比企谷ハーレム?   作:ゆ☆

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三浦優美子の場合

 

「で、お兄ちゃん。誰と出かけるって?もう一回言ってくれる?」

 

「…三浦。ほら、お前も千葉村とかで会ったろ。あの金髪縦ロールの」

 

「それはわかるけど、何基準で選んだのかなーって」

 

「そんなに意味はないが…。他の奴らは割と顔合わせること多いけど三浦と出かけるのなんてそうそうないしな」

 

実際、そんなに深い意味はない。

俺はまだ三浦優美子という人物をさほど知らない。

知ってることと言えば葉山に好意を抱いていること。そしてその恋が叶うかどうかはわからないこと。

世話焼きで意外と乙女ってとこかな。

あれ?意外に知ってんな。なんなら雪ノ下の方が知らないこと多い気がするまである。

 

「あっそうだ、小町。この時期出かけるならどこがいいと思う?」

 

「それは小町が考えちゃ意味ないでしょ…」

 

 

☆☆☆

 

 

「ギャハハ」「ウケる」

 

といきなりだが、俺は中学時代の同級生に絡まれていた。もちろん折本ではない。

はぁ、家出た時からちょっと嫌な予感がしてたんだよな。これ見よがしに黒猫が前を通りがかったり、しっかり結んだはずの靴紐が解けたり。

さてこの状況どうするべきか。三浦が来る前に対処したいが…。

 

「あんさー、あんたら何やってんの?」

 

顔にほんのり怒気を含ませながら極炎の女王こと三浦が登場してしまった。

 

「は?誰?」

 

「いやこっちの台詞なんだけど。あーしの男捕まえてなにしてんのって言ってんだけど」

 

誰が誰の男なんだ。まぁこれはあれか空気を読んで黙っとくか。

 

「へぇこんなオタ谷となんか付き合ってんの?趣味悪」

 

「別に過去なんて関係なくない?あーしが良いと思って付き合ってんのになんであんたらに言わなきゃなんないの?つーか人のことばっか言ってないで自分はどうなんだし。過去のこと引っ張り出して人の悪口ばっか言ってるとかそれ人としてどーなん?あとさ、「わかったから落ち着け三浦。それと、サンキューな」

 

「なにこいつ。行こ行こ」

 

人のためにここまで怒ってくれてここまで言ってくれる人が世の中にどれだけいるだろうか。

こいつは、本当に優しいやつなんだと再認識した。

 

「なんつーか、ありがとな三浦」

 

「ん。任せろし。あーしが守ってやるから。っていうかあんたもあんただし、もっとシャキとしな」

 

「いやシャキとした俺とか俺が怖いわ」

 

「ぷっ。確かに」

 

というか女の子にまで守られちゃうのかよ俺。

いやまぁ今の現状を見ると何も言えないのがまた事実。

 

「それで?どこ行くんだ?」

 

「あーしカラオケ行きたい。ヒキオの歌とか聞いてみたいし」

 

「いいけど、俺あんまりカラオケ得意じゃないぞ」

 

「そんなの知らないし。あーしと行くからにはどんどん歌わせっから」

 

「…お手柔らかに」

 

 

☆☆☆

 

 

「はぁー美味しー!ヒキオも食べる?」

 

「い、いやいいから」

 

カラオケ着いて1番最初に手に取ったのはデンモクでもなくマイクでもなくフードメニューとはな。しかもデザート。

 

「つーかいきなりデザートなのな」

 

「別によくない?食べたい時に食べたいのを食べるに限るし。ただしダイエット中はその限りになし」

 

とニコッとしながら言っていた。

その笑顔に少しドキっとしたのは内緒の話だ。

 

デザートを食べ終わるとさっそくデンモクを手に取り曲を探す三浦。

 

お互い数曲歌い終わった頃に気付いたんだがこいつラブソング系ばかりだ。

やっぱり結構乙女なところあるのな。と少しホッコリした気分になってしまった。

 

 

「あー満足満足ー」

 

リア充恐るべし…。

俺の持ち歌が尽きたとみるや誰もが知ってるような歌や、歌いやすい曲、デュエットなので結局最後まで歌わされ続けてしまった。

 

 

そして、時刻はもう夕暮れ時に近づいていた。

 

 

「なぁ、ちょっと行きたいとこあんだけど」

 

☆☆☆

 

 

「で、なんで海なんだし」

 

「いや海って言っても海が見える公園ってだけだろ」

 

「は?それはもうほぼ海じゃん」

 

と訳の分からん会話をしていた。

何故海なのかは実のところ俺にもわかってない。

昨夜小町に聞いたところ「もう暑いしこの時期なら海じゃない?夕暮れ時の夕陽を見ながらの海なんて素敵だし」とのことだった。これ小町が自分で行きたいだけじゃないの?とは思っても言わないことにした。

 

「あっキレー」

 

そう言いながら海に沈んで行く夕陽を見る三浦。

その横顔に思わず見惚れる。

陽に照らされその金髪がキラキラと反射しまるで映画のワンシーンのようだった。

 

「ん?あーしの顔になんかついてる?」

 

「い、いや悪いボーッとしてた」

 

「にしても、こんな光景見せるとかヒキオも割とやるじゃん」

 

「まぁな。名誉挽回だ」

 

と少し笑いながら言ってしまう。

 

「…あ。つ、つーかそういう顔出来んならいつもそういう顔してろし!」

 

「ん?なんか変だったか?」

 

(隼人に負けず劣らずの爽やかさで元々悪い顔してなかったから思わず見惚れちゃったし)「べ、別に?ちょっとだけヒキオのこと見直したなと思っただけだし」

 

「…ありがとよ。それでこそ俺の彼女だ。なんつって」

 

「〜〜〜!!調子のんなし!!っていうかあれはその場で言っただけで…」

 

と少し顔を赤らめ三浦が慌てふためいている。

 

「悪い悪いわかってるわかってる八幡ジョークだ」

 

「ふん!ちょっと冷えて来たからもう帰るし」

 

「そうだな、帰るか優 美 子 !」

 

「またそうやって調子に乗ってるし!!」

 

 

とからかいながら帰路に着く。

 

 

今日は三浦のことをよく知れた日だと思う。

あいつは想像通り、優しくて世話焼きで気が利いて真っ直ぐなやつだった。

あいつの恋が叶いますように。

でなきゃ…

 

 

俺がもらっちまうぜ?

 

 






各ヒロインごとに世界線が異なります。

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