サブタイは怪しいですが、内容は特に深夜向けという訳じゃありません(笑
というか、オリと感想欄でよく心配されている”あの子”が出てきそうな……?
自由惑星同盟首都惑星ハイネセン、郊外
惑星ハイネセンとは言っても、全部が都会じゃないことは容易に想像がつくと思う。
例えば、東京都にだって青ヶ島を筆頭に、自然豊かな小笠原諸島や風光明媚な湖や渓谷がある奥多摩など、秘境と呼んでいい場所は意外とあるものだ。
それが星一つとなればなおさらであろう。
ハイネセンも、通称”ハイネセンポリス”と呼ばれる中央官庁街や巨大企業のオフィスや本社が立ち並ぶ中心街は、たしかに超近代都市で、その周辺にある高級住宅地も日本に比べれば随分と贅沢な敷地の使い方をしているが、それなりの人口密度はある。
だが、ちょっと都心部から離れればご多聞に漏れず、やはり風光明媚と言ってよい自然豊かな地区は多くあり、例えばヤンがマスオさん状態のミューゼル家から三時間半も車を飛ばせば、牧歌的な田園地帯や片田舎の風景が広がっている。
そもそも、惑星ハイネセンは合計37ある同盟の有人惑星の中で唯一、『一つの惑星に二桁億人が住んでる居住惑星』ではあるが、それでも居住人口は20億人にも達しておらず、大きさが地球とほぼ同じ岩石惑星であることを考えれば、21世紀の地球に比べれば人口密度はかなり低いだろう。(1927年の世界人口が20億人とされているので、大体1世紀くらい前の地球の人口)
そんな訳で、”ゆるキャン△”でメジャーになった感がある四尾連湖的な湖畔キャンプ場なら割とどこにでもあるし、なんなら日をまたぐほど車を飛ばさなくてもモンタナ的な豊かな森と渓流や渓谷もある。
そして、ここはハイネセンポリスの中心街から朝飯後に出て昼飯前になんとかつけるほどの距離にある、周りの雰囲気に合わせたどこかロッジというかカントリーハウス風の家……
その前になんとなく古き良き時代を思わせるターコイズブルーとホワイトの変則ツートンカラーの2ドアRV、いやSUVか? いやいやバギーが停まる。
その妙に丸っこいデザインにでっかいバルーンタイヤの組み合わせ……どう見ても、モチーフになってるのはVWタイプIをベースに改造され、西暦1970年代やヒッピー文化を代表するアイコンの一つ”バハバグ”だ。
オリジナルとの大きな識別点は、エンジンが剥き出しになってないことだろうか? あと少しサイズが大きい。
あまりにマニアックな選択な気がするが……オーナーは変わり者か
車のドアが開いて出てきたのは、同盟成人男性の平均身長くらいの金髪というより黄土色をイメージさせる髪をソフトリーゼントにした白人男性で、オールドファッションの丸目サングラスにウォッシュドのジーンズ、レザーのフライトジャケットを組み合わせてるあたり、わかってると言えばわかってるのだろう。
無精ひげはご愛嬌。
そして、その男性おもむろにインターホンを押し、
「おーい、誰かいるかー」
『はーい』
スピーカー越しに聞こえてくるのは、まだ変声期前のボーイ・ソプラノの声。
玄関が開き出てきたのは……
「あっ、ヨシュア
「よお、”ユリアン”」
ニコニコと微笑むのはご存知”ユリアン・ミンツ”、宇宙歴790年現在8っちゃいである。
なんというかショタい……いや、原作人気キャラ初登場だというのに、第一声がそれだというのもどうかと思うが、とにかく半ズボン込みでショタかった。
いやまあ、原作でユリアンがヤンの家を訪ねた時が12歳とされているので、更に4年も前の姿なので当然と言えば当然だが……
ミルクティー色の髪といい、イメージ的には原作のユリアン初登場時というより、某『お嬢様が破滅フラグを回避しようとしたら、何故か同棲異性を問わずに攻略フラグを立ててしまった話』に出てくる、
「ん? ”
一応、今日は公休日のはずなのだが、
「うん。なんか、”だいさんじあすたーてきょてんかくちょうけいかく”の準備が立て込んでるって言ってた」
「ああ、あれか……アスターテを一大軍事拠点化するとかしないとか、マスゴミが騒いでたがマヂだったのか。こりゃセレブレッゼの野郎が陣頭指揮ってことにもなりかねんな」
「???」
コテンと首を傾げるユリアンの頭を撫でながら、
「いや、ちょっと
「お買い物ー。よくわからないけど、”こどもにはきけんなほどこみあう
