ルイズさまは、お妃さま!?   作:双月の意思

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遥か宇宙、マール星レピトルボルグ王家は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールをお妃に迎えるための使者をハルケギニアに送った。
ワンダユウは、大使としてトリステインとマール星を行き来し、
チンプイは、ルイズの使い魔兼お世話役として、トリステインに残った。
ワンダユウ「チンプ~イ!頼んだぞ~!」

今回は、『外伝 コーヤのエリおばさま』の続きです。
本編をお楽しみの方、急に外伝を挟んでしまってすいません。次回から、本編に戻ります。

※『エリ』は、エレオノールの婚約者・ロップルが、エレオノールに付けた愛称です。(詳細は、『外伝 コーヤのエリおばさま』参照)

※多忙のため、今後は、また亀更新になると思いますので、ご了承下さい。


外伝 魔女っ子エリちゃん

 地球から帰ったエレオノールは、ほうきを持ち、なんとなく掃き掃除をしながら歌っていた。

「わたしは、魔女っ子エリちゃん♪ ア~ブラ カタブ~ラ 魔法使い♬」

「何してるの?姉さま。『エリ』って誰?」

 本来は、貴族は掃き掃除などしないので、ルイズはどうしたのだろうと思い、声をかけたのだった。

 急に声をかけられてビクッとしたエレオノールが、慌てて誤魔化すように手をブンブンと振りながら答えた。

「ル、ルイズ!?そ、その・・。ちょっとね・・。

ああ!言ってなかったわね。『エリ』は、ロップルがわたしに付けてくれた愛称よ!」

 ルイズは、じと~っとした目でエレオノールを見つめながら言った。

「じゃあ、”魔女っ子”って、姉さま? 姉さま、”魔女っ子”って歳じゃ・・いひゃい!いひゃいです!ねえはま(ねえさま)!」」

 エレオノールは、ルイズの頬を軽くつねって、ルイズの言葉を遮った。

「別に、そんなことないよ」

 ひょっこり顔を出したチンプイが、口を挟んだ。

「どうしてよ?チンプイ」

 ルイズが、頬をさすりながら訊くと、チンプイは笑って答えた。

「ルイズちゃんのアルバムを収録したムジエルさんは百三十歳超えてるし、王室のご隠居のヒコザーモンさんなんて三百歳だよ? エリちゃんは、まだまだ若いよ」

「「三百歳!?」」

 エレオノールとルイズは同時に叫んだ。この間、ルイズの歌を収録したムジエルが「百二十年もこの業界で生き抜いたわたくしが…」と言っていたことを、ルイズは思い出した。

「そう言えば、ムジエルさんも百二十年とか言ってたけど・・。マール星の人ってすごく長生きなのね」

「そうかな?う~ん。多分、マール星の医学がすごく発達しているからかもね。どんな病気もすぐに治せるし、アンチエイジングケアもかなり進んでいる方だと思うし・・」

「どんな病気も!? じゃあ、ちいねえさまの病気も治せるの?」

「うん。多分、治せるんじゃない? Dr.チョロン先生に頼めば・・そうだ!今度、ルイズちゃんとエリちゃんの健康診断をしに来るはずだから、その時に頼んであげようか?」

「ええ。是非、お願いするわ。ありがとう、チンプイ。 これで、ちいねえさまの病気も治るわね。姉さま」

「そうね。ありがとう、チンプイ君・・。うん?・・って、『エリちゃん』!?」

 エレオノールは、先程から、チンプイの自分に対する呼び方が変わっていることに気が付いた。すでに成人しているエレオノールに対して、チンプイは、ちゃん付けをしていたのだ。

「うん。ダメ?」

「うっ・・。い、いいえ。チンプイ君がそう呼びたいなら、別にいいわよ」

 チンプイに捨てられた子犬のような目で見つめられて、エレオノールはダメとは言えなくなった。

「マール星人は長生きだから、まだまだわたしは若輩者だし、ちゃん付け位いいかな」

と、エレオノールは心の中でひとりごちた。

「わーい!エリちゃん、ありがとう!」

 チンプイはそう言って、エレオノールに抱きついた。

 その様子を面白くなさそうに見ていたルイズが、口をとがらせてチンプイに言った。

「チンプイ!姉さまだけじゃなくて、わたしにも愛称付けてよ!」

「うーん・・。ルウちゃん?ルッちゃん?」

 チンプイは腕を組んで考え、思い付いた名前を挙げるが、どれもパッとしない。

「はあ~。なんか冴えない愛称ね~。もっとマシなのないの?」

 ルイズは大きなため息をついて言った。すると、チンプイはむっとして言った。

「だって、そもそもエリちゃんの愛称を考えたの、ロップル君だよ!ぼくが考えたんじゃないもん!ルイズちゃんも殿下に考えてもらったら?」

 『殿下』と聞いて、ルイズは頬を赤らめながら答えた。

「殿下・・// そ、そうね// 今度、ルルロフに考えてもらおうかしら?

