牌に愛されし少年   作:てこの原理こそ最強

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第21話

合宿も今日で最終日。オレは朝早く目が覚め外に散歩に来ている。朝風呂とどっちか迷ったけどどうせならどっちもしようとの決断に至り散歩に出ている

 

そして少し歩いてきたところに後ろから優希の声が聞こえてきた。その後からは咲と和も続いて来た

 

「お、三人も散歩か?」

 

「翔くん、おはよう」

 

「おはようございます」

 

「おはようだじぇ!これから滝に行くんだじぇ!」

 

「へぇ〜、そんなとこがあるのか」

 

「よろしければご一緒にどうですか?」

 

「そうだな。ならお言葉に甘えて」

 

三人が滝を見に行くと言うので僭越ながらお供させてもらうことにした

 

また少し歩いたところにその滝はあった

 

「うわー!すっごいじょー!」

 

「すごいね」

 

「えぇ」

 

「こりゃいいもん見れた」

 

「うぉー!冷てー!」

 

滝は重いのほか大きく、その水しぶきを優希は全身に浴びている

 

「合宿、また来たいな」

 

「え?」

 

「私、部に入ってみんなと合宿してどんどん麻雀が好きになってきた気がする。でも大会が終わったら三年生の部長は辞めちゃうんだよね。少しでも長くみんなと一緒にいたい。もちろん!原村さんとも、翔くんとも!」

 

「県予選に勝てば全国前にもう一度合宿があるみたいだぞ?」

 

「じゃあ!また来られるんだ!」

 

「そうですね」

 

「出るだけじゃないじょ!」

 

優希が岩の上に立って腰に手を当ててこっちを見下ろしていた

 

「当然!全国優勝するんだじぇ!」

 

「そうだね!」

 

「えぇ!そうですね!」

 

「やるじぇー!」

 

オレも頑張りますかね。そういえば他の県の県予選はいつからなんだろう?あとで調べてみよう

 

そしてその日の夕方に合宿所を出た

 

 

 

 

 

 

家に帰ったオレは早速他の都道府県の予選の日程を調べた。いつだかの電話のときに聞いたんだが、今年は豊ねぇが岩手の高校に入って全国を目指すらしい。それに玄さんと宥さん高校でもうなくなっていた麻雀部を復活させて全国に挑むらしい。まずは県予選突破と気合が入っているようだった。それにそれにあの淡が東京で照さんと同じ高校に入ったらしい。淡から「テルーがすんごい強い!でも絶対負けない!ショウにも絶対勝ってやるんだから!!」と既に照さんをライバルとして見ているようだった

 

さて一応みんなに頑張れの一言ぐらいいれとかないと後で怖い…

 

PLLLL…

『もしもし!翔ちゃん!?』

 

「あ、豊ねぇ。久しぶり…でもないか」

 

『そんなことないよ!毎日でも連絡して欲しいくらいだよ!』

 

「それは嬉しいんだけど…ほら、電話代とかね…」

 

『うぅぅ〜…そだね〜。我慢する』

 

「ごめんな。そうだ、県予選そろそろだろ?」

 

『うん!すっごい楽しみだよ〜』

 

「豊ねぇらしな。頑張れよ。こっちから応援してるから。全国で会おう」

 

『翔ちゃん…うん!頑張るよ〜!絶対!会いに行くからね〜!』

 

豊ねぇは岩手の宮守女子高校で全国を目指す

 

 

 

PLLLL…

 

『はい、もしもし。神代です』

 

「小蒔姉さん?翔です」

 

『…』

 

「?小蒔姉さん?」

 

『しょしょしょしょ、翔くん!!!!』

 

「え、あ、おう…」

 

『ちょっと待っててください!!』

 

小蒔姉さんに電話したら最初の返しから一瞬応答がないと思ったらなにか慌てたように声を荒ぶる

 

『お、お待たせしました』

 

「うん。大丈夫・・?」

 

『大丈夫です!翔くんからの電話で少し舞い上がってしまって…』

 

「そっか。えっと、もうすぐ県予選だよね?だからその前に一言と思って電話したんだけど…迷惑だったかな?」

 

『そんなわけありません!!!ありがとうございます!!』

 

「ならいいけど。頑張れ!小蒔姉さん」

 

『はい!頑張ります!!!』

 

小蒔姉さんは去年団体戦ではベスト4、個人戦でも5位になるほど活躍した。今年はどこまで行けるだろうか

 

 

 

PLLLL...