「そっか。今日中に帰ってくるのか?」
「ん♪」
「んなら、中で待っててもいいか?」
「いいよー」
☆☆☆
さて、原作では2歳ないし6歳の時にユリアンの母は病死し、父も8歳の時に戦死していたのだが……
どうもこの世界線においては大分状況が違いそうだ。
まず、関係をまとめると……
ヨシュア・ミンツ
ユリアンの父、ユリウス・ミンツの実兄で、元同盟軍人。最終階級は大佐で、現在予備役……だが、予備役期間は基本、退役後5年なので、そろそろリストから外れそう。有能ではあったが、不良軍人疑惑がある。素行は
現在は趣味が高じて始めたアウトドア・ショップの店長兼オーナー。
そして、ヤンの里親(後見人)だった人物。ヤンを養子にしようとしたかった時期もあったが、『里親とその実母との関係をこれ以上拗らせたくなかった』ヤンの意志により成立しなかったようだ。(ヤンを引き取る際もひと悶着あったようだ)
上記の通り、実母との仲は悪く、事実上の絶縁状態。本人も実母を『カビの生えたプライドばかりにすがったクソ婆』呼ばわりである。
ちなみに離婚歴アリ(この件でも実母と大喧嘩)。理由はヤンを勝手に引き取った……からではなく、自分に相談せず勝手に軍人(公務員)を辞めたから。まあ、割とありがちな理由だ。
元嫁さん、結構堅実な将来設計を考えてたらしいのですが……残念!
因みに、ヤンが士官学校入学した翌年に軍を辞めたらしい。その時、ヨシュアが何を思い何を考えたのかは……誰にも分からない。おそらく、この先も語ることはないだろう。
ユリウス・ミンツ
原作ではユリアンが8歳の時に戦死したことになってる実父(ただし、原作では名前が明らかになってない)。
同じく原作では「エル・ファシルの戦い」でキャゼルヌの部下、大尉だったらしいが……この世界線では、特にキャゼルヌとは今の所縁が無いらしく、後方のエースで兵站補給部のドンになりかけてる”シンクレア・セレブレッゼ”少将の幕僚の一人のようだ。
どうやら、兄のヨシュアがセレブレッゼ少将とは同期の桜らしく、案外そこで縁が繋がったのかもしれない。仕事が忙しくお疲れ気味だが、どうやら戦死する心配はない部署にいる様子である。
母の反対を押し切って結婚したため、兄と同じく絶縁状態にあるようだ。
ハンナ・ミンツ
原作ではユリアンが2歳ないし6歳の頃に病死してる薄幸な人。幼少の頃に両親に連れられて帝国から亡命してきた女性で、レイシズム的な観点で旦那の母からは嫌われていた。
ただ、この世界線では、やはりユリアンが2歳の時に大病を患ったが、自由惑星同盟の医療水準が原作よりも遥かに高かったために一命をとりとめた。後遺症があるので月に一度程度の通院と経過観察は欠かせないが、ほぼ健康体として生活しているようだ。
これが現在判明しているミンツ家の構成である。
ハンナさんが元気なので、ユリアンの弟か妹が生まれる可能性は否定できないが……
ちなみにこの世界線のミンツ家の男は、Jから始まるのが伝統のようで、またJの発音はジャ/ジュ/ジョではなく、ヤ/ユ/ヨと発音する。
例えば、ユリアンのスペルは”Julian”で、同盟標準語(公用語)の基礎となってる英語の発音なら”ジュリアン”となるが、どうやらミンツ家はドイツ語やオランダ語系の発音にこだわりがあるようだ。ヨシュアのスペルも”Joshua”、ユリウスも”Julius”でそれぞれ英語読みだと”ジョシュア”、”ジュリアス”となる。
「ところで伯父さん、今日はどうしたの?」
齢8歳ながら、しっかりヨシュア好みのコーヒーを用意するユリアンは、原作同様にできた子らしい。
「ユリアン、ヤンって覚えてるか? 確か士官学校入るまでは、何度か遊んでもらったろ?」
「う、うん。もちろん、覚えてるけど……えっと、今は”える・ふぁしるのさんじゅうし”って呼ばれてるよね?」
「まあ、そうだな。アイツにゃあんまり似合わない呼び名だが……とりあえずな、」
ちょっと困惑気味のユリアンに、
「ヤンの奴、結婚するとよ」
「……はえっ?」
読んでいただきありがとうございました。
ようやく出てきた”この世界線のミンツ家”の面々(^^
でも、出てきたのはオリで不良中年(?)な伯父さんとユリアン少年だけでしたw
ちなみにユリアン・パパ&ママも、現在でもきっちり存命ですよ~。