女神と姫騎士とガンダムと・・・   作:エルシオンガンダム

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皆さんこんにちは。

スパクロのイベントで、クロスアンジュがでて結構興奮しました。

特にロム兄さんが出たときは本気で笑いました。

それでは、本編をどうぞ。


第6話:クラス代表戦

第1アリーナ ピット

 

 

「大丈夫なのかキラ?」

「うん」

あっという間に1週間後、キラ達はピットで準備をしていた。まず最初に戦うのはキラとセシリアのため、キラはカタパルトに近づく。

「ヤマト君、オルコットさんが出ました。ヤマト君も発進お願いします」

「解りました」

真耶に言われてキラは、首に掛けている蒼い羽のペンダントを取り出す。

「・・・行くよ、エルシオン」

キラはそう呟くと、全身をマントで包まれた。

「・・・袖付きのマント?」

「というよりも、ローブみたいですね?」

「今はあんまり見られたくないんだ」

「へぇそうなのか」

「それじゃあ僕は、織斑先生が来る前に行くね」

そう言ってキラはエルシオンを動かし、脚部をカタパルトに接続させる。

《キラ様、大丈夫ですわ》

(ありがとう、ガイアさん)

キラは彼女達から教わった『念話』と呼ばれる者で、お互いと話すことができる。今回もそれを使って、ISを纏いながら彼女と会話をしているのだ。

『進路クリア、発進どうぞ!』

司令室から発進の合図が出ると、キラは前世のように叫ぶ。

 

 

「キラ・ヤマト ガンダム、行きます!」

 

 

その掛け声と共にキラはカタパルトから出ると、バレルロールを見せながら飛び立つ。

「あんな綺麗なバレルロール、初めて見ました!!」

「まあこのくらいは俺たちでも出来るぜ真耶ちゃん」

「山田先生だ」

ヒュン

「おっと」

デュオは後から殺気を感じ、キラと同じ様にしゃがむ形で攻撃を避ける。

そして後を振り向くと、そこには千冬が立っていた。

「千冬姉!?」

スパアン!

「織斑先生だ」

「す、すみません」

「まったく、教師には敬意を示せ」

「そこまで硬くなることはねえだろ?」

痛みに悶える一夏を横目に、デュオ達は呆れていた。

「・・・お前たちには色々と疑問がある。お前たちのこと、そしてお前たちの持っているISもだ」

千冬はまたも、デュオ達を敵視していた。

《デュオ、この女・・・》

(解ってるぜハデス。目の前の女は俺たちに敵意を向けてるな・・・)

千冬がデュオ達を敵視していることは、ハデス達神姫にも伝わっているのだ。

「・・・お前たちは何者だ?」

「・・・それを聞いて、どうするつもりだ?」

「それはお前たち次第だ。場合によってはお前たちを拘束する」

「先輩!?」

「千冬姉!?」

スパン!

「織斑先生だ」

またも一夏は千冬から、出席簿アタックを食らわせられる。

「俺たちはただの一般市民です。戸籍や学歴を見れば解るはずですが?」

「ただの一般市民なら、先ほどの攻撃をかわせないはずだが?」

《鋭いですね・・・》

「・・・武に心得があるだけだ」

痛い所を突いてくる。6人はそう思いながらも彼女を警戒する。彼女の言うとおり、常人では先ほどの攻撃はかわせないし防げない。

「それに、貴様等のISもだ。政府達は貴様等に、専用機を渡した覚えはないと聞いたぞ?」

《耳が早いこと・・・》

流石ブリュンヒルデだと6人は思った。

「そればっかりは言えねえな。俺たちだって託された責任があるからな」

「ふざけるな!試合終了後、お前達の機体を調べさせてもらうz――」

 

ドクン

 

「「「!?」」」

千冬はデュオ達の機体を調べると言おうとしたが、最後まで言うことが出来なかった。それどころか、近くにいた一夏と真耶も怯んだ。

その理由は、目の前にいる3人から発せられる殺気だった(正確には6人だが)。

今にも殺されそうな程、底知れない闇。それは、平和な世界にいた者では絶対に出来ない、まさに闇のような殺気だった。

「・・・言ったはずです。このISは俺たちに託された、大切な『剣』です」

「もし奪うと言うのなら、それ相応の覚悟をしておけ」

その瞬間千冬は生まれて初めて自分よりも、『上の存在』を感覚で感じた。

スポーツとして、世界最強の称号を手にした自分よりも、圧倒的に力の差が有りすぎる。目の前の少年達は、自分の弟と同じ歳でありながら、一体どれだけの修羅場を潜って来たのだろうか?そう思ってしまう程に千冬は戦慄する。

