私事で投稿できませんでした
間が空きすぎて前の内容忘れっちゃったと言う方は前のものから見直していただけたら幸いです!
これから学校が始まってしまうのでまた投稿に間が空いてしまうかもしれませんが必ず続きは投稿します!!
東京に来て二日目、今日も朝から予定が入っている。まぁやることは昨日とほとんど変わらないけど
今日の午前は“宮守女子”だ。豊ねぇに会うのはマジで久々だな。手紙とか電話でちょくちょく連絡は取り合ってたけど顔を合わせるのは何年ぶりだ?
さて、宮守の皆さんが泊まっているのは姫松や千里山のようなホテルではなくオレら清澄が泊まっているところに似た民宿のようなところだ。その玄関に入ったところに頭の後ろで髪をお団子にしている一人の少女が立っていた
「すいません。もしかして宮守女子の方ですか?」
「はい、そうですけど…あ、もしかしてあなたが?」
「はい。菊池 翔です」
「そう。あなたがあの…」
「あの?」
「いえ、なんでもないわ。私は宮守女子三年で麻雀部長の臼沢 塞(うすざわ さえ)です。今日はありがとう」
「いえ、こちらこそ申し込みをいただいて嬉しく思います。会いたい人もいたので」
「そう。じゃあ案内するわね」
軽めの挨拶を終えて臼沢さんにつられて部屋に案内される。そして部屋の前につくと臼沢さんが襖を開けようとするのを止める。今までの傾向を考えると今回もだろう
「臼沢さん、すいません。おそらくオレが空ける方がいいと思います。それにすこし危ないと思うので離れといてください」
「?わかったわ」
そして襖の前に立ち気合を入れて一呼吸入れる。それから一応襖の隣の壁をノックして開ける
「失礼します」
「翔ちゃん!」
「グフッ!」
わかっていた…わかっていたがやはり辛い。しかし!今回は倒れずに耐え抜いた!
「翔ちゃんだ…本物の翔ちゃんだ!」
「おう、本物だぞ。全然会えなくてごめんな」
「ううん…今日会えて本当に嬉しいよ〜」
豊ねぇは変わってないな。こんな優しい義姉を持って幸せもんだ。でもこんな状況でこんなこと思ってごめん。身長負けた!(←現在の翔の身長ー193cm)
「豊音、再会できて嬉しいのはわかるんだけど、そろそろ私らにも紹介させておくれ」
「あ、ごめんなさい」
どこか田舎の婆ちゃんを思い出しそうな優しい声で豊ねぇは離れてくれた、が腕はホールドされるのね…わかってたけど…
「今日は来てくれてありがとうね。私は熊倉 トシ。今年からこの麻雀部の顧問になった者だよ」
優しい声の持ち主は熊倉監督だったみたいだ。なかなかのお年寄りであるようだが見た目からしてとても優しそうなお方だ
「さっきも言ったけど部長で三年の臼沢 塞よ。よろしく」
「同じく三年の鹿倉 胡桃(かくら くるみ)よ!」
腰に手を置いて立っているのが鹿倉さん。仁王立ちをして威厳を感じさせようとしているのだろうがいかんせん身長が低い。衣姉さんに匹敵するくらいの身長だ。いや、女性を身長などで見てはいけない。先輩は先輩だ、年上として接しなければ!
