女神と姫騎士とガンダムと・・・   作:エルシオンガンダム

22 / 23

タイトル思い浮かばなかった・・・。


第14話:南極とテスト

 

 

―南極―

 

 

『寒い!』

 

 周りが銀色の世界である南極の上に、キラ達は立っていた。あれから授業が終わり、真耶からストライクの新パッケージを貰うと、何処で訓練するか悩んでいた。一応ストライクは見られても大丈夫な機体として作られたのだが、今見られるのも少し不安があるので、ガイアに頼んでこの南極に来たのだった。南極は日本より3時間進んでおり、放課後になったのは4時位なので、此方では午後7時になっているのだ。寒いにも仕方が無い。その言葉を聞いてガイア達は特殊な結界を張り、内部は暖かくなった。

 

「ま、まさかこのような形で南極に来るとは・・・」

「私も南極に来るのは初めてだな」

「私もです・・・」

 

 そもそもよほどのことが無い限りは此処にはこれないだろう。それなのに来れたのはやはり神であるガイア達のおかげだ。

 

「よし、それじゃあ山田先生、データ収集お願いします」

「は、はい。でも、本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよ。南極にはガイアさん達に頼んで何度か来ましたし」

『私達の力を使えば、それこそドラえもんのどこでもドアの様にどこへだって連れて行くことができますわ』

 

 ガイアの言葉に改めて彼女が神様なのだと理解した女性陣。

 

「・・・わかりました。それではキラ君、機体の方と新パッケージの展開をお願いします」

「了解。ストライク、起動!」

 

 掛け声と同時に、キラはストライクを纏った。その瞬間灰色だった機体色が、白を基調とした青と翠のカラーリングになった。

 

「トリコロールじゃないんだな?」

「丁度良い電圧でこの色なんだ」

「なるほど。本当に変わった装甲だな?」

「・・・よし。次は新型パッケージの換装をお願いします」

「了解」

 

 キラが端末を操作すると、ストライクの背部に大型のバックパック、脚部にハイドロジェット推進ユニット、両脇に誘導魚雷ポッド、右腕にはハンドアンカー、左腕にはビームピックが2本付いたホルダー、腰部には偏向ビームライフルが付いた。そして最後には両手で三叉槍を持った。

 

「換装完了です」

「このパッケージはなんなのですか?」

「これは水中専用のストライカーパック、通称『ポセイドンストライカー』だよ」

「俺たちの世界の技術と、アムロ中佐達の世界の技術を統合して作ったんだ」

「見るからに武装が豊富ですわね?」

「後、キラ君のストライクだけでなく、量産機専用のもあります」

「私達の分もですか?」

「勿論です」

 

 どうぞと言ってセシリアとスィーリアに、ポセイドンストライカーのデータが入った端末を渡す。

 

「所で、ポセイドンストライカーの両端にある、この盾の様な物は一体なんだ?」

「これはポセイドンストライカーの特殊兵装で、『ゲシュマイディッヒ・パンツァー』って呼ばれる偏向装甲なんだ」

「偏向装甲?」

 

 初めて聞く言葉に女性陣3人は首を傾げる。

 

「僕達の世界にある『ミラージュコロイド』っていうコロイド状の微粒子を応用した、対ビーム防御システムなんだ。原型機とは形状は異なるけど、このシールドの中にある磁場で、ビームを曲げることができるんだ」

「そのようなことが可能なのですか?」

「僕も実際見たときは驚いたけどね」

 

 キラとアスランがこの技術を知ったのは、ヤキン・ドゥーエでの最終決戦の前である。因みにこのゲシュマイディッヒ・パンツァーを、アムロやヤン達に見せたら『この発想は無かった』と言っていた。

 

「勿論この盾自体は実体弾でも防げるようにしてあるよ。深海の水圧にも耐えられるから、このパックに採用したんだ」

「なるほど」

「よし!それじゃあ僕は準備が出来ましたから、先に海に潜って来ますね?」

「そんな体操が終わった後の小学生みたいなノリで南極海に入るな!」

 

