拓海「いや、不定期更新タグがあるからそんなに落ち込まんで良いだろ」
ソロマ「考査に模試にと悪いタイミングで重なったからねぇ」
作「そしてお気に入り登録200件突破…ありがとうございます。それでは第八話、どうぞ」
拓海side in
───いきなりだが、『犬と猫どっちがいいか』という質問は知っているだろうか。
飼い主に忠実で頼もしげな犬と気ままで愛くるしい猫。
どちらが自分の好みなのかという質問なのだが、多分一度は聴かれた事があると思う。何故俺がこんなことを考えてるのか、それは5分前に遡る───
小学三年生になった俺は、朱乃姉と公園で遊んでいた。
この公園は少し前まで変なオジサンが出没すると言われていた。俺はどうでも良かったのだが、朱乃姉がこの公園で遊びたいと言ってたのを聞いて下見に行った時──変態が居た。
その変態は、なんと近所の子供に『おっぱい』の事を事細やかに教えていたのだ。「おっぱいはいいものだ」とか「乳首はいろいろできるぞ」等、無垢な奴等には刺激の強い話をしていたのだが、こんな話は朱乃姉には聴かせられないので、すぐに通報し、お縄についた。
………本当は『
「ダンゴムシでも潰しちゃダメ!」
喜んで中止した。朱乃姉の優しさに感謝しろよ?
で、その変態が居なくなった公園で遊んだ後に、事件が起きた。
「拓海君、楽しかったね」
「うん、そうだね♪朱乃姉と遊ぶ為に変態を追い出して良かった」
「ん?拓海君今なんか言った?」
「いや?別に何も言ってn「ヒャッ!!?た、拓海君アレ!!」…え?いったい何が……えっ!?」
─────そして、俺は冒頭のシーンのような事を考えたのである。
自分はどっちかといえば猫派なのだが、目の前の猫は黒猫だ。黒猫は災いを呼ぶと言われているので、あまり朱乃姉に長く見せたくない。怪我をしていたとしても仕方ない。仕方ないのだ。本当に仕方ないのだ。
『本当は助けたいのだろう?』
『いや別に~?ただここで死んだら目覚めが悪くなりそうだけど、朱乃姉の方が優先ですし?まあ仕方ないよね?』
別に俺は黒猫が可哀想だなんてちっとも思って───
「黒猫ちゃん…可哀想……」
「朱乃姉、俺に任せて」
いやー仕方ないな~?優しい朱乃姉のために俺張り切って頑張っちゃうよ~?
『喜んでいるな』
『朱乃からのお許しが出たから、嬉々として助けようとしてるな』
『──シャラップ‼ちょっと今考えてるから黙ってろ!』
任せて、とは言ったものの、この黒猫の怪我を治した後の処遇をどうするか…
『───契約者よ。汝が飼えば良いだろう』
『それだ!』
『『マジで!?マジで言ってるのかアンタら!!?』』
──マジです。そもそも黒猫だからって飼ってはいけないってルールはないからね。精一杯父さんと母さんを説得しますよ。
──だがその前に、この黒猫の怪我を治さなければならない。傷をそのままにしてたら出血多量で死んでしまうかもしれないからな。
「───さて、どうしたものk「あれ?拓海そこで何してるの?」…あ、母さん!」
ナイスタイミング!買い物にいってた母さんが通りかかった!よし、この場で母さんを説得しよう、いやして見せる!
「母さん、実はね────」
「────ダメよ。黒猫だし、ちゃんと面倒見きれないでしょ?」
「……でも、
「可哀想って理由で飼ってもその内飽きるでしょ?そもそもこんな所にいるなら完全に野良猫でしょう?引っ掻かれるわよ?」
クッ……やはり反対するか…ならば仕方ない、俺の禁じ手を使ってやる!
『待て拓海!そんな事をしたらお前の心がボロボロになるぞ!?』
『それに、まだその手が通じるか分からんのだぞ?』
『───確かに、俺の心がボロボロになるかもしれない。この手が通じないかもしれない。──だが、朱乃姉が黒猫を助けるのを望んだんだ…その程度の事で俺は止めない!俺はこの手で勝ち取る!』
さあ母さん!どっちが長く耐えきれるか、持久戦と行こうじゃないかッ!!!