「よろしくお願いします、鹿倉さん」
「っ!君は今、なんて…?」
「?よろしくお願いします?」
「その後!」
「鹿倉さん?」
「…わかんないことがあったらなんでも聞きなさい!」
「え?は、はい…」
よくわからないがご機嫌になったようだ
「ワ、ワタシハエイスリン・ウィッシュアート、デス…」
「あ、はい」
金髪で碧眼、ホワイトボードを持って耳に赤いペンをかけているウィッシュアートさんが話しかけてくれた。見たときから思ってたけどホントに外国人か
「I'm Syo Kikuchi. Nice to mee you.(菊池 翔です。よろしくお願いします)」
「っ!NIce to meet you, too! You can speak English. Awesome!(こちらこそよろしく!英語話せるんだね、すごいね!!)」
「Umm... A little. (う〜ん…少しだけね)」
通じてよかった。でもなんでオレ英語話せるんだっけ?まぁいっか
「エイスリンと話せるなんてすごいね。あ、小瀬川 白望(こせがわ しろみ)。三年、よろしく」
立っているみんなとは座椅子にもたれかかってグデーっとしている小瀬川さん。表情もなんだかダルそうだ。あ、ちなみにウィッシュアートさんも三年生らしい。鹿倉さんが教えてくれた
「最後は私だね!改めて久しぶり!翔ちゃん!」
「うん。久しぶり豊ねぇ。今日はよろしく」
「うん!」
「あ、みなさん。オレと豊ねぇは…「知ってるよ」…えっ?」
オレと豊ねぇの関係の説明の話をしようとすると臼沢さんに止められた
「話は豊音から何度も聞かされてるからね」
「え?」
「毎日のように聞いてたかも」
「豊ねぇ…」
「That's Toyone looked so happy! (そのときのトヨネすごい嬉しそうだったよ!)」
「Really... (そうなんですか…)」
「だって〜」
みんなの言うことに恥ずかしくなったのかオレの肩のとこに顔を埋める豊ねぇ
「さて、話もここまでにしてそろそろ始めようかねぇ」
熊倉さんの一言でみんなの表情が変わる。小瀬川さんは変わらずダルそうだけど
「でも誰から入りますか?」
「う〜ん…じゃあ菊池くんとそうだねぇ…豊音と白、それと我らが部長に入ってもらおうかね」
「了解です」
「は〜い」
「…ダルい」
「わかりました」
熊倉さんの指名にオレ、豊ねぇ、小瀬川さん、臼沢さんがそれぞれ返事をして席につく。小瀬川さんは返事と言っていいのかわからないが…
「今日は何局か回したいから東風戦ね」
熊倉さんの言葉に全員が頷く
東家:豊ねぇ 北家:オレ 西家:臼沢さん 南家:小瀬川さん
ー東一局ー
そういえば豊ねぇが得意としてるもの何個あったっけ…
「ポン!」
豊ねぇ、“友引”か?一回鳴いただけじゃわかんねぇな
「チー!」
これは確定かな。でもその対策はちゃんと考えてる!
「ポン」
今度鳴いたのは豊ねぇではなくオレだ。豊ねぇ友引を使っている途中で他家の誰かが鳴くとその後鳴けなくなるはずだ。しかし…
「チー!」
「っ!」
マジか…昔はこれで友引は止められたんだけどな。豊ねぇも変わってるってことか…ヤバいな、止め方分かんねぇ
「ポン!」
小瀬川さんも臼沢さんも動く素振りを見せず単騎待ちが完成してしてしまった
「ぼっちじゃないよ〜」
豊ねぇは字牌に残った一つの牌の上に人差し指を置いて次の順番を待っている。そして次の巡…
「お友達が来たよ〜。ツモ。2000オール」
やられちまったな。こうなるともう昔やってた対策は通じないと考える方がいいんだろうか
ー東一局 一本場ー
「一本場〜」
豊ねぇの連荘。どんな能力があったか覚えていない以上、それに友引の対策が通用しなかった以上今回の対局は速さ重視で行くかな。それに”先負”がある以上誰もリーチはかけないだろうしオレもやたらにかけられないから点数も上げづらい
それにしても一本場が始まる前に豊ねぇがオレに向けてやってきたドヤ顔…こんにゃろぅ…
それに他の二人がどんな打ち手なのか全くわからない。なら実力を出す前にオレが和了ろう
「ツモ。2000・4000の一本付けです」
とりあえずこの局は和了ることができた。しかも満貫で。でも今回豊ねぇ友引止めたな。違う能力やろうとしてたのか…?
ー東二局ー
「う〜ん…ちょいたんま」
全員が手牌を取り終えてオレが最初の牌を出したところで次の小瀬川さんが左手で自分の左目を隠すようにして何か考える姿勢を取った
「決めた。とりあえずこれで」
そう言って最初の牌を切った。何かあるのだろうか
「ロン。7700です」
でもこの局を和了ったのはオレ。速さを重視しているため点数は低いが親だし連荘狙いだ。でもさっきの小瀬川さんのボヤきはきになるな
ー東二局 一本場ー
「ツモ。4100オールです」
今回も和了ったのはオレ。しかも五巡目という早い段階で。しかもしかもリーチなしで。なんかいい牌ばっか来たんだよな
すると臼沢さんがポケットからモノクル(片眼鏡)を取り出し右目にかけた
「サエ!?」
「塞…」
「大丈夫です。無理はしないので」
ただモノクルをかけただけなのにウィッシュアートさんは大声をあげて熊倉さんが心配そうに声をかける。でも大丈夫と答える臼沢さん
ー東二局 二本場ー
「では、二本場です」
そう言って点棒を卓の端に並べる。そして顔を上げると臼沢さんに見られていることに気づく。なんだ…?
