女神と姫騎士とガンダムと・・・   作:エルシオンガンダム

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機体名:ドラグーン(セシリア機)
パイロット:セシリア・オルコット
武装:
ミトゥムビームバルカン×2
ロングライフル
リベリオンビームサーベル×2
攻守ラミネートビームシールド

ジェットストライカーB
5連マイクロミサイルポッド×4基
ロングビームキャノン カラドボルグ
小型レドーム

備考:
先行して量産されたドラグーンを、セシリア専用に改造した機体。中・遠距離用に特化されており、ガーベラストライカーのロングライフル等を使った狙撃・砲撃だ出来る。EWACも積んでいる為、強行偵察などにも使える。


機体名:ドラグーン(スィーリア)
パイロット:スィーリア・クマーニ・エイントリー
武装:
ミトゥムビームバルカン×2
ビームライフル
リベリオンビームサーベル×2
対艦用ビームランス グングニル
伸縮型ラミネートビームシールド

ジェットストライカーA
5連マイクロミサイルポッド×2基
空対空ミサイル フルンディング×12発

備考:
先行して量産されたドラグーンを、スィーリア専用に改造した機体。対艦用ビームランスが装備されており、ジョストで鍛え上げられた彼女の槍術とも相まって近接戦闘能力が高い機体になっている。








番外編:守るための覚悟

 

 

―宇宙空間―

 

 

「大分慣れてきたね二人共」

「これもキラさんのおかげですわ」

「あぁ」

 

 月に近い宙域で、キラ達は訓練を行っていた。最初の時よりも二人は宇宙に適応して来たのだ。今ではセシリアもスィーリアも、8機ほどならビットを使った同時攻撃などが出来るようにまで成長した。

 

「・・・・・・」

「?どうしたのですかキラさん?」

 

 ISの状態で何かを考えているキラに対して、セシリアは尋ねる。

 

「・・・そろそろ二人も、実戦を経験した方が良いかなって?」

「実戦・・・」

「経験・・・」

 

 キラから発せられた言葉に、セシリアもスィーリアも先ほどとは打って変わって真剣な表情になる。なぜならキラが言う『実戦を経験』とは、試合と違い本当の命を賭けた戦いと言うことになる。

 

「二人も知ってると思うけど、此処最近無人のISが女神艦隊によく襲撃に来るんだ。先ずはその無人機から、小手調べとして戦って貰おうと思ってるんだ」

「・・・ついに私達も、本当の意味で戦う時が来たのだな?」

「怖いですか?」

「・・・正直に言えば怖いですわ。キラさん達の言葉が正しければ、相手は本気で殺しに来るのですから」

「うん。セシリア、その思いは絶対に忘れないでね。僕達が引き金を引けば、相手だって引き金を引いてくる。向こうだってただやられるために来たんじゃないからね」

「確かにそうだな。なんせこちらを一方的に憎んでいるのだからな」

 

 これまで篠ノ之束は、5回も女神艦隊を襲撃していた。それも日に日に機体の数は増えていくのである。無人機を宇宙に飛ばせるのだからいい加減自分自身で来いよと言いたくなるのだ。

 

「とりあえず、一旦艦に戻ろう。何時来るか解らないし、ペイント弾じゃ対抗できるわけないしね」

「そうだな」

「わかりましたわ」

 

 キラの提案に同意した二人はすぐさまヒューベリオンに帰還するのだった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『ヒューベリオン ブリッジ』

 

 

「先ほど君達の会話を聞いたけど、キラ君は何時位に来ると思う?」

「おそらく、もうそろそろだとおもいますよ」

「そうか・・・」

 

 ヒューベリオンのブリッジで、キラ達はヤン達と先ほどのことで話していた。

 

「それで、君達は良いのかい?」

「どの道ISを扱うのですから、遅かれ早かれこうなることは解っておりましたわ」

「私自身も完全とは言えませんが、人を撃つ覚悟は出来ています」

「・・・・・・・・・・・・まったく。君たちみたいな女の子が、人殺しなんてするもんじゃないんだが」

 

 ヤンの言うことにはキラ達も理解できた。セシリアもスィーリアも、本来ならこのような場所にいる存在ではない。彼女達の様なお穣様は、平和()な世界で生きているべきなのである。それでも彼女達は、自分達の大切な人の過去を知ってしまった以上、絶対に後戻りする気はないのだ。

