いせまじょ ~異世界の魔女達の夜~   作:ジト民逆脚屋

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はい、今回も〝福音の魔女〟は欠片も出ないです。
君は泣いていい。

突然ですがランキング

1.天内満代 シルヴィア・クシャトロワ
2.天内菊代
3.ナジェーリア・リトリア

少し開いて

4.ウルレイカ・ルーデルハイト








〃〃〃〃〃〃〃越えられない壁〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃








5.リーリヤ・ブレーメイヤ

何のランキングかは皆様にお任せします。


あ、後、ナジェーリア将軍の見た目イメージ元は〝艦これ〟のガングートです。

挿し絵とか欲しいなぁみたいな・・・(身の程知らず


閑話

 「それにしてもさ、クシャトロワ軍曹?」

 「な、何でしょうか? ルーデルハイト大佐」

 

 先程までの緊迫した様子とは打って変わって、年相応の悪戯染みた笑みを浮かべるウルレイカ。

 それに嫌な予感を覚えるシルヴィアと、遠巻きに事態を観察するバーバヤーガ隊員達。

 知っている。自分達は、あの〝にんまり〟とも〝にへら〟ともつかない笑顔が意味する事を知っている。

 

 ナジェーリアやリーリヤ、公国のネームド魔女が何か面倒な事を思い付いた顔だ。

 何人か逃げ出そうとしたが、バーバヤーガは仲間を見捨てない(抜け駆けは許さない)確りと捕縛し、何が起こるのかを見守る(死ぬ時は皆一緒に死ぬZO)

 

 まだ何人か抵抗しているが、たった数人だ。民主主義(数の暴力)による、多数決で決定した。

 バーバヤーガは撤退を良しとせず、同志シルヴィア・クシャトロワ軍曹の散り様を確りと見届けるものである。

 さあ来いよぉ。

 

 「菊代や君を見てさ、いつも思うんだよね」

 「天内の巫女と私、ですか?」

 「そ、君と菊代」

 

 神皇国のネームド魔女(巫女)と、ネームド魔女が率いる魔導部隊の一隊員。

 魔導に関わっている以外に共通点は無い筈だが、ウルレイカはシルヴィアと菊代を並べた。それが何を意味するのか、シルヴィアだけでなく他隊員達も首を傾げて考える。

 

 天内の巫女殿と同志軍曹、何かあるか?

 解らん。

 もしかして、ネームド魔女にしか通じない隠語?

 同志軍曹に通じるの、それ?

 まさか、同志軍曹はネームドだった?

 

 勝手な憶測が飛び交う中、ウルレイカが立ち上がりシルヴィアの前に立つ。シルヴィアの身長は公国軍人の平均だが、ウルレイカはまだ子供と言える年齢で、身長は平均的なシルヴィアより頭一つ分低い。

 

 「うん、やっぱりね」

 「あの、ルーデルハイト大佐?」

 「ん? ああ、気にしない気にしない」

 

 こっちは気にするんですけど……

 シルヴィアは思ったが、ネームド魔女を下手に刺激すると何があるか分からない。ナジェーリアやリーリヤで嫌と言う程に学習している。

 取敢えず、ネームド魔女が奇行奇言に走り出したら即放置撤退。バーバヤーガの暗黙の了解だが、今回の場合はシルヴィアが中心になっている為、シルヴィアは逃げられない。

 そして、ナジェーリアが神皇国から帰ってくれば、何があっても絶対に、シルヴィアの淹れた茶と茶菓子を要求する。その時に、シルヴィアに何かあればどうなるか?

 間違いなく、拗ねてへそ曲げて機嫌が最悪になる。

 もう四十も半ばが見えてきて、茶と茶菓子が無くて拗ねて仕事しなくなるのは勘弁してほしい。

 見た目二十代だからノーカンとか言っているが、シルヴィア軍曹と並んでみろよ。

 なんかこう、無理してる感があるぞ。

 若い隊員は、ちょっと無理してるぐらいがいい!とか言っているが、実際どうなんだ?

 ボリス大尉、目が死んでたし、ちょっとじゃないぞ?

 

 とかなんとか、古参隊員の何人かが、ナジェーリア本人が聞けば確実に拗ねるであろう内容を考えていると、ウルレイカがグルグルとシルヴィアの周りを回り始めた。

 

 「あの、ルーデルハイト大佐、本当に何を?」

 「気にしない気にしない」

 

 にこやかな笑顔を浮かべてシルヴィアを観察しながら周囲を回るウルレイカ。

 その様子に、古参魔女の一人が呟く。

 

『鮫ってさ、獲物の周りを回るって言うよね?』

『同志軍曹、喰われるの?』

『隊章的には鷲じゃない?』

『結局、喰われるじゃない』

 

 後で覚えていろ・・・!

