ハイスクール・フリート ~Sky of liberty~   作:鮭愊毘

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不可能という言葉は愚者の辞書にのみ書かれている
Episode00 空という可能性


ここは海上安全整備局。

 

「……もう一度頼む」

 

「大河重工が、飛行機及びそれを戦闘用に改造した戦闘機なるものを作り上げ、もう、試験運用しているとのことです……」

 

幹部の一人が部下からの報告を受け、唖然とする。

 

「……夢?私は……疲れているのか……?」

 

「一度自分の頬を抓ってみては?」

 

報告を認めようとしない幹部は、これは夢だと言いながら頬を抓る。

 

「痛い。これは現実なのか」

 

「……先ほどから何故認めようとしないのですか?水素やヘリウムを使わない空飛ぶ乗り物の開発、これは喜ばしいことです」

 

「問題はそこだ。『日本が世界で初めて水素やヘリウム以外の力で飛行する乗り物を作った』と報道されればアメリカを中心とした国が黙ってないぞ。『技術をよこせ』とな」

 

「……」

 

部下は新聞を幹部に見せる。そこには、

 

 

 

デカデカと『日本の大河重工 飛行機を造る。さらに同盟国にその国に適した飛行機の設計図を渡す』と書かれていた

 

 

 

「はぁぁぁ!?おい!今すぐ大河重工の代表者をここに連れてこい!!」

 

「は、はい!」

 

 

ーーーー

 

一方その頃アメリカでは、大統領が新聞で日本に関する情報を目にしていた。

 

「……あの日本が……。"Advanced Support Fighter-X" ASF-X ShindenⅡ…… か」

 

すると次の瞬間、秘書が騒ぎながら大統領の部屋に入る。

 

「だだだだ大統領ー!!大変!大変です!!」

 

「どうした!何かあったか?!」

 

「じ、実は日本からこんな手紙と書類が……」

 

ーーーー

 

「何?日本から手紙?」

 

「ええ。中を確認したところ、何かわけのわからないものが書いてありまして……」

 

ここはドイツ。ドイツにも日本から手紙が届いていた。これが他の同盟国全てに送られていたのだ。

 

ーーーー

 

「『アメリカ、並びに我が国の同盟国の大統領・首相殿、我々が飛行機を開発できたことはもうすでにご存じだと思う。正確には日本とイギリスだが。

 

単刀直入に言う。我々日本はこの技術を独占したりはしない。高値で売りつけたりもしないーーー」

 

ーーーー

 

「ーーー元々飛行機の動力源であるエンジンは日本の技術だけでは造れなかった。造れたとしても、馬力は弱かっただろう。つまり、あなた方も開発に携わったと言ってもいいのだーーー」

 

ーーーー

 

「ーーーーだから、この技術を貴国らに提供しようと思う。先ほど言ったように、金は一切取らない。この手紙と一緒に設計図が届いているはずだ。飛行機と、それを運用できる艦船 航空母艦のな。(設計図以外の)詳しいことは 下記のURL先のページに書いてある。

それと、飛行機の事故は艦船のそれと比べて操縦者の死亡率、二次被害の危険性がかなり高い。そこを注意してくれ。最後に、貴方方の幸運を祈っている。

 

大河重工代表 鶴野政宗』」

 

この下に、大河重工のものと思われるURLが書いてあった。

 

 

 

 

「「「「……」」」」

 

これを読み終えた同盟国の大統領・首相たちは口を半開きにして固まっていた。

 


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