「…」
「…ちょいたんま」
そして小瀬川さんがさっきと同じ体勢をとった
「ポン!」
豊ねぇもまた友引か牌を鳴いた。しかしそんな中臼沢さんはオレを見続けている。ホントにどうしたんだ…?
それから幾巡目、どうしたというのだ…全く和了れる気がしない。さっきからずっと二向聴から手が伸びない。まるで衣姉さんや淡と打ってるときみたいだ。でもその二人とは違って抜け出せる気がしない…
「ツモ。3000・6000」
やられた。しかもハネ満の親っかぶり。でもそんなことよりもオレ自身の方が心配だ。なんだ…?何が起きてるんだ…?全く手が進まなかった。有効牌が全く来なかった。手が悪いときなんて何回もあるがここまで有効牌が来なかったのは初めてだ
はっ!臼沢さん、か…そう思って臼沢さんの方を見てみると疲れた表情で少し汗もかいている。何やら体調が悪そうだ
「臼沢さん。大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫よ…」
全く大丈夫そうには見えない…熊倉さん達もとても心配そうに見ている。オレは今すぐ対局を止めるよう言おうとしたが臼沢さんの目を見たらそれが言えなくなってしまった
ー東三局ー
「ツモ!1000・2000!」
この局は豊ねぇが友引で和了った
この局も臼沢さんはオレを見続けていた。そしてオレも和了りに近づけず、それに連れて臼沢さんの顔色は悪くなる一方だった。これに関しては小瀬川さんも豊ねぇも気づいているようだ
ー東四局ー
この局も臼沢さんはオレを見続けるらしい。でもその目は段々と辛くなっていっているのを物語っている
{一萬一萬二萬二萬赤五萬七萬一筒四筒四筒九筒七索白中} {二索}
オレの手牌はこうなった
臼沢さんの体調も考えると早く終わらせなくては…
「ポン!」
「ポン!」
「ポン!」
オレは三連続で鳴く
{赤五萬五萬三筒赤五筒}
{二萬二萬横二萬}
{四筒横四筒四筒}
{一萬一萬横一萬}
こうなったのはいい。しかし問題はここからだ。二局連続で臼沢さんのおかげで和了ることができなかった。今回もそれは続いた
しかし十一巡目、それは崩れた。オレがツモったのは{五筒}。そして{三筒}を切って聴牌。あとは和了り牌を待つだけだ
そして十四巡目、臼沢さんは限界が来たのかオレの元に来てほしい牌が来てくれた
「ツモ!2000・4000!」
オレは和了ると同時に席を立ち臼沢さんの元に駆け寄った。周りのみんなも同じように駆け寄る
「臼沢さん!大丈夫ですか!?」
「え、えぇ…大丈夫…よ…」
臼沢さんはそう言ってイスから倒れ落ちそうになる。オレはとっさに支え落ちるのを阻止する
「あ、ありがとう…」
「いえ」
意識はあるようだが体力がほとんど切れているみたいだ。一度横にした方がよさそうだな
「熊倉さん、臼沢さんを一度横にさせた方がいいと思いますが…」
「そうだねぇ」
「臼沢さん…すいません」
「え…きゃっ!」
悪いと思ったが臼沢さんをお姫様抱っこ状態で抱きかかえソファに寝かせる
「とりあえず休んでください」
「え、えぇ…すまないわね」
臼沢さんはそのまま眠りについてしまった
「はぁ。菊池くん、迷惑をかけたねぇ」
「いえ、大事がなくてよかったです」
「翔ちゃん、カッコいい!」
「うおっ!あ、ありがと豊ねぇ」
「You seemed prince! (王子様みたい!)」
「ははは…」
「ありがとう!」
「ありがと…」
熊倉さんから声をかけられ豊ねぇには抱きつかれウィッシュアートさんは目をキラキラさせて王子様の絵が描かれたホワイトボードを見せられ鹿倉さんと小瀬川さんからは感謝の言葉をかけられた。臼沢さんはそれだけみんなから想われているんだなぁ〜
「塞は少し寝かせるとして次やる前にあなた達も少し休憩しな」
「ならお茶淹れますね」
「おや、本当かい?すまないね。なにせうちでお茶を淹れられるのが塞だけでね」
「構わないですよ」
そして急須の中に茶葉を入れてポッドからお湯を注ぐ。少し置いてから人数分のコップに少しずつ入れていく。一気に入れると最初に入れたのは薄く、後に入れたのは濃くなってしまうからだ
