子供はあまり好きではなかったのだけど…   作:彰吏

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平日も忙しく休日も同じように忙しく、明日も予定のある中で夜中のテンションで書き上げました。

すごいミスとかあるかもしれませんが、そこはそれご愛嬌ということで(感想で教えてください)

感想は毎度読ませてもらっています。
書いてくれた皆様、ありがとうございました。




第4話

「む、眩しい」

 

 

窓からの光がピンポイントで俺の顔に当たってくる。

誰だよ、カーテン開けたやつは。俺はちゃんとカーテンを閉めて真っ暗にしないと寝れないタイプだから、俺が開けっ放しで寝た可能性はない。そもそも布団の位置が計算されてるがごとく敷かれてることにもはや脱帽である。

いつも通りならすべて婆ちゃんがやった事だ。

あの婆ちゃん、俺が風呂に入ってる間に布団を敷いてくれるのはいいが、それは明朝のための罠であり俺を自分で起きるようにするために毎朝カーテンを開けて、日光を俺の顔にピンポイントで当ててそのままの状態で部屋を出て行っている。

そこまでするなら起こせよと思うが、どうやら小さいうちに自主性を育みたいとかなんと。

普通なら来年から小学生にそんなことさせようとは思わないだろうが、上記のとおり俺は真っ暗な中で一人で寝るという来年から小学生にしては進んだお子様であり、その事を大層褒めた婆ちゃんは勘違いをしてこんなことになったのだ。

結果的に自分がいけないのではないだろうか。

 

そんな益体もないことを考えながら俺はいつもの癖で身体中を確認する。

これは流刃若火と修行することになってからしていること。

修行中は全く優しくない流刃若火から結構派手目な傷を付けられることが多く、その傷が現実ではないと分かっていながらも確認してしまうのだ。

修行も初めたときは普通に優しくしてくれてたのに。優しくっていうか、手加減をしてくれていたと言った方がいい。

これもこの冬木市で生きていくために必要な事だと思っている。

 

現在の俺の状況を簡潔に説明すると、優しい祖父母にこの世界で一二を争うぐらい危険な場所で育てられている。

優しい祖父母というのは母方の祖父母のことで、どうやらこの2人は魔術師とかそういう裏の人ではなく、本当に善良な一般市民らしい。理由としては俺の直感と流刃若火の見立てだけだが、強いて言うとしたら目が優しいからとだけ言っておこう。最悪の場合は、返り討ちにすればいいんじゃないかなというところで意見が落ち着いたのもある。

そして一二を争うぐらい危険な場所というのは冬木市のことである。はじめに祖父母に聞かされ、信じられなくて町中を歩き回ったことも記憶に新しい。

 

この祖父母とは両親の葬式で出会った。

どうやら両親とは絶縁状態だったらしいが、どこから聞いてきたのか葬式に来てくれて俺を引き取ってくれた。

俺も特に今までの家に愛着があったわけではないので、そのまま祖父母が暮らしいているという場所に引っ越してきたのだ。その場所が冬木市じゃなかったらもっと安らかな気持ちになれたんだけどな。

 

この引越しの時に俺の荷物が全くないことに祖父母が驚いていたことをここに明記しておく。俺的には荷物がなくてラクだと思っていたが、祖父母はそう思わなかったらしい。

一緒に暮らすようになってからは、本当は騙されてるのではないかと勘ぐってしまいたくなるぐらい優しかった。

最近では、俺が普通の子供より大人っぽいことに気付いたのか、わりと一人でいろんなことをやらせてくれるようになったのは嬉しいことだ。

例えば一人部屋にしてくれてり、1人で外出しても特段なにか言ってくることもない。それでも、叱る時はちゃんと叱るというほどよい距離感なのだ。

 

 

「婆ちゃん、おはよう」

 

「おはよう、燈空ちゃん。今日もひとりで起きられて偉いね。朝ご飯の準備をするから顔を洗ってらっしゃい」

 

「はーい」

 

 

うん、いい朝だ。

ただ、一人で起きられたのくだりはわざとらしいからやめたほうがいいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は世間一般的には週の半ばで平日に位置するのだが、俺は幼稚園にも保育園にも通っていないので日中と呼ばれる時間でも、外を走り回っていられるのだ。

来年からは小学校に通わなければいけないので、あと半年とちょっとでこの街にもなれなければと今日も元気に歩き回る。否、走り回る。

これもトレーニングの一環だ。

流刃若火曰く、俺の身体能力は常人に比べれば優れているがそれも今のまま何もしないと落ちていくだけらしい。

なので、日中は街中を走り回ることとこの辺の地理に詳しくなることに重点を置き、寝る前に軽く筋トレをする。

 

寝ればあちらの世界で流刃若火と実戦形式のトレーニングだ。こちらに関しては戦闘で大事だという勘と流刃若火の扱い方を教わっている。

流刃若火での戦闘は、始解ができてそれによる炎の扱い方などできることがふえた。

問題があるとすればこの小さい体では日本刀を碌に扱えない点である。

それじゃあ何かあった時に戦えないじゃんとツッコんだ俺は悪くない。

こればっかりは成長するまでどうすることもできないので、それまでは流刃若火から出せる炎で戦うしかないということになった。

 

