子供はあまり好きではなかったのだけど…   作:彰吏

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どうも、筆者です。
遅くなって申し訳ない。
遅くなった理由は特にないですが、書くときは一気に書きたい派なのでそれで遅くなったのだと思われます。


最後に、マイブームはほうじ茶です。




第5話

 

土曜日の昼下がり。

昼ごはんを食べて、俺ぐらいの年齢ならお昼寝をしている時間帯だ。

だけど、俺こと片桐燈空はそんな時間に遠坂邸を目指している。

いつもなら公園で遊ぶのだが、前回遊んだ時に誘われたのだ。はじめは桜ちゃんが俺に抱き着きながら、何かを訴えるような目で俺を見つめてきて、それを見て凛ちゃんも同じような目で俺を見てきて、最後に葵さんが申し訳なさそうに今日のこと、遠坂邸に来てほしい旨を伝えてきたのだ。

桜ちゃんは可愛かったし、いつもお世話になっている葵さんの頼みなので別にいいのだが、なんか嵌められたというか作戦通りに事が運んだみたいな感じがして少し引っかかりを覚えた。

あえてそんなことは言わなかったけど。俺の心の中で思うだけで本当はそんなことないのかもしれない。

どっちにしても悪意みたいなものはなかったから別にいいのだ。

 

問題は遠坂邸ということは魔術師に対する対抗策がなされている可能性があるってことだ。

何にどのように反応するのだろうか。

うーん、考えてもわからん。そもそも魔術師の思考回路とか理解できないし理解したくない。

流刃若火なら分かるだろうか。

 

『私も分からないな。魔術師なんて者がいるなんて燈空くんが教えてくれなかったら知らなかったぐらいだしね』

 

ですよね。

これは手詰まりだな。

 

『燈空くんのその心配は必要ないと思うよ』

 

何でだよ?

 

『どんな事があろうとも私が付いてるからね』

 

なにこの刀めっちゃ頼りになるやん。

こんな感じに1人でいるときは頭ん中で流刃若火とお喋りしてたりするのだ。雑談が多いけど今回のように相談することもある。相談には真摯に対応してくれるし、雑談でもノリノリでのってくるので流刃若火の俺の中での株がうなぎのぼりである。

 

それで考えて相談した結果、遠坂邸には普通に何もしないで正面から入るつもりだ。

何かあったらその時はその時だ。

最悪の場合は戦闘になるかもしれないがそれでも大丈夫だと思っている。

今の俺でも魔術師1人ぐらいならなんとか勝負になるはずという根拠の無い自信がある。

実際のところ今の俺だと炎で攻撃しかできないんだけど、それって魔術師とそんな大差ないよね。異論は認める。

 

 

 

***

 

 

 

あれだけ心配していたのに、何もなくて拍子抜けしてしまった件について。

遠坂邸に着いて家の前で悩むこと数分、意を決して入ってみると普通に葵さんが出迎えてくれた。

俺が緊張してると思ったのか俺の手を握ってリビングまで連れていってくれたが、残念ながら女の子の家に初めて来たからとかそういう甘酸っぱいものからくる緊張ではないのでそんなにニヤニヤしないで下さい。

この緊張は死ぬ的なあれなので勘違いしないでください。

 

「すいません葵さん、オーブンから出すの手伝ってもらってもいいですか?」

 

そんなことを思いながらリビングに連れてかれて、そこで遠坂姉妹に出迎えられたことでやっと緊張も解けた。

遠坂邸にはトッキーこと遠坂時臣は居ないらしく、その事を葵さんに聞いたときにはまたあらぬ誤解を生んでしまったが、訂正するのもめんどくさかったのでスルーさせてもらった。

 

「そんなに遠慮しなくてもいいのよ」

 

その後は本当に何事もなく俺のお呼ばれされた理由でもあるお茶会を楽しんだ。

遠坂姉妹と葵さんで焼いたというクッキーと紅茶に舌鼓を打ちながら午後のひとときを楽しんだ。

初めのうちはこんなに何事もなくて逆に怪しいと思っていたが、すごく楽しそうな桜ちゃんや味を気にしてか何度も美味しいか確認してくる凛ちゃんを見ていたらそんな気持ちもどこかへいってしまった。

 

「いえ、流石に他人の家で料理させてもらっている手前そんなことできませんよ」

 

さっきから俺は何をしているかというと、クッキーを頂いたお礼に残ってしまったというクッキーの生地でほうじ茶クッキーを作っているのだ。

初めのうちはお礼だから1人で作るつもりだったが、流刃若火の『それは怪しまれるからやめたほうが...』という言葉に従って、葵さんに手伝ってもらうことにした。

今思うと俺みたいな小学生が突然1人でクッキー焼きだしたら、流石の葵さんでも怪しむよな。

 

「それにしてもおじいちゃんが和菓子職人でクッキーも焼いてくれるなんてすごいわね」

 

「そうなんだよー」

 

俺のおじいちゃんは和菓子職人だ。

それもクッキーなどの焼き菓子も作るというハイブリッドである。

俺がクッキーを作れるのを怪しまれないのは、早い段階でこのことを言ったからだ。

それでも初めのうちは葵さんがすごい目でこっちを見ていたが、それでも俺の手際の良さと自分の子どもの手前あまり疑うのも良くないと思ったのか、何も言わずに手伝ってくれた。

俺の作ったほうじ茶クッキーは予想以上に好評でまた作って欲しいと頼まれるほどだった。特に桜ちゃんが嬉しそうに食べていたのが印象的である。

 

そんなこんなで帰る時間になったわけだがこの時も特に何もなかった。

普通に遠坂姉妹に見送られて遠坂邸をあとにした。

 

その後も突然遠坂時臣に襲われるかもとか葵さんに何か言われるかもとかいろいろ警戒していたが、何もなく日々は過ぎ去っていった。

俺が小学生になるまで結構な回数を遠坂姉妹と遊んだし、何もないことをいいことに何回か遠坂邸にもお邪魔した。それでも何も起こらなかった。

強いて言うなら、遠坂時臣とは1度も会っていないことだろうか。

このことは些細なことだと片付けてしまった俺だが、それでも俺が小学生になったくらいから桜ちゃんと会うことが少なくなったことには気が付いていた。

 

 

 

 





毎回のことなのですが、勢いで書いているので文章が汚い。
なんでこんな回を書いたかというと単純にクッキーを焼きたかった(リアルで)というのもあるんですが、主人公と遠坂姉妹がどんなことしてたのかなというのも必要だと思ったので書いてみました。

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