アラドが呼んでいるという事で、イチカ、マドカ、美雲は地下のハンガーへと来ていた。エレベーターから降りると、ハンガーにはアラドにハヤテ、そしてワルキューレのフレイアが居た。
「父さん、用って何?」
「おう、来たか。実はマドカにこいつを渡そうと思って呼んだんだ」
そう言い後ろにあった機体に指さすアラド。アラドの後ろにはイチカと同じ黒色のVF-31A カイロスが置かれていた。
「こいつはマドカ、お前さんの機体だ」
「これが……私の機体?」
そう言い近付くマドカ。
「なんでまたマドカに機体を?」
「ん? マドカはパイロット志望なんだろ? だったら今のうちに渡しておこうと思ってな」
そう言い笑みを浮かべながら機体を触るマドカを眺めるアラド。そして唐突に何かを思いついたのか手を叩く。
「そうだ。マドカ、今からイチカと一緒に飛んでみるか?」
「「えっ!?」」
マドカとイチカはアラドからでた突然の提案に驚き声をあげる。
「と、父さん。それは無理があるだろ。マドカはまだ最近になってやっとシミュレーター訓練を終えたんだ。本来なら訓練機からやるのが普通だろ!」
「訓練機を使って訓練をすれば確かに基礎的な物は身に付く。だが実際に乗る機体はその訓練機とは違う。なら自分が本来乗る機体で訓練を実施した方が早く慣れるだろ」
アラドの説明にイチカは同意できないと反論しようとすると、
「兄さん、頼む」
マドカはイチカに向かって頭を下げお願いした。その光景を見たイチカは驚くも無理だと言おうとしたが
「いいじゃないイチカ。こんなにお願いしているんだし」
美雲はそう言いやらせてみればと言う。美雲がマドカについた事にはイチカも驚くも、若干渋る表情を浮かべる。
「だ、だが「それ以上渋るんだったら、俺が代わりにマドカと訓練しようか?」 ハヤテとやらせたらマドカが可哀想だ。よし、俺がやろう」
そう言いパイロットスーツを着に行くイチカ。
「わりぃなハヤテ」
「いいよ。あのままだと暫くは渋り続けたかもしれなかったからな」
そう言いハヤテは笑みを浮かべる。そしてマドカもパイロットスーツを着に更衣室に向かうと突然放送が入った。
『あ~、あ~。テステス。えっとハー君とフーちゃんは至急研究室に来てねぇ。あ、ハー君はハヤテ、フーちゃんはフレイアだからそれ以外は違うからね! それじゃあバイビ―‼』
そう言って放送は切れた。
アラドは怪訝そうな顔をハヤテの方へと向けた。
「なんだ? ハヤテ、博士に何かしたのか?」
「何もしてねぇよ!……取り合えず行こうぜ、フレイア」
「うん。けど、なんやろね?」
そう言いながら2人はハンガーを出て行った。そして2人がハンガーを去って暫くしてパイロットスーツを着たイチカとマドカがやって来て、それぞれの機体に乗り込む。アラドと美雲はよく見える管制室近くにある展望デッキに向かった。
次回
マドカは自身の翼をしっかりと羽ばたかせるためにイチカに訓練をつけて貰う。そしてその日の夜、眠っていたマドカの目の前に一人の人物が現れた。
次回
再び翼を広げる騎士~貴様は何故翼を広げようとする?~