街中を走り回ったり筋トレをしたり、夢の中では流刃若火とのマンツーマントレーニングをしたりと1日をフルに使っていろんなことをしているが、この他に俺は2日にいっぺんある人たちに会っている。

それが今日の予定であり、この後一旦家に帰ったあとに向かう予定の公園にその待ち人3人がいるはずだ。

予定時刻よりも早く着けるように俺は家に向かっていつも以上に早めに走ったのだった。

 

 

「おーい、燈空お兄ちゃん」

 

「燈空お兄ちゃん今日も早いね」

 

「おっと」

 

 

俺の待ち人である遠坂姉妹が、2人同時に抱き着いてきた。

こんな美少女が俺なんかに抱きついてる時点で何かしらがあったんだろうとお思いのあなた。

その通りである。

ちょうど1ヶ月前俺が今では日課となってる街巡りをしていた時、遠坂姉妹の妹の方である遠坂桜が川で溺れているところを助けたことで知り合ったのだ。あの時は桜ちゃんは溺れてるし、姉である凛ちゃんも泣き叫んでいると大変な状況だったことをここに明記しておく。

 

 

「こんにちは、燈空くん」

 

「こんにちは、葵さん。今日もお綺麗ですね」

 

「ふふっ、燈空くんは来年から小学生だとは思えないほどお利口ね」

 

 

俺は思ったことを言っただけなんだけど......

抱き着いてきた遠坂姉妹を抱きとめた俺の頭を撫でているこの人は、桜ちゃんを助けた時に知り合ったこの姉妹の母親だという葵さんだ。

この美人の親から産まれてくる子どもはやっぱり美少女なのだなと改めて思えるほど葵さんは美人である。

 

実際のところなぜ俺がこんな美人な親子と楽しく公園で合っているのか俺にもよくわからないのだ。初めのうちは助けてくれたお礼だとかそんな感じだったはずなのだが、いつの間にか2日にいっぺんはこの公園で遊ぶ仲になっていた。

俺も強く断らなかったのがいけないと思うが、美少女姉妹に懇願され美人な奥様に困ったような笑みで頼まれたら了承するしかないよね。

 

【Fate/stay night】をやっていた身としては、ヒロインである姉妹の子どもの時を見れて、知り合えて、友人になれたのは嬉しい限りなんだが、これって高確率で聖杯戦争に巻き込まれるパターンだよなぁ。

別に元からこの冬木市に引っ越してきた時点で、いや、流刃若火を手にした時点でそういうことに巻き込まれると思っていたから別にいい。

むしろ開き直って原作を変えてやろうとさえ思っていた。

まさか、がっつりヒロインやその母親と関わることになるとは思ってなかったけどな。

 

 

「燈空お兄ちゃん、なにして遊ぶ?」

 

「私は燈空お兄ちゃんと一緒に居られるだけで...」

 

「燈空くんはモテモテね」

 

 

上から凛ちゃん、桜ちゃん、葵さんである。

遠坂姉妹からお兄ちゃんと呼ばれているのは、別に俺の趣味とか俺が無理矢理言わせてるわけではない。断じてそんな趣味はない。

俺が2人よりも歳上なのと彼女達の母親である葵さんがそう呼びなさいと言ったからだ。

その時は何言ってるんだこの人はとか思ったが今思えば葵さんグッジョブとしか言いようがない。

前世も今も一人っ子の俺は、当然妹が居たことないけどこんなに美少女な妹が居たらどれだけ嬉しいか。

 

この1ヶ月でこの親子に絆されてしまったわけで、こうなっては何かあった時に助けないという選択が俺にはできないだろう。

そうなってくると問題は、後どれぐらいで原作が始まるのかいうことだ。

この場合の原作は【Fate/Zero】のことだ。

俺は当然見ていたのだが如何せん見たのが放送当時の1回だけであり今となっては、大まかな出来事と登場人物ぐらいしか分からないのだ。

 

まずは、なんとかして桜ちゃんを間桐の養子にさせないようにしたい。

確か桜ちゃんが間桐に養子に出されるのが原作のだいぶ前だったはずだ。

だが、その桜ちゃんは今はまだ遠坂の子どもとして俺と会っている。

この事でまだ間に合うと安堵したと同時に、事が起こるのがいつかわからないから手をあぐねている現状に憤りを感じていた。

その事が表情として出ていたのか、「大丈夫?」と聞いてくる桜ちゃんに頭を撫でることで答えた。

 

このようにして俺の日常は着実に過ぎていくのだった。

 

 

 

 




わかりにくいと思ったのでこの話の時の年齢の補足
主人公(燈空):6歳
遠坂凛:5歳
遠坂桜:4歳
遠坂葵:20代後半

私のガバガバな記憶力を頼りに逆算してみたので原作と違うと思っても許してください。

夜中のテンションで書いたのであとで書き直すかもしれない。

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