「とはいえ、このまま教師達に睨まれるのは勘弁して欲しいからな。真耶ちゃんくらいは見せてやっても良いぜ」

「わ、私ですか!?」

突然話を振られたことに真耶は焦る。

「何故山田先生だ!?私がいるだろ!」

「なら質問で返すが、俺たちの機体を預かってどうするつもりだ?」

「そんなもの決まっている。機体を調査して、危険なら政府に明け渡すつもりだ」

「だからですよ。貴方よりも山田先生なら信用できるからです」

今の話し合いでデュオ達は確信した。織斑千冬は完全にこちらを「敵」と見ているのだと。逆に真耶ならば信用しても大丈夫だとわかった。というのも、この1週間真耶とよく話したり、資料や書類を一緒に運んだりして彼女がどんな存在なのかを理解できた。彼女は俗に言うドジっ子なのだが、生徒のことをちゃんと思っている教師の鑑なのだ。

「それと俺達の機体だが、ちょっと特殊でな?自身が認めた者以外が奪ったり悪用しようとすると、それに反応して操縦者である俺達の下に戻ってくるようにされてるんだぜ?」

「なに?」

「・・・簡単に言えば、山田真耶以外の者には見ることが出来ないということだ」

「政府に明け渡そうとしても、無駄ですよ?」

「・・・チッ」

《生徒の前で舌打ちしましたよ?》

《本当に教師なのでしょうか?》

デュオ達の説明に千冬は舌打ちをする。そして一夏は、初めて此処まで敵意を持つ姉を見たのだった。

「それよりも、今はキラとオルコットの試合を見ようぜ?」

そう言ってデュオ達は、ピットから外を眺める。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「来ましたわね、ヤマトさん」

「待たせてごめん」

「いえ」

セシリアは自分のIS『ブルーティアーズ』を纏いながら、空中で停止していた。キラはセシリアと同じ様に、自分の機体を空中で停止し同じ目線で話す。

「あれがヤマト君のIS?」

「マントで見えな~い!」

「ふん!男のISなんて雑魚同然よ」

観客席では色々と言われているが、キラは無視してセシリアを見る

「・・・戦う前に、一つお伺いいたしますわ」

「何かな?」

「ヤマトさんは、ワルツは踊れますの?」

「ははっ、戦いを踊りに見立てるとはね」

「ご不快になられたのでしたら、謝罪いたしますわ」

「いや・・・そうだね・・・・・・」

 

 

 

 

「君みたいな綺麗な女の子を、満足させる程度にはできるよ」

 

 

 

 

ドクン

 

 

 

「!?」

キラが戦闘態勢に入った瞬間、セシリアに異常な寒気が襲う。しかしセシリアも自分に渇を入れる形で耐える。

《キラ様の殺気を耐えるとは、強い方ですわね》

(うん、出来ればこんな人殺しの世界に居させたくはないな・・・)

二人は自分達が放った殺気に耐えるセシリアに感心した。

 

『それでは、試合開始!』

 

試合開始の合図と同時に、先に動いたのはセシリアだった。

「行きますわ!」

そう言ってセシリアは、スターライトMK-Ⅲを構えキラに放つ。高速で迫るレーザーは、まっすぐにキラを捕らえていた。なにも知らない者達から見れば、普通に直撃を食らうと思うだろう。

 

キラが普通に当てはまるのならばだが。

 

「・・・」

キラは右手で左脇のビームサーベルを引き抜き、迫るレーザーを切り裂いた。

『え!?』

これにはセシリアだけでなく、観客席にいた者や司令室にいた者も驚愕する。

目の前の少年は何をした?

レーザーを切り裂いた?

まだ触れたばかりの素人が?

ありえないと揃って言うだろう。

(なんて方ですの!?高速で迫るレーザーを切り裂くだなんて!それもさぞ当然と言う様に・・・)

レーザーを放ったセシリアもまた、焦りと理解でいっぱいいっぱいだった。

「っ、まだですわ!」

セシリアは気を取り直すと、またスターライトを構えキラに連射する。

しかし全て避けられるか、先ほどみたいにビームサーベルで切り裂かれる形で失敗する。

《良い腕ですわね》

(うん、でも教科書どおりだね。フェイントも予測射撃もないよ)

キラとガイアは、彼女の攻撃を避けながら分析していく。

「さてと、次はこっちの番だよ」

キラはサーベルを戻すと、今度はヴァリアブル・ライフルを取り出した。そしてセシリアに向けて、少し溜めてから放つ。

 

ドシュン!