 

『もしもし、翔くんかしら』

 

「はい、霞姉さん」

 

『さっきの小蒔ちゃんの電話はあなただったのね』

 

「?なんかあったのか?」

 

『電話に出たと思ったらいきなり身だしなみ整えてたから』

 

「あぁ…」

 

『ふふふ、それで?要件はなにかしら?』

 

「そろそろ予選だろ?激励をと思ってな」

 

『あら、嬉しいわね。ありがとう。頑張るわね』

 

「おう!初美姉さんいる?」

 

『えぇ、目をキラキラさせながら横で正座しているわ。春ちゃんもさっきからずっと携帯を握りしめて待ってるわよ』

 

「あらら…とりあえず初美姉さんに代わってくれ」

 

やっぱりお姉さんだけあって霞姉さんは落ち着いてるな

 

『翔ですか〜?』

 

「初美姉さん?オレだよ〜」

 

『本当に翔なのですよ〜!お久しぶりですね〜!』

 

「そうだな。あんまり連絡できなくてごめんな」

 

『お姉ちゃんなので許してあげますよ〜』

 

「ありがと。県予選頑張ってな」

 

『お任せですよ〜!』

 

初美姉さんは今日も元気いっぱいだな。でもやっぱり巫女さんなんだからお淑やかになってほしいと思うんだけどな…

 

 

 

PLLLL...

 

『もしもし』

 

「はるるか?」

 

『遅い』

 

「わりーわりー」

 

『でも嬉しい』

 

「ホントはるるは昔に比べて素直になったよな」

 

『…うるさい』

 

「まぁ予選頑張れ。はるるの崩れない打ち方はチームに必要だからな」

 

『うん、ありがと。頑張る』

 

「巴さんはいる?」

 

『巴ちゃんは今、明星と湧のお稽古中』

 

「そっか。じゃあ頑張れと伝えておいてくれないか?」

 

『わかった。伝えとく』

 

はるるは声のトーンが変わらないから伝わりずらいけど、昔よりは素直に思ったことを言うようになった。巴さんに伝えられないのは残念だけど、稽古じゃあ仕方ないな

 

霞姉さん、初美姉さん、巴さん、小蒔姉さん、はるるは永水女子高校で全国を目指す

 

 

 

 

PLLLL...

 

『もしもし、翔?』

 

「おう、怜」

 

『どないしたん?珍しいやん、翔から連絡くるなんて』

 

「まぁな。体調とか大丈夫か?」

 

『問題あらへんよ。このごろはあんま崩れんわ』

 

「そらよかった。そろそろ予選だろ?」

 

『知っとったん?』

 

「調べた。まぁ怜なら大丈夫だとは思ったけど、一応言っとこうと思ってな。頑張れよ」

 

『おぉ、ありがとな〜。めっちゃ嬉しいわ〜。応援には来てくれんの?』

 

「行きたいのは山々なんだけどな。なんせこっちも始まるからさ。お互いに全国に行ったら会えるっしょ」

 

『絶対全国行ったる!』

 

「お、おう…」

 

全国前に怜の体調が心配だったが大丈夫そうだ。しかし全国で会えるって言ったからってそんな気合入るもんかね

 

 

 

PLLLL...

 

『もしもし!翔くん!?』

 

「うおっ!竜華さん、声抑えて…」

 

『あ、ごめん…でも、翔くんの方から連絡があるなんて!もう死んでもええ!』

 

「物騒なこと言うなよ。それだけ元気なら大丈夫そうだな」

 

『ん?なにが〜?』

 

「さっき怜とも話したけど、必ず全国で会おう!」

 

『翔くん…うん!絶対全国に出るで!そんときはいろいろ付き合ってもらうで!?』

 

「はははは…考えておくよ」

 

竜華さんも気合十分みたいだけど、気合の入れるベクトル間違ってないよな?

 

怜と竜華さんはともに北大阪の強豪、千里山女子高校で全国を目指す

 

 

 

PLLLL...

 

『翔くん!!!!!』

 

「うわっ!絹姉声大きい…」

 

『あ、ごめん…でも、全然連絡くれない翔くんが悪いねんで!』

 

「そんな理不尽な…まぁいいや。大会の予選そろそろだろ?頑張ってな」

 

『…翔くん』

 

「ん?」

 

『翔くんが今いるのって長野やったよね』

 

「?そうだけど?」

 

『今からそっち行くわ』

 

「は!?何言ってんの!」

 

『だって!そんなこと言われたら会いたくなったんやもん!』

 

「もん、じゃねぇ!いいから大人しくしてなさい!」

 

『うぅぅぅ……』

 

まったく絹姉は…昔から運動が得意でよく外で遊んでたアグレッシブな性格が今にも継続しているのはいいことなんだろうけど、いくらなんでもアグレッシブすぎるのはおさえてほしいな

 

「あ、洋姉いる?」

 

『え、うん。ちょっと待ってて』

 

それで絹姉は洋姉を呼んでくれたのだろう。うしろから『お姉ちゃ〜ん』というのが聞こえる

 

『なんや、翔。せっかく気持ちよく寝てたっちゅうのに』

 

「寝るの早いだろ!」

 

『ん?もう六時やん。よい子はもう寝る時間やで?そんなんも知らんのか?』

 

「それにしても早すぎでしょ!はぁ、もういいよ。洋姉も予選頑張ってな。応援してるよ」

 

『おぉ!任しとき!』

 

洋姉は特に心配していない。なぜなら洋姉が対局でマイナスで終わったとこを見たことないからだ

 

洋姉と絹姉は南大阪の強豪と言われている姫松高校で全国を目指す

 

 

 

 

PLLLL...

