ハイスクールD×D 愛狂いの転生者   作:T.W.L

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前編のあらすじ

小学生までの回想&ユルフワ神の名前決定。
  ↓
姫島家に遊びに行く。

姫島本家の追手登場。拓海、危うく死にかける。

朱乃の母、朱璃(しゅり)が抵抗するも二人を庇って倒れる。(死んでません)

拓海、覚醒? ←今ここ


何故か神滅具(ロンギヌス)がありました!?(神滅具ってなに?ってか、戦闘回かよ!?)後編

拓海side in

 

 

──嘘だろ?戦闘?今?なんで?

 

俺の頭の中にはそういう言葉が何度も浮かんできた。無理もない。色々な能力を貰ったとしても、前世は一般人で今は子供。戦いの心構えなんて出来てる筈がない。そして痛い、シルバーが咄嗟に『右腕』を出して『電流操作』で俺の体を後ろに跳ばさなければ─死んでいたかもしれない。

──その事に気付いた俺は、顔を青ざめた。怖い、怖い、怖い…いつかは戦いに出るとは()()()()()()…でも、それが今だとは思いもしなかった。遊び終わって帰ろうとした瞬間に死んでいたと思うと足がすくんだ。

…今、山の翁(じぃじ)は呪力と魔力の調整でセイントグラフカードになって、俺の部屋にいる。ズレを修正するのに一日はかかるから、今回は来ない──そう考えていると──

 

──朱乃姉のお母さんが、戦い始めた。

 

無茶だ、無謀だ、勝てるわけがない。どう見ても劣勢。こちらは不利。─なんで?なんで立ち向かおうとするんだ?

──その事が顔に出ていたのか、朱乃姉が俺に向かって─

 

 

「─大丈夫、私の母さまは強いの。母さまが敵わなくても、父さまはもっと強いの。父さまさえ来れば、あんな人たちチョチョイのチョイ!ってやっつけてくれるのよ!」

 

 

─と、青ざめながらも、自信に満ちた顔で言ってきた……大方、俺を元気付かせる為なのだろう。─でも、俺はその言葉に安堵を覚えた。朱乃姉の父さんが来ればなんとかなるだろう、それまで持ちこたえれば大丈夫だろう─と。

 

 

 

 

どれくらい過ぎたのだろう、敵は確実に減っていた…だが、すぐさま他の奴等が来て無駄になってしまう。

─朱乃姉の顔にも、徐々に不安の色が見えてきた。

まだ来ない、まだ来ない、まだ──

 

『焔よ』

 

あ。──炎が、こっちに来て─

 

 

「───朱乃!ッアアッ!!」

──ドシュウッ!!ドサッ…

 

「─か…母さまァァアッ!!」

 

「───ッ!!」

 

 

朱乃姉のお母さん─朱璃さんが、俺達を、庇った。

朱璃さんが、倒れた。朱乃姉の父さんは、まだ来ない。

 

 

「フッ、まさか邪な血の子供を守ってやられるとは、な…」

 

「母さま、母さま!!」

 

「─朱璃、さん…ッ!」

 

 

朱乃姉が絶望した声で朱璃さんを呼ぶ。まだ生きている。そしてあいつらは、更に絶望を持ってきた──

 

 

「隊長!この女をコイツらの目の前で()ってやりましょうよ!!そうすりゃこのガキ共も黙りますって!」

 

「馬鹿が、ここで()ったらあの堕天使が来てしまう。ずらかった後で好きなだけ犯してやれば良い」

 

 

───え?…今、何て言った?朱璃さんを、犯す?

 

 

「母さまッ…母さまァァァァアッ!!!」

 

 

─朱乃姉が慟哭する。朱乃姉が悲しんでいる。多分朱乃姉は本能で、『朱璃さんが言うのも(はばか)れるほど酷い目にあう』と言うことを感じ取ったのだろう……

 

──ふざけるな

 

 

「──めろや、ろ……」

 

 

ザッ…ザッ…ザッ…

 

「さあ姫島朱璃、俺達と来てもらおうか─」

 

朱乃姉が悲しむ?朱乃姉が、嘆く?─朱乃姉が、絶望する?