と、ところで、姉さま。どこであのような歌を?」

 ルイズが照れ隠しで誤魔化すようにして訊くと、エレオノールは笑って答えた。

「ああ、あの歌はしずかさんに教わったのよ」

「しずかさんって誰?」

「実はね・・」

 エレオノールは、ロップルと行った地球で出会ったしずか達との話を語り始めた。

 

 数日前――――

 ワンダユウに地球に送ってもらったエレオノールは、ロップルと合流すると、のび太・しずか・ドラえもんが、出迎えてくれた。

「紹介するよ。こちら、コーヤコーヤ星を救ってくれた、ぼくの親友の野比のび太君」

「はじめまして。野比のび太です。先程、ロップル君から話は聞きましたよ。お会いできて嬉しいです」

「はじめまして。ええ。こちらこそ、『スーパーマン』とお会いできて光栄ですわ」

「いや~、『スーパーマン』だなんて、そんな・・//」

「のび太さん・・」

 エレオノールに『スーパーマン』と呼ばれてデレデレとしているのび太に、嫉妬したしずかは、やや低い声で、のび太をたしなめた。

「あっ!し、しずかちゃん!ゴ、ゴメン!」

「もう!デレデレしちゃって!のび太さんなんて、知らない!」

「ゴメ~ン。ゴメンね、しずかちゃん。もうデレデレしないよ~」

「・・反省してる?」

「してる!してる!ぼくは、しずかちゃんがいてくれなきゃ、死んじゃうも~ん!」

「も~// オーバーね// 皆見てるのよ? まあ、いいわ。許してあげる」

「ほんと!ありがとう// しずかちゃん!」

「ふふっ// どういたしまして」

 そんな二人の様子を温かい目で見守っていたロップルは、はっとして、咳払いをした後、仕切り直して紹介を続けた。

「んっ!ん!! じゃあ、紹介を続けるね。こちら、のび太君の婚約者の源静香さん」

「はじめまして。源静香です。エレオノールさんは、ロップルさんの恋人で、『魔法使い』なんですよね?お会いできて嬉しいです」

「はじめまして。ええ、そうですよ。こちらこそ、コーヤコーヤ星を救った『女英雄(ヒロイン)』にして、『スーパーマン』の婚約者のしずかさんにお会いできて嬉しいですわ」

「『女英雄』だなんて、そんな・・//」

 『女英雄』と言われて、嬉しいような恥ずかしいような気持ちになったしずかは、恥ずかしそうに俯いた。

「最後に、こちら、ドラえもん。のび太君の一番の親友で、未来の世界のネコ型ロボットだよ」

「こんにちは。ぼく、ドラえもんです。いや~、魔法使いが実在するなんて、ビックリしました。お会いできて光栄です」

 ドラえもんは、のび太が大学に入った後、未来の世界に帰ったが、今ものび太が心配でこうしてたまに様子を見に来ているらしい。

「はじめまして。お話はロップルから聞いているわ。マール星並みに科学技術が発達しているんですってね。よろしく・・ケホッ!ケホッ! ごめんなさい。さっきから、体も重くて・・」

「あっ!そうか!エレオノールさんの星も地球より重力が小さいんですね。気が付かなくてごめんなさい。えーと・・」

 そう言って、ドラえもんはポケットを探った。

「あった!『テキオー灯』!」

 ドラえもんはそう言いながら、短銃に似た形をした緑色の道具をポケットから取り出した。

「『テキオー灯』?」

 エレオノールが聞き返す。

「はい。これは、海の中・・宇宙空間・・どんな状況下でも生活できるようになる光線を出す道具なんです。二十四時間・・つまり丸一日しか効果はないんですけど・・」

 エレオノールは、不安そうにロップルの方を見た。というのも、どう見ても武器の短銃にしか見えなかったからだ。

「大丈夫だよ、エリ。ぼくもさっきその光線浴びたから。・・それより、トリステインの重力もコーヤコーヤ星と同じように地球より重力が小さかったんだね。それじゃあ、体が重いはずだよ。気が付かなくてゴメンね。エリ」

