかラーメン君の力で過去の記憶を追体験してきた。

んで一言。

俺めっちゃジジイじゃん。

何で恐竜の時代からいんの?え、誕生日ってジュラ紀なの?俺。

まさかそこまで長生きしてるとは。

あと俺が記憶失う前が何かと酷過ぎた。

なにあれ辛い。

村人許すまじ。

つーか、記憶を取り戻すっていうか、なんていうか、記録を見たような感覚だ。

あのエミーリオは、今の俺とは何か違う気がして、正直言って同一人物のように感じない。

多分あの海に溺れてた時に手違いあったんじゃないかな…人格的に。

だからかな、全く思うところがない。

いや流石にエミーリオ(昔)は可哀そうだと思ったよ?

でも何だろう、結局は他人にしか思えないから、可哀そう止まりというかなんというか。

俺個人では別に人間が嫌いとかそういう感情全くないんだよな。

むしろ好きな方じゃないかなぁ。

元々一人はあまり好きじゃないし、誰かと喋っていたい性格…だったような気がする。

でも誰かと暮らしたり特定の人と距離を詰められるのがなんとなく苦手だから、妥協点として居酒屋開いた覚えが。

ん?これ誰の性格だろう。

ダメだ、何か年月経ちすぎてもう昔のこと思い出せないわ。

まぁなんだ、今回昔の俺が知れて良かった。

にしても俺恐竜時代から生きてたのかー。

あれ?待てよ…記憶見るからして、俺最後まで死なないじゃん。

めっちゃ不老不死じゃん。

これマジで死なないパターンか…

それに関して自分でも不思議ってくらい、何も感じない。

まぁ皆に置いて逝かれるのは辛いけど、何だろう…こう…絶望した!って感じではない。

多分これ記憶にある俺の感情なんだろうなぁ。

何で過去と今でこんなに物事に対する捉え方が違うんだ?

考えても仕方ないか、もう終わったことだし。

それよりもさっきから腕の中にいる包帯君がピクリとも動かないんですけど。

もう過去の記憶鑑賞は終わってるよね。

マグロ君やおしゃぶりの少女も泣いてるんだけど。

あれは子供には少しショッキングな映像だったんだろうな。

軟禁されるし裏切られるし、海に落とされるしで散々な記憶だったし。

ラーメン君がちょっと無言になってる。

き、気まずい。

何か気の利かせた台詞で場を明るくしようとしたら失敗した。

さっきよりも空気が重くなった。

本当に気にしてないんだけどな。

とりま、今回のえーと何だっけ…トゥリニセッテだっけ…あれ俺一人で維持出来るのでは。

元は俺が作り出したようなもんだし。

結局炎をずっと灯せばいいんだろ?

提案してみたら即効で却下された。

しかも包帯君に怒られた、痛い、殴るこたないだろ。

んー、まぁ君たちがこれ維持したいなら別に反対する理由もないし、任せて問題ないと思うよ。

単に俺が信用出来ないだけか。

ってなわけで、トゥリニセッテを包帯君に一任した。

あとさっきから無言のままなんだけど、大丈夫?ラーメン君。

大丈夫か聞いてみたら、人間ぶっ殺すって言いだした。

やめて。

ああ、でもラーメン君からしたら家族が辛い目にあって記憶もなくしたと思われてるのか。

いや思われてるって言うか、実際そうなんだけど!

ぜんっぜん自覚ないんだ、すまん。

別に辛くないよって言ってみたけど睨まれた。

いや忘れたことはごめんって、不可抗力じゃん。

でもほら、ちゃんと名前思い出したぜ。

ちゃんと思い出したよってアピールでラーメン君の本名言ってみたら、少し涙ぐみながらさっきの三割増しで睨まれた。

何でだ。

ラーメン君が人間とはやっぱり一緒に暮らすべきではないとかなんとか言いだしたんだけど。

いやでも俺はこれからも居酒屋続けるつもりだから。

さっきから何も喋らない少女の方を気に掛けてたら、どうやらその場の人達と記憶を共有していたらしい。

やだ、なにこの公開処刑。

今になって少し恥ずかしくて肩震えてきた。

だって俺の過去丸裸じゃん。

不良少年やら野球少年、ナッポーが顔を歪めて俺を見てるけど、あれ絶対同情されてるわ。

子供に同情される、およそ2億歳のジジイの絵面がひどくシュールだ。

何だろう、場を和ませようとして皆から心配される。

本当に取り繕ってなんかないんだけどなー。

まぁ、これ以上擦れ違いしてもあれだし、今日はもう帰りたい。

誰もいない場所でぐっすりと寝たい。

気付いたら包帯君が俺の腕から脱出していた。

温もりがいきなりなくなって、少し冷えた。

うー肌寒ぃ、早く帰って寝よう。

 

 

 

 