 

──ふざけるな、ふざけるなよテメェら…

 

 

 

──その時、

 

 

「た、隊長!?片方のガキの様子が!!」

 

 

──俺の中から、

 

 

「あ?どうし─」

 

 

 

──何かが、吹き荒れた。

 

 

「─止めろォォォッ!!!」

 

 

 

ドビュゥゥゥゥゥウッ!!!!

 

 

 

「「「「「──なッ!!?ウワァァァアッ!!!」」」」」

 

 

「……拓海、くん?」

 

 

朱乃姉が俺を見る、すがるような目で俺をみる─

 

 

「大丈夫──とは言い切れないけど、頑張るから、そこで待ってて。朱乃姉」

 

 

───ああ、それだけで頑張ろうと思える。この戦いは勝つ必要はない。朱乃姉と朱璃さんを、朱乃姉の父さんが来るまで守り通せば良いだけ。だがそれでも──

 

 

「さあ──てめぇら全員…消えろッ!!」

 

 

──この感情(怒り)は、止められない。

 

 

「──連れてこい」

 

「──えっ?」

 

 

いつ目覚めたか分からないが、この『風』は俺の思い通りに動くらしい。俺はその『風』を使って、朱璃さんを朱乃姉の隣に連れてこさせる。初めてやってみたが、上手くできたようだ。

 

 

「─拓海君?いったい何が…」ドサッ

 

「──母さまッ!!」

 

「クッ…面妖な力に目覚めたか…」

 

 

喋れる迄になったか。じゃあ『コレ』を張らないとな。

 

 

「──浄め給え、護り給え─急急如律令!」

 

 

父さんが作った俺を守る為の結界の呪符、俺はそれを、朱乃姉と朱璃さんに使った。

 

 

「なっ─!?拓海君!何をしているの!これじゃあ貴方が─」

 

「拓海くん、一緒に入ろう!?お外は危険だよ!?」

 

「──アハハハ、そうは言っても、今の状態で簡単に入らせてくれないと思うし…それに、結界は二人で満員でしょ?」

 

 

俺一人なら余裕で入るが、子供と大人一人づつじゃギリギリだ。朱乃姉は戦えない、朱璃さんは背中に攻撃を受けて重症。今、まともに戦えるのは俺だけ。それなら──

 

 

「──やるしか無いじゃんか」

 

「喰らえ!『焔よ』!」

 

『走れ拓海!私達がサポートする!』

 

『呪符落とすんじゃねぇぞ、落としたら結界がパアだからな』

 

「分かってる!シッ!」ザッ!!

 

 

『右腕』の恩恵なのか、いつもより動き出すのが早い。これなら──

 

 

「─ッ…ラァァァアアッ!!」ドシュウッ!

 

「グガァッ!!?は、速い、なんだコイt」

(ほとばし)れ!」ババババッ‼

 

「アアアァァアァァァ…ッ…!!」ドサァッ…

 

「こ、このガキ、(イカズチ)を扱うぞ!!」

 

「か、囲め囲め!右には近づくな!雷を喰らうぞ!!」

 

 

─電流を出した瞬間にコイツらが恐れ始めた?電流に嫌な思い出でもあるのか?兎も角─

 

 

「──斬り刻め!」

 

─ビュオオオッ!!

 

「グアァァッ!!」ザシュザシュッ!

 

「ギニャァッ!!」ザシュザシュクッ!

 

「ァア"ア"ア"ッ!!」ザシュザシュザシュッ!!

 

 

さっき風を使ったのを忘れていたのか?油断大敵だな。

 

 

「ッラアァッ!!」ドシュグリッ!!

 

「ひっ!や、止め──」

(ほとばし)れ!」ババババッ‼

 

「アバババビビバビババ…!!」ドサァッ…

 

「……ッハア、ハァ、ハァ…」

 

 

体が重い…?──やり過ぎたか…?

──一瞬、俺の意識は戦闘から逸れていた─その一瞬が命取りだというのに。

 

 

『──ッ!拓海!気を抜くな‼』

 

「─オラァッ!!」ドゴッ

 

「ッ…グガッ!!?」ドシャッ、ドサササ…

 

 

「ハァ…ハァ…オラッ!この、糞ガキが!調子、乗ってんじゃ、ねぇ!!」ドガッ、バキッ、ゴスッ

 

「アガッ、ウグッ、ウゲッ、オグッ!」

 

 

 

 

───痛い。

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ───痛い!!!

