歌と共に舞うひと夏   作:のんびり日和

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令和になりまして最初の投稿です。



58話

要塞の外では激しい攻防が繰り広げられており、両陣消耗が激しい状態であった。

 

『こ、こちらトロイ5! 被害甚大、搭乗員を脱出させる!』

 

『こちらアーヴァレス隊、了解! 皆救助に向かうわよ!』

 

『『了解!』』

 

輸送機から火の手が上がり、ハッチから次々に脱出艇が飛び出すとIS部隊がその護衛に付き他のトロイへと送った。

 

外が激しい戦闘の中、中も同じく激しい戦闘が繰り広げられていた。それはイチカとロイドとの戦闘であった。

イチカはロイドのドラケンから放たれる剣技やミサイルを躱したり、ロイドはイチカが撃つバルカンやミサイルを躱したり叩き切ったりと一進一退をしつつ攻撃を行っていた。

 

「何でてめぇが生きてる! あの時、白騎士と共に炎に包まれたんじゃないのか!」

 

『確かにあの時私は死ぬ寸前だった。だが運良くこの世界に流れ着いたのさ。そして貴様がこの世界の人間だと知ることが出来たのも全く嬉しい事だったよ』

 

そう言いながらロイドは剣を振り下ろしてくる。イチカは振り下ろされた剣をアサルトナイフで受け止めた。

 

『だが、貴様があの時始末できなかったことが今日までの後悔だったがな!』

 

「あの時だとぉ?」

 

イチカはロイドの言うあの時と言う言葉に険しい顔を浮かべながら傾げる。

振り下ろされていた剣をはじき返しイチカは一旦距離を取った。

 

『そうだ。貴様がドイツに行った時の事だ! 貴様があの時死んでさえいれば、あの世界で私は全人類を統一できたというのに!』

 

「ッ! じゃあドイツで俺が誘拐されたのはあの女を優勝させる為ではなく、俺を亡き者にするためだったのか!」

 

イチカはロイドから語られた真実に驚きながらもドラケンに攻撃を繰り出す。

 

『その通りだ。貴様がドイツに訪れる以前から私は貴様の世界に居た。そして私は知識、技術を(ジェフ・ドース)に与え今の地位に就いた。そしてあの運命の日に貴様を消すつもりでいたのに、誘拐した馬鹿共がついでと言わんばかりに金を要求したせいで、余計な時間が生まれてしまった。その所為で貴様が脱走。お陰で全てが水の泡となった!』

 

「チッ! つまりお前があの事件を引き起こした奴って事か!」

 

『そう言う事だ!』

 

互いに攻撃を繰り出す中、互いの機体はボロボロになって行く。

イチカの機体も、腕や脚から火花が出ておりあまり長く持たない感じであり、ドラケンも同じく火花が飛んでいた。

 

【そろそろ持ちそうにないな】

 

【あぁ。…メッサー、悪いが【構わん、機体なんてものは消耗品だ。パイロットさえ無事でいれば何時でも戦える】わりぃ】

 

そう呟きイチカは機体のスラスターを吹かしドラケンに突っ込んだ。ロイドは突然突っ込んできたイチカに険しい顔を浮かべるも、叩き切らんと剣を振り下ろす。イチカはそれを待っていたと言わんばかりに機体を逸らし、振り下ろされた剣を避けアサルトナイフでドラケンの脇腹付近を刺した。

 

『ちぃ! 舐めるなぁ!』

 

そう叫びロイドは躱された剣を逆手に持ちVF-31Fに斬りかかる。イチカは斬られまいと左手を出して止めようとするも左手は破壊され脇腹を斬られてしまう。

 

「クソォ、もう限界か。イジェクトする!」

 

そう言いイチカはコックピットにある緊急脱出口から外に飛び出しISを身に纏った。暫くして2機の機体は爆発が起こり炎に包まれた。

 

「……急いで他の場所に「イチカぁ・メルダースぅ!」ちぃ!」

 

炎から飛び出してきたISサイズのドラケンが大声をあげながら剣を振り下ろしてくると、イチカは素早くのその場から退避する。

 

「決着を付けようぞぉ!」

 

「望むところだぁ、ロイド・ブレ―ム!」

 

そして互いのISはぶつかり合った。




次回予告
互いの力をぶつけ合うイチカとロイド。そして決着の時が付こうとした。

次回
ロイドVSイチカ 後編~これで、終わりだぁ!!~

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