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第11話
モモと友達になってから最後の小学生生活はすぐに終わってしまった。移動教室に文化祭、そして卒業式と行事という行事が目まぐるしく過ぎていった
そして短い春休みが終わって今日は中学校の始業式。みんなが新しい制服に身を包み校門をくぐっていく。そこをオレも咲と京太郎と一緒にくぐって校舎に入った。そして玄関のところにはクラスわけが表示されていて自分の名前を見つけようと大勢の新入生でごった返している
「咲、見えるか?」
「う〜ん…難しいかも」
「じゃあオレが見てくるよ。京太郎は咲と一緒にいてくれ」
「わかった」
オレは既に身長が180ぐらいになっていたので普通の中一よりも頭一つ分は飛び出している。だからこんな人混みなんて問題ない。オレは自分達の名前を探してそれが同じ用紙に書かれているのを見て咲達のところへ戻った
「どうだった?」
「あぁ、三人とも同じクラスだ」
「本当か!?よっしゃぁ!やったな咲!」
「うん!」
「まぁ咲は翔と一緒なのが嬉しいんだろうけどな」
「な!何言ってるの!京ちゃん!」
「咲はオレと一緒のクラスで嬉しくないのか…」
「そ、そんなことないよ!嬉しい!嬉しいよ!」
「あははは!冗談冗談。オレも嬉しいよ」
「も、もう!」
京太郎の言葉に顔を真っ赤にして焦る咲にオレが悲しい表情を作ってそう言うと、咲はまた焦ってるのを見てオレが笑顔で冗談と伝えるとまた顔を真っ赤ににてオレのことをポカポカ叩いてきた
「ほら咲、そろそろ体育館行くぞ」
「迷子にならないようにな」
「な、ならないよ!」
咲はこう言っているが結構な迷子の常習犯なのだ。初めて来るところでは必ず迷子になる。一人ではトイレにも行けない悪い意味で天才な子なんだ
中一になって半年、中学で初めての体育祭や試験をを終えて夏休みになろうとしていた。オレと咲は試験を問題なく通れたんだが、京太郎は中一なのに二つ赤点を出しやがった。何回も三人で(ときにはモモも合わせて)勉強したのにな
さて、明日から夏休みにというところでオレに一件のメールが届いた。差出人は照さんだった。内容は『高校の見学についてきてほしい』というものだった。そうかもう照さんや姉さん達は高校の受験生になるのか。ちなみに照さんも咲に引けを取らず迷子の常習犯だ。だからどこかに出かける場合は誰かが同伴しないと目的地に着かない。今回はその付き人の役目にオレが任命されたらしい
「それでどこに行くんですか?」
「東京」
「ということは長野出ちゃうんですね」
「うん。私、強い人と麻雀がしたい。そのために行く」
照さんは原作通りに白糸台が第一候補らしい
「わかりました。ならお伴しますよ」
「ありがとう」
「いいえ」
そして夏休みに入ってすぐにオレと照さんは新幹線で東京へ向かった。照さんの両親や咲はというと照さんが『翔がいるから大丈夫』と言ってついてくるのを断ったらしい
「ここですか?」
「うん」
長野から新幹線で約二時間、目的の高校に着いた
「宮永 照さんね?」
「はい」
「待っていたわ。じゃあ私についてきてちょうだい」
「じゃあ照さん、終わったら連絡して。その辺のファミレスで待ってるから」
「?翔もついてくれば…」
「失礼ですが宮永 照さんの弟さんかしら?」
「いえ、ただの付き人です」
「そう。申し訳ないけれど宮永さんのご家族以外の方は入れないの」
「ほら、照さん」
「…わかった」
一瞬ムッとした顔をする照さんにオレはそう言って行かせた
そしてオレは照さんとわかれどこか時間を潰せるとこがないか探しながらぶらぶら歩いていた。すると結構新しめの雀荘を見つけた。こんな都会の真ん中にもあるんだなと思いながらその店に入ってみた
「いらっしゃい。お、初顔だね」
「どうも。お邪魔してもいいですか?」
「あぁ、いいよ。この店は年齢無制限だからね」
「ありがとうございます」
ここの店長と思われる男性はいきなり来たのも関わらず心地よく迎えてくれた
「君は高校生かな?」
「いえ、中一です」
「そうなのか!?いやすまないな。身長と雰囲気で決めつけてしまった」
「あぁ、大丈夫です」
「でも奇遇だな。今日もう一人中一の初めての子が来てるんだ」
「そうなんですか」
「しかもこれがなかなか強いみたいでね」
店長さんは注文があったからなのかコーヒーを入れながら教えてくれる
「ロン、5200」
「あちゃー!またお嬢ちゃんかよ」
「お、ちょうど終わったみたいだね」
「そうみたいですね」
雀卓の方に目を向けるとそこには長い金髪をした子がこっちに背を向けて座っていた
「ん?店長、また新顔かい?」
「えぇ、しかもまた中学生ですよ」
「そうかい。なら坊主、オレと変わりな」
なんでかわからないが楊枝を咥えているおじさんが席を変わってくれた。そして同じ中学生というのに興味を持ったのか女の子が振り向いた。その顔を見てオレは驚く。その子はあの大星 淡(おおほし あわい)さんだった
「よろしくお願します」
「よろしく〜」
「おう、よろしくな兄ちゃん!」
「お願いします」
大星さんと男性と女性に挨拶をして席に座った。親を決め対局が始まった
最初のオレの手牌は
{二萬七萬八萬四筒六筒九筒八索九索北南中白白}
となった。絶対領域もうあんのかよ…大星さんの方をみるとニコニコと余裕の表情だ。その自身へし折ってやる!