「いいえ、気にしないで。ロップル。 じゃあ、お願いするわ。ドラえもんさん」

「分かりました。じゃあ、いきますよ」

 エレオノールは、『テキオー灯』の光を浴びた。すると、体が重い感じも息苦しさもなくなった。

「体の重い感じも息苦しさも無くなったわ。すごいのね。地球の科学技術って・・」

 エレオノールが感心していると、のび太が笑って補足した。

「正確には、百年後の地球の科学技術ですけどね」

「百年後・・本当に未来から来たのね、ドラえもんさんって。ああ!申し遅れました。

わたしは、トリステイン王国出身のエレオノール・アルベルティーヌ・ル・ブラン・ド・ラ・ブロワ・ド・ラ・ヴァリエールです。

長いので、エリで結構ですわ。すでにご存知のようですが、ロップルの恋人です。

皆さんはロップルのお友達なのですから、どうかわたしとも友人のように接して下さいな」

 エレオノールは、そう言って微笑んだ。

「へえ~。長い名前なんで・・長い名前なんだね、エリさんの名前って。トリステインじゃ、みんなそうなの?」

 ドラえもんが、あまりにも長い名前に目を丸くして尋ねた。

「いいえ。『メイジ』・・つまり『魔法使い』は、トリステインでは文明を担っているから、貴族として苗字が与えられるの。役職や所有している土地名なんかも一緒に組み込んだりして、ついでにセカンドネームやらサードネームやら付けたりするから、貴族の名前は長くなることが多いのよ」

「へ~。『魔法使い』って貴族なんだ。なんか意外だな」

「そうね。なんだか、わたし達の想像しているイメージと違うわね」

 のび太としずかは、『魔法使い』が貴族であることに驚いて目を丸くした。

 五人は、のび太の家に移動して、しばらく談笑した。

 その中で、のび太としずかの婚約エピソードも語られた。

 婚約に至った決め手は、大学時代にしずかが雪山で遭難して、のび太が助けに来たことがきっかけで(逆にのび太がしずかに助けられ、「そばにいてあげないと危くて見ていられない」という理由で)婚約に至ったらしい。

 意味ありげな笑みを浮かべて話す二人に、ロップルとエレオノールは首をひねったが、二人を心から祝福した。ちなみに、ドラえもんは、事情を全て知っているので、温かい目で二人を見ていた。

 

 その後、ドラえもんとロップルはそのままのび太の家に、エレオノールはしずかの家に泊まることになった。

 『魔法使い』だというエレオノールに、しずかの両親は驚いたが、のび太の親友の恋人と聞いて、温かく迎えてくれた。しずかの母が料理を振る舞うことになった。

 料理が出来るのを待っている間に、”コンロ”と”テレビ”を目にしたエレオノールは、驚いてしずかに尋ねた。

「ねえ?しずかさん。火が魔法も使っていないのに火種のない所から出たり・・、科法を使っているわけでもないのに映像が流れたり・・一体どういう仕組みになっているの?」

「ああ。あれはね、”コンロ”っていうのよ。火種はちゃんとあるの。ガス・・、つまり、燃えやすい鉱石が気体になったものを火種にしているの。映像が流れているのは、”テレビ”といって、電気・・つまり雷の力を人為的に作り出して、別の場所で”テレビカメラ”っていう道具で見た景色を映しているの」

「雷を魔法や科法なしで人為的に作りだして燃料にするなんて・・すごい技術ね。

それと、燃えやすい鉱石って・・、硫黄みたいなもの?」

「ええ。成分は違うけどそうよ」

 それを聞いたエレオノールは目を丸くした。というのも、硫黄といえば、ハルケギニアでは”火の秘薬”と呼ばれ非常に高価な代物であり、一般家庭で気軽に使えるほど安くはないからだ。

「それって、ものすごく貴重なんじゃ・・」

「ええ、限りある資源だから貴重は貴重だけど、一般家庭で普通に使える位はまだあるのよ、地球には」

「へえ・・。ドラえもんさんの『テキオー灯』にも驚いたけど、ドラえもんさんのいる未来の地球にも負けない科学技術が、今の地球にはありそうね」

 エレオノールが感心してそう言うと、しずかとしずかの父は顔を見合わせて苦笑した。

「いやいや、ドラえもん君のいる未来の世界には到底及ばんよ。それこそ、我々からしたら、魔法か奇跡にしか見えない」

 しずかの父は、そう言った。

「魔法は、地球やマール星の科学技術ほど万能じゃありませんよ・・」

 エレオノールは、地球やマール星の科学技術を目の当たりにして、ハルケギニアの魔法に自信が持てなくなっていた。

「そうなのかね? 魔法というものを実際に見たことがないから分からんが・・、未知の技術を見て、他人のものが良く見えてしまっているだけではないかね?」

「そうなのでしょうか・・。そうだ。魔法、よかったら少し見てみますか?」

「いいの!?エリさん!」

「ええ、もちろん」

 しずかが目を輝かせて尋ねる様子に、苦笑しながら、エレオノールは言った。

 普段なら、魔法を見世物にしたりしないのだが、しずか一家が泊めてくれるお陰でロップルとの旅行が実現したので感謝の気持ちもあったし、何より地球人の目にハルケギニアの魔法がどう映るのか興味があった。

