ハイスクールD×D 愛狂いの転生者   作:T.W.L

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作「お気に入り400人突破の十三話!」

朱乃「今回はタイトル通り──というかタイトルがネタバレですね」

ソロマ「いつもの事だから気にしない、気にしない。それじゃあ十三話どうぞー」

作「あ、関係無いが、24日にFGOでマーリンを当てたぞ」


朱&ソ「「本当に関係無い(です)ね!!?」」


黒猫、正体がバレる。(〇〇〇〇取ったどー!!)

クロ(黒歌)side in

 

 

 

私は元猫魈(ネコショウ)、現はぐれ悪魔兼拓海の飼い猫である。名前は黒歌。飼い猫としての名前はクロである。

九月某日。最近(というか二年前)拓海が動物と会話出来るようになったので、会ってからずっと猫の姿になっている私でも意思疎通がスムーズになったのである。そして私は今日、拓海と意思疎通出来るようになってからずっと温めてた作戦を実行するのだ。

 

 

「ニャーニャー(拓海ー、この首輪ってそろそろ買い替え時じゃないかにゃ?)」

 

「ん? そうか?」

 

 

そう、この首輪を取ってもらう作戦である。

その程度か、と思うだろう。だが今の私にとっては死活問題なのである。

何故なら、私が嵌められているこの首輪は異能を封じる力を持つようで、これを着けていると妖術や仙術、魔法どころか、人の姿になることすら出来なくなるのである。

 

 

「ニャニニャー(うん。だって首の辺りが少しキツくなってきたからにゃ)」

 

「そっかー……んじゃあ一度取って後で調整するか」

 

 

よし。拓海も私を信用しきっている。首輪を外したらすぐに催眠を掛けて、ここから立ち去ろう。これまでは追手も来ず何も無かったが、これからも追手が来ない保証はない。

───それに私は黒猫。私が居たらいつかこの家に災いが起きるかもしれない。なら私が出ていけばこの家には少なくとも追手は来ないだろう。流石に六年も暮らせば情が湧く。この家の人達……特に拓海には裏の世界に積極的に関わって欲しくないの……

 

 

「ニャ、ニャー!(ほら早く! 最近首ら辺が痒いから取ってにゃ!)」

 

「はいはい分かったから。それじゃあ取るぞ?」

 

 

だから……これで終わり。拓海、貴方と過ごす日々は楽しかった。私が居なくなっても悲しまないで、すぐに忘れてね───

 

 

 

 

 

 

 

カチャリ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、ここで誤算があった。拓海が小三の頃から仙術を封じられ、身体中には気が溢れていた。本来の作戦なら首輪がとれてリラックスした姿を見せて油断させる筈だったのだが……

 

 

 

 

 

ポフン

 

 

 

 

 

 

「───えっ?」

 

 

リラックスし過ぎて人の姿に戻ってしまったのである。

 

 

 

「………えっ?」

 

「………えっ?」

 

 

………………………

 

 

「───戦略的撤退!」ダッ!

 

「逃がすか!」ガシッ

 

 

部屋の窓に駆け込もうとすると、拓海が私の足を両手でガッシリと掴んでいた。右腕に目を向けると、白銀の竜を模した鎧が装備されていた。『銀竜の右腕(ライト・シルバー)』。何度も見た拓海の神器(セイクリット・ギア)。この神器一つで幾つもの恩恵を受けられて、今回使ったのは光速移動だろう。

 

 

「──クロ、どういう事か説明してもらうからな」

 

「……分かったにゃ。その前に掴んでる手を離してくれない?」

 

「ああ、良いだろう」

 

 

そう言って拓海が手を離す───今だ。

 

 

戦略的撤退part2!」ダッ!

 

「初代様確保!」

 

「請け負った」ガシッ

 

「グヘッ!?」

 

 

重ッ!? この髑髏(ドクロ)鎧重ッ!?そして怖ッ!?

 

 

「ちょっ……この式神降ろして…もう逃げないから…」

 

「じゃあ『I am a power saver 3号』(さっきまで首輪だった物)着けようか?」

 

「うう……」

 

 

───この状況、完全に詰んじゃったな…にゃはは……

 

 

 

クロ(黒歌)side out

 

 

 

 

 

拓海side in

 

 

 

あ、ありのままに今起こった事を話すぜ!