 

「・・・とにかく、彼女が何をしてくるのかが解らない以上、こちらは待機するしかない。キラ君の言うとおり、そろそろ来ると思うけどね」

「解りましたわ」

「セシリア、スィーリア。俺たちも出来る限りサポートはするが、今回は二人の初陣だ。二人でやって見せてくれ」

「敵の数は多いと思うが、こちらには地の利がある。二人なら出来るはずだ」

「ありがとうございます中佐、大佐」

 

 先ほどまで黙っていたアムロとシャアが、二人に忠告をする。ヤンと同じ位戦争を見てきたため、二人の言葉には重みがある。

 

「それじゃあ、解散」

 

 ヤンの号令でキラ達はブリッジから出ていった。

 

 

 

 

 

 

ヒューベリオン 休憩所

 

「はい」

「・・・ありがとうございますわ」

「スィーリアさんも」

「助かる」

 

 キラは自販機から飲み物を買い、セシリアとスィーリアに渡す。ただ何時もと違い渡す際に彼女達の手は震えていた。

 

「情けないな。ジョストの時は少し緊張するとは言え、ここまで怖がることはなかったのだが・・・・・・」

「私もですわ。今ままで何度もISでの戦いはやって来ましたのに、本気で命を奪いに来るとなると・・・・・・」

 

 今まで平和な世界で暮らして来た彼女達にとっては、初めて行う命の奪い合いに恐怖することしか出来なかった。しかしそれは仕方のないことだ。何せ死ぬのだから。自分の命が奪われるかもしれない。それと同じ様なことを自分もするのだ。ISはただの兵器ではない。彼等彼女等から見れば人と同じ意思を持った存在。それが彼女達にはプレッシャーになっていた。

 するとキラは、ゆっくり口を開いた。

 

「・・・僕も、最初の時は怖かった」

「「え?」」

「そりゃあそうだよ。突然戦いに巻き込まれて、MSで戦えるのが実質僕だけだったから」

「「あっ・・・」」

 

 その一言を聞いて、セシリアとスィーリアは思い出した。キラは前世で、今よりももっと過酷な状況で戦って来たということを・・・。幼馴染であるアスランと殺し合い、守りたいと思った者達を目の前で殺され、それでも大切な人達を守るために目の前の少年は戦って来たのだ。

 

「大丈夫だよ二人共。本当に危なくなったら、僕達が助ける。だからそれまで、二人で頑張って欲しいんだ。これから先の戦いのためにも、ね」

「キラさん・・・」

「ヤマト・・・」

 

 自分達は、一体どれだけ恵まれているのだろう。目の前の少年は、そう言ったことすら出来ない場所に居たのに、自分達は本当に余裕をもって戦える。それが余りにも嬉しく、悲しいのだろうか。

 

「ありがとうございますキラさん。少しだけ楽になりましたわ」

「君にそこまで言われたら、期待に応えないといけないな」

 

 キラの思いを聞いた二人は、少しばかりだが楽になった。

 

 

ビーン!ビーン!ビーン!ビーン!

 

 

「「「!!」」」

 

 艦内に警報が鳴り響き、ついにそのときが来た。

 

「・・・いよいよですわね」

「二人共、がんばってね」

「あぁ」

 

 キラに応援された二人は、その思いに答えるように頷きキラと別れた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

カタパルトデッキに着いた二人は、瞬時にドラグーンを纏うとカタパルトに脚部を接続する。

 

『良いかい?敵の数は10機近くいる。君達の任務はこの10機を破壊、または戦闘不能にするんだ。君たちは今回が初の実戦だ、こちらも出来る限りサポートするから』

「「了解」」

『今回俺たちは後で待機だ』

『・・・死ぬなよ』

「お任せくださいまし」

「君達の出番がないようには頑張るよ」

『はは、そこまで言ったんだ。絶対に帰って来いよ?』

 

 ヤンの指示やデュオ達からの応援に二人はそう返事をする。するとこんどは頭部の画面にキラの幻獣であるサンダルフォンとアポカリプスが現れた。

 