 しずかの母も、魔法に興味があるのか、料理を中断していそいそとエレオノールの魔法を見に来た。

 エレオノールは、しずかの父に失敗して丸めた原稿を用意してもらうと、それに魔法をかけた。

「じゃあ、いきますよ。イル・アース・デル・・。”錬金”!」

 エレオノールが呪文を唱えると、丸まった原稿は、材質が紙から粘土へと変化した。

「うわあ・・」

「おおっ!」

「まあ!」

 しずかは目を輝かせ、しずかの両親は目を大きく見開いた。その様子に気を良くしたエレオノールは、続いて別の呪文を詠唱した。

「フル・ソル・ウィンデ・・。”レビテーション”」

 ふわっと粘土は浮き上がり、エレオノールの杖の動きに従ってゴミ箱へと移動し、そのままゴミ箱の中に入った。

 パチパチパチ

 しずか一家は感動して、拍手をした。

「いや~。スゴイものを見せて頂きました。物体の材質を変えたり、物を風なしで浮かせる技術は、ドラえもん君の未来の世界ならあるだろうが、今の我々ではとても無理だ。

エレオノールさん、もっと自分の魔法に自信を持って下さい。あなた方は、我々とは異なる”魔法”という技術で、あなたの星の文明をけん引しているのですから」

 しずかの父に言われて、自信を取り戻したエレオノールは、笑って力強く答えた。

「はい!」

 

 しばらくして、夕食となった。その際に、振る舞われた料理にもエレオノールは驚かされた。

 小さくて底の深い器に入った、”トン汁”なるスープは、しっかりと煮込まれた豚肉の脂と何種類もの野菜が混じり合い、それらの旨味が噛みしめる度にあふれ出した。それでいて普段トリステインで食べるスープよりもさっぱりとしていた。

 ”ライス”なるものは、粘り気のある白い粒が、”トン汁”と似たような器に盛られていた。ほのかな甘みがありながら、他の料理を味わう邪魔をせず、それでいて確かに食べているという満足感を残すそれは、立派にパンの代わりを果たすだけでなく、パンよりもさっぱりとしていて美味しかった。

 メインディッシュの”エビフライ”なる料理は、海で獲れたエビという魚介類に細かくしたパンの衣をつけ、油で揚げた(水ではなく油で茹でることらしい)ものだそうだ。淡白な味ながらプリプリとした食感が面白く、癖の無い油をたっぷり含んだ、香ばしくて歯ごたえのある衣と一体となって、驚きの美味しさを奏でる。さらに、タルタルソースという、白いソースは、細かく刻んだ野菜と茹でた卵が混ぜてあり、少し酸味の効いたそれは、やや淡白なエビフライと交じり合うことで素晴らしい味となった。エレオノールは、美味しさのあまり思わずため息が漏れた。

 また、サラダも、トリステインのものよりもシャキシャキとしていて、朝の水浴びのような爽やかさがあった。

「どうですか?お口に合いましたか?」

 しずかの母が尋ねると、

「ええ、どれもとっても美味しかったわ。どれもわたしが見たことがないものでしたが、”エビフライ”は食べているという満足感がありながらさっぱりとしていて美味しかったし、他の”ライス”や”トン汁”というスープもさっぱりとしていてとっても美味しかったです。どれもトリステインにないのが、残念ですわ」

 エレオノールは、笑顔でそう答えた。

「気に入って頂けて良かったわ。じゃあ、最後にデザートをお持ちしますね」

 しずかの母はそう言うと、透明な器に盛られた”アイスクリーム”なるものを持ってきた。エレオノールは、冷たくてそれでいて滑らかな食感をもつそれに驚いた。

「これは・・、冷たくて美味しいわね」

「でしょう?」

 笑顔でそう言うしずかやしずかの両親と、お互いの国の料理やお菓子についてしばらく話をしていると、しずかは思い付いたようにあることを聞いてきた。

 

「そうだ。話は変わるけど、エリさん達は『魔法使い』だから、やっぱり、ほうきで空を飛ぶの?」

「えっ? わたし達が出来るのは、”フライ”という魔法で、自分の体を浮かせて馬車並のスピードで飛ぶことよ。その魔法を使っている間は他の魔法を使えないし、あまり長時間飛んでいられるわけではないわ」

 エレオノールは、目を丸くした。というのも、ほうきとは平民が掃除をするために使う道具であり、それを使って空を飛ぶなど考えたこともなかったからだ。

「そうなんだ・・。地球では、『魔法使い』はほうきにまたがって自由に空を飛び回るっていうイメージなんだけどね・・。わたし、昔、そんな魔女・・『魔法使い』に憧れていたのよ」

