長かった夏休みも終わりへと近づき、イチカはキャリーケースに服などを詰めていた。
「さて、学園に持って行く服とかも入れた。勉強関連の物も入れたし、忘れ物は無いな」
そう呟き部屋に置いてある椅子に座る。すると扉をノックする音が鳴り、イチカは「どうぞ、開いてるよ」と声を掛ける。
「失礼するわね」
そう言いながら入って来たのはスコールであった。
「スコールさん、どうしたんですか?」
「貴方に少しお願いがあるのよ」
お願い?とイチカは首を傾げながら、スコールの用件を聞いた。
「えぇ。実はIS学園に通っているある人物に会って欲しいの。一応向こうには連絡入れておいたし」
「どう言う人物なんです?」
「簡単に言えば、カウンターテロ組織の長といった所ね」
そう言われイチカははぁ?と首を傾げた。
そして夏休み最終日、イチカとマドカはキャリーケースを持ち学園行きのプライベートジェット機の傍で美雲達に見送りを受けていた。
「それじゃあ行ってくる」
「えぇ、気を付けてね」
「頑張ってねぇ!」
「ガンバ、イチカ」
美雲、マキナ、レイナはイチカにそう言葉を掛けた。
「相変わらずイチカはモテモテだな」
「兄さんがモテるのは、兄さんの人柄だと思う」
そうだな。とマドカの答えを聞きながらアラドはマドカの頭を撫で、「頑張って、勉強して来いよ」と呟く。マドカは照れながら「…うん」と小さく返した。
そして2人はジェット機へと乗り込み飛び立っていく。
数時間後空港へと着陸したジェット機から降り、2人はエンシェントセキュリティー社の警護兵が運転する車に乗ってIS学園へと向かう。
2時間ほど車に揺られ、イチカ達の乗った車は学園入口へと到着し寮へと入って行く。荷解きを手早く済ませ、イチカはマドカに部屋を少し出ることを伝え、手元にある地図を見ながら
「えっと、学園地図だと確か……っと、此処か」
そう言い目を上げた先にあったのは『生徒会室』と書かれたプラカードが掛かった教室だった。
イチカは扉の前に立つと数回ノックをする。
『はい、どちら様ですか?』
「1年のイチカ・メルダースです」
中から掛けられた女性の声にイチカは名を名乗って暫くして、扉が開かれ一人の眼鏡を掛けた女性が現れた。
「どうぞ、お入りください」
そう言われイチカは中へと入ると、外はねの短髪で水色髪の女性が椅子に座っていた。
「ようこそ、生徒会室へ。何か用かしら?」
「用は既に告げられていると聞いておりますが? IS学園生徒会長、いや。政府直属暗部組織、更識家当主更識楯無さん」
イチカはそう告げると、楯無は『御明察』と書かれた扇子を見せ、笑みを浮かべた。
次回予告
暗部組織当主である楯無と会合するイチカ。
イチカが楯無に告げたのは、ある企業の不穏な動きであった。そしてその企業はシャルロットにも関する事でもあった。
次回
暗部の長との会合