ハロー、俺はエミーリオ。
あんなに小さかったマシュマロ君が今や世界征服を狙うラスボスみたいになってて戸惑いを隠せない。
あのマシュマロクッキーが大好きだった子だよね?
入念に確認しても本人だと証言されるばかりか、写真まで見せてくれる始末。
うわーい、マシュマロ君じゃないか。
マジか、何があってそんな風になっちゃったの…
眼鏡君は何だか唖然としてるっていうか、固まっているというか。
それからマシュマロ君の悪事を細々と聞かされて正直どうしていいか分からない。
これが眉毛君やトンファー君だったらまだ納得しようがあっただろうに。
だってあのマシュマロ君だよ⁉
あの子は誰かを傷つけるような性格じゃないと思ってたけど、やっぱ20年かそこらで人って変わるもんなのね。
眼鏡君がマシュマロ君にとって俺が大事な人とか言ってるけど、そんなわけないじゃない。
だってあの子と会ったの20年くらい前だよ?覚えてるわけないじゃん。
俺の名前以前に出会ってること自体覚えてるか怪しいレベルだよね。
確か何か悩み抱えてたけど、全く覚えてないや。
マシュマロが大好きだったことくらいしか覚えてない。
まさか昔会った子がラスボスなってたなんて思わなかったけど、長生きしてるとこういう状況に出会うもんなのかね。
じゃない、現実逃避しないでこれからどうするか考えよう。
眼鏡君と話が終わり、俺は厨房へ行く。
そこには何度か俺の店に来てくれた女の子たちとイタリアで会った子と眼帯の女の子がいた。
俺が料理人だということで、四人の作業にアドバイスをしながら作ることになったけど、やっぱり女の子だからかな、すっごく静かだ。
味の仕込みだけ教えて後は自分達でやると言ったので退散することにした。
あ、そういえば少女の胸におしゃぶりあったけど、あれ赤ちゃんの間で人気の奴だよね。
今度それ何なのか聞いてみたいな。
自分の部屋に行こうとしたら銀髪のおっさんに出会った。
うおおおお、髪ながっ!
あれ?でもこの大きな煩わしい声って…
ザンザスの友達の銀髪君だった。
何でお前がいると聞かれたので経緯を話すと、頭抱えてどこかに案内してくれた。
モニター室のような場所に連れてかれて、銀髪君が何やら機械を弄っていると画面が明るくなる。
画面の向こうでこれまた懐かしい眉毛君の部下がいた。
オカマもオカマで俺を見るなり固まってたけど、銀髪君が状況を説明すると納得してくれた。
銀髪君が眉毛君を呼び出せと言うも、どうやら食事中らしく出れないと言われた。
すると銀髪君が俺の方を見て一瞬の間が空き、オカマにコイツの名前を出せと言えば1分後に眉毛君が出てくれた。
おお、10年後の眉毛君髪伸びてる。
34歳か、おっさんだな…でも全然老けてないな、言うならば今が丁度24歳ってくらいに見える。
にしてもその年でまだ肉肉言ってんのかあいつ。
俺の顔を見て黙り込む眉毛君に、銀髪君がとにかく日本に来いとか言ってるんだけど、ここが日本であることを初めて知ったんですが。
通信切れたというか、切られたことに銀髪君がぶち切れて耳を塞ぎながら落ち着くの待った。
こいついつか血管ブちぎれるんじゃなかろうか…
眉毛君にはちゃんと部下を大切にと会った時に注意してやろう。
そういえばいつ敵と戦うんだろうか。
銀髪君に聞けばそろそろと言われたが、ぶっちゃけ何がどうなってるのかさっぱり分らん。
と思ってた傍からいきなり警報が鳴り響いたので二人で部屋を出る。
銀髪君と話しながら周囲を見渡していて、マグロ君達が見えたと同時に背後の壁がぶっ壊れて赤髪のおっさんが現れた。
銀髪君がぎゃーぎゃー言ってるのを聞いてるとコイツは敵のようだ。
赤髪のおっさんのことは銀髪君に任せて俺はマグロ君達と一緒に逃げることになり、アジト出た瞬間に色んなところから爆発音が聞こえるんだけどコレ本当に大丈夫なのかな。
どうやら不動産屋に逃げるようでそこに向かえばまさかのラーメン君が出てきた。
君不動産屋だったのか。
ラーメン君も俺がいることに少なからず驚いている。
何だか皆がラーメン君怪しんでいたけど、敵が来たから仕方なく隠れることになった。
つかさっきと同じ赤髪のおっさん来たんだけど銀髪君やられちゃったの?弱っ
赤髪のおっさんはどっかに行ってしまい、もう大丈夫だと思った矢先に少女が敵側に拉致られた。
もじゃもじゃ頭の子牛に化けてたらしい、気付かなかったわ。
にしても少女涙目だよ、助けなきゃね。
と思ってマント着てる仮面野郎を1発ぶん殴って少女を助けてみたら何故か皆俺を凝視してるんだけど……いやお前ら固まってないで早く敵を倒せよ。
つーか何でこいつら平然と空飛んでんの?