 明らかに残念そうな顔をしていたしずかを見て、エレオノールはなんとなく申し訳ない気持ちになった。

「ごめんなさいね。せっかく憧れてくれていたのに、イメージを壊してしまって・・」

「ううん、いいの。

それでね。童話に出てくる魔女みたいに魔法でパッパッとなんでも出来て、困っている人を助けてあげたら、どんなに楽しいだろうなって。

そんな空想をしていることをのび太さんに話したら、ドラちゃんに頼んで夢を叶えてくれたのよ」

「えっ・・。ドラえもんさんて、魔法も使えるの?」

「違うわよ。ドラちゃんの道具を貸してくれたの」

「それって、魔法を使ってる感じがしないんじゃない? しずかさんは、それで良かったの?」

「ええ。魔法は現実にはないものだと思ってたから、妥協したのよ。それでもね。絶対に譲れないことがあったの」

「譲れないこと?」

「ええ。『空飛ぶほうき』よ。地球の童話では、『魔法使い』の代名詞みたいなものだから、どうしてもそれで空を飛びたかったの。

そしたらね、ドラちゃんは持っている道具で、『空飛ぶほうき』を作ってくれたの。それで、楽しくて夢中になって飛び回ってたら、夜遅くなっちゃって・・。わたし、あの時まだ小さかったからママにすっごく怒られちゃったわ」

 しずかはそう言って、ペロッと舌を出した。

「それであんなに遅くなったのね。全く、あなたって子は・・」

「まあまあ、昔のことだ。許してやりなさい」

 昔を思い出してしずかに小言を言おうとするしずかの母を、しずかの父がなだめた。

「なんだか、わたしも『空飛ぶほうき』に乗ってみたくなったわ」

 エレオノールがぽつりと言った。

「じゃあ!明日、ドラちゃんに頼んでみましょうよ!」

 しずかは、興奮した様子でエレオノールに提案した。

「え、ええ。そうね」

 エレオノールは、そんなしずかにタジタジになりながらも、そう答えた。エレオノールも内心、『空飛ぶほうき』に興味があったので、明日が楽しみだわと、心の中でひとりごちた。

 

 その頃、のび太の家では・・。

 のび太たちは夕食を済ませ、談笑していると、自然と話題は『魔法使い』の話になった。のび太は、昔を懐かしむように、『魔女っ子しずかちゃん』の話をした。

 すると、ロップルは、

「そういえば、エリの魔法に『空飛ぶほうき』はないみたいだよ?」

と言った。

「そうなの?じゃあ、誰が言い出したんだろうね。『空飛ぶほうき』なんて」

「さあ?分かんないな」

「そっかー。でもさ、しずかちゃんは絶対に『空飛ぶほうき』の話をするよ。ねえ、ドラえもん、なんとか『空飛ぶほうき』を作れないかな?」

「うーん。また、『無生物催眠メガホン』を使ってもいいけど・・。そんなに長いこと効果は続かないから、ぬか喜びさせちゃうだけじゃない?」

 ドラえもんは、のび太の提案に困った顔をして、そう答えた。

 『無生物催眠メガホン』。拡声器に似た形をした道具で、生きていないものに催眠術をかけることが出来る。かつて、この道具を使って普通のほうきを『空飛ぶほうき』に変えたのだった。

 しかし、効果は何日も持続するわけではないので、エレオノールを逆にがっかりさせてしまうかもしれない。

 黙って話を聞いていたロップルが、ふと思いついて言った。

「ねえ。『ガルタイト鉱』を使ったら、『空飛ぶほうき』、作れないかな?」

「『ガルタイト鉱』?確か、反重力を発生させる鉱石のことだよね。『ガルタイト鉱』を二つこすり合わせると宙に浮けるっていう、あれ」

 のび太の説明を聞いていたドラえもんがピンときて、手をポンと打った。

「あっ!そうか! あれでほうきを作って、それを制御する装置を作れば・・」

「あー!!」

「ねっ!」

「でもさー。肝心の『ガルタイト鉱』はどうするの?」

 のび太が尋ねると、ロップルは笑って答えた。

「問題ないよ。マール星の人に連絡して送ってもらうから」

 その夜、ロップルは、コーヤコーヤ星でロップルの帰りを待つラビに持たされたマール星の通信機で、ラビと連絡を取った。ロップルは、『ガルタイト鉱』と日本の貨幣に換金した自分の貯金を『瞬間転送機』でのび太の部屋へと送ってもらった。

 

 翌日。

 のび太の家に一同が集合し、エレオノールとしずかが、『空飛ぶほうき』のことをドラえもんにお願いすると、ロップルがドラえもんの代わりに言った。

「しずかさんが昔やったみたいに『無生物催眠メガホン』で普通のほうきを『空飛ぶほうき』にしても、その効果がずっと続くわけじゃないでしょう?

だからさ、コーヤコーヤ星の『ガルタイト鉱』を使って、ずっと使える『空飛ぶほうき』を作ってみない?」

 ロップルの言葉に、エレオノールはパッと顔を輝かせた。

「ほ、本当に作れるの?ロップル」

「もちろんだよ。 ねっ?ドラえもん」

「うん」

「・・それでさ。ぼく、考えたんだけど。『ガルタイト鉱』でほうきを作るとして、反重力場を発生させるためには、もう一つ『ガルタイト鉱』が要るでしょう?それをさ、指輪型にしてエリにはめてもらって、エリがほうきにまたがったら反応するようにできないかな?」

「えっ・・//」

 指輪と聞いて、エレオノールは顔が少し赤くなった。ロップルは、恋人に指輪を贈ろうとしていることに気付いているのだろうか?