おはよう、俺はエミーリオ。

朝だ。

それも早朝の4時ちょっと前。

昨夜は夜の9時頃に爆睡したから、結構早めに起きた。

何もすることがないので、ちょっと料理して暇でも潰すか。

流石に昨日の今日で店を開く気にもならないし、店は明日から開こう。

おや、イタリア産の調理酒が切れてる…。

これは忌々しき事態だ。

これ結構使い勝手いいけど、日本に輸入されてない奴だからわざわざ現地行って買わないといけないんだよなぁ。

…………仕方ない、買いに行くか。

財布から札を数枚抜き取り、黒い炎でイタリアへワープした。

久々のイタリアだ。

丁度イタリアは夜の9時前で、居酒屋が賑わってる。

いつもお世話になってる商売先の店を回って、目的の調理酒が売ってる店にいった。

するとそこの店主さんが丁度店閉めようとしてた。

あっぶね、セーフ。

調理酒買って帰ろうとしたら、店主さんに‪引き止められた。

え?飲む?今から?俺寝起きなんだけど…

しかも日本戻ったらただの朝っぱらから酒飲むダメな奴じゃん。

食い下がるので、頷いたらまさかの大人数での飲み会に連れていかれた。

マジか。

ちびちび飲んでたら、もっと飲まんかい!みたいなノリでめっちゃ注ぎ足された。

やめてぇ。

段々とテンション上がってきて、現地の人とダンス踊ったり唄を歌ったり遊んでたら、既に夜になってた。

待っておい、調理酒買うだけで俺8時間も時間かけてらぁ。

日本ではえーと…まだ昼か…。

そろそろ帰ろうかな、明日の店の仕込みもあるし。

んじゃお先に失礼しますよっと、え、ちょ、帰してくれない?

ちょ、ま…っ

 

 

 

 

やぁ、俺はエミーリオ。

気付いたら朝日拝んでた。

現在イタリアは朝の8時…日本は夜の1時………

ほぼ丸1日イタリアで酒飲んでただけとか…やべぇ、ダメ人間じゃん!

アカン、足もつれてるけどもう帰らないと。

ふわふわした感覚のまま居酒屋抜け出して、人気のないところで、ワープした。

まぁ素面であんなにコントロール下手くそな俺が、酒に酔ってる時に成功できるのかなんて誰でも分かるわけで。

海に落ちた。

ワープミスって海の上に移動したらそのまま落ちて海ぽちゃした。

お陰でくっそ目が覚めたわ!

さっむ!!

速攻で海から上がったはいいけど寒い。

果てしなく寒い。

あーもう早く日本へ帰るか。

日本へ飛んで、店の近くの人気の少ない場所にワープする。

店の位置が中学校に近いから人気のないところがあまりないのがネックだけど、もう日本じゃ夜中だし大丈夫だろ。

寒いし早く店に戻ろうと足を一歩進め、ふと両手を見る。

あ、調理酒……

イタリアの酒場に忘れてきたのか?いや抜けるときに持ってたよな。

ってことは海に落としたのか…ショック。

んー…あの海が海底どれくらいあるかわかんないけど、もう海の底に沈んでるよな絶対…。

また、イタリアに行かなきゃいけないの?

寒い。

ダメだ、もう疲れた。

諦めて帰ろう。

マジで酒飲み過ぎたから、帰って眠りたい。

そんなこと思ってたらいきなり後ろの方から音がした。

は?って思って振り向いたらおしゃぶりの少女がいて俺の方に走ってきてるんだけど。

え、何…ちょ、まっ……

体当たりの容量で抱き着いてきて泣き始めた少女に俺絶賛困惑中。

どうしたの…辛いことでもあったのかな。

それとなく聞いたらもっと泣き出したよー…なんでだよ。

ていうか君、まだ子供でしょ…こんな夜中に町を徘徊しちゃダメだろ。

あれだぞ補導されるぞ。

少女以外の声がしたから視線を上げたらラーメン君までいたよ。

うお、いきなりラーメン君の顔が剥げた。

と思ったら中からこれまたイケメンな男性がこんにちわした。

あれ?でもこの顔一昨日見た記憶の中にいた男だ……ってことは、これラーメン君の本当の姿ってやつかな。

おおう、少女ごと俺を抱きしめてきたんだけど、これ何事なの?