いやその前に俺と同じ炎使ってるのが気になるんだけど、あれ俺だけじゃなかったのか。
後でこの炎何なのか聞いてみようかな。
女の子って繊細だから横抱きのままだと失礼だよなと思って降ろそうとすると違う方向からまた何か増えた。
金髪オールバックの兄ちゃんとゴリラとサルみたいなやつらで、なんだか少女が嬉しそうに名前呼んでたから多分味方だろ。
初っ端からサルとゴリラがやられたんだけど、めっちゃ弱いな。
金髪の兄ちゃんも立ち向かおうとしてて、あれやられるなーっと思ってたらマグロ君が助けに入って来た。
俺の中のマグロ君って野球少年と不良少年の金魚の糞みたいなイメージあったけど、撤回するわ。
オレンジ色の炎がグローブから出てるけど、あれヤバくない?
一歩間違えれば火傷もんじゃないか…いやその前にマグロ君も炎出せたのかよ!
なにここ炎のオンパレードじゃねぇか!
いやそれよりも少女達を安全な場所に連れて行かないと。
この中で最年長すぎる俺が焦ってどうする。
少女を地面に降ろした瞬間に体が地面から浮き出して、すげービビった。
なにこれ、すげーとか言ってる場合じゃねぇ。
なにあの蛾みたいな奴…さっきお面被ってたマント野郎だよな…あ、消えた。
さっきから皆苦しそうにしてるけど、何で?
えーと……取り合えず少女達を避難させようと一歩踏み出したと思えば無重力が切れたみたいに元の感覚に戻った。
見掛け倒しかよ!
いやでも他の奴等まだ苦しんでるんだけどこれ如何に。
一応少女達3人と子供2人を避難させたかったんだけど、頭が痛いようで立つどころじゃないらしい。
眼帯の少女の方を見てみると左目にどでかいレンズが浮かんでた。
あれ突っ込んだ方がいいのかな。
皆苦しんでるのは分かるんだけど、俺から見ると皆地べたに這いつくばりながら唸っててどこぞの宗教団体にしか見えない。
なにこれ怖い。
知らぬうちに皆回復してて、一気に敵に立ち向かっていったはいいんだけど、なにあれ。
もう一度言う、なにあれ。
何でカンガルーが空飛んでんの?何でイルカが空飛んでんの?可笑しいよね⁉
あれ俺の目が可笑しいのか?
隣の少女達に聞いてみるとおろおろされて、近くにいた不良少年が後で説明するから取り合えず離れろと言って来たので離れることに。
後ろからすんごい音がなったから振り向くと、蛾がマグロ君によって殺虫されてた。
何だあのグローブ、まるでガスバーナーじゃねぇか。
どうやら敵は一旦引き上げるらしい。
何やら周りが話し合ってるようだけど、何々…ん?森に逃げるの?マジで?
不良少年が
というわけで俺が説得して、不良少年をおぶることに。
居た堪れないのだろうか、肩を縮こまらせている不良少年を無視して森に入っていった。
よっす、俺はエミーリオ。
森を歩いている間に不良少年から一通りの知識を教えてもらった。
なるほど、これ死ぬ気の炎って言うのか。
なんだか名前に反して活用方法がガスバーナー代わりだったから、もう少し使いどころは改めようと思った。
生命エネルギーねぇ…覚悟がないと使えないらしいけど、俺何か覚悟するような出来事あったかな。
いやその前に炎出たの何百年前だと思ってんだ、覚えてねぇわ。
うん、うん、そっか、お前たちマフィアだったのか………はいぃいいい!?