「それって、指輪を制御装置を兼ねた鍵にするってこと?」

 ドラえもんが尋ねる。

「うん。そうだよ。・・それでさ。日本には3泊4日の予定なんだし・・// 

指輪型制御装置の土台になる指輪を今日買って、『空飛ぶほうき』を作るのは明日に出来ないかな? 

せっかく恋人に指輪を贈るんだから、エリと今日デートして、一緒に選びたいんだ//」

 ロップルは恥ずかしそうに言った。

「ロップル・・//」

 エレオノールは、感動してロップルをじっと見つめた。

「まあ、ロマンチックね。いいんじゃない?

そうだ!せっかくだから、わたしとのび太さん、エリさんとロップルさんで、ダブルデートしない?」

 しずかが、ダブルデートを提案した。

「ぼくはいいけど・・、ドラえもんはどうするの?」

 のび太が、ドラえもんの方をチラッと見て言った。

「ぼくのことは気にしないでいいよ。明日のために『空飛ぶほうき』のほうきだけでも、ぼくが今日作っておくから」

「そう?わたしが言い出したんだけど・・、なんだか悪いわね・・」

「大丈夫だよ。ぼくがいたんじゃお邪魔だし、エリさんとロップル君は時間も限られてるからさ。のび太君としずかちゃんは、ロップル君とエリさんのデートをサポートしてあげてよ」

 しずかが少しばつが悪そうに言うと、ドラえもんは笑ってそう言った。

「分かったわ。じゃあ、お願いね。ドラちゃん」

「任せてよ。 ロップル君、『ガルタイト鉱』は?」

「のび太君の部屋に置いてあるよ。じゃあ、悪いけど、頼んだよ」

「分かった。あとはやっておくから、ロップル君達はデートを楽しんできてよ」

「ありがとう。じゃあ、行こうか。エリ、のび太君、しずかさん」

「ええ」

「うん」

「ええ」

 こうしてエレオノールは、のび太としずかに東京のデートスポットを案内してもらいながら、人生初のデートを楽しんだ。

 水族館でイルカショーを観たり、クレープ屋の前で”クレープ”なるものをロップルと一緒に食べた。

 ちなみに、その時エレオノールが食べた”クレープ”は、”チョコバナナクレープ”なるもので、輪の一部を切り取ったような元はある程度酸味があるのであろう黄色い果物が、とろけるように甘く柔らかい白いミルクのようなものに埋まっており、甘くて苦いソースがその上にかかっていた。それらを包む、淡い黄色と茶色のまだら模様の布のようなものは、あえてほとんど味がしないことで、ともすれば甘すぎて疲れるクレープの味を調えて、見事な味のハーモニーを奏でていた。

 その後、デパートで色々な服をみて、ロップルに”ワンピース”という服を買ってもらった後、宝石店で指輪をロップルと選んで購入した。

 購入した指輪には、種類は分からないが、エレオノールの好きな青い宝石が埋め込まれていた。

「ロップル、この宝石、取り出しちゃうのよね・・。『ガルタイト鉱』を埋め込むために買ったから仕方ないって分かっているんだけど・・、初めてあなたに買ってもらった指輪だから、ちょっと残念だわ・・」

 エレオノールが寂しそうに笑ってそう言うと、ロップルはポケットから小さな紙袋を取り出してエレオノールに渡した。

「これは?」

「うん。指輪の改造は、ぼくが言い出したことだけど・・、ぼくも、その宝石を取り出しちゃうのもったいない気がしてさ・・。さっき、そこのシルバーアクセサリーコーナーで、宝石のついていないネックレスを買っちゃった。良かったら、明日、これにその宝石付けない?ぼくも手伝うからさ」

 それを聞いたエレオノールの表情が、パッと輝いた。

「ええ、そうしましょう!ありがとう、ロップル」

「どういたしまして、エリ」

 こうして、無事にエレオノールの初デートは無事に終わった。

 

 その後、ドラえもんとのび太の両親としずかの両親も合流して、”すき焼き”なるものを食べた。

”すき焼き”は、甘辛い味付けのされた独特な汁に、牛肉や野菜、そして”豆腐”と”白滝”というしずか達の国に独特な食材であろう甘辛い汁を吸ったあっさりとした具が入っていた。それらを溶き卵にくぐらせて、”ライス”と共に食べると、甘辛い風味が口いっぱいに広がり、またしても”ライス”が食べているという満足感をエレオノールに与えた。

 一つの鍋(正確にはのび太達とのび太の両親達で計二つ)を大勢でつつくというのは、貴族であるエレオノールにとって初めての経験であったが、悪い気はせず、なんとなく温かい気持ちに包まれた。

