世界を忌み嫌う武器商人と過去を捨てた兵士   作:のんびり日和

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45話

突然ネイサンの背後の人混みから現れた女性は拳銃をネイサンに向けようとしてきた。ネイサンは咄嗟に空いている左手にシグを拡張領域から出そうとした瞬間、銃声が響いた。

ネイサンを撃とうとした女性は眉間を撃ち抜かれ、そのまま後ろに倒れた。銃を撃ったのは真耶だった。

周りに居たバルメ達は驚きながらも冷静に即座に出せる拳銃を構える。

突然の銃声に生徒達は驚き固まっている中、人混みの中にいた何人かが持っていたアタッシュケースのロックを外す。すると持ち手の部分以外、つまり箱の部分だけ落ちた。箱の中から出てきたのはG36だった。そしてストックを広げコッキングレバーを引き初弾を込める。その突然の複数の落下音に気付いた人達は、音がした方向を見ると銃を持った男や女が居ることに驚き悲鳴を上げた。

 

「きゃぁああーーー!!!?」

 

その叫びを聞いたネイサン達はそちらに目を向けると銃を持った者達が居る事に気付き、すぐさまココを安全な場所に避難させるべく行動した。ネイサン、アール、バルメはココを守れるように銃を持った男達の方に体を立たせ、マドカ達はココを連れ物影へと連れて行く。

男達は銃を撃とうと構えた瞬間、一人が撃たれ倒れた。

突然男が倒れたことに驚いた男達の一人が上を見ると、3階の窓から銃を構えているマオを見つけた。

そして撃ち合いが始まった。

敵がマオに気を取られている間に、ネイサン達はココ達が居る物影へと移動し、装備を取り出し身に付ける。

 

「まったく、いきなりだな!」

 

「愚痴を言っていても仕方がありません。それより…」

 

バルメは目線を真耶へと向ける。

 

「確か、IS学園の教師の」

 

「や、山田真耶です」

 

「どうして銃を持ってるんです?」

 

バルメは真耶が何故銃を持っているのか聞く。

 

「その、「彼女は篠ノ之博士の所で暫くお世話になったらしいみたいなんです。その時に餞別にいただいたらしいです」…です」

 

そう言われバルメはネイサンがそう言うなら本当かと思い、物陰から様子を伺う。すると銃弾が何発か此方に向かって飛んできた。

 

「数はおおよそ6人程。どれもG36でした」

 

「アタッシュケースを改造して、直ぐに作戦に従事できるようにしておいたんでしょう」

 

「それで、迎撃するのか?」

 

マドカはネイサンの説明を聞きながらも、現状どうするのか聞く。

 

「勿論迎撃するよ。折角の楽しみをぶち壊したんだから責任を取ってもらう」

 

ココにそう言われそれぞれ頷き、物陰から出て銃を撃ち始めた。

 

 

マオが居る3階では突然の銃撃戦に騒然となっており次々に避難所へと向かって走って行く。そんな中には銃を持った男達も居りマオに向かって撃とうとしたが、トージョがMASADAで応戦する。

トージョもマオと共に行動しており、下に居るココ達を援護すべく撃っていた。

 

「まったく、学園の警備はザルなのか!」

 

「かなりの人数が侵入しているみたいだ。ココさん達に近付かれない様、撃ちまくるぞ」

 

そう言っていると自分達が居る廊下の奥から銃を持った女達が攻撃してきた。

 

「くたばりなさい!」

 

「お前等男なんてくたばればいいのよ!」

 

そう言いながら銃を撃ってくる女達。周りに気にせず弾をばら撒くため、周囲に居た来客や生徒達は巻き添えを喰らい、悲鳴が上がる。

 

「チッ! マオ、下を頼む。俺は廊下からくる敵をやる」

 

「分かった!」

 

 

 

その頃レーム、ウゴ、ルツ、ワイリーはそれぞれ高台へと向かっていた。

 

「レーム、お嬢達から無線は?」

 

「さっききた。今は3階からマオが援護。下ではネイサンとバルメとアール、それと鈴とマドカ。それとあの山田先生が応戦しているらしい」

 

「山田先生って、ネイサンのクラスの副担任じゃないか。一体何処から武器を?」

 

ワイリーは驚いた表情をレームに向けながら聞く。

 

「なんでも、あの篠ノ之博士から貰ったらしい。しかも相当腕が良いらしい」

 

レームはそう言いながら一旦止まる。

 