 デュオに突っ込まれながらも、キラは南極海に向かってジャンプし、ダイブする形で海に潜った。

 

「私たちも準備をしなくてはいけませんね」

「そうだな」

「・・・着替えるならここでやれ」

「って何時の間に!?」

 

 声を掛けたヒイロの方に顔を向けると、そこには何時の間にかテントを張っていたヒイロがいた。

 

「ありがとうございますわ」

「助かる、ヒイロ」

 

 そう言ってセシリアとスィーリアはテントに入っていった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「凄いですわ!水の中でもこれだけの機動が出来るなんて」

「まるで宇宙空間を飛んでいるときと同じだ!」

「このパックはそう言う風に作られてるんだ」

 

 あれからセシリアとスィーリアも加わり、キラ達は海中での機動テストを行っていた。結果は予想以上に良く、まるで宇宙を飛んでいる時みたいに泳ぐことが出来るのだ。

 

「本当に凄いですわ。南極の海の中ですのに、ISの中は暖かいですわ。それにバックパックを被っただけで、水中でもこれだけの機動が出来るとは・・・」

「さっきも言ったけど、このポセイドンは水中戦を想定したパックになってるんだ。中が暖かいのは、機体が海中の水温を計算して、内部を丁度良い温度にするんだよ。後はこれに換装すると、自動的にOSも変換される仕組みになってるんだ」

「そうか、道理で海の中なのに動きやすいと思ったが、君のOSのおかげなのだな」

「さすがですわキラさん」

「あ、ありがとう」///

 

 自分の作ったOSで喜んでくれた。それはキラにとってはかなり嬉しく、だがそれと同時に恥ずかしくなった。

 

『みなさん、どうですか?』

「予想以上に使いやすいですよ」

『よかったです。それでは、武装のテストをお願いします』

「了解」

 

 真耶の指示を聞いたキラ達は標的になりそうなものを探すと、100m程ある氷山を見つけた。

 

「えっと・・・動物はいないね?」

「ペンギンさんもおりませんわ」

「アザラシやオットセイも居ない、近くに鯨や他の鳥類の反応もない」

「よし、大丈夫だね」

 

 氷山の上と、その近くに生き物が居ないことを確認すると、キラ達はバックパックを被り、氷山にロックオンする。

 

「先ずは誘導魚雷ポッドと魚雷キャニスターポッドから」

「どちらも魚雷みたいですが、何が違うのですか?」

「誘導魚雷ポッドはその名の通りで、相手を追尾する魚雷を発射して、キャニスターポッドの魚雷は無誘導だけど、誘導よりも弾速は速いんだ」

「つまり必要に応じて使い分けることが出来るのだな?」

「はい。それじゃあ試してみよっか」

 

 そう言って、キラ達はロックオンした氷山に向かって、両脇にある誘導魚雷ポッドと、バックパックの両側に付いている魚雷キャニスターポッドの魚雷を発射する。すると100m程あった氷山はたちまち粉々になってしまった。

 

「威力も申し分ないな」

「次はフォノンメーザー砲です。セシリア、ゲシュマイディッヒ・パンツァーを展開しながら動きまわってくれない?」

「展開しながらですの?」

「うん。その方がテストのしがいがあるから」

「わかりましたわ」

 

 キラの指示に答え、セシリアはゲシュマイディッヒ・パンツァーを前に展開しながら、動き回り始めた。するとキラはセシリアにロックオンした。

 

「発射!」

 

 バックパックを被ったストライクの先端から、赤白い閃光がセシリアのドラグーンを『追尾』しながら迫る。

 

「なっ!?」

「追尾するビームですの!?」

 

 曲るビームにスィーリアとセシリアは驚いたが、セシリアのドラグーンはG・パンツァーを展開していたので、メーザー砲は防がれた。

 