 その夜、ほろ酔いのしずかが、

「わたしは、魔女っ子しずかちゃん♪ ア~ブラ カタブ~ラ 魔法使い♬」

と歌っていたのを聞いたエレオノールが、密かに気に入って口ずさんでいたのは余談である。

 

 翌朝。のび太の部屋に一同は集まった。

「はい。これ、昨日、『ガルタイト鉱』をほうきに埋め込んでおいたよ。見た目は普通のほうきに見えるけど・・、簡単に折れたり、燃えたりしないように、『材質変換機』で強度を高めておいたから、大丈夫だよ」

「昨日のうちにそこまでしてくれたのね。ありがとう。一応、わたしも”固定化”の魔法をほうきにかけておいていいかしら?」

「”固定化”の魔法って?」

「物質の酸化や腐敗を防いで、あらゆる化学反応から保護するという土魔法よ」

「へ~。便利だね。うん、ほうきがより長持ちしそうだし、いいんじゃない?」

「ありがとう。じゃあ、早速・・」

 エレオノールは、そう言うと、”固定化”の魔法を『空飛ぶほうき』にかけた。

「では、ここで・・。『天才ヘルメット』!と、『技術手袋』!」

 ドラえもんはそう言って、どう考えても物理的にポケットに入らなさそうなヘルメットと手袋を人数分取り出した。

「・・そのポケットにどう考えてもそれ、入らなさそうだけど・・、どこに入ってたの?」

 エレオノールは目を丸くして、ドラえもんに尋ねた。

「ふふふっ。ぼくのポケットは、『四次元ポケット』といって、・・まあ、簡単に言うと、ものすごく広い空間が広がっているから、中にいくらでも物を入れることが出来るんだよ」

「へ~.便利ね~」

 エレオノールは、感心した。

「じゃあ、今、出した道具の説明をするよ。

これは、『天才ヘルメット』といって、改造したいものがあれば、このヘルメットをかぶると、自動的に考えてくれるんだ。

こっちは、『技術手袋』といって、指先が色々な工具になっているから、どんな改造も工作も出来るんだよ」

 ドラえもんは、道具を指差しながら説明した。

「説明が終わった所で、早速、始めようか」

 こうして作業は始まった。指輪に内蔵する細かい精密機械をドラえもんとのび太で作り、エレオノールとロップルは『ガルタイト鉱』の形状を変えたり、指輪にそれらを組み込みやすいようにしたりした。

 その間に、しずかは、ロップルが昨日買ったアクセサリーと宝石を二つに分解して何やら別の作業をしていた。

 こうして、昼過ぎに『空飛ぶほうき』の制御装置の指輪が完成した。

「出来た!」

「「おめでとう!エリさん、ロップル君」」

「ありがとう。のび太君、ドラえもん。二人が手伝ってくれたお陰だよ。エリ、指輪を付けた感じはどう?」

「ええ。わたしの指にピッタリよ!ロップル。ドラえもんさんも、のび太さんも、手伝ってくれてありがとう」

 この指輪の宝石には、コーヤコーヤ星に咲くという、『雪の花』の模様が、指輪の宝石に付けられたことから、『雪の花』の指輪と名付けられた。

 この『雪の花』の指輪は、エレオノールがはめて、ほうきにまたがると、『ガルタイト鉱』で出来た『空飛ぶほうき』が反応する仕組みだ。エレオノールの脳波を『雪の花』の指輪がキャッチして、ほうきの細かい動きを制御するため、エレオノールの思い通りの飛行ができ、最高速度は時速四百五十キロを誇る。『空飛ぶほうき』の周囲には反重力場が発生しているため、向かい風で息が苦しくなったり、バランスを崩したりすることはない。

「・・それで、しずかちゃんは、何をしていたの?」

 ドラえもんが尋ねると、しずかは、二つのネックレスをロップルとエレオノールに差し出した。

「ふふっ。エリさんとロップルさんに許可を取ってね、指輪に付いてた宝石を二つにして、ペアネックレスを作ってみたの」

 二つのネックレスには、青い宝石が輝いており、『雪の花』の模様がどちらにも入っていた。

「ペアネックレスなんて、思い付かなかったよ。さすが、しずかさん!

エリ、これ、お揃いだよ!」

「ええ、そうね。嬉しいわ、ロップル。

コーヤコーヤ星の『雪の花』の模様まで入っているし、すごく素敵よ。ありがとう、しずかさん」

 ロップルとエレオノールがお礼を言うと、しずかはにこっと笑って言った。

「どういたしまして。二人ともすごく似合ってるわよ」

 その後、『空飛ぶほうき』のテスト飛行も無事に成功し、五人は喜びを分かち合った。

 

