世界を忌み嫌う武器商人と過去を捨てた兵士   作:のんびり日和

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6話

電話を終えたネイサンは真っ直ぐ部屋へと戻ってくると、真耶が手料理をテーブルの上に並べ、椅子に座って待っていた。

 

「あ、マクトビア君。電話終わりましたか?」

 

「えぇまぁ。それよりこの料理は山田先生がお一人で?」

 

ネイサンの問いに真耶は、頬を赤く染めながら頷く。机の上に置かれている料理は、ハンバーグにポテトサラダなど、色鮮やかな料理が並べられていた。

 

「は、はい。簡単にマクトビア君の入学をお祝いしようかなと思って」

 

「そうでしたか。それはありがとうございます。では冷めないうちに食べましょうか」

 

そう言いながらネイサンは向かいの席に座り、ハンバーグを食べ始めた。

 

「ど、どうでしょうか?」

 

真耶は心配そうに聞くと、ネイサンは優しい笑みを浮かべる。

 

「凄く美味しいですよ」

 

「そうですか! それは良かったです」

 

真耶は照れながら手を合わせる。それからは談笑を交えながら食事をした。

夕食後、ネイサンはアタッシュケースに入っているACRを取り出し、整備の為分解し始めた。一つ一つ油を指したり、汚れを拭き落としたりし終え、ACRを組み立て始めた。組み立て終えると風呂に入りに行っていた真耶が部屋に戻ってきた。

 

「えっと、マクトビア君何しているんですか?」

 

そう言いながら真耶はネイサンの手元にある銃に目が行く。

 

「えっ! どうして銃を持ってるんですか?」

 

「あぁこれですか? 先生が渡したアタッシュケースは俺の武器が入ってたんですよ。因みに学園には許可は貰ってるので大丈夫ですよ」

 

ネイサンの説明に真耶はな、なるほど。と納得する。そしてネイサンの近くに寄り、銃をまじまじと見つめる。

 

「えっと、これってACRって言うアサルトライフルでしたよね?」

 

「えぇそうですよ。もしかして先生、銃にお詳しいんですか?」

 

「は、はい。私、ISの武装でよく使うのが実弾系の武器なんです。だから自然とそう言った銃に詳しくなっちゃったんです」

 

へぇ~、とネイサンは納得している中、ネイサンは試しにとACRを真耶に渡す。

 

「試しに持ってみます?」

 

「え!? いいんですか?」

 

「えぇ。マガジンは外してるので持っていただいても大丈夫ですよ」

 

そう言われ真耶は恐る恐るとネイサンのACRを持ち、構える。

 

「やっぱりいいですね。この軽量で取り回しの良さ。それにレールシステムを取り入れている為、オプションパーツがたくさん付けられる所がさらにいいですね」

 

そう言いながらACRを褒める真耶。ネイサンはやっぱり面白い先生だと思いながら見ていると、ネイサンの視線に気づいた真耶は頬を染めながら銃をネイサンに返した。そしてネイサンは銃をアタッシュケースに仕舞い、風呂へと入りに行った。風呂から上がった後はそのまま布団へと入り、一日が終了した。

 

 

次の日、ネイサンは真耶より先に起き、体を動かしに外へと行き、ナイフの素振り、近接格闘術の訓練を数十分ほどやり、部屋へと戻った。部屋に戻り次第汗を流し朝食の準備をしていると真耶が起きてきた。

 

「ふわぁ~、おはようございます、マクトビア君」

 

「おはようございます、山田先生。席に着いててください、もうすぐ準備できるんで」

 

そう言ってネイサンはフライパンで焼いていたベーコンと、もう一つのフライパンで焼いていたスクランブルエッグを皿へと移し、トーストとコーヒーと一緒に真耶の前へと置く。

 

「うわぁ~、凄く美味しそうですぅ!」

 

「そうですか? そう言っていただけるとありがたいです」

 

そう言いながらネイサンは席に着き朝食を食べ始めた。朝食をとり終えた後は、ネイサンは教室へ、真耶は職員室へと向かった。

そして時間は1時間目開始の合図が鳴った後。チャイムが鳴った後にスコールと真耶が教室へと入ってきた。

スコールが教卓へと立つと、体を生徒達の方へと向ける。

 

「実はクラス代表を昨日決めるのを忘れていたから今から決めるわ。誰かやりたい人っている?」

 

そう聞くとほとんどの生徒は手をあげると言った動作はせず、隣の生徒と相談を始めた。すると一人の生徒が手をあげた。

 

「ん? 何かしらメルトリアさん」

 

「あの、推薦っていいですか?」

 