クロに着けている首輪(元々腕輪)を外したら、人の姿になった……何を言ってるのか分からないと思うが、俺にもよく分からない……今も頭が混乱している……

超能力か幻か、はたまたこれが本来の姿なのかは分からないが……何か恐ろしいモノに手を出したような気がする。

 

 

『成る程、コレがポルナレフ状態というヤツか』

 

『だが、混乱するのも無理はない…何せ今まで可愛がってた猫が人の姿になったら誰だって混乱するさ』

 

 

───とりあえずウチのドラゴン二体は無視(トランクスルー)で。

 

 

『『ハァッ☆』』

 

「──えーっとクロ? とりあえず本当の名前と性別、それに種族も教えてくれ」

 

 

と、俺がクロ(仮)に話し掛けると、諦めたように自分の事を話し始めた。

 

 

「うー……仕方ない、か……私の本当の名前は黒歌(クロカ)。性別は見ての通り女性で、種族は転生悪魔……元々は猫魈って言う妖怪だったんだけどね」

 

「いつもみたいに語尾に『にゃ』は付けないのか?」

 

「いや真面目な話してる時に『にゃ』なんて言ったら締まらないでしょ…というか私の話を聴いて感想それだけ?」

 

「他にも疑問はあるが?」

 

「じゃあそれ先に言いなさいよ……」

 

「んじゃまあ一つ……転生悪魔なのに主の所に居ないって事は、クロ──黒歌ははぐれ悪魔なのか?」

 

「───ッ!」

 

 

「転生悪魔については前にグレモリーから聞いている。チェスの駒を模した『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を使う事、その駒に応じて役割と強化される点が違う事、そして──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………」

 

「沈黙は肯定と見なすぞ……──率直に言おう。俺はクロ──黒歌が訳も無く主を裏切る奴では無いと思っている」

 

「ッ!? ……どうしてそう言えるのかな? 私が主を裏切ったのは事実だよ?現にさっき拓海から逃げようと──」

 

「じゃあクロはなんで今の今まで逃げなかったんだ?」

 

「──! そ、それは私が逃げ出すタイミングが無かったから……」

 

「嘘だね。力を封じられてたとは言え、猫としての最低限の能力は持っていた筈だ。それに夏は結構窓を開けて網戸で寝ていた。もし本気で逃げようと画策してたのなら、夜毎(よごと)網戸をずらして逃げようとするだろう。現に俺は網戸に全然触ってなかったからな」

 

 

本当にここで過ごすのが嫌ならさっさと脱走しようとする筈だ。正にどんな手を使ってでも……

 

「う……」

 

「───と、まあその件は置いといて、俺がクロから聴きたいのは()()()()()()()()()()()だ。話せるか?」

 

「………」

 

「悪いが、俺は神様じゃないから考えてる事は分からないしクロにどんな過去があったのかも知らない。だが、ここでお前の過去を知らないと正直俺はどうすればいいのか分からない………一応正気は保ってるんだろ?なら教えてほしい。なんでクロが転生悪魔になって、どんな理由で自分の主を裏切ったのか───それだけでも良いから、話してくれないか?」

 

「………はぁ……分かったわよ。転生悪魔になった理由と自分の主を裏切った理由だけならね──」

 

「……済まない。それだけでも助かる」

 

 

 

 

 

──そして、クロ──いや黒歌は二つの話をした。

 

一つは自分の妹を守るために貴族の悪魔の眷属となった事、

もう一つは、自分の妹がその貴族の悪魔に無理矢理利用されそうになって、やむを得ずソイツを殺めた事……

 

 

「──優しすぎだろお前」

 

「う、鵜呑みにするの!?ちょっとは疑わしいと思わないの!?」

 

「いや疑うも何も……ちゃんと『左眼(ファヴニール)』使って話してる間のお前の魂見てたし…嘘()いたら判るし…話し終わった時点でもう疑う必要無いんだよな……」

 

「なっ──そんな能力もあったの!?」

 

「あるんだよ。で、どうする黒歌?ぶっちゃけウチの父さんにはバレたぞ?」

 

「にゃッ!? ど、どういう事!?」

 

 

あーそっか。黒歌知らないんだっけ。

 

 

「この家には結界が張ってあってな。色々機能があるんだが、その中の一つに『結界内に立ち入った者の気配を記録する』っていうのがある。…黒歌の場合結界の中で変化したから、黒歌が変化してたクロが疑われる可能性が一番高いな」

 

「そ、そんな…せっかく元の姿に戻ったのに……」

 

 

さて…本気(マジ)でどうしようこの状況……どう打破する?コイツは指名手配、逃がそうと思えば逃がせるが、その場合飼い猫の『クロ』が居なくなる事になるから父さん達を言いくるめる必要がある…

『ゴッメーン☆クロがどっか行っちゃった☆はぐれ悪魔だったけど関係無いよネ!』…HAHAHA‼……何この無理ゲー?

一応陰陽師でも、はぐれ悪魔の存在は知られている。で、そのはぐれ悪魔をうっかり(という体で)逃がしたら…裏切り者として天若家に殺されるね。確実に。

 

とまあ難しい顔をしていた俺を見て、黒歌が呟いた。

 

 

「──こんな所で終わり、か……呆気ないなぁ…せめて、私が転生悪魔じゃなければなぁ……」ドンヨリ

 

 

──そうか、黒歌がはぐれ悪魔じゃなければ良いのか!それなら全力で父さん達を説得すればイケる!となると──

 

 

「───おい、黒歌。少し聴きたいことが─」

 

「──何? 私を引き渡すの? それとも討伐するのかな?……別に良いよ? 何処の誰とも知らないヤツに殺される位ならせめて拓海に…」ハイライトオフ

 