「よし、俺達はこっちの高台に向かう。お前等は向こうの高台に向かってくれ」

 

「分かりました」

 

「急ぐぞワイリー!」

 

そう言いルツとワイリーは高台に向かい、レームとウゴももう一か所の高台へと向かった。

 

 

 

ココ達は上からの援護をもらいつつ応戦している中、ネイサンはスマホでブラックと連絡を取っていた事を思い出し通話用のワイヤレスイヤホンを耳に付ける。

 

「もしもし、ブラックのおじさん。用件は?」

 

『そっちは大丈夫か?』

 

「大丈夫じゃないよ、連中周囲にお構いなく銃を撃ちまくってる。それに―――」

 

『女性権利団体もいる。だろ?』

 

ネイサンが言おうとした台詞をブラックは被せる様に言う。

 

「…どれだけ侵入してるかわかる?」

 

『こっちでざっと数えて10人程確認できた。だが恐らくそれ以上居る可能性があるかもしれん』

 

「…カットスロートの連中は?」

 

『そっちは12人程居る』

 

その報告にネイサンは舌打ちをする。

 

(こっちは11人。向こうはその倍かよ)

 

「ネイサン、敵のISが出てきた!」

 

「ッ!? すいませんが、一旦切ります!」

 

鈴からの報告にネイサンは意識を戻し、物陰から覗くと3機のラファールを纏った女権達が居た。

 

「一体何処から盗んできたんだよ!」

 

「大方、展示会とかから盗んだんだろ」

 

「厄介ですね。ネイサン、彼女たちの相手をお願いしても?」

 

バルメにそう言われ、ネイサンは頷き鈴達の方に顔を向ける。

 

「鈴、マドカと一緒に来て下さい。山田先生、すいませんがココさん達をお願いします」

 

「分かった」

 

「さっさと終わらせよう」

 

「任せてください!」

 

3人はISを展開しようとした瞬間

 

「待って下さい、様子がおかしいです」

 

そうバルメが言う。ネイサン達は何だと思いながら見るとISを纏っていたはずの女権達がISを解除していた。だがその様子から彼女たちの意思で解除した様子ではなかった。

 

「な、なんで突然ISが解除されたのよ!」

 

「分からないわよ! 再展開も出来ないし、何でよ!」

 

そう慌てていると、カットスロート達はライフルを女権達に向け引き金を引く。

 

「ちょっ、ちょっと私達は味方かはっ!!?」

 

「な、まさか貴方達最初からこれがっ!?」

 

そう言いながら次々に撃たれていく女権達。

 

「何で連中は女権達を?」

 

鈴はそう呟くと、ココがすぐにその訳を察した。

 

「なるほど、お膳立てか」

 

そう言うとネイサン達は納得した。鈴や真耶はまだ少し理解できていないのか、首を傾げる。

 

「どういう事ですか?」

 

「つまり女権が暴れている、だから掃討した。その過程でお嬢とネイサンが死んだ。そう言う筋書きなんだろうよ」

 

アールはそう説明している中、女権達が全員倒された。

 

「次は俺達か。このままやられるつもりは?」

 

「あるわけないでしょ。この部隊の敵に対する扱いは?」

 

「「「即撃滅」」」

 

「そう言う事。バルメとアールは応戦を。ネイサン達はISで一気に片を付けて」

 

ココの指示にネイサン達は頷き、ネイサン達3人はISを展開しようとした。だが

 

「展開できない?!」

 

「私のも出来ない!」

 

「こっちもだ!」

 

そう言い何度展開しようとしても出来なかった。

 

「……女権の連中がISが強制解除されて、こっちは展開できないとなると何かしらの妨害が働いているのか?」

 

「恐らくそうだと思う。さっきから無線でレーム達を呼んでるんだけど繋がらない」

 

「妨害電波ですかね?」

 

「議論は後にしましょう。今は迫ってくるカットスロートの連中の応対をしましょう」

 

ネイサンはそう言い置いたACRを拾い上げカットスロート達に応戦する。バルメ達もライフルを手に応戦を開始した。




次回予告
ISが展開が出来ない上に、レーム達と連絡が取れなくなったネイサン達。執拗に攻撃を繰り返してくるカットスロート、そしてISに乗った仲間をやったのがココ達だと思い込む増援の女権達。すると突然自分達以外の攻撃がカットスロート達に襲い掛かった。そして最終決戦が行われようとした。
次回
学園決戦 魔女対傭兵

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