<バンッ! バンバンッ!>
空に祝砲が上がると同時に、多くの学園の親御さんや学園が許可したセールスマン達がやって来た。
そんな中ゲート付近でIDカードを見せて中へと入るココ達。ココ以外はそれぞれ大きめのリュックサックを背負っていたり、長めのアタッシュケースを持っていた。
「いやぁ~、マジで人が多いな」
「本当だな。それより俺達リュックサックを背負ってるの、結構目立ってね?」
トージョはそう言いながら背中のリュックサックに苦い顔を浮かべる。
「仕方ねぇだろ。武器の携帯に適している物と言えばこれ位しかねぇんだから」
レームはそう言いながら歩く。彼らの背中にあるリュックサックにはマグプルMASADAや予備のマガジンなどが入っているのだ。因みにルツとレームが持っているアタッシュケースには狙撃用のLRS2とレミントンM700が入っている。
「それにしても色々な出店が出ているみたいですね。食べ物や遊技場とか色々出てますよ」
マオは貰った学園マップを見ながらそう言うと、ココもそれを見る。
「まぁ確かに見て回るのは面白いけど、私は先に行きたい場所があるんだよねぇ」
そうココは口をニンマリとさせながら言うと、周りのレーム達もニンマリと口を笑わせていた。
「だなぁ」
「最初はやっぱりあそこだよな」
「ですね」
「他より先に気になりますからね」
「他でもないあそこだよなぁ」
そう言いココ達は学園内へと入って行った。
その頃ネイサン達はと言うと、お祭り風の出店という事で3つの店を出しているのでお客の対応に忙しかった。
「はい、冷えたコーラです!」
「フランクフルト如何ですかぁ! 焼きたてですよぉ!」
「おっ! 頑張れ、頑張れ! おぉ~上手!」
それぞれの出店を担当する生徒達はそれぞれ法被を着てお客さんの対応をしていた。お客さんの多くは親子で、小さな子供達はヨーヨーすくいを楽しんでいた。その裏方では
「マクトビア君、ヨーヨー後どれだけある?」
「後、200個ほどですね。これだけあれば、午後から来られるお客さんにも対応できると思いますよ」
そう言いながらネイサンは幾つかヨーヨーを作り籠の中へと入れていた。
するとマドカが裏方の方にやって来た。
「兄さん、フランクフルトがそろそろ無くなりそうです」
「それじゃあ其処の赤色のクーラーボックスに入ってるのを出してくれ」
そう言い赤色のクーラーボックスの方に指をさす。
「分かった」
そう言いマドカは赤色のクーラーボックスを開けると、フランクフルトが大量に入った袋が幾つかあり、その一つを取り出す。
「飲み物は青色か?」
「ん? あぁ、青色のクーラーボックスに入ってる」
マドカはフランクフルトの袋を担当している生徒に渡し、飲み物が入った青色のクーラーボックスを引いて飲み物を出している出店へと行く。
ネイサンは裏方で3店の出店の手伝いをしていると、同じく法被を着た真耶がやって来た。
「あ、裏方お疲れ様ですネイサン君」
そう言い真耶はジュースを手渡す。
「あぁ、すいません。ありがとうございます」
そう言いネイサンはジュースを口にする。
「大盛況ですね」
「裏方に居てもお客さんが喜んでくれている声が聞こえるので、やって良かったですよ」
そう言い裏方からお客さん達の方を見ると、子供達が喜んで遊んでいたり食べている姿に親達は笑みを浮かべながら見ていた。
「本当に幸せそうな表情を浮かべてます」
「そうですね。これもネイサン君のお陰ですよ」
真耶は笑みを浮かべながらそう顔をネイサンに向けると、ネイサンは少し照れた表情を浮かべた。
「いえいえ、皆さんのお陰ですよ」
そう言い裏方に戻ろうとすると
「やぁ、ネイサン頑張ってる?」
そう声を掛けられ振り返ると其処にはココ達が立っていた。
「ココさん、それに皆さんも」
「ほぉ~。その法被姿も中々良いね」
そう言い腰に手を当てながら見るココ。そんな中やって来たココ達の事を生徒達は話し合っていた。