 

未発達な自分の体に何度も何度も何度も何度も蹴りを入れてくる。

腹を蹴られる。肩を蹴られる。顔を蹴られる。足を蹴られる。胸を蹴られる。─腕を蹴られる。特に右腕を蹴られる。─でも、耐えなければいけない。俺が呪符を落としたら結界が無くなる。朱乃姉が狙われる。それだけはダメだ、朱乃姉が無事ならいい。その為ならば───

 

 

「拓海くん!拓海くん!!拓海くんッ!!!」

 

「止めてッ!それ以上は、拓海君が死んじゃうわ!!」

 

「この、この、この、このッ!!」ガスッ、ガスッ、ガスッ、ガスッ!

 

「待て、一端止めろ。──さて小僧。その左手に握っている呪符を離せ…そうすれば命は助けてやろう」

 

 

…その為なら──

 

 

「……イヤだッ!!」

 

「──何?」

 

「──コレを離したら朱乃姉が狙われる…殺される…」

 

「そうなるなら、俺は──」

 

 

「たとえ、死んでもコレを離さないッ!!!」

 

──死んだ方がマシだ。

 

 

「──チッ」

 

「ああ、分かったよ。じゃあさっさと死にやがれッ!!」

 

 

「ッ…!!」

 

 

「──拓海君!」

 

「──イヤァァァアアアアッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「──(ばく)

 

 

 

 

 

「───?」

 

 

蹴りが、来ない─?それに、今の声は───

 

 

 

「──全く、帰りが遅いと思って町中探し回ってたら、急に呪符が反応して駆けつけてみたら…家の隣にいたのか─」

 

 

「──だ、誰だお前は!?」

 

「──オレ?オレはな…」

 

 

 

「─そこでお前らがボコってる子供の父さんだ」

 

 

「───父、さん…?」

 

 

なんで、父さんがここに?

 

 

「──成る程な。大体の状況は理解できた…」ザッ、ザッ

 

「ほう?この邪な血の子供の父親か。じゃあ言ってやってくれ、さっさと抵抗を辞め──」

 

「五月蝿い。密天斬符(ミッテンザンフ)、急急如律令」

 

ビュオオオッ!!ズバババッ!!

 

「「「グアァァッ!!?」」」

 

 

父さんが投げた呪符を中心に風が吹き荒れて、俺の周りの敵が吹き飛ばされる。しかし、俺にはそよ風しか感じなかった。それを見た父さんは俺の方へと歩いてきた。

 

 

「『治天療符(チテンリョウフ)』、急急如律令。全く…こんなに無茶しやがって、死んだらどうする気だったんだ?」

 

「──っだって…朱璃さんがやられて…朱乃姉は戦えなくて、じゃあ俺が戦うしかないって……」

 

「───ハァ、この考え方は俺に似たのかねぇ…まあ兎も角──」

 

「─よく頑張ったな。後は父ちゃんに任せとけ」

 

「──うん、そうす、る……」

 

 

──そう言って、俺は気を失った────

 

 

拓海side out

 

 

 

 

和久side in

 

 

「───クソッ、なんだあの結界は!?」

「もう何十発も撃ったぞ!?いくらなんでも固すぎる!!」

「一番強い術を撃ったのにびくともしていないなんて…どんな結界だ!?」

 

 

ハァ、いくら撃っても無駄だとは気付かないのか……

俺は自分の息子──拓海を持ち上げ、左手に握った呪符を取って結界を再構築すると、頭上に気配を感じた──まあ元々一緒に来たから気付くのは当たり前なのだが。

 

 

「──和久殿。もうよろしいので?」

 

「ああ、とりあえず話は終えましたよ。──えっと…朱乃ちゃんのお父さん」

 

バラキエル、でよろしいです」

 

「あー、すみませんねバラキエルさん。ついでと言ってはなんですが……拓海を朱乃ちゃん達の結界に入れて貰えませんかね?」

 

「───あまり、減らし過ぎないで貰えると助かるのですが…」

 

「……バラキエルさんの気持ちも分かりますが──それは保証出来ませんね。何せ──」

 

「自分も、今我慢していますので」

 

「──承知しました。では早めに戻りますので─」ブァサッ!!