マフィア!?それもイタリアン?お前まだ子供だろ!?
頭が痛くなってきた。
どうやらマフィアの頂点であるファミリーらしく、トンファー君も野球君もボクサー君も眼帯少女も同じファミリーで、ボスはマグロ君だと…なるほど、聞きたくなかった。
んでもってこの場にいるのは少女二人を除く全員がマフィアか殺し屋だよ、って辛い。
野球少年を純粋だった子供の頃から見てる分辛い。
っていうかこの流れだと銀髪君も眉毛君もマフィアってことになるんじゃ…なにそれ辛い。
割と本気でショックを受けてる俺を気遣ってか、マグロ君が声を掛けてくれるけど、お前本当にマフィアのボスなの?
まだナッポーに実は私マフィアだったんです、って言われた方が納得出来たわ。
戦争時代ならまだしも、この平和になりつつある時代、それも安全な国と言われる日本でこんなマフィアの抗争が起こってることに対して物凄く不安なんですが。
俺のマフィアのイメージって銃撃戦なんだけど、今じゃ炎使って戦うのが最先端らしい。
これが所謂ジェネレーションギャップという奴か、ってそうじゃねぇ。
悶々としている間に少し広がった場所に来て、今夜はここで過ごすとのこと。
不良少年を誰かに任せ、俺は森を散策する。
こう見えても数百年前に森でサバイバルしてたから木の実くらいなら何とか集められるなと思って辺りを探し回ること数時間、両手に収まりきらないので上着の端を引っ張り、出来た空間に木の実を溜めまくる。
山菜とキノコ、それにドングリやトチの実を探し出し、それを先ほどの広場まで持って帰る。
両手に沢山の食糧を持って帰って来た俺に皆驚いていたが、これだけで驚くと思うなよ。
俺の料理の腕を忘れちゃ困るぜ。
時間がないのであまり味に拘ることもできなかったが、まぁ中々美味しく出来上がった。
スープにしたそれを皆で飲んでいると、お礼言われた。嬉しい。
眼鏡君が思い出したように俺にマシュマロ君のこと聞いてきたら他の人まで食い付いてきた。
いやほんと会ったの20年も昔だからマジで全然覚えてない。
マシュマロクッキー作ってあげた記憶しかない。
何だか残念そうにしないでよ、俺が悪いみたいじゃないか。
なんだかマシュマロ君について少女が語り出したんだけど。
ふむ、ふむ…どうやら並行世界と意識を共有するというファンタジーな力を持っているらしい。
いや俺もワープ出来る時点で十分ファンタジーなんだけどね。
なんやかんやとわいわいしてるけど、大丈夫なのかなこの子達。
集団とは少し離れて俺は眠ってたけど、夜明け前に起こされた。
俺は非戦闘員なので広場で待機して、他の人達は森の中に行ってしまったけど、どうみてもこれ一番守らないといけない場所が一番手薄だよね。
いやマグロ君がボスっていうからにはそれなりに強いのか?
って考えてたら夜明けと同時に爆発音が聞こえたんですけど、最近のマフィアって過激すぎない?
爆発が次々に起こってるけど、イタリア戦争時代を思い出すね。
何度か爆発した後一際大きな爆音が鳴り響いて、これヤバくね?と思ったけど、マグロ君の通信機から生存確認出来たらしい。
ん?眉毛君が助けに?あの子が他人を助けるなんてっ…ヤバイ、感動してる場合じゃない。
何やらもう一方の戦闘が苦戦してるようだが、助太刀があったお陰で助かったようだ。
思ってたより都合のいい方へ進んでるようにも思うけど、まぁ勝ってるからいいのか。
いきなりマグロ君が焦り出したんだけど、なに?幽霊出たの?
俺幽霊なんて最近見たばっかだから驚かないけどさ、幽霊が何で戦力になるのかな。
凄い苦戦してるから行ってくる!って言い残して飛んで行ったマグロ君を呆然と見送ったけど、ここ守りゼロ?