「あれって、もしかしてマクトビア君の上司?」
「凄く綺麗な髪…」
「うん、プラチナブロンドだよね。あそこまで綺麗なの初めて見たかも」
そう言いながら眺める生徒達。
「ん? 何か注目されてる感じ?」
「そりゃあ、後ろに何人も連れて此処に現れたら目立つし、ココさんの髪色とかは結構目立ちますよ」
ネイサンは苦笑いで言うと、ココはおっとそっか。と言い笑みを浮かべる。
「まぁ、目立つのは嫌だけどネイサンのクラスだし別にいっか」
「はぁ。一応言いますが、僕の休憩はお昼頃までありませんよ」
「なんと! それじゃあ私此処で待ってるから皆は他のクラス見て来てもいいよ」
そう言われバルメとレ―ム以外は「「「うぃ~す」」」と言って他のクラスへと見に行った。
「さて、それじゃあヨーヨーすくいからあ~そぼぉ! バルメも一緒にやろ」
「はいっ! 喜んでお供します!」
そう言いココとバルメはヨーヨーすくいへと向かい、子供達に混ざって遊び始めた。
「なんか子供みたいですね」
「まぁ、いいじゃないの。こう言った所で息抜きできるのはいい事だしな」
そう言いながらレームは飲み物屋の方に向かう。
「悪いんだけど、ソーダ貰えるかい?」
「は、はい。160円になります!」
「あいよ」
お金と引き換えにソーダを貰い呑むレーム。対応した生徒達は
「すっごくダンディな人…」
「The大人って感じだよね、あれ!」
「服を着てても分かる。あの人滅茶苦茶鍛えてる」
「あぁ言う人とお付き合いしたぁい!」
と、かなり好感度高めの呟きが零れていた。
3組に綺麗な人が来ているという噂は他のクラスにも届いており、2組ではチャイナ姿の鈴が、ココさんが此処に来てるんだ。と思い休憩時間になったら会いに行こうと思い作業を続ける。
1組でも噂は届いているが、誰も行こうと思わなかった。その訳が自分達のクラスにもイケメン2人がやって来たからだ。
するとイケメンの一人は近くに居た生徒、本音に声を掛ける。
「すいません、シャルロットさんを呼んで来ていただいても宜しいでしょうか?」
「ほぇ? 少々お待ち下さぁ~い」
狐の着ぐるみを着た本音はそう言い店の裏方で休憩していたシャルロットを呼びに向かった。
「シャルルン~、お客様がシャルルンをご指名だよぉ~」
「え、僕を? 何だろう?」
そう言い裏方から出てきて自身を呼んだ人を本音に教えてもらう。
「えっと、本音さん。誰が呼んだの?」
「あそこの人ぉ」
と指を指した方に目を向けるシャルロット。すると其処にはMr.K事鬼鉄陽太郎と護衛の義弟鬼鉄一輝が其処に居た。
「こんにちは、シャルロットさん」
「こ、こんにちは、社長さん。ど、どうして此方に?」
シャルロットは突然来られた陽太郎達に驚いた顔を向けながら近付く。
「いえ、学園祭が開かれると聞きましてシャルロットさんがキチンと生徒の皆さんと頑張っているのか、見に此方に」
「そ、そうだったんですか。この通り皆と楽しんでやってます」
そう照れた表情で言うシャルロットに陽太郎は朗らかな笑みを浮かべ頷く。
「その様ですね。さて本当はもう少し此方に居たかったのですが、あいにくこの後仕事が入っているので、そろそろ帰りますね」
「そうなんですか? その何の御持て成しも出来ず申し訳ないです!」
そう言うと陽太郎は、大丈夫ですよ。と笑顔で言い一輝と共にクラスから出て行った。その後、クラスメイト達からあのイケメンとどんな関係なんだと質問攻めにあうシャルロットであった。
その頃、ブラックはCIA本部の作戦司令部で偵察衛星でIS学園の様子を見ていた。
「今現在で確認で出来た女性権利団体の人間は何人だ?」
「10人です」
学園内に侵入している女性権利団体の過激派の顔を一人ずつピックアップさせていた。すると携帯に連絡が入り、表示名には『エルドア』と書かれており、ブラックはそれに出た。
「もしもし、どうかした?」