「曲るビームなんて初めてですわ。まるで『偏光制御射撃(フレキシブル)』ですの!」

「ビームじゃなくてメーザー砲なんだけどね。これもG・パンツァーの技術を応用して砲身に誘導装置を設置することで、磁場干渉でビームを自在に偏向することができるんだ」

「だが、それだけでは追尾することはできないのでは?」

「後はサンダルフォンさんの技術も借りて、追尾できるメーザー砲を作りました」

「「納得だ(ですわ)」」

 

 サンダルフォンの技術を取り入れたと聞いて、セシリアとスィーリアは納得する。キラ達は神姫達の技術の一部を貰って、一緒に作ったISの設計図を『とある企業』に渡しているのだ。因みに量産機であるドラグーンを作ったのも、その『とある企業』である。

 

「次は偏向ビームライフルだな?」

「こっちはアムロさんの世界の技術を取り込んだ、水中戦専用のビームライフルになってるんだ。アムロさんの世界のビームは、大気圏内では減衰することが多いらしくて、水中では使用不可能に近かったんだ」

「ということは、このビームライフルは水中でも使えるように、ライフル事態の収束率を上げたのだな?」

「そうです」

 

 流石生徒会長の先輩ということもあって、頭の回転は本当に速いスィーリア。彼女は今、三叉槍トリアイナのテストを行っていた。槍を回したかと思えば高速の乱れ突きに薙ぎ払いなど、地上や宇宙と変わらず素早く動きまわっている。これを見ていたキラは、彼女の対応の早さに改めて驚いていた。

 

(凄い・・・なんて対応の速さなんだ。やっぱりスィーリアさんは天才だ。それでいながらいつもやってる鍛錬の成果でもあるんだ・・・)

 

 前の模擬戦でもそうだったように、彼女は本当に凄い存在だとキラは思った。

 

「それじゃあ今度は僕が動き回るから、セシリアは僕に当ててみて?」

「解りましたわ」

 

 それからもキラはセシリアとスィーリアと一緒に、ポセイドンストライカーのテストを続けた。キラは心の中で(スィーリアさんもすごかったけど、セシリアも結構成長してるのが解った。このままいけば、二人はもっと凄い存在になる。だから僕も、二人を守るためにももっと強くならなくちゃ)と決意を固めた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

―IS学園 庭―

 

「いや~キラが言ったとおり、お穣は化け物だな?」

「初めての水中であれだけ動けるのはすごいな」

「君達の訓練のおかげだ」

 

 あれから訓練は順調に進み、ほぼ全てのテストはクリアした。その後IS学園に戻ると真耶と別れ、キラ達は今学園近くの庭を歩いていた。

 

「・・・あら?」

「どうしたセシリア?」

「いえ、あそこに誰か蹲っておりますわ」

 

 とセシリアが指を指した場所に全員が顔を向けると、彼女の言うとおり誰かが蹲っていた。近くに来てみると、蹲っていたのは・・・・・・、

 

「鈴?」

「ですわね」

 

 先ほど出会った転校生の、凰鈴音であった。よく見ると、瞳から大量の涙が溢れ出ていた。

 

「どうしたんだ鈴?」

「・・・ひっぐ・・・・スィーリアさん?それに・・・皆も」

「一体どうしたの?泣いてたみたいだけど?」

「それは・・・」

「一夏だな?」

「・・・うん」

 

 アスランの予想に鈴は静かに首を縦に振った。

 

「・・・鈴さん、話してくださいませんか?」

「え?」

「話せば楽になると思いますし、私たちも力を貸すことが出来るかもしれませんわ」

「そうだな。同じ女として、先輩として君の力になりたい」

「僕も」

「俺もだ」

「・・・」

「まっ、美少女が泣いてるのに無視するのは、男としてはあれだしな」

「皆・・・」

 

 

 

 

 

 それから少し考えた鈴は、セシリアの提案に首を縦に振るのだった。

 

 

 

 

 





次回、キラがキレる。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。