 

「頼みますよ。──さてと、お前らは俺の息子やあっちの朱乃ちゃんのお母さんを殺そうとしたようだな…」

 

「───い、一度落ち着いて話をしよう。そ、そもそもこちらは殺すつもりでは──」

 

 

「だが、それに近い事をしたのは事実。そうでしょう?」

 

 

「し、しかしそれはあちらが抵抗したからで──」

 

 

「朱乃ちゃんのお母さんだけではなく、子供の拓海までもが抵抗しようとするような事をしたんだろう?」

 

「で、でも──」

 

 

「言い訳は聞き飽きた──さっさと黙れ。『縛』」

 

 

「マッ、あ──ガッ──」

 

 

「──無論、永遠にだ。『(アツ)』」

 

バシュッ!!ビシャァァァッ!!!ブシュクッ!!!

 

 

──『(バク)』と『(アツ)』。俺が編み出した結界の応用術式の一つ。呪符を対象に向けて『縛』と言うだけで身動きを封じ、『圧』と言って呪符を握り潰す事で封じた対象を圧殺する術式。──自慢じゃないが、コレで婆娑羅以外の大半のケガレを祓ってきた。その婆娑羅と言えど、まともに喰らえばタダでは済まない。──それを俺は容赦なく使った。

 

 

「──『縛』」

 

「ヒギッ」

 

「『圧』」

 

ブシュクッ!!!

 

「──『縛』」

 

「ゆ、許し─」

 

「『圧』」

 

ビシャァァッ!!!

 

「──『縛』」

 

「い、嫌だ──」

「し、死にたくな──」

 

「──『圧』」

 

ビシャァッ!!!バシュゥゥッ!!

 

 

完全に頭に血が回っていた。後もう少しで拓海が殺される所だったのだ。正気でいられる筈がない。怒りに任せて、何度も、何度も、何度も、『縛』と『圧』を使い続けた。途中から雷鳴の音が聴こえたが、知ったことではなかった。

───そして、最後の一人を──

 

 

「た、助けてくれぇぇええ!!!」

 

「──『縛』」

 

「雷光よ!!」

 

ビシャアアアアンッ!!!

 

 

「───アガッ、ガガガ──」

 

「──『圧』」

 

 

──バシュッ!!

 

 

───バラキエルさんが仕留めた後、圧殺した。

 

 

和久side out

 

 

 

拓海side in

 

 

「───んん…あれ?アイツらは…?」

 

 

──俺が気を失ってからどれくらい経ったのだろう、空が赤いので、外にいることは分かる。そしてこの匂いは──

 

 

「───拓海くんッ!!!」

 

「オヴッ!?──あ、朱乃姉!?大丈夫!?」

 

「それは拓海くんの方だよバカァ!!」

 

「バッ………!!?」

 

 

バカって言われた!?朱乃姉にバカって言われた!?ヤバイ泣きそうになってきた─

 

 

「───ひぐっ、えぐっ、だぐみぐんのばかぁ……ばかぁ!」

 

「朱乃姉ェェェエエッ!!!?」

 

 

え?なんで朱乃姉泣いてんの?俺なんかやった!?

 

 

「─あ、朱乃姉!?なんで泣いてんの!?」

 

「うう…だぐみぐんのばかぁ!わだじと母さまが生ぎででもたぐみぐんが死んじゃったらダメだよぅ!!父さまどたぐみぐんの父さまが来ながったら死んでたんだよ!!?」

 

「──ッ…」

 

 

──そうだ。あの時俺は朱乃姉達の生死を考えていても、自分の生死を考えていなかった。それどころか、()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()…これは今考えてみれば少し異常だろう。──後で少し、あのユルフワ神に聞いてみなければ──

 

 

『だからユルフワ神じゃなくてソロマ・ニィーって言ってるだろう!?何度言わせれば分かるのさ!?』

 

『──丁度良い。ソロマ、アンタに聞きたい事がある…』

 