『お二方。マスターの命令(お願い)により、今回私達はお二方の補助を努めさせてもらいます』

「キラさんから?」

『お前たちが死ねば、それこそキラの心が傷つく。それはキラの『心』を守っている私としても、黙っては居られないからな』

「アポカリプスさん・・・」

 

 キラと契約した幻獣は、サンダルフォンだけではない。ラグナロクの混沌から生まれた幻獣『アポカリプス』は、何時もはその力を使ってキラの『心』を守っているのだ。

 

「・・・ありがとうございます」

『礼は帰ってからにしろ』

「わかりましたわ」

『全システムの調整、完了。何時でも発進できます』

「「了解」」

 

 サンダルフォンから調整が完了したことを聞き、二人は一度深呼吸をする。

 

『進路クリア D01 発進!』

「こちらスィーリア、D01行くぞ!」

 

 CICからの指示を聞き、一番機を纏うスィーリアが射出された。

 

『続いて D02 発進!』

「セシリア・オルコット、D02参りますわ!」

 

 スィーリアに続き、セシリアもCICからの指示を聞いて射出された。

 

『お二方、敵は無人機のISが10機、並びに母艦が1隻です』

「・・・これを全て篠ノ之博士がお作りになられたのですね?」

「あんなのを作れるのだから、早く宇宙に来ればよかったものを」

『まったくだ。おかげでキラ達の大切な家族が死に、世界は腐敗の道に進む一方だ』

 

 白騎士事件の影響は、余りにも大きく悲惨だ。女性しか扱えないということもあり、IS委員会や女性権利団体ができてしまい、男を老若構わず良くて家畜悪くて虐殺するようになった。しかも二つの組織は連携し、千冬の弟である一夏だけを残す形で男たちを葬ろうとしているのだ。まったくもって不愉快極まりない。

 

『・・・敵機確認。有効射程範囲まで、あと30秒』

「こちらでも確認いたしましたわ」

「あれがヤマトが言っていたゴーレムか?」

『そうだ。どうやら2機、改良型が居るようだがな』

 

 アポカリプスの言うとおり、ゴーレム部隊の一番奥に2機の改良型と思われる機体が止まっていた。

 

『お二方、解っているとは思いますがISには意思があります。無人機とはいえ、あれには私達と同じ生きた存在がいることを忘れないで下さい』

「あぁ・・・」

「そう思うとさらにプレッシャーが増しますわね・・・」

『ならやめるか?』

「今更ですわ!」

 

 そうセシリアは叫び少し前に出ると、周りに付いているアポジモーターを使いその場に止まる。

 

「先ずは一発、打ち落として見せます!」

 

 セシリアはD02の右腕に持っていたロングライフルを構え、サブグリップを左腕で掴む。

 

ブッピガン!

 

『射角調整完了 ターゲットスコープ オン』

「ターゲット・・・ロック」

 

 サンダルフォンの声と同時に、ヘルメット内のモニターにターゲットスコープが映し出され、1機のゴーレムをロックオンする。

 

『チャージ完了』

「喰らいなさいな!」

 

ドシュゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

 完了した合図と同時に、セシリアは一気に引き金を引いた。砲身から放たれた太い桃色の閃光は、なんとゴーレムを1機どころか3機丸ごと飲み込んだ。

 

「す・・・凄い威力ですわね?」

「関心している場合ではない・・・来るぞ!」

「っ・・・はい!」

 

 余りの威力に呆然としていたセシリアにスィーリアが渇を入れる。スィーリアの言葉に気を取り戻し、こちらに向かってくる敵を睨み次の行動に移るセシリア。スィーリアはビームライフルをマウントし、腰につけていたビームランスを取り出す。

 

「行くぞ!」

 

 スィーリアは先ず一機のゴーレムに向かって突っ込む。対するゴーレムはスィーリアに向かってビームを乱射するが、キラ達からの超絶鬼畜弾幕を避ける訓練を何度もしているスィーリアにとっては、何の苦もなくかわせた。

 そしてバルカンで牽制しながら一気に懐に飛び込み、

 

「ハアッ!」

 

 強烈な一突きをお見舞いした。

 手ごたえを感じたのか、ランスを引き抜きすぐさま離れるとゴーレムは機能を停止する。すぐさま別のゴーレムを見つけると、一度ランスを腰に付けビームライフルを取り出す。そしてビームライフルを撃ちながら、マイクロミサイルを10発発射。ゴーレムはライフルから放たれた桃色の閃光を避けるが、後から来たミサイルに全弾命中して爆発する。