ドラ:{五萬}
一巡目、親の女性は{北}、大星さんは{南}、オレは{七筒}をツモって{北}、男性は{一索}をそれぞれ切った
二巡目、女性は{南}、大星さんは{一筒}、オレは{六萬}ツモって{南}、男性は{二筒子}をツモ切り
・
・
・
・
十巡目、オレの手牌は
{二萬二萬五萬六萬七萬七萬八萬九萬七筒八筒九筒七索八索}
となっていた。点数は低いが大星さんの絶対領域の中で聴牌できたことに心の中でガッツポーズをした。そして
「ロン」
「えっ…」
絶対領域だと安心していたのか大星さんはオレの当たり牌である{九索}を切った
「8000」
オレは手牌を表に向けて点数申告をした
「うそ…」
大星さんはまだ信じられないというような顔をして俯いた。しかしすぐに
「…いい!イケてんじゃん!」
さっきよりも目をキラキラさせていた。そしてすぐに次の局を始めるためにサイコロを回す
「リーチ!」
その局は親の大星さんのダブルリーチで始まった。でも…
「ツモ」
「えっ…」
「地和、8000・16000」
{四萬四萬四萬一筒二筒三筒五筒六筒二索三索四索南南} {四筒}
オレは最初の手牌で聴牌していた。そしてツモったのは{四筒}、地和を和了った。大星さんもそうだが男性と女性もこれには目を見開いて驚いている
「終局ですね」
「え、あ…ありがとうございました」
「…兄ちゃん、おめぇとんでもねぇな…」
「あははは…たまたまですよ」
「……」
女性と男性はまだ驚いている中、オレの言葉に一間置いて返事した。大星さんはまだ開いたオレの手牌を見て呆然としていた
「あの…」
「…う……」
「う?」
「うぇぇぇぇん!!!!!」
「おわっ!」
大星さんはいきなり涙を流して大泣きし始めてしまった
「あ!あの…!」
「ひぐっ…ぐすん…」
「あの、とりあえず落ち着いて…」
オレは大泣きする大星さんの頭を撫でながる
「ぐすん…ありがとう…」
「い、いえ…その、ごめんなさい…」
「なんで、君が謝るの…?」
「えっと、オレが君を泣かせたから…?」
「気にしないで。君、名前は」
「菊池 翔だ」
「ショウ。私は大星 淡。今度は100回倒す」
「お、おう…楽しみにしてるよ」
泣き止んでくれたら今度は頰をプクッと膨らませてそんな冗談を言ってきた。オレはそれに苦笑い気味に笑顔で返すと大星さんは今度は頰を赤らめた
「と、ところでショウはなんでここに来たの?あ、私のことは淡でいいよ」
「わかった、淡な。ちょっとある人の付き添いでな」
対局を終えたオレと大星さんは店長が出してくれたジュースを飲みながら談笑中だ
「そうなんだ。じゃあ住んでるのはここら辺じゃないの?」
「あぁ、長野から来たんだ」
「長野!?ってどこ?」
「…マジか」
こいつもバカの部類に入るらしい
「まぁ東京より少し遠いとこだ」
「ふ〜ん。こっちにはよく来るの?」
「いや、当分来ないだろうな」
「そっか…」
急にテンションが下がり暗い表情になってしまった
「で、でもまぁたまに遊びに来よう、かな…?」
「本当!?」
「え、あ、あぁ…」
「じゃあまた麻雀やろうね!」
また急に表情が変わり今度は背後に花が咲き乱れるぐらい笑顔になった
それから少しして照さんから連絡があったので淡と連絡先を交換して店を出た
高校に戻って校門のところで待っていると照さんがやってきた
「お待たせ」
「大丈夫だよ」
「じゃあ帰ろ」
そしてオレ達は今日のことを話しながら帰った