『──ああ、何故元一般人で現在小学生の君があんな行動を取れたのか、それは転生のシステムが関係しているらしいんだ…』

 

『──システム?』

 

『ああ。いくらボク達神達が創ったとはいえ、システムはシステム。バグだってあるさ…その一つが今回の行動だ。よく聞きたまえ、拓海君。今の君の魂は──』

 

 

『自分の大切なモノを護るために、一切躊躇(ちゅうちょ)しなくなっているんだ』

 

 

『──え?それはどういう事で?』

 

『簡単に説明すると、自分の事より自分の大切な人や物の方が重要になっているんだ。──それこそ、死んでしまっても大切なモノを護れたならどうでも良い、むしろそれで良いと思ってしまう』

 

『…なんでそこまで判っているのに直して無いんだ?』

 

『確かに君やボクは何故?と、思うが──そういう人間を見て愉しむ(ヤツ)もいるのさ…』

 

『──そう、なのか…後、もう一つ聞きたいんだが─』

 

『ん?なんだい?』

 

『先程の戦闘で左側のファヴニール…仮に『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』としますが…アレと同時に目覚めた()()に心当たりはないのか?』

 

『──あー、アレ、か…あの力は神器(セイクリット・ギア)っていうモノの一つで、その中でも群を抜いて強力な神器──』

 

神滅具(ロンギヌス)の一つ、煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)という力さ』

 

 

『───ろ、ロンギヌス?』

 

神滅具(ロンギヌス)する道で、神滅具だ』

 

『は、はあ…で、その(ゼニ)…ゼ、ゼニ……ゼニ、テンなんちゃら──ああもう煌天(ゼニテン)で良いや。この煌天(ゼニテン)はどんくらい強いの?教えてソロえもーん』

 

煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)!そんな略し方初めて聞いたよ!?後、ソロえもん言うな!!

──ンッン!とりあえず、煌天雷獄は今のところ上から二番目に強いね。何せ天候やあらゆる属性を司る事が出来るんだからね!』

 

『え、それ普通に強くないっすか?なんで俺にあるんですか?』

 

『さあ…そればかりは運だからね…ボクには分からないんだ』

 

『はあ…そうですか。じゃあ今回はこの辺で失礼します』

 

 

──そう言って、俺は念話を切った。

 

 

「─────すぅ…すぅ…」

 

「──ああ、泣き疲れて眠っちゃったのか。朱乃姉」

 

 

今だ地面に大の字になっている俺に、朱乃姉は泣き疲れて眠ってしまっていた。

 

 

「───『大切なモノを護るために一切躊躇しなくなった』、か……まあ、悪くはないかも。

──という考えが普通に浮かぶ時点で、俺の魂はもう壊れてるんだな…」

 

 

まあ良い。護りたいという考え自体は悪いものでは無いんだ…それなら、護れるようになるまで強くなれば良い。

 

 

「───父さん、あの数をほぼ一人で倒したのかな…?じゃあやっぱり強いのか……鍛えてくれるかな?」

 

 

どうせ陰陽師になって鍛える事になるんだ。それなら、早めに鍛え始めた方が良いだろう。

 

 

「───今度の日曜、父さんにお願いしてみるか…」

 

 

──俺、来谷拓海の人生観は、行き先は、目指すモノは、この瞬間に決まったのだろう。

 

 

 

『なんとしてでも強くなって、朱乃姉を護る』──と。

 

 

 

拓海side out

 

 

 

和久side in

 

 

「───ええ、そうです。今回姫島の連中が家の(せがれ)を叩きのめしまして──はい。それで貴女の力を借りたいのですよ──」

 

 

 

 

「───天照大神様」




拓海にとってのイレギュラーその6、
『魂の結構重要なところが狂っている』…神様転生でよく主人公があまり力をふるうのを戸惑わない事の原因を自分なりに解釈してみました。(あくまでも個人の考えです)

拓海にとってのイレギュラーその7、
『神滅具、煌天雷獄(ゼニス・テンペスト)を宿してしまっていた』…天界には行きません。禍野には行きます。


次回、『『両腕』と煌天雷獄が伝わります。(姫島家のいざこざは回想で─)』

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