「おう待て黒歌さんや。俺が思考してる間に一体何があった? スッゴい絶望してんなオイ」

 

 

ってか、地味に黒歌から俺に対しての好感度が高いような気が……

 

 

「──まあとりあえず、黒歌に聴きたいことがあるからちょっと答えてくれ」

 

「ん?殺し方の要望かな? 私は拓海の胸の中で死にt「黒歌、悪魔を辞めたいか?」…へ?」

 

「だから、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を抜いて元の猫魈に戻りたいかって聞いてるんだよ」

 

 

 

「……ヘエェェエエエエエッ!!?」

 

 

 

「うわ、五月蝿いな……ただ悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を抜くだけだぞ?そんなに驚くことないだろ…」

 

「いやいやいや! 驚くに決まってるでしょ!? 悪魔の駒(イーヴィル・ピース)よ!? アレ私の魂と癒着してるのよ!?どうやって引き剥がすの!?」

 

 

なんか途端に生き生きし始めたな…大丈夫かコイツ──って、原因俺か。

 

 

「まあお前はそのままじっとしてろ。30秒あれば終わるから」

 

 

と言って俺は『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』を展開させ、黒歌の正面に立つ。

 

 

「た、拓海? 一体何を───」

 

「──今から駒取り除くから動くなよ?」

 

「いきなり!? 前準備とか無いの!?」

 

「いつ父さん達が帰ってくるか判らないからな。さっさと済ませるぞ」

 

「えええ…ってちょっと待って? なんで左腕を構えたまま私の方に近づくの? まさかその手で直接掴む気じゃないよね……?」

 

「安心しろ黒歌。理論上では30秒耐えれば終わるから────ちょっとくすぐったいぞ!」

 

 

──そう言って、俺は黒歌の胸に『漆黒竜の左腕(レフト・ファヴニール)』を突き立てた。

 

 

「に、にゃぁぁぁあああぁぁぁッ!!? 背骨がぞわぞわする!?」

 

「五月蝿いちょっと黙ってろ。今お前の魂と駒の癒着してる部分を弄ってんだ。少しでもズレると死ぬぞ」

 

「──ッ!」

 

 

よしよし、静かになったようで何よりだ。と、軽口はここまでにして、癒着部分の切除は終わったから次は呪詛と化した悪魔としての部分を喰って──後は『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を取り除いて───

 

 

「──『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』とったどー!!」

 

「────ええええ!!? ほ、本当に取っちゃった……!?」

 

 

黒歌の中にあった『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を二個取り出した──え? 悪魔の駒が()()

 

 

「──黒歌さんやーい、なんで悪魔の駒が二個もあるんですかい?」

 

「あ、気付いちゃった?」

 

「気付いちゃった?じゃないよ。これどういう事? 説明しろ黒歌」

 

「あー、悪魔の駒には許容量があって「それは知ってる」─焦んないの、ここからが重要なんだから。──で、私の能力が普通の僧侶の駒じゃ足りなかったから、僧侶の駒を二つ使って転生したわけ」

 

「成る程ね。じゃあ駒が二つ出た事は異常じゃないのか」

 

「そうそう問題にゃし………で、その抜いた駒どうするにゃ?」

 

 

そう言って黒歌は、俺が握っている悪魔の駒に目を向ける。

 

 

「シリアルモード抜けたか。───とりあえず次にグレモリーに会ったときに渡しておくか」

 

「グレモリー? ───ああ、魔王の妹ね。良いの? 自分で言うのもなんだけど私の賞金結構高いにゃよ?」

 

「───どうしよっかな……」

 

「あ、やっぱり迷うんだにゃ?」

 

「そりゃあお金は大事ですから。あーでもその前に朱乃姉と父さん達を説得する言い訳を考えなきゃな……」

 

「朱乃ちゃんにも説明するのかにゃ?」

 

「いやなんで朱乃姉をちゃん付けして呼んでんだお前」

 

「ステイ。拓海ちょっとステイ。声色が堅気の声じゃにゃいよ? 後朱乃ちゃん高一なら私の方が年上よ?」

 

「なん……だと…!?」

 

 

──ピーンポーン、ピーンポーン…

 

 

「「──あっ」」

 

 

──この後、帰ってきた父さん達に即興で説得の言葉を捻り出して、なんとか黒歌をまたペット枠として飼えるようになったのであった。

 

 

 

拓海side out




拓海「───そういえば、駒王学園にグレモリーが居るって朱乃姉から聞いたな……そして来年からは共学になる──朱乃姉に変な虫が付くかもしれん! 俺も駒王学園に行くぞ!! 待っててね朱乃姉ェェエッ!!!」

クロ(黒歌)「ニャッ!!(拓海うるさいにゃ!)」


次回『拓海、蚊取り線香(比喩)になるようです。(仮)』

作「あ、それと黒歌さん誕生日おめでとー」

拓海「え?マジで?」

クロ(黒歌)「ニャニャ、ニャー(まあ言ってなかったからね、仕方ないにゃ)」

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