「────仕方ないわね、今回だけだからね?猫を飼うのは」
──勝った。俺は禁じ手を使うことにより、母さんからこの黒猫を飼う許可を獲たのだ。黒猫の傷は朱乃姉と母さんが見えない所で『
「───うん、ありがとうママ」ハイライトオフ
『─ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!』
『落ち着け拓海!傷は浅いぞ!!』
『ええい!精神分析持ちは何処だ!?』
───俺の心がボロボロになった事だ。
俺が言った禁じ手、それは『媚びること』。そんなことが禁じ手か?と思うかもしれないが、母さんにとっては有効なのだ。そして俺にとっての諸刃の剣でもある。
──考えてみてくれ、肉体は小学三年生とはいえ精神は20歳越えた大人がママと言って女性に媚びるんだぞ?恥ずかしすぎるわ。
え?なんで叫んでるのに冷静なのか?あれだよ、『並列思考』と言うやつで発狂した思考を隔離してるんだよ。
『並列思考』自体は去年から出来るようになった。HIGUMAと戦ってる時にINOSHISHIが乱入してくるようになったからな。周囲を警戒しながらHIGUMAと戦えるわけがないから必死で使えるようにしたのさ。
『ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!!!!!』
『オイ
『無理。現在進行形で我慢してるのに、そんなことしたら俺も発狂するぞ?』
『よし来るな!発狂が終わるまで絶対にこっち来るなよ!?』
『ハイハイ、分かってるって……』
───さて、今回はどのくらい発狂し続けるのかn
「大丈夫、問題ないよ朱乃姉」
「そう?ならよかった…」
フッ、流石は朱乃姉。俺に声をかけただけで発狂を解くとは…
『いや拓海が自力で解いたんだろう』
『朱乃に声をかけられただけで正気に戻るとは…どれだけ朱乃が好きなのだお前は』
『『宇宙一大好きですが何か?』』
『『───うん、知ってた(白目)』』
さてと、正気に戻ったから
『───オーイα、そろそろ統合するぞ』
『OKだβ。いつでもいけるぞ』
………………
『────統合完了。待たせたな』
『誰も待ってないぞ』
『そんなー』
『──拓海、ふざけてないでちゃんとしろ。この黒猫、悪魔の気配がするのだぞ?』
『──んな事ァ分かってるさ。でも
─ファヴニールの力を宿した『
『……それは理解している。だがいつ怪物の姿に成るか分からんぞ?』
『あー、そう言えばそうだったな…』
──悪魔。YAMAで修行している時に一度遇った事があるのだが…筋肉が肥大化し、腹に巨大な口があり、いかにも狂っているという眼をしていたのだ。
───ちなみにその時の悪魔はHIGUMAが一瞬で三枚に卸したよ……無論縦方向にズバッ、とだ。
『────とりあえず、家に帰ったら力を抑制する腕輪…『
『うむ……それなら問題無いだろうな』
──その後俺は、動物病院で黒猫の手当てをした後、家に連れ帰って『I am a power saver 3号』を首輪代わりに着けて寝たのだった。
拓海side out
黒猫side in
私は元猫魈、現はぐれ悪魔である。名前は黒歌。追っ手に追われていた時に油断して怪我をしてしまい、追っ手を撒いた後に猫の姿になって電柱の影で休んでいた時、子供が二人来たのだ。
それからなんだかんだあって手当てをされて二人の片割れ…拓海って子の家に連れてかれ、首輪を嵌められたのだ。
『……にゃ、このままじゃこの子の家族を巻き込んでしまう。さっさとこの家からでないとにゃ……!?』
私はそう思って部屋の窓から出ようとしたが、出た瞬間に部屋の中に戻されてしまったのだ。
『───成る程、普通の家ではなかったようだにゃ。でも
そう言って私は人形に成ろうとしたのだが、何故か成れなかった。
『もしかして……この首輪のせい、なの…!?』
私はこの首輪を外そうと夜通し奮闘したのだが、結局外すことは出来なかった。
朝になって、もしかすると自分は捕まったのかと思い、家の中の会話を聞いた所──この家系は陰陽師の家系であり、私の事も只の黒猫としか見ていなかった。多分この首輪は、悪魔や猫魈の力を抑制する力があるのだと私は予測した。
────それならば、しばらくはこの家に厄介になろうと思い、この家の飼い猫になることになったのであった。
黒歌sideのP.S.は飼われてから一週間後の感想である。
ちなみに拓海が修行の時に遭遇してHIGUMAに三枚に卸されたはぐれ悪魔は