 

『後方から2機来るぞ!』

「!?」

 

 アポカリプスの言葉にスィーリアは振り返る。そこには、確かにゴーレムが2機こちらにビームを放ちながら向かってきた。しかも片方は例の改良型だ。スィーリアは盾を構えて、ビームを防ぐ。因みにスィーリアが持っているのは、ガーベラストライカー等が使っている、伸び縮みできるタイプのラミネートビームシールドだ。

 

「それなら!」

 

 スィーリアはまたビームランスを展開すると、今度はシールドを構えながら突っ込む。その際マイクロミサイルとフルンディングを一斉に放った。改良型は回避しながらも5発命中し、1型は10発命中して爆散する。改良型と言うこともあってか、威力の高いマイクロミサイルとフルンディングを受けてもまだ動いている。それだけではなく背部に装備しているブレードを握ると、なんとブレードが青白く光りだした。

 

『なるほど、零落白夜か』

「さすがは博士だ!」

 

 驚きはしたがあれを作ったのが、篠ノ之束だと思えば納得して再度集中する。改良型ゴーレムが零落白夜を振り下ろした瞬間、スィーリアはシールドを手放しアポジモーターを使ってバク宙する形で避けた。改良型がシールドを斬っている隙に、瞬時加速で一気に突っ込んだ。

 

「はあぁぁぁぁぁーーー!!」

 

 その雄たけびと同時に、彼女のビームランスが改良型の胴体に大きな穴を開けた。そしてスパークを起こし改良型のゴーレムは機能停止した。

 

ティキーン!

 

『後方!』

「解っている!」

 

 何かを感じたスィーリアは、咄嗟にビームライフルを展開し後ろにむかって放つ。ビームライフルから放たれた閃光は、吸い込まれるかのようにゴーレムを直撃した。

 

「あ・・・当たった?」

『どうやら、お前も覚醒しようとしているのだな・・・』

「覚醒・・・もしや、神姫にか?」

『おそらくはな』

「そうか・・・」

 

 神姫に覚醒しようとしている。それは今のスィーリアにはあまりピンと来なかった。そんなことよりも、ISを殺したことによる罪悪感しかなかった。

 

「・・・これが本当の戦争ならば、私はもっと多くの命を奪っていたのだな?」

『・・・後悔しているのか?』

「・・・いや」

 

 スィーリアはビームライフルを持っている手を、おもむろに見る。そこにはただ銃があるはずなのに、まるで血が付いているようにも思えた。そして今度は地球の方に顔を向ける。

 

「・・・貴弘、皆。私はもう、君達の元には行けない・・・・・・すまない」

 

 ISに触れる前まで共に居た、大切な仲間達。その仲間達の元にもう戻れないことに、スィーリアは静かに嘆く。しばらくすると、セシリアのドラグーンが近づいてきた。

 

「お姉さま!」

「セシリア、終わったか?」

「はい」

『レーダーに敵影なし。ステルスの類も感知されません』

『奴等の母艦も、ヒューベリオンが落としたしな』

 

 そう、彼女達二人がISと戦っている間、無人機達の母艦はヤンが操るヒューベリオンが落としていた。

 

「これで、もう後戻りはできないな」

「そうですわね」

 

 ISを殺してしまった以上、もはや彼女達に逃げる道は無くなった。これでもう彼女達はキラ達と同じ道を行くことしか出来なくなった。しかし後悔はしない。これが自分達が選んだ道なのだから・・・。

 

「こちらスィーリア。目標の殲滅を確認した。これより帰艦する」

『了解。はじめてにしてはいい戦果だね』

「皆さんが生き残るための技術を教えてくださったからですわ」

『そうかい。それじゃぁ待ってるよ。特にキラ君がね』

「「はい!」」

 

 二人はそう返事をすると、旗艦ヒューベリオンに向かって飛び立った。

 

 

 

 

 

 因みに例の如く、どこかの島では怒り狂う兎がいたとか・・・・・・。

 

 

 

 

 





というわけで、二人の実戦回でした。時系列はクラス対抗戦前です。
次回はまた本編に戻ります。

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