 

『もしもし、翔くん?』

 

「久しぶり、憩さん」

 

『ほんまに久しぶりやな〜』

 

「なんか怒ってる…?」

 

『ぜ〜んぜん。電話が三週間ぶりやからってうち全く、微塵も、これっぽっちも怒ってへんで〜』

 

「…ごめんなさい」

 

『ふふふ、冗談や。ほんま翔くんはからかい甲斐のある子やね〜』

 

「オレは子供か!話変わるけど、憩さんも全国目指すんだろ?」

 

『もちろんや!』

 

「そっか。頑張れよ!」

 

『おう!とは言いつつ、団体戦はちと厳しいんよ…』

 

「なんで。憩さんらしくないじゃないか」

 

『うちん地区にはあの千里山女子がおんねん。個人戦ならともかく団体戦で勝った試しがないんよ…』

 

「そっか。でもやってみなきゃわかんないだろ?」

 

『翔くん…』

 

「オレの意見としては個人戦でもいいから憩さんの活躍が見たいよ」

 

『…うん!絶対見したげる!楽しみにしとき!!』

 

憩は不幸なことに怜や竜華さんのいる千里山女子と同じ地区だ。でもそんなことでめげる憩さんじゃない。大丈夫だ

 

憩さんは三箇牧高校で全国を目指す

 

 

 

 

PLLLL...

 

『はい』

 

「あ、宥さん?」

 

『翔くん?』

 

「はい。お元気ですか?」

 

『うん、元気だよ〜。少し寒いけど』

 

「そろそろ夏ですよ…?」

 

『そうだっけ〜?それで?どうしたの?』

 

「あぁ、奈良の方も予選そろそろだと思って」

 

『そうだよ。よく知ってるね』

 

「調べたんで。頑張ってくださいね?奈良にはあの晩成がいるんで」

 

『今日翔くんの声聞けたから大丈夫だよ〜』

 

この間延びした声は変わらないな。すると電話の奥の方から『お姉ちゃん!翔くんって聞こえたけど!!』と玄さんの大きな声が響いてきた

 

『もしもし!翔くんですか!?』

 

「うん、玄さんも久しぶり」

 

『うぅぅ…やっと翔くんの声が聞けました〜。ってお姉ちゃん、大丈夫!?』

 

「ん?宥さんがどうした?」

 

『お姉ちゃん、すっごい笑顔で倒れちゃった』

 

「大丈夫か?」

 

『顔赤いけど大丈夫みたい…』

 

「そっか。そうだ、玄さんも県予選頑張ってな」

 

『うん!お任せあれ!』

 

宥さんは大丈夫だろうか…まぁ玄さんがついてるから心配いらないだろう

 

宥さんと玄さんは阿知賀女子で十年ぶりの全国を目指す

 

 

 

PLLLL...

 

あれ?

 

PLLLL.,.

 

出ない。仕方ない、後にしよう

 

 

 

 

PLLLL...

 

『ショウ?』

 

「おう、オレだ」

 

『ショウだ!どうしたの?』

 

「全国に向けて気合入ってるかなと思ってな」

 

『当たり前だよ!早くショウと打ちたいよ!』

 

「いやいや…男女では試合ないからな?」

 

『そうなの!なんだ〜…』

 

「でもオレと同じぐらい強い人なんて何人もいるからな」

 

『本当!?』

 

「あぁ」

 

淡はホントに強い人と打ちたいんだな。その心がけは立派だな

 

「そうだ、照さんいない?」

 

『テルー?ちょっと待ってね』

 

そして淡は『テルー』と言いながら呼びに言ってくれたみたいだ

 

『もしもし?』

 

「あ、照さん?」

 

『翔?』

 

「さっき電話したんだけど」

 

『あ、携帯忘れた』

 

「はははは、照さんも相変わらずだな」

 

『バカにしてる?』

 

「そんなんじゃないさ。嬉しいんだよ」

 

『そう』

 

「そんであんま心配はしてないけど、予選頑張ってね。オレらも必ず全国に行くから」

 

『うん、待ってる』

 

 

待ってる、か…やっぱりさすがだな照さんは

 

照さんと淡は二年連続全国覇者の白糸台高校で全国を目指す

 


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