 その夜。

 エレオノールとロップルは、『空飛ぶほうき』でちょっとした『空中お散歩デート』をしていた。

 エレオノールの後ろにロップルが乗っている。

「地球では、月が一つなのね」

「コーヤコーヤ星も一つだよ。赤い月と青い月が交互に昇るから」

「そうだったわね。トリステインでは、いつも赤い月と青い月が揃って昇るのよ」

「へえ~、そうなんだ。コーヤコーヤ星で二つの月が揃って昇るときは、いつも見られないんだよ」

「そうなの?」

「うん。二つの月が揃って昇るときは、『ムラサキノ夜』っていってね、大洪水の夜なんだ」

「じゃあ・・、二つの月が揃って昇るのは、あんまりいい思い出ないの?」

 エレオノールが少し俯いて尋ねると、ロップルは笑って答えた。

「そんなことないよ。むしろ、本当なら見てみたいくらいさ。大津波が、遠い南の湖から肥えた土を運んできてくれるから、『春の訪れ』とも言われているんだ」

「良かった。そうなのね」

 エレオノールは、ほっと胸を撫で下ろした。

「エリ・・。ぼくは、どんな所でも。エリと一緒なら幸せだよ」

「わたしもよ。ロップル」

 二人の顔が自然に近づき、二人は地球の満月の月明かりの下で、初めてキスをした。

「ぷはっ。ふふっ// キス・・しちゃったわね// ロップル」

 そう言って、エレオノールはロップルの肩に頭をのせた。

「そうだね・・// エリ」

 ロップルは、そんなエレオノールの肩を抱いて、しばらく二人で満月を眺めていた。

 その間、二人には静かなゆったりとした時間が流れた。

「ねえ、ロップル? 結婚したらどこに住みたい?」

「ぼくは、エリがいるところならどこでもいいよ。エリは?」

「わたしもよ。・・でも、ルイズがルルロフ殿下と結婚しそうだから、もしかしたらマール星に住むことになるのかしら?わたし達」

「そうかもしれないね。・・でも、いつか、エリの実家にも行ってみたいな」

「嬉しいわ。その時は、わたしの家族を紹介するわね」

「うん。楽しみにしているよ」

 二人は、しばらく夜の『空中お散歩デート』を楽しんだ後、それぞれ、のび太の家としずかの家へと戻って行った。

 

 翌日の昼。

「じゃあ、また来るね。のび太君」

「うん。ロップル君、今度はぼくもコーヤコーヤ星に遊びに行くよ」

「ぼくも」

「ありがとう。のび太君、ドラえもん。母さん達、喜ぶよ」

 ロップルは、ドラえもんとのび太と握手をした。

「しずかさん、色々ありがとう。楽しかったわ」

「わたしもよ、エリさん。また、遊びに来てね」

「ええ。もちろん。しずかさんも、トリステインに遊びにいらしゃいよ。歓迎するわ」

「ありがとう。ええ、わたしもいつか、トリステインに遊びに行くわね」

 五人は別れを惜しむように、しばらく話をした。

 すると、ワンダユウが迎えに来て、エレオノールとロップルは、地球を後にした。

 

 ――――エレオノールの地球での話を聞き終えたルイズが、口を開いた。

「じゃあ、姉さまが持っているそれって・・」

 ルイズは、エレオノールが持っているほうきをじっと見つめた。    

「ええ。『空飛ぶほうき』よ」

 エレオノールはそう言うと、ほうきにまたがった。すると、ふわっと浮き上がり、エレオノールは魔法学院の空の上をぐるっと一周して降りてきた。

「どう?」

「すごい・・すごいわ!姉さま!・・ねえ、お願い。わたしにも貸して」

「別にいいけど、わたしじゃなきゃ飛ばないのよ?このほうき」

「そうなんだ・・」

 がくっと肩を落とす妹を見たエレオノールが、

「・・じゃあ、私の後ろに乗って飛んでみる?」

と言った。

「いいの!?」

「ええ、もちろんよ」

「ルイズちゃん、ズル~い!エリちゃん、ぼくも!」

 目をキラキラと輝かせて、頼んでくるルイズとチンプイに、エレオノールは苦笑して、

「ええ、いいわよ。さあ、二人とも後ろに乗って」

と、ほうきに乗るよう促した。

 そして、二人は、しばらく『空飛ぶほうき』での空中飛行を楽しんだ。

 その様子を見た大勢の魔法学院の学生が、自分も乗せてくれと押しかけてきた。

 あまりにも大勢だったので、エレオノールが困った表情をしていると、

 見かねたルイズが、

「ダメ!生憎これは、三人乗りでね。わたしとチンプイで定員オーバーよ」

と言った。

 その言葉がきっかけで、「早く降りろ!」だの「代われ」だの、散々言われて口論に発展した。

それでも、頑として譲らないルイズに根負けして、皆、すごすごと立ち去ったのは余談である。

 




ハルケギニアの重力が地球より小さい設定にさせて頂きました。
あと、空気は・・、まあ地球の方が汚いですよね(笑)。
『空飛ぶほうき』の最高速度は、ゼロ戦を参考に設定させて頂きました。

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