 シルヴィア軍曹は、古参魔女達への仕返しを決めた。

 だが、仕返しの内容次第では更に倍返しされるかもしれないので、お茶とお茶菓子の量を密かに減らす事にした。

 減らした分は、ナジェーリアの取り分とする。

 減らしたら気付くが、増やしたら気付かない。気付いているかもしれないが、気付かない。

 ナジェーリア・リトリアは、そう言う人だ。

 

 と言うか、鮫は解るが鷲はどうなんだ?

 私はどれ程弱い生き物と思われているんだ。

 だけど、鮫は無理。だって、あいつら竜巻に乗って空飛んで来たり、雪山泳いで来たり、蛸と合体して来るもん。

 流石に幽霊になった鮫が町中を泳ぎ回っていたのには驚きたが、安定のナジェーリア節が炸裂してリーリヤに押し付けて解決した。

 

 鷲?

 目の前の鷲は本当に無理だ。

 初めて部隊の一員として飛んだ空で、いきなりけたたましいサイレンの音が聞こえてきたら、満面の笑みで詩歌を歌いながら降ってきた。

 あれは本当に死ぬかと思った。ボリスが助けてくれなかったら、シルヴィアはここには居なかっただろう。

 聞けば、あのサイレンは彼女の魔法杖が一定以上の加速をした際に両主翼が空気を切り裂く音らしい。

 それで、あんなけたたましい音を立てながらやって来るんだから、目の前の鷲は本当に無理だ。

 

 しかしだ。鮫も無理、鷲も無理だとすると、他の隊員達が言う様に、本当に弱い生き物という事になる。

 相手が鮫とも鷲とも言えない何かであるという事を除けば。極々一般的な魔女なのだろうが、陸上で鮫に追われたり人型の荒鷲に周囲を回られたりする魔女は居ないので、ダメかもしれないというか混乱してきた。

 

 「うん、やっぱりそうだね」

 「ルーデルハイト大佐?」

 「菊代にしろ君にしろ、どうして乳や尻にばかり肉が付くんだい?」

 「ふぇ?」

 

 思わず気の抜けた声が出たが、そんな事は知らない。

 大体、どうしてと聞かれても特に意識した事も無いから解らない。背後で古参魔女達が、自分達の胸部や臀部を比べているが、比較物が給湯室から持ってきたボウルなのは何故?

 

 「リトリアは、君と菊代に比べたら薄いけど十分に有るし、他の魔女…… ああ、ブレーメイヤは無いよね」

 

 シルヴィア個人としては、ナジェーリアが理想的なスタイルなのだが、現実は甘くない。

 何をしなくても、肉がその二ヶ所に集まるのだ。ナジェーリアの様な、細く引き締まりつつも確りとした凹凸のあるスタイルには程遠い。

 

 しかし、リーリヤ・ブレーメイヤ少将は細く引き締まりつつも確りとした凹凸が無い。

 彼女はとてもスレンダーでいて平坦でいながら平原で、最近は目の前の彼女に、スリーサイズの一番上と一番下で負けたと知り愕然としていたが、真ん中で勝ってるからまだやれると諦めてもいなかった。

 

 「ボクは成長期なのに勝てるって、ブレーメイヤの歳幾つだっけ?」

 

 ウルレイカの問いに、シルヴィア含むバーバヤーガ全員が目を逸らした。

 リーリヤはナジェーリアとほぼ同期だが、ナジェーリアよりは年下である。

 あくまで、ナジェーリアよりはであるが。

 

 シルヴィアは、次にリーリヤがバーバヤーガ隊舎に来たら、お茶菓子を少しおまけしよう。

 そう、思った。




神皇国

「ふむ、泣いたら空腹になったね。菊代、何か無いかな?」
「おば様? 当たり前のように食事を要求してますけど、帝国のルーデルハイトはいいんですの?」
「あの娘なら、同志軍曹の茶を飲んだら帰るだろうさ。それよりも、菊代、何か無いかな?」
「おば様、太りますわよ?」
「太るか。ふむ、菊代。男というのは、肉の無い女より肉の有る女の方が良いと言う」
「はい?」
「昔だがね。私が少し太ったかと思い痩せたところ、アレクセイが実に残念そうに、私の腹や横腹に太ももを撫でていたのだよ……!」
「お、おば様! ストップ、ストップですわ! アレクセイおじ様の趣味がバレてますわ!」
「それからというもの、アレクセイが一番抱き心地がよさそうにしていたスタイルを私は維持しているのだよ……! おっと、同志リーリヤに言ってはいけないよ? 彼女は何か飲み食いしても、全部筋肉に変わるからね」
「ブレーメイヤ少将に飛び火しましたわよー!」






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