ハイスクール・フリート ~Sky of liberty~ 作:鮭愊毘
戦闘機の設計図を受け取った各国は早速それを基に試作機を開発し始めた。
アメリカはステルス性と攻撃性に特化したF-22を、ロシアは新聞に載っていた震電Ⅱの外見を基にSu-47を。
その頃、日本では……
ーーーーーー
~海上安全整備局~
「これはどういうつもりだ!」
「……どうしてこうなった……」
幹部に尋問されている今作の主人公 坂井翔。彼はブラックファルコン第01飛行隊所属のパイロットである。休憩中に拘束された彼は幹部から必死に目をそらしていた。
「何故このような大発明を世界に公表した!」
「え、そんなことっすか。いやだって……いつかばれるんだったら公表したほうがいいかなー………………ってうちの上司が言ってました」
「……」
翔が大河重工の幹部でないと判明すると、彼らは翔の拘束を解く。
実際、政宗の言ったことは正しく、これを公表したことで各国は日本を高く評価し、アメリカやロシアの大統領から賞状をもらった日本の首相はひどく混乱していたとのこと。(飛行機の設計図の譲渡は大河重工の独断であるため)
ーーーー
政宗が国から叱られ、翔が海上安全整備局から解放されている頃、横須賀女子海洋学校では……
「ねぇ聞いた?」
「ああ、教科が増えるんだって?」
教科が増えるという噂が広がっていた。しかし正確には『知っておくことが増えた』だけであって教科書のような冊子を見るだけという授業と言っていいか怪しいものである。
「し、試験が終わったと思ったら次は新しい教科~!?」
「ダメだー!今のままでもヤバいのにこれ以上増えたら……」
無論、晴風クラスもこのことを知っており、クラスのほとんどが成績についてで騒いでいた。それを落ち着かせながら例の"新しい教科"の教科書を配るクラス委員長岬明乃。
「ん?ブラック……ファルコン?」
配られた教科書をぺらぺらとめくって中を確認する一同。その中の見慣れないワードに疑問を抱いていた。
ーーーー
「翔。呼び出しておいて悪いんだが……
これを頼む」
一方大河重工では、政宗に『横須賀女子海洋学校出入許可証』と書かれたカードをもらった翔。
「これは」
「先ほど海安局から連絡が入った」
(海安局?……ああ、さっきまで俺がいたところね)
「近日、横須賀女子海洋学校で我々についてを学習する機会を設けたとのことだ」
「我々?それって重工の方とブラックファルコンのどちらで?」
「両方だ。知っていると思うがブラックファルコンは単独での作戦よりブルーマーメイド、ホワイトドルフィンとの連携を主に活動する組織だ。
味方のことを知ることはとても大事だ。
で、こちらも一応教科書を作ったんだがな」
政宗は翔に教科書を見せる。
「ちょ、ちょっと待ってください!何ですかこのホッチキス止めのキャンプのしおりみたいな教科書!」
「仕方ねーだろ!こっちだって震電Ⅱと"オメガ"のせいで金が無いんだよ!お前の部下だろ!?しつけろや!」
政宗の口から出たオメガという人物は翔が率いる第01飛行隊の隊員にして、ブラックファルコン一の問題児である。
離陸直前・直後に脱出、着陸直前・直後に脱出……と、週に三回は機体をぶっ壊すのである。ちなみに、戦闘機はパイロットが脱出するときキャノピーを外す、もしくは破砕するのだが、ここの震電Ⅱは後者。修理費も高い。
これのせいで彼は『被撃墜王(笑)』と呼ばれている。
「……話がそれた。つまりだ、この教科書(という名のしおり)だけではよく理解できない子もきっといるだろう。だからお前が教師として行ってこい」
「嫌です」