なんだか物凄い戦いを繰り広げて……ん?………あれ、なんだかいきなり眠くなってきて………
やっほ、俺はエミーリオ。
どうやらいきなり倒れたらしい。
俺からすれば何百年ぶりかの眠気に襲われてそのまま眠っちゃっただけなんだが。
なんだか懐かしい夢を見た気がしたんだけど、全く覚えてない。
いやそんなことよりも今は目の前の状況が分からない。
抉られた地面と、何故か俺の枕替わりになっていた少女の服らしきものと近くに置かれてた黒いスーツ。
んー?何があったし。
マグロ君がボロボロで、皆もボロボロなところを見ると戦い終わったのかな。
え、まさか寝てる間に全部終わったの?うわ、恥ずかしい。
近くにいたオカマが傷はないかと聞いてきたけど、爆睡かましてただけなんて言えねー。
どうやら本当に戦いは終わったらしい。
最終巻だけぶっ飛ばしてしまったような気分だな、コレ。
そういえば少女はどこにいったんだろうか…
聞いてみると、死んだらしい。
うわぁ、ショック。
んー…まぁ死んだのは悲しいけど、俺人の死に慣れ過ぎて感覚とか麻痺してるとこあるもんなぁ。
マシュマロ君も死んだらしい、マジかぁ…
あ、二代目ナッポーだ。
あっちも俺に気付いて近寄ってくるけど、ますます初代ナッポーに似てきてるよ、ヤベぇよ。
もしや二代目ナッポー君もマフィアなのかな?と思って聞いてみると激しく否定された。
どうやらマフィアぶっ潰すのを目標に活動しているテロ集団だそうで。
普通に危険人物だった。
それと眉毛君が視界に入ったので、そちらにも声を掛けてみた。
おいお前マフィアだってな、聞いたぞこの野郎。
そんな子に育てた覚えはありません、切実に悲しい。
眉毛の不仲の親父さんがマフィアのボスだったようで、彼がマフィアになることは決定事項だったらしい、辛い。
めそめそしてると間延びのある声を掛けられた。
蛙の被り物してる緑色の髪の少年がいて、どっかで見たことがあるような気がしたらやっぱりどっかで会ってたらしい。
フランス?ああ!リンゴの被り物あげた少年か!
どうやら眉毛君の下で働いてるらしく、先輩の後輩いびりが酷いらしい、可愛そうに。
少年とお喋りしているとマグロ君の悲痛な声が聞こえてきた。
何名か死んでしまったことにマグロ君が落ち込んでると、いきなり声が聞こえてきて、赤ちゃんが5人出てきた。
五人も…って、ん?あの赤いチャイナ服着てる子……風じゃね?
待って待って待って、何で風がここに、っていうか何で赤ちゃん!?
あっちも俺に気付いてすんごく驚いてるけど、俺も驚いてるよ!
駆け寄って、腕に抱いてみる。
うん、こいつは風だ。
オムツ時代から抱っこしてた風以外ありえねぇ。
説明しろよ、と言うと観念したみたいで、過去に戻ったら話すと言質を取った。
まぁ俺が年を取らないことも話さなきゃいけなくなったけど、こちとら赤ちゃんに逆戻りしてるコイツの方が気になって仕方ない。
もしかして俺が今まで会って来た赤ちゃんって本当は成人だったんじゃなかろうな。
取り合えず過去に帰ってから整理しよう。
いや過去で未来の記憶あるわけないじゃん、と気づいたのは過去に戻った後だったのを今の俺は知らなかった。
あー、ヤダヤダ、最近色んなことが起こり過ぎだよ。
俺の平穏は
Xバーナー:今話では殺虫剤として役立った沢田綱吉の大技。
沢田綱吉:エミーリオからの好感度が上がったことを知らない。トリカブトの交戦後ピンピンしているエミーリオに関して疑問すら浮かばない。既にエミーリオに対して感覚が麻痺しているようだ。
エミーリオ:クライマックスを見逃した男。( ˘ω˘)スヤァ
平穏:来ない。
風:逃げ場はない。