『今○○港に来ているんだが、どうやらあいつ等船を使って学園に接近するかもしれん』
「なるほど、船を使って追えば追跡がバレる。後はこっちで追跡する」
『分かった』
そう言い電話を切ると、ブラックは偵察衛星を○○港から出る船を探すと、丁度港から出る大型船を発見した。
「あの船を追跡しろ」
そう指示を出し、船の後を追跡させた。そして港を出て暫くして船は突然停止した。
「ん? どうしたんだ一体?」
そう言い監視を続けていると、一隻の漁船が近付いてきた。漁船は大型船に近付き、漁船の乗組員が乗り込んだ。暫くして乗り込んだ乗組員は漁船へと戻る。ブラックは急ぎ漁船の無線を傍受させた。
『此方民間漁船の藤丸。誰も乗ってないクルーザーが沖に流されているのを発見しました。誰か人を寄越してください』
「何ッ!? 無人だと!」
ブラックはしてやられたと思い、急ぎ指示を出しヘックス達を探させた。
その頃IS学園では出し物を生徒達に任せている教師達は巡回を行っていた。巡回は2人1組で行われており、それは千冬も同様で春野と共に巡回を行っていた。すると千冬は履いていたヒールが折れた。
「ん? すまん、ヒールが折れた様だ。私は靴を取りに戻るから先に行っててくれないか」
そう言い千冬は近くにあったベンチに座り履いていたヒールを脱ぎ、折れた部分を確認する。
「でしたら私も一緒に戻ります」
そう言い近くで待機する春野。
「……いや、一人で戻れる。先生は先に巡回に行ってくれ」
「そう言う訳には行きません。巡回は2人1組で行うよう決められています」
そう言い残る春野に、千冬は何も言わなくなり折れたヒールをポケットに仕舞う。春野はそろそろ立つと思い、一瞬顔をそらした瞬間、千冬は手刀を思いっきり春野の後頭部に振り下ろした。
「がっ!!? お、おり…むら先生、な…にを…」
そう言い春野は気を失い倒れ込んだ。倒れた春野を千冬は抱え上げその辺の草むらへと放り捨て、海の中にひも付きの電源を入れたペンライトを入れ上下に振る。そして縄梯子を降ろすと、海からダイビング姿の人達が何人も現れ縄梯子を上ってきた。
そして最初に上ってきたダイビング姿の人はシュノーケルを外し顔を見せる。それはヘックスだった。
「ご協力感謝するわ、織斑千冬さん」
「感謝などいらん、約束の物をさっさと出せ」
そう言い千冬は手を差し出すが、ヘックスは首を傾ける。
「あら、まだこちらの仕事は終わってないのよ。それに貴女もまだ仕事があるでしょ」
そう言われ千冬は舌打ちをして去って行った。
去って行った千冬にヘックスは笑みを浮かべながら着ていたダイビングスーツを脱ぎ、鞄から服を取り出し着替え、チェストリグなどを身に付ける。アタッシュケースの様な物を持つ者と、ぶ厚めのアタッシュケースを持つ者達がそれぞれヘックスの前に立つ。
「さて、パーティーの時間よ」
そう言うと部下達は狂気じみた笑みを浮かべ頷く。
時刻がお昼頃、ネイサンは休憩を貰いココとバルメ、そしてレームと交代してアールとマドカの4人と同じく休憩を貰ってきた鈴とで外で出されている出店巡りをしていた。
「ふぅ~、あっちこっち回って疲れちゃった」
そう言いながらココは近くにあったベンチへと腰を下ろす。
「あれだけ回っていればそりゃあ疲れますよ」
ネイサンは苦笑い気味でそう言っていると、突然スマホが震えた。ネイサンはスマホを取り出し画面を見ると、『ブラック』と表示されていた。
ネイサンはまさか。と思いながら電話に出る。
「もし『ネイサン、奴らが「死になさい、ネイサン・マクトビア!」』ッ!?」
電話に耳を傾けていたネイサンの背後に銃を構えようとした女性が居た。
そして銃声が轟いた。
次回予告
突然の銃声にパニックになる学園。突然の銃撃の中、ネイサン達は応戦していく。そして相手はISを出してきた為にネイサン達もISを出そうとしたが、思いもしない事が起きた。
次回
戦場となる学園#2