え、え、俺一体どうすればいいの。

いやまぁさっきまで寒かったから暖取れて良かったー…じゃない、お前らも濡れんぞおい。

ラーメン君が人間とは距離を取ろうって言いだしたよ、お前本当に人間嫌いだな。

俺は居酒屋続けるんだってば。

説得しようとしたらまた人が増えた。

マグロ君や野球少年、不良少年…赤いおしゃぶりの赤ちゃんも来たけど、お前ら今夜中だから!なに未成年が徘徊してんだよ、危ねぇな。

少女とラーメン君がやっと離れてくれた、のはいいけどやっぱり寒い。

何やらマグロ君が真剣かつ深刻そうにこちらに近づいてくるんだけど、これ一体何なの。

俺達はあの人たちとは違うって言ってるけど、あの人たちって誰。

お悩み相談なら別の日にやってくれ、いや俺はお前らの駆け込み寺になった覚えもねぇんだけどな。

もう一度信じてって何を信じたらいいんだよ、本当、正直、何の話してんだよ。

トンファー君がいきなり割り込んで、俺をボコボコにする発言だけ残して帰っていったんだけど。

なにあれ怖い。

ナッポーが眼帯少女と一緒に来て、何だか物騒なこと言い出したよ。

最近の子供って何考えてるか分からんな。

わあ、マシュマロ君や眉毛君もきたぁ…んー…お前ら重症なんだから病院で大人しく寝てろよ。

眉毛君に至ってはまた俺をカスって言いやがった。

あいつ後で…いや怪我治ったらジャイアントスイングしてやる。

マシュマロ君、泣いてるとこ悪いけど俺店閉める気ないから。

ああ、でも日本での経営はそろそろ終わりかな。

赤ちゃんがゾロゾロと出てきた。

風が俺のことを師匠って言ってんだけど、それ本当にやめませんかね。

すっげー俺恥ずかしいの。

あれ、包帯君…君いつのまにいたの。

俺のこと親友と思ってくれてたのか…いやそれは嬉しいんだけど何でこのタイミングで言うの?

俺の悩み相談してくれって…特に悩みなんてねーよ。

いやあるとしたらお前らの当人ほっぽいて物事進めるクセをどうにかして欲しいんだけど。

もう駄目だ…寒い。

もうほんと帰らせてください。

ていうか君たちの話は店で聞くから取りあえず場所を移動しよう。

立ち上がって人混みかき分けて店の方向に歩き出したらマグロ君が焦ってついてきた。

口ごもるマグロ君に痺れを切らして一言二言声を掛けて取りあえず黙らせた。

本当に何の話か分かんないけど、こいつら人のことお構いなしで物事進めるなぁ。

少し静かにしてもらいたいもんだぜ。

つーかお前ら……今夜中なんだけど、これから俺の店来て話し合いとやらをするつもりか、おい。

休ませてくれ。

 

 

 

 

 

ハロー、俺はエミーリオ。

結論から言って話し合いはなかった。

店に帰って、風呂入って体温まったころに風呂出たら、未成年どもは殆ど夢の中だった。

だけど大人組は全員起きてて、酒を所望してきた。

こいつら…

あと大人に混じってナッポーが起きてることには触れないであげよう。

ほら大人ぶって頑張って起きてるんだよきっと。

おっとお前には酒出さねーからな、お前はパイナップルジュースで十分だ。

不機嫌な顔してたが変える気はない。

そういえば何でお前ら俺があっちにワープする時、直ぐ近くにいたの?

え、俺を探してたの?うわ、それはすまん。

めっちゃイタリアで酒飲んでたわ。

言ったらぶっ殺されそうなので言わないが。

久々に開いた携帯画面にはいつの間にか30人以上登録されてた。

おかしいな、一昨日くらいまで絶対に4~5名だった気がしたんだけど。

ところで皆そんなぐびぐび飲んで、二日酔いなっても俺助けないからね?

本当に、マジで。

あれから数時間後、そろそろ夜明けが見える時間帯に俺は店を見渡した。

皆清々しいほど沈没してることよ。

ぐーすか寝やがって片付けんの俺なんだぞ。

この様子だと今日も店開くのは無理かな。

さて、ガキ共が起きた時のために朝ごはん作っておくか。

俺は厨房へと入っていった。

扉が開いた音したから厨房から出たらトンファー君がいた。

どうやらハンバーグを食べに来ただけのようだ。

材料あるし、ハンバーグから先に作ることに。

トンファー君はハンバーグを平らげると満足げに帰っていったけど、ほんと俺の店ってドライブスルー感覚で来るとこじゃないからな。

しかもあいつハンバーグの横に置いてるニンジンだけは食わないんだよなぁ。

ガキじゃないんだから食えよ。

今度は食べきるまで監視しておこう。

日が明けて、そろそろガキどもの朝食を作り終えるって頃にマグロ君が起き出した。

一番最初は君だったか。

挨拶した後、食器を並べるの手伝ってもらった。

食器並べ終えたあたりから次々と皆が起きてくる。

酒飲んでたやつらはぐーすか寝てやがるが。

久々においしいって興奮気味に言われて、嬉しい。

俺の本分は料理だからな!

あ、そうだ俺今度店をニュージーランドに移そうかと思ってるんだけど…

ってマグロ君に言えば白目向いた。

何でだ。

 

 

 

 




エミーリオ:通常運転。今日も殴られない。そしてお前の本分は星の守護者である。
調理酒:君のことは忘れない。
ニュージーランド:逃げ切れなかった。


エミーリオの感性が人間とかけ離れているので、不死≠絶望。
死を沢山見てきているけれど、理解していない。
多分これからも理解することはない。
エミーリオが本来の性格のままだったなら人間の本能的感情は全く理解出来なかった。
人間の部分が混じっちゃったから若干理解出来てる節がある。
勘違いの理由の一つに、種族の違いもある。
まあ主な原因は彼の性格のせいではあるが。

そろそろEmilioも終わります。
番外編やIFルートも書く予定です。
一応活動報告でリク募集しておきますね。
※感想欄にリクエストは書かないでください。

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