メルトリアと呼ばれた青髪の少女はそう聞くとスコールはふむ。と考え、頷く。

 

「別に構わないわ。ただし、推薦された人には拒否権があるからそこは分かってね」

 

「分かりました。私はマクトビア君を推薦します」

 

ネイサンを推薦すると言うと周りの生徒達もそれがいいかもと声を上げ始める。

 

「それだったら私もネイサン君を推薦します!」

 

「私も!」

 

次々と推薦が上がって行く中、ネイサンは面倒くさいと言った顔になる。

 

「……自分はやりたくないんだが」

 

「えぇ~、このクラスで専用機を持っているのはマクトビア君以外いないんだよ」

 

「「「うんうん」」」

 

「……マジかよ」

 

ネイサンはそれでも嫌だと言おうとしたところでスコールがあることを言う。

 

「因みに、クラス代表同士の戦いである、クラス代表戦で優勝するとデザート半年間フリーパスが貰えるわ」

 

「何?」

 

スコールの呟きを聞いたネイサンは目を鋭くした。

 

「スコール先生、それは本当ですか?」

 

「えぇ本当よ」

 

「本当だったら引き受けたくないが、報酬があるなら引き受ける」

 

そう言い、クラス代表を引き受けた。生徒達はやったーと喜び、スコールは現金ねと苦笑いで思い、真耶は

 

(マクトビア君って甘い物が好きなんですかぁ)

 

と思った。

 

「それじゃあクラス代表はマクトビア君とします。では本日のSHRをするので静かに聞いてね」

 

スコールはそう言いSHRを始めた。

 

 

時間は飛び、時刻は放課後となりネイサンは荷物をカバンに仕舞い、寮へと帰ろうとしたところでクラスに黒髪の生徒が入ってきた。生徒は何も言わずネイサンの元へとやって来た。ネイサンはその顔を見てアイツか、と思いつつ帰ろうとすると

 

「待て!」

 

そう言って生徒はネイサンの腕を掴もうとするが、ネイサンは反射的にその手を払う。

 

「済まないが、俺はこの後用事があるからまた今度にしてくれ」

 

そう言って廊下に出ると別の生徒が話しかけてきた。

 

「こんばんわ」

 

そう言ってきたため、ネイサンはどうも、と言って頭を下げて帰ろうとすると生徒は声を荒げる。

 

「待ちなさい! わたくしが折角を声を掛けてあげたのに一言だけとは何事ですか!」

 

「はぁ?」

 

ネイサンは突然切れた生徒に、瞬時に面倒くさい女尊男卑の奴だと分かり、さっさと帰ろうとする。

 

「待ちなさい! まだ話は「おい! 今私が話を掛けているんだ、後にしろ!」篠ノ之さん、いきなり割り込まないでください!」

 

2人はそこから口論を始め、ネイサンは2人を放置して寮へと帰っていった。

 

部屋へと戻ったネイサンは夕飯の準備でもしようかなと、冷蔵庫を漁る。冷蔵庫の中身は真耶からどれを使ってもいいと許可を貰っている為、ネイサンは2人で十分な献立を考え始めた。そして数十分後、豚バラが有ったためネイサンは生姜焼きを作り居間のテーブルへと置くと同時に真耶が帰ってきた。

 

「ただいまです。あれ、凄くいい匂いが」

 

そう言いながら部屋の奥へと行くとネイサンが夕飯の準備を終えた状態で待っていた。

 

「あ、お帰りなさい」

 

「た、ただいまです。こ、これマクトビア君が用意したんですか?」

 

「えぇ、そうです」

 

真耶は凄い、と呟き何時も自分が座っている席へと着き、生姜焼きに手を付ける。

真耶は自分が作った生姜焼きより美味しいことに驚いた。

 

「す、凄く美味しいです!」

 

「そうですか? それだったら嬉しいです」

 

ネイサンも生姜焼きを口に入れ、満足そうに頷いていた。そして夕食が終わりテーブルでお茶を飲んでいると真耶が何かを思い出したような表情を浮かべる。

 

「そうでした。実は1週間後にマクトビア君のISが届くと、HCLI社の方から連絡がありました」

 

「そうですか。因みに誰が持ってくるとか言ってました?」

 

「いえ、特に何も言ってませんでした」

 

ネイサンはそうですか、と呟きお茶を飲む。




次回予告
1週間後ネイサンは自分のISを受け取ろうとアリーナのピットへと行くとキャスパーがいた。そしてコンテナを開き1機のISが鎮座していた。そしてISを身に纏い真耶に起動チェックを見てもらおうとしたところで、1機のISがアリーナに出てきた
次回お呼びでない客~弾代はお前に払ってもらうからな~

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