「あら、美味しい」
「うん!塞と同じくらい!」
「さすが翔ちゃん!」
「OC〜!」
「…」
よかった。小瀬川さんはなんの感想も言わないし表情も変わらないからいいのか悪いのかわからないな。不安になる
「充電、充電!」
お茶を飲んでいる最中鹿倉さんは小瀬川さんの膝の上に乗りっぱなしだ。小瀬川さんは飲みづらそうだ。すると…
「ん?」
「エヘヘ♪ Charge charge〜♪(充電、充電♪)」
「W, what are you doing...?(な、何してるんですか…?)」
オレがみんなにお茶を渡して座ると同時にウィッシュアートさんがオレの膝の上に乗ってきた。まるで初美姉さんみたいだ
「I imitate Kurumi.(胡桃の真似)」
「I...I see.(そ、そうですか)」
「あー!エイちゃんズルい!」
鹿倉さんの真似と言う割には自分でオレの手を自分の頭に持ってきて撫でるのを要求してくる。ホントに初美姉さんみたいだな。豊ねぇはこんなんで嫉妬しないでよ
「さて!そろそろ再開しようかね」
『はい(ハイ)!』
「は〜い」
みんな臼沢さんを起こさないように静かに元気よく返事する。けど豊ねぇだけ不機嫌…
それから鹿倉さんとウィッシュアートさんとも対局した。鹿倉さんは全くリーチせずウィッシュアートさんは聴牌率の高さに驚いた。でも一番驚いたのは熊倉さんだ。強すぎでしょ!久々に一位取れなかったよ!
こうして二日目の午前中を宮守女子の麻雀部のみなさんと過ごした。最終的に臼沢さんは起きなかったけどこれで体調が戻るならよしとする。最後の帰り際にウィッシュアートさんからファーストネームで呼んでほしいとのことだったのでエイスリンさんと呼ばしてもらうことになった。豊ねぇは別れが辛いのかまた泣いていた
塞 side
私、どうしたんだっけ…あ、そっか。対局が終わった後で寝ちゃったんだった。ちょっと無理しちゃったかも…でもあの子何者よ。こんなに抑えるのが辛い人なんて初めてよ。豊音だってここまでじゃなかったのに
「あっ!塞起きたー!おはよ〜」
ソファーから身を起こすと豊音が声をかけてくれた。時計を見ると既に十二時を回っていた
「塞、大丈夫かい?」
「あ、はい。迷惑かけてすいませんでした」
「いいんだよ。でも無理するんじゃないよ」
「はい…」
監督にもメンバーにも心配をかけてしまった。これじゃ部長失格ね…
「それで、エイちゃんはどうしたの…?」
「ん?さっきからあの状態のまんま」
そこではエイちゃんことエイスリンがすごい笑顔でホワイトボードに何かを描いては消してを繰り返していた。それに気づいた私は聞いて見ると胡桃がよくわからない返答をしてきた
「聞いてよ!塞!エイちゃんだけズルいんだよ〜!」
「えっ。な、何が…?」
すると豊音が頰を膨らまして私に訴えてきた
「エイちゃんだけ翔くんの膝の上に座って!なでなでしてもらって!!し・か・も!今日会ったばかりなのに名前で呼ばれるようになっちゃうし!」
「へ、へ〜。そうなんだ…」
なんだ。ただの嫉妬じゃん、それ。でもエイちゃんすごく懐いてたな。英語で話せるからかな。まぁ菊池くんは優しそうだし気も使えそうだしいい子だろうな…
「っ!」
「ん?どうしたの?塞」
「い、いや!なんでもない!」
ヤバい…ヤバいヤバい!そういえば私あの子にお、お姫様抱っこされたのよね…それに助けてもらっちゃったし…あのときの菊池くん、カッコよかっt…って何を考えてるの私ー!!!
「塞…顔赤いけど、大丈夫?」
「はっ!だ、大丈夫よ!」
もう!あの白に気づかれちゃった!どうしよ…と、とにかく落ち着かないと…
「もしかして塞…」
「な、なに?豊音…」
「翔ちゃんのこと考えてる?」
「なっ!そんなわけないでしょ!」
「あー!やっぱり!!もう!ダメだよ!!翔ちゃんは私のなんだから!!!」
「だから違うって言ってるじゃん!」
もー、何なのよ…でも男の人にこんな感情持つなんて初めて。やっぱりと豊音の言う通り私菊池くんのことす、好きになっちゃった…のかな…
「また、会えるかな…」