 

「なっ!?」

迫り来る桃色の閃光は、咄嗟に身体をずらしたティアーズの右腕を掠める。

(そんな!掠めただけですのに、SEを多く持っていくなんて・・・)

掠めた瞬間SEが多くもっていかれたことに、セシリアは戦慄する。

 

ドゴン!

 

「キャア!?」

セシリアが戦慄していると、今度は黄色い閃光がセシリアに直撃する。今度は先ほどよりもSEを消費する。なにが起こったのか、セシリアはキラの方を見る。

「余所見は厳禁だよ、オルコットさん?」

そこには、マントの両脇から2門の砲身が現れていたのだ。

「まさか、それはレールガンですの!?」

「まあね、これ位なら見せても良いかなって」

セシリアは二門のレール砲を見て驚く。ISがあるとはいえ、レールガンの様な兵器はまだ小型には出来ていないのだ。

 

 

ここでリミッターを掛けているキラ達の機体を説明しておこう。

 

先ず一つ目に、キラ達の機体は背部の武装が一時的にオミットされているのだ。4人が使う女神製ガンダムは、翼型の背部武装があるため、オミットしなければマントをしていても見えてしまう。そのため使える武装は本体に付いてる固定武装と、ビームライフルと言った基本武装しかないのである。

二つ目に、武装の出力が大幅に下がっているのだ。女神製のガンダムのビーム兵器は、素でSEと絶対防御を貫通して相手を殺せるほどの出力がある。先ほどのヴァリアブルライフルも、本来の10分の1程の出力に調整したのだが、少しだけチャージして放ったビームは、掠めただけでティアーズのSEを大幅に削ったのだ。まだ調整をしなければいけないと、この時キラが思うほどである。

三つ目に、ワンオフ並びに特殊兵装もオミットしたのだ。ワンオフは勿論、ステルスシステムやマルチロックシステム、ビットの様な強力な武装も大勢の前では見せられないのだ。翼をオミットしたのも、特殊兵装が翼に多いからである。

最後は、機体自体である。武装もそうだが、それを扱う機体自体が化け物であるため、機体の全性能を試合用に調整したのだ。

 

このようにキラ達が扱う女神製のISは、女神が作ったということもあり現存のISよりも、遥かに強力な機体になっているので、機体全体にリミッターを掛けないと簡単に人を殺してしまう恐れがあるのだ。

 

 

「オルコットさん、その機体まだ色々あるよね?」

「っ!良いでしょう、ブルーティアーズの奏でるワルツをとくとお見せいたしますわ!」

するとブルーティアーズから4機の羽の様な物が、キラに向かって放たれる。

「ビット兵器・・・」

ビット兵器だと解った瞬間、キラは前世でのことを思い出してしまう。

 

あの時守れなかった、彼女のことも・・・。

 

《キラ様、まさか・・・》

(大丈夫、僕は大丈夫だから)

キラはガイアにそう言いながらも、迫ってくるビットを見つめる。

「これで終わりですわ!」

キラを囲んだビットは、その言葉と共に一声にレーザーを放つ。

「・・・」

しかしキラは瞬時加速を使い、上昇して避ける。さらに千冬ですらも、数回しか使ったことのない瞬間加速で方向転換をして、両脇からビームサーベルを引き抜き一気にセシリアに迫る。

「まだですわ!ブルー・ティアーズは、6機ありますの!」

セシリアはミサイル型のブルー・ティアーズを、キラに向かって放つ。

「甘い!」

「なっ!?」

キラはそのブルー・ティアーズを通り抜け座間に切り捨てる。

「くっ!」

セシリアはインターセプターをコールし、キラを迎え撃とうとする。今までスィーリアと共に訓練をしていたため、本来なら出来なかった近接戦闘もできるようになったのだ。

しかしキラは、その攻撃すらも宙返りする形で避け、

 

「はあ!」

 

2刀のビームサーベルで、ティアーズのSEを全部持っていくのだった。

「キャアアアアーーーー!!??」

 

 

『勝者 キラ・ヤマト選手!』

 

 

 

 

 

 

キラの初めてのISでの戦いは、圧倒的な勝利で幕を閉じるのだった。

 

 

 

 

 

 





